今年も東京箱根間往復大学駅伝(箱根)が開幕した。予選会を経て出場権を勝ち取り、箱根路に挑んだ早大。序盤は我慢のレースを強いられるが、3区で井川龍人(スポ4=熊本・九州学院)が区間2位と好走。後を継いだ佐藤航希(スポ3=宮崎日大)と伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖)も区間上位でタスキをつなぎ、往路5位でフィニッシュ。目標の往路3位以内とはならなかったが、3年ぶりの往路一桁順位で往路を終えた。
1区はエントリー通りに間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工)が務めた。レースはスタートしてすぐに、新田颯(学生連合・育英大)が飛び出す予想外の展開に。そして1位(見かけは2番目)集団を綱島辰弥(国士舘大)が引っ張る。間瀬田は集団の中盤に位置をとり、レースを進めていく。15キロを過ぎるとわずかながらも集団が散り始め、六郷橋の直前で溜池一太(中大)が飛び出す。間瀬田はその仕掛けには対応したものの、橋を下り終わると続いて富田峻平(明大)がスパート。ここで間瀬田は集団から脱落する。間瀬田は39秒差の14位で後続にタスキを託した。
六郷橋通過後、集団から遅れる間瀬田
各チームのエースが集まった2区には、石塚陽士(教2=東京・早実)が挑んだ。ほぼ同時にスタートしたピーター・ワンジル(大東大)や、ごぼう抜きを目論む石原翔太郎(東海大)ら実力者相手に真っ向勝負をすることになった石塚。持ち前の粘り強い走りは花の2区でも発揮された。鶴見中継所から順位を上げることはできなかったが、区間10位でまとめてタスキリレー。今回の石塚は直近3大会の早大の選手中では最も良いタイムを記録した。
2区戸塚付近を走る石塚
チームの流れを変えることができるのがエースならば、この日の井川の走りはまさにエースだった。7・6キロ地点で12位に順位を上げると、そのままハイペースで追い上げ、ごぼう抜きを展開していく。14・3キロ地点で8位、18・1キロで7位と徐々に順位を上げて行った井川。念願の区間賞とはならなかったが、9人を抜く快走でエンジのタスキを5位にまで浮上させた。
3区藤沢付近を走る井川
井川からタスキを受け取った佐藤だったが、大混戦の中位争いの中で一旦は7位に後退。前半までは越陽汰(東海大)と尾崎健斗(明大)と集団を組んでレースを進めることになる。しかし、中盤にこの二人を振り切ると、最終盤で一度は抜かれた嶋津雄大(創価大)を抜き返し6位で伊藤大志にタスキをつないだ。佐藤は区間6位で走り抜き、タイムは前回石塚が記録した4区の早大記録を3秒上回る好タイムを残した。
大磯付近を走る佐藤
2年連続で山上りを任された伊藤大志。前半は野沢悠真(創価大)と並走しながら坂を上っていくが、やがて野沢を振り切り、単独6位に立つ。伊藤大志はペースを保ったまま走り続け、終盤に川端拳史(東京国際大)を抜き5位に浮上して芦ノ湖のゴール地点に飛び込んだ。タイムは現コースでは早大史上初めて71分台をマーク。また、チームでは5年ぶりに5区を一桁順位で乗り切ることができた。
風祭駅付近を走る伊藤大志
昨年総合13位と惨敗して以降、鈴木創士駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)や、6月に就任した花田勝彦監督(平6人卒=滋賀・彦根東)のもとチームを作り直してきた。その結果、「エンジの輝きを取り戻す」ための足がかりは作ることができた。この順位を守れれば、目標の総合5位は果たせるが、さらに上の順位を目指すことも十分可能だ。復路でも選手が持てる力を最大限に発揮し、そして昨年の悔しさを晴らしたい。
(記事 芦沢拓海、写真 湯口賢人、濵嶋彩加、星野有哉、加藤志保、熊谷桃花)
結果
第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(往路成績) | |||||
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区間 | 距離 | 名前 | 記録 | 区間/総合 | |
1区 | 21.3キロ | 間瀬田純平(1) | 1時間03分23秒 | 14/14 | |
2区 | 23.1キロ | 石塚陽士(2) | 1時間08分05秒 | 10/14 | |
3区 | 21.4キロ | 井川龍人(4) | 1時間01分58秒 | 2/5 | |
4区 | 20.9キロ | 佐藤航希(3) | 1時間02分18秒 | 6/6 | |
5区 | 20.8キロ | 伊藤大志(2) | 1時間11分49秒 | 6/5 | |
早大 往路 5時間27分34秒 第5位 |