【連載】箱根事前特集『RE:』 第14回 諸冨湧

駅伝

 2年前、1年生ながら東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の出走を経験した諸冨湧(文3=京都・洛南)。今季は「あまり思ったようなシーズンにはできなかった」と振り返るが、2年ぶりに箱根メンバー入りを果たした。1年以来の箱根出走に向けた意気込みを伺った。

※この取材は12月11日に行われたものです。

思うようにいかなかったトラックシーズン

日本学生対校選手権で3000メートル障害のレースを走る諸冨

――今年はどのようなことを目標にしてトラックシーズンに臨んでいましたか

 昨シーズン、日本選手権に出場してあまり結果を出すことができなかったので、シニアのレースで結果を残していきたいといった気持ちでトラックシーズンに臨んだのですが、結果、ケガが続いていたこともあってシーズン序盤のレースに一本も出られませんでした。そのような意味ではあまり思ったようなシーズンにはできなかったと思います。

――日本学生対校選手権(全カレ)に出場されましたが、そこでの目標や見つかった課題を教えてください

 全カレは同期の三浦(三浦龍司、順大)が出ていなかったので優勝を狙っていたのですが、調整の段階で少し慌てすぎたかなと感じます。最終的に、あまり良くない結果だったので悔しかったというのが感想です。

――夏合宿の時期の調子はいかがでしたか

 夏合宿は過去に比べていいかたちで練習を積めていたので、そういった点でも全カレに向けて手応えがあったのですが、なかなかうまくいかなかったです。

――トラックシーズンの取り組みで駅伝シーズンに生かせそうなことはありますか

 故障が多かったこともあり、駅伝を見据えた練習というのはあまりできていなかったです。

予選会の結果を振り返る

予選会を走る諸冨

――東京箱根間往復大学駅伝競走予選会(予選会)に臨む際に意識していたことはありますか

 後半の公園内に入ってからは起伏が激しいと分かっていたので、前半ためて、アップダウンのある後半勝負と思っていました。ただ序盤の駐屯地の中で差し込みが来て、それに耐えるのに精一杯のレースになり、想定より2分ほど遅くなってしまってかなりチームに迷惑をかけてしまったという思いが強いです。

――その際の記録に関してはいかがですか

 悪すぎてあまり(感想が)ないくらいで、全く思ったような走りができていなかったなという思いが大きいです。差し込みが来る原因もそのあといろいろ考えて、次はそういったことがないようにしていきたいと思います。

――現在の調子はいかがですか

 今は差し込みが特に来ていないので、問題ないかなと思います。

――誰かに聞いて対策などをしたのですか

 トレーナーの方といろいろ相談をして、ストレッチやトレーニングをプラスαで行うなどしています。

――予選会を踏まえて、現在の練習で意識していることはありますか

 距離の部分です。箱根は20キロあるので、距離を増やしていきながらということを意識して練習しています。

2年間の悔しさをバネに

――前々回の箱根をどのように捉えていますか

 とりあえずひたすらきつかったなという思い出が大きいです。

――5区を走って気付いたことはありますか

 箱根自体が初めてで、当時は無観客ながら沿道に人がたくさんいるといった状態でそういったところがすごいなと感じました。

――練習に対する意識の変化はありましたか

 調子の波があったので、安定して走れることを意識するようになりました。

――出走とはなりませんでしたが、前回の箱根はどのように感じていますか

 走る前から不安要素がたくさんあって、全部悪い想定が出てしまったなというのが周りから見ても分かりました。今年は周りから見てもいけるんじゃないかなというようなチーム状況にしていく必要があるかなと思いました。

エンジの誇りを取り戻す

公開取材で撮影に応じる諸冨

――今のチームの空気はどのように感じていらっしゃいますか

 昨年よりはいいです。後は選手の状態で、まだ調子が上がり切っていない選手が多いので、この2週間で自分含めて調子を上げていきたいです。/p>

――チーム内で意識している選手はいらっしゃいますか

 創士さん(鈴木創士駅伝主将、スポ4=静岡・浜松日体)や井川さん(井川龍人、スポ4=熊本・九州学院)は走ってもらわないと困るくらい重要な戦力なので、互いに競って頼んだという気持ちです。

――チーム外で意識されている選手はいらっしゃいますか

 あまり気にしていないです。気にしてもしょうがないと思うので。

――洛南高校の同期や先輩、後輩などではいかがですか

 あまり意識はしていません。三浦が何区に来るのかなといったくらいです。

――箱根に向けて、自身の走りの強みはどこだと考えていらっしゃいますか

 多少のアップダウンや後半勝負の区間が得意なので、8区といった区間で強みが生かせるのではと思います。

――今年一番成長したなと思う点はどこですか

 忍耐力です。故障や調子を崩す期間が多かったので、精神的に強くなりました。

――チーム内で、諸冨選手からみた注目選手は誰ですか

 山口(山口智規、スポ1=福島・学法石川)です。1年とは思えないくらい距離にも対応できて、スピードもあり、他大に対抗できる力があるなと感じます。

――山口選手に箱根でどういった走りを期待していますか

 少しでも稼いでほしいです。

――箱根の目標は何ですか

 今回こそ「湧ワク大作戦」を頑張って成功させたいと思います。

――チームの見どころを教えてください

 後半の追い上げです。昨年できなかった終盤の追い上げが今年はできるかなと思います。

――箱根への意気込みをお願いします

 昨年シード権を落として、今年も落としてしまうとシード権に対する意識が下がってしまうので、今年はシード権を取るのが当たり前というような意識をもう一度持って、エンジの誇りを取り戻していきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 橋本聖、戸祭華子)

◆諸冨湧(もろとみ・わく)

2001(平13)年10月12日生まれ。167センチ。京都・洛南高出身。文学部3年。自己記録:5000メートル14分07秒20、1万メートル30分11秒48、ハーフマラソン1時間4分58秒。第97回箱根5区区間19位。鋭い自己分析をしていることが伝わる諸冨選手。今回こそ「湧ワク大作戦」が成功するかに注目です!