今年もこの季節がやってきた。大学駅伝シーズンの幕開けを告げる出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)が10月9日に島根県の出雲市で開催される。昨年出場していない早大にとっては2年ぶりの出雲路への出走となる。監督が花田勝彦監督(平6人卒=滋賀・彦根東)に代わり、新体制で挑んだ昨年度の駅伝シーズン。早大は全日本大学駅伝対校選手権(全日本)、東京箱根間往復駅伝(箱根)共に6位だったものの、どちらのレースも途中は上位争いに絡んでの6位であり、順位以上に力を見せていた。今季は昨年度の駅伝経験メンバーが多く残っているうえ、春シーズンでは石塚陽士(教2=東京・早実)が1万メートルで27分台を叩き出したほか、それ以外の選手も好記録を出すなど戦力の上積みも出来ている。昨年以上の結果を目指していきたい今年の三大駅伝。まずは「三位以内」と花田監督が目標設定した出雲路でどのようなレースを見せてくれるのか、出雲路に挑む早大の布陣を紹介する。
1区を担当する伊藤大志
スタート区間の1区には伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖)が起用された。一年時から駅伝を走り続けてきた伊藤にとって大学駅伝デビュー戦となったのが2年前の出雲だった。その時は区間12位の走りで順位も二つ落とすなど悔しい結果となった。あれから2年、経験も実績も十分に積み上げて再び出雲路へと挑む伊藤。出雲での悔しさは出雲でしか晴らせない。チームに勢いをつける走りを期待したい。最短区間の2区には山口智規(スポ2=福島・学法石川)がエントリーされた。昨年の全日本では初の大学駅伝で区間3位の走りを見せるなど潜在能力の高さを見せた。今季は関東学生対校選手権(関カレ)で3位に入るなど結果を残してきた。2区では高校時代からしのぎを削ってきた駒大の佐藤圭汰もエントリーされている。ライバルの先を行きエンジのタスキを一つでも前の順位で繋いでいきたい。3区にエントリーされたのは石塚。こちらも一年時から経験を重ねてきた実力者。二年前の出雲では一年生ながら積極的な走りで区間賞を獲得した。今季は関カレの1万メートルで3位に入賞するなど、この二年でチームを代表する選手に成長した石塚。今年は二年前以上の走りが求められている。持ち味をフルに活かして後半へといい流れでタスキを繋ぎたい。
安定して好成績を残し続けている工藤は4区にエントリーされた
後半戦のスタート4区には工藤慎作(スポ1=千葉・八千代松陰)が起用された。関カレの1万メートルではルーキーながら28分台のタイムで6位入賞を果たすなど、入学前の評判以上の結果を残している工藤。高校時代からロードでも結果を出してきている選手で、大学駅伝デビューとなるこの出雲でどんな走りを見せてくれるのか、注目が集まる。5区にエントリーされたのは間瀬田純平(スポ2=佐賀・鳥栖工) 。今年は第20回U20アジア陸上競技選手権大会の1500メートルを自己ベストで優勝した。昨年度の駅伝では全日本、箱根で共に1区を走り一定程度の力を示した。昨年の駅伝とは違い単独走になることも予想される5区での起用となった今回の出雲。どんな走りを見せてくれるのだろうか。最終6区にはルーキーの長屋匡起(スポ1=長野・佐久長聖)が起用された。工藤同様、高校時代から駅伝で結果を出してきた期待のルーキーだ。トラックシーズンはやや苦しんだものの、夏合宿を経た先月の早大競技会では5000メートルで自己ベストを出すなど、駅伝シーズンを前に調子を上げてきた。6区には駒大の鈴木芽吹を初め、中大の湯浅仁、国学院大の平林清澄など大学駅伝で結果を残してきた強力なライバルがエントリーされているが、ルーキーらしい積極的でフレッシュな走りを期待したい。当日エントリー変更が可能な2人の補欠には菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)と佐藤航希(スポ4=宮崎日大)が登録されている。菖蒲は2年前の出雲で1区2位の好走を見せている。佐藤は出雲の経験こそないものの全日本や箱根では安定した走りを見せている。 また今年二月の延岡西日本マラソンでは初マラソンながら優勝を果すなどエンジラストイヤーに向けて実績は積み重ねてきた。下級生のころからエンジを着て駅伝で結果を出してきた二人、最上級生となり今年の駅伝シーズンにかける思いは並々ならぬものがあるだろう。この2人がどのような形で起用されることになるのか、当日のエントリー変更にも注目したい。
4年生の出走はあるか。写真は佐藤
区間エントリーされている6人は全員3年生以下、ルーキーも2人起用とフレッシュな顔ぶれで出雲へと挑む早大。戦前の予想では青学大や中大、駒大が上位争いをすることが予想されているが、これまでの駅伝での実績や今年のトラックシーズンの結果をみれば早大も決して力が劣っているとはいえないだろう。全6区間で45.1キロメートルと三大駅伝の中では最も距離が短くスピード勝負となりやすい出雲。一人一人が積極的な走りから最大限の力を発揮していけば、目標である3位以内は決して手の届かないところにあるわけではない。2023年度の駅伝シーズン開幕を告げる号砲は10月9日13時5分に出雲大社正面鳥居前で鳴り響く。ゴールである出雲ドームにエンジのタスキは何番目に届くことになるのだろうか。
(記事 出口啓貴)
第35回出雲全日本大学選抜駅伝 早大暫定エントリー(10/8時点) | |||||
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区間 | 距離 | 名前 | 学部・学年 | 出身校 | |
1区 | 8・0キロ | 伊藤大志 | スポ3 | 長野・佐久長聖 | |
2区 | 5・8キロ | 山口智規 | スポ2 | 福島・学法石川 | |
3区 | 8・5キロ | 石塚陽士 | 教3 | 東京・早実 | |
4区 | 6・2キロ | 工藤慎作 | スポ1 | 千葉・八千代松陰 | |
5区 | 6・4キロ | 間瀬田純平 | スポ2 | 佐賀・鳥栖工 | |
6区 | 10・2キロ | 長屋 匡起 | スポ1 | 長野・佐久長聖 | |
補欠 | ◎菖蒲敦司 | スポ4 | 山口・西京 | ||
補欠 | 佐藤航希 | スポ4 | 宮崎日大 | ||
◎は駅伝主将、当日2名まで区間変更可能 |
▽選手プロフィール
1区 8・0キロ
伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖)
5000メートル 13分35秒70、1万メートル 29分42秒24。21出雲5区12位
2区 5・8キロ
山口智規(スポ2=福島・学法石川)
5000メートル 13分34秒95、1万メートル 29分35秒47。
3区 8・5キロ
石塚陽士(教3=東京・早実)
5000メートル 13分33秒86、1万メートル 27分58秒53。21出雲4区1位
4区 6・2キロ
工藤慎作(スポ1=千葉・八千代松陰)
5000メートル 13分56秒60、1万メートル 28分31秒87。
5区 6・4キロ
間瀬田純平(スポ2=佐賀・鳥栖工)
5000メートル 13分55秒83、1万メートル 29分13秒46。
6区 10・2キロ
長屋 匡起(スポ1=長野・佐久長聖)
5000メートル 14分05秒64、1万メートル 29分42秒54。
補欠
菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)
5000メートル 13分52秒46、1万メートル 28分58秒10。21出雲1区2位
佐藤航希(スポ4=宮崎日大)
5000メートル 13分59秒96、1万メートル 29分35秒12。