【連載】箱根事後特集『息吹』 第6回 6区 北村光

駅伝

 北村光(スポ3=群馬・樹徳)が東京箱根間往復大学駅伝(箱根)に帰ってきた。早大が5位で走り終え、エンジが存在感を示した往路。その勢いのまま、北村は昨年の不調を晴らす快走を見せた。新シーズンからは、早大で過ごす最後の1年となる。北村が目指すラストシーズンとは。

※この取材は2月2日にオンラインで行われたものです。

やってやるぞという楽しみの方が大きかった

箱根駅伝直前、取材を受ける北村

――解散期間はどのように過ごされましたか

 地元に帰って、結構ダメージがあったので1週間くらいは走らないで回復に努めていました。解散後は練習が入っていたので、1週間休んでからジョギングを始めました。

――誕生日(1月18日)には、競走部の方からプレゼントをもらいましたか

 井川(龍人、スポ4=熊本・九州学院)さんからギターをもらいました。

――ギターを弾かれるんですか

 いや、全く弾かないです。部屋にあったやつを、ちょうどあげるよという感じでもらいました。

――これからギターを練習していく感じですか

 そうですね、時間があれば(笑)。

――箱根前の対談で石田洸介選手(東洋大)を意識している選手に挙げられていましたが、石田選手と何か話されましたか

 そうですね、宿が東洋大と一緒で石田とそこで会って話しました。本人は多分納得いく走りではなかったので、「トラックは頑張ろうね」と話しました。

――6区の出走を花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)から正式に言われたのはいつごろでしたか

 正式に言われたのは12月頭くらいですかね。代わりがいないから絶対走ることができる状態には仕上げてくれという感じでした。

――他の選手よりも区間を言われるのは早かったのですか

 多分早かったと思います。

――往路はどこで見られていましたか

 5区の大志(伊藤、スポ2=長野・佐久長聖)が、ラスト2キロくらいのところで見ていました。

――周りの人から気づかれましたか

 はい、ちょっと(笑)。

――往路の走りを見て感じたことはありましたか

 自分が1年生のときは11番で後ろの方でのスタートでしたが、今年は往路を5番で終えたので、前日から結構緊張しました。

――箱根までの練習や調整を、今振り返ってみていかがでしたか

 左足のもも裏が12月は痛くて、合わせ合わせで本番を迎えていたので練習の消化率も8割くらいでした。それでも、6区に自信があったのでそこの不安要素はあまりなかったです。

――当日のコンディションはいかがでしたか

 良かったです。

――今年の勝負飯は何でしたか

 コンビニで買ったおにぎりとパンを食べようとしましたが、全然食べられなかったです。

――それは緊張からですか

 緊張というか、まあそうですね。

――テレビ中継でスタート前に北村選手の笑顔が映されていましたが、スタート前の心境はいかがでしたか

 そこの状態は緊張というより、やってやるぞという楽しみの方が大きかったです。

――順大の選手とスタート前に話されていました

 3000メートル障害で関カレ(関東学生対校選手権)とかで一緒に走った子だったので。「どうやって走るの」みたいな感じで、「多分最初俺追いつかれるから一緒に行こう」というようなことを話していたのは覚えています。

――6区のレースプランは、どのように考えられていましたか

 1年生のときに上りで遅く入ってしまってタイムが出ませんでした。今回は、上りで少し頑張りつつ下りで切り替えるというのをプランにしていました。最初は順大に追いつかれましたが、そこも冷静に走ることができたと思います。

――スタート時に、前を走る国学院大に何キロ地点で追いつくというのは考えられていましたか

 国学院大の選手は4回目の下りで経験者だったので、最後の平地で追いつけたらと思っていました。思いのほか早く追いつけたので、そこも今回の記録につながったのではないかなと思います。

――青学大を抜けるだろうと感じたのはどのあたりでしたか

 正直、スタート前は意識していませんでした。沿道から青学大と1分差と聞こえて、いやさすがにないだろうと思ったんですが結構近くに来ていました。群馬の先輩だったので、走っているときはうれしかったです。

――1人で走ることで意識していたことはありますか

 タイムを落とさないことと、単独走になっても前を追うことを意識して走ってました。

――鈴木創士駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)にタスキを渡すときに言葉を掛けたり、掛けられたりはありましたか

