関東学生対校選手権(関カレ)で1500メートル3位、3000メートル障害大会連覇とトラックシーズンで輝きを放った菖蒲敦司(スポ3=山口・西京)。夏以降苦しい時期が続いたと振り返るが、2年連続で故障により出走がかなっていない東京箱根間往復大学駅伝(箱根)に向け「今年こそ」と意気込む菖蒲に話を伺った。
※この取材は12月11日に行われたものです。
トラックシーズンを振り返って
日本学生個人選手権3000メートル障害でゴールする菖蒲
――今年の箱根は2連続の故障で出走はかないませんでしたが、その時の心境を聞かせてください
実力ではなく故障で走れないのは悔しいよりも情けない感情で、どうしようもないような感覚でした。
――チームとして前回大会は総合13位という結果でしたが、この結果をどのように受け止めていますか
世間からはすごく注目されていて、優勝もあるのではないかと言われていての13位という結果はふがいなく、力を出し切れずに終わった大会でした。
――日本学生個人選手権について、世界ユニバーシティー大会の代表は惜しくも逃してしまいましたが、3000メートル障害を大会新記録で優勝したことを振り返っていかがですか
記録はあまり気にせず、相楽さん(相楽豊前駅伝監督、平15人卒=福島・安積)からはラスト1000メートルまで余力を残して勝ちにいけという指示を頂いて、思っていた通りのレースができたかなと思います。
――関カレでは1500メートルで3位、3000メートル障害で大会連覇という結果でしたが、その結果をどのように受け止めていますか
3000メートル障害に関しては2連覇しなければならないと思っていましたし、1500メートルもできれば優勝できたら良かったのですが、優勝を狙って勝負しにいっての3位だったので、悔いなく走れたと思います。
――アメリカ遠征に行かれましたが、そこで得られた経験や課題について教えてください
競技面で高いレベルで試合させていただいたのは貴重な経験でしたが、試合までの準備で食事であったり、事前の練習で思っていたグラウンドが使えなくなり、練習の内容を変えなければならなくなったりと、日本にいては考えられないことを経験できたことは、自分の競技人生にとって良い経験でした。
――トラックシーズン全体を振り返って点数をつけるなら何点ですか
80点くらいはあげられるかなと思います。
――夏合宿ではどのようなことを意識して練習されましたか
アメリカ遠征では中距離メインで練習していたので、合宿の最初の方はまずは中距離から長距離への移行のために長い距離に慣れるということを意識して、8月後半から9月にかけては長距離を強化していこうと思っていました。
――夏合宿で良かった点と悪かった点について教えてください
トラックシーズンで中距離をメインにしていたので長い距離にはなかなか慣れなかったのですが、徐々に慣れてきて予定通りには来ていました。ですが9月に入ってコロナになってしまって、強化という部分であまり練習が積めなかったので、うまくいかなかった点かなと思います。
――夏合宿の消化率について教えてください
ほとんどのポイントで垂れた記憶しかないので、(消化率は)20、30パーセントくらいかなと思います。
――6月に花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)に代わって、新体制で夏合宿を迎えましたが、花田監督はどのような人ですか
「泥くさく泥くさく」と何度も言われていて。今までの早稲田にはなかったようなただ距離を踏む泥くさい練習が増えたと思います。
――新体制になって変わったことはありますか
練習の量が増えたことと、ポイント練習での質という面で花田さんが求めることも高いので練習の質も上がったりしたしました。
苦しんだ夏からロードシーズンへ
夏合宿で走り込む菖蒲
――秋以降は東京箱根間往復大学駅伝予選会(予選会)や全日本大学駅伝対校選手権(全日本)に出場されましたが、ロードへの距離の移行という面ではいかがでしたか
夏合宿がうまくいかなかった分、予選会や全日本はうまく走れなかったのですが、それでも花田さんは箱根のためにそういう経験も必要だと起用してくださったので、夏以降苦しい時期が続いていますが、今のためにあるのかなと思って頑張っています。
――予選会の結果をチームとして振り返っていかがですか
3位以内を目標にしていて結果としては4位でしたが、僕自身としては練習の一環で良いと言われていて。チームに貢献することはできませんでしたが、夏に練習を積めていた人たちは良い走りをしていたので、チームとしては良い成果を挙げることができたと思います。
――予選会での個人の走りを振り返っていかがですか
9月にコロナになって、練習を再開してすぐに脚を痛めてしまって、そこから復帰したのが予選会の1カ月前になってしまったのですが、他の選手が充実していたので僕自身は練習の一環として21キロ走らせてもらいました。結果はボロボロでしたが、今後につながる良い機会になったかなと思います。
――全日本の結果をチームとして振り返っていかがですか