 「お願いします」という感じで渡して、「任せろ」みたいな感じだったと思います。

自分の走りは「80点くらい」

2度目の山下りで、新春の寒空を切り裂く快走を見せた

――箱根前には前半上り5キロとラスト平地3キロが課題と話されていました。それぞれいかがでしたか

 上りは結構いいタイムで走れて下りも想定内で走れました。ですが、12月に脚の状態が良くなく練習量が積めておらず、後半3キロは自分の想定よりタイムを落としてしまいました。来年もう一度走るならそこがタイムを稼げる要素かなと思います。

――5位から3位まで順位を上げられましたが、自分の走りに点数をつけるとしたら何点でしょうか

 区間順位が3番でチームの順位を3位に上げれましたが、駒大の区間賞の子は1年生ですし、そういった面を含めたら80点くらいです。

――20点引いた理由は何ですか

 区間賞を取れなかった10点マイナスと、後輩に負けているところで10点マイナスです。

――3位まで順位を上げることは出走前に狙っていましたか

 国学院大と同じくらいで(7区に)渡せればいいかなと思っていたので想定外です。

――2年ぶりの箱根路はいかがでしたか

 今年は非常に応援も多くて楽しんで走れました。

――2年前との違いはなんですか

 やはり応援の量ですね。

――監督からかけられた言葉はありますか

 「お前は群馬の星だ。光の速さで行け。」みたいな感じでした。

――出走前に往路のメンバーと話はしましたか

 大志と宿が一緒だったので「北村さんお願いします。いけますよ。」くらいは話しました。一言二言くらいです。

――6区以降はどこで見ていましたか

 大手町に移動してアンカーを待っていました。

――チームとしての結果を個人的にどう捉えてますか

 5番が目標でしたが、チーム全員が全力を出し切れて、混戦の中での6位ということで全員が(力を)出し切れたかなと思います。

――ご家族は見に来られていましたか

 見に来ていました。6区の箱根湯本駅の前にいました。

――友達や家族からのメッセージはありましたか

 親は「ここにいるよ」というメッセージをもらって、友達は現地に来てくれていたので、そこで沿道から応援を受けました。

結果にこだわる1年に

箱根駅伝前の取材では、笑顔ものぞかせた

――新体制となった早稲田のチームの雰囲気はいかがですか

 菖蒲(敦司、スポ3=山口・西京)がキャプテンになり、昨年もそうだったのですが、風通しのいいチームだと感じています。仲良く、時には厳しくやっていけているのではと思っています。

――菖蒲選手から具体的なお話はあったのですか

 今年は、厳しくいくと言っていた記憶があります。

――上級生としてどのようなチームを作っていきたいですか

 菖蒲に任せっきりではなく、4年生全員が後輩の面倒を見たり、個人で活躍したりすることによって、チーム状況も良くなると思います。僕個人としては、まず結果を出すということにこだわっていきたいです。

――今年のチームで、重要だと考えることは何ですか

 菖蒲中心のチームになると思うのですが、その中で菖蒲に頼りすぎないということが重要になってくると思います。

――現在の練習で意識されているところは何ですか

 3月後半のトラックシーズンからシーズンに入ると思うので、それまではじっくり身体作りとシーズンに向けたスタミナ、スピードを強化していくというのが現在の課題です。

――今年のトラックシーズンの目標を教えてください

 5000、1万メートルは1年生の時からベストを更新できていないので、まずは春先にそのどちらかの自己ベストを出して、関東インカレ(関東学生対校選手権)の3000メートル障害でメダルを取るというのが目標です。

――何をメインで競技を行う予定ですか

 5000メートルメインで今年はいきたいです。

――駅伝シーズンの目標は何ですか

 僕自身、まだ箱根しか出走がしていません。最終学年になったので出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)、全日本(全日本大学駅伝対校選手権)、箱根に出て、活躍するというのが駅伝シーズンの目標になると思います。

――今シーズンの意気込みをお願いします

 まずは、トラックシーズンでいい結果を出して、いい流れで駅伝シーズンを迎え、駅伝シーズン初戦の出雲から活躍してチームの目標順位に少しでも貢献していきたいと考えています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 堀内まさみ、草間日陽里、近藤翔太)

◆北村光(きたむら・ひかる)

2002(平14)年1月18日生まれ。168センチ。群馬・樹徳高出身。スポーツ科学部3年。第99回箱根6区58分58秒(区間3位)。箱根当日は相楽豊前駅伝監督(平15人卒=福島・安積)から「寒波が来る」と聞いて、ランパンではなくスパッツでの出走を決めたそうです!