夏に練習を積めていない人は失速してしまいましたが、予選会同様、夏に練習を積めていた人が良い走りをしていたので、チームに助けられた大会だったと思います。
――個人として全日本を振り返っていかがですか
直前まで調子は上がっていたので花田さんが起用してくださったのですが、試合になると練習とは違ってペースを上げて走らなければならなかったので、コロナの後遺症で走っていて呼吸がうまくできず、それが結果に影響してしまいました。
――予選会から1カ月という短い期間で全日本を迎えましたが、疲労はありましたか
予選会まであまり追い込み切れておらず、その分予選会後にしっかりと練習ができていたので、疲労は感じずに練習が継続できました。
――疲労よりもコロナの後遺症の方がつらかったのでしょうか
体力が戻り切らなかったので、コロナ後遺症の方がつらかったです。
――予選会後から全日本までどのように調整されましたか
12キロのレースなので、距離で言えば短いためスピード系の刺激を入れながら仕上げました。
――予選会と全日本を振り返って、箱根に向けた個人としての課題を教えてください
予選会も全日本もどちらもチームの足を引っ張るような走りになってしまいましたが、全日本終わってからはもう一度夏に言われたように泥くさく泥くさくというような練習を継続してやっています。なので箱根に関してはこのまま状態を上げていって、次こそはチームに貢献したいです。
――来季の主将になった経緯や理由について教えてください
1年生の頃から学年をまとめる役割を担っていて、僕自身も小中高とキャプテンをやってきていたので、キャプテンをすることには違和感はありませんでした。そこでいざ決める時に1、2年生と学年のリーダーをやってきた僕が任されました。
――まだ主将になると決まってから時間は短いですが、何か変化はありますか
まだ特にはなく、鈴木主将(鈴木創士駅伝主将、スポ4=静岡・浜松日体)についていくだけです。
「自分は走れている」というのを見てほしい
質問に答える菖蒲
――最近の調子はいかがですか
過去2年とは違ってしっかりと練習を継続できています。
――最近はどのようなことを意識して練習していますか
夏に長い距離の練習をできていなかったので、その分今長い距離の練習に取り組みつつ、ポイント練習にも取り組んで、練習に強弱をつけながらやっています。
――チームの雰囲気はいかがですか
あまりケガ人が出ていないので、誰がメンバーに入るかわからず、メンバー争いが熾烈(しれつ)になってきたと感じています。
――集中練習の消化率はいかがですか
8割9割はできているかなと思います。
――箱根まであと1カ月を切っていますが、それまでの課題について教えてください
予選会、全日本と後半に失速してしまい、ジョグや長い距離のポイント練習も増えているため、それらに対して後半を意識して練習しています。
――箱根での自分の役割はどのように考えていますか
昨年までとは違って上級生として迎える箱根になるので、1、2年生には元気に走ってもらいたいですし、僕自身としては3年生としてチームを支えられるよう、決めるところは決められるような走りをしたいと思います 。
――箱根での自身の注目ポイントを教えてください
走れば箱根初出走になるので、自分は走れているというのを見ていただけるだけでうれしいです。
――来季の主将として箱根を迎えますが、このことをどのように感じていますか
主将になったからといってやることは変わらないですが、やはり主将として箱根を走るというのはメンバーに与える影響も変わってくると思うので、今年はしっかり走ってチームに貢献しようと思っています。
――希望区間はありますか
任された区間を走るだけですが、僕としては1区が一番恰好いい区間だと思っているので、1区を走れればと思っています。
――箱根での個人目標について教えてください
過去2大会走れていないですし、今年に入ってロードでなかなか良い結果が残せてないので、良い結果でチームや4年生に恩返しをしたいです。
――過去2大会は出走はできていませんでしたが、箱根に対しての特別な思いはありますか
箱根はかなり注目度の高い大会だと分かってはいますが、僕の中では一つの大会だと思っているので、いい意味で緊張せずに本番を迎えられればと思っています。
――箱根への意気込みをお願いします
過去2年走れていないですし、今年こそ絶対に走ってやるぞという思いで練習ができているので、出走してチームの目標に少しでも貢献したいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 近藤翔太、加藤志保)
◆菖蒲敦司(しょうぶ・あつし)
2001(平13)年12月16日生まれ。168センチ。山口・西京高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル13分52秒46、1万メートル28分58秒10、ハーフマラソン1時間4分47秒。「いざ菖蒲の時」という応援ハッシュタグがつけられている菖蒲選手。最近は駅伝が注目されることも増えてきているので、応援ハッシュタグがつけられてSNSで盛り上がってくれるのはすごくうれしいと語っていました!