昨年は体調不良が重なり、レースに出場できない日々が続いた北村光(スポ3=群馬・樹徳)。だが今年の北村は一味違う。満足のいく走りはできなかったと振り返るものの、トラックシーズンでは東京六大学対校(六大学)や関東学生対校選手権(関カレ)で力強い走りを見せ、復調の兆しを見せた。前回は出走とはならなかったが、その走りに期待が大きく膨らむ、シーズン最後の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)への思いを伺った。
※この取材は12月11日に行われたものです。
「非常に悔しい気持ちがあった」
関カレで3000メートル障害のレースを走る北村
――前回の箱根は当日変更で出走とはなりませんでしたが、どう捉えられていましたか
僕自身走らないというのは2週間前くらいから決まっていたので、チームのサポートに回るというのは分かっていました。チームがシード落ちということと、当日変更になってしまい、自分が走っていないということで非常に悔しい気持ちがありました。
――箱根終わりはどのような心境でしたか
自分も走っていないし、チームも予選会(東京箱根間往復大学駅伝競走予選会)からということで、悔しさと今年頑張らないといけないという気持ちでした。
――今シーズンはどのような目標でスタートされましたか
トラックシーズンは関カレでは3位以内に入ることと、5000メートル、1万メートルの自己ベストを更新することが目標でした。
――シーズン前半の調子はいかがでしたか
ブランクが大きく、5000メートル、1万メートルの自己ベストを更新できなかったですし、関カレ3位以内というところも達成できなかったので、トラックシーズンは少し悔いが残るというか、あまり満足のいく結果が出せませんでした。
――六大学と関カレの走りは振り返っていかがでしたか
六大学は優勝、関カレは3位以内を目指していました。六大学は3位で関カレは6位でした。二つとも満足のいく結果ではなかったので、悔いが残ります。
――関カレでは、北村選手が3番手まで追い上げてきた時に会場がとても盛り上がっていましたが、歓声は聞こえていましたか
3番手まで上がったところがちょうど早大の選手たちが座っている前だったので聞こえました。ここでいくしかないと思って(スピードを)あげました。
――トラックシーズン全体は振り返っていかがでしたか
目標を達成できず、満足のいく走りもできなかったので、あまり良くなかったと思います。
「箱根は絶対に活躍したいと思える大会だった」
夏合宿で走り込む北村
――夏合宿はどのような目標を持ってスタートされましたか
上のチームで行うことと、駅伝につながる合宿なのでしっかり質と距離を重視して取り組みました。
――特に意識されていたことはありますか
ジョグの量や食事の量などと、まずはケガしないということを第一に行いました。
――体調やコンディションはいかがでしたか
練習も非常に良くできたので、絶好調の時に比べて8割くらいは戻ってきたなということを夏合宿の段階では感じていました。
――予選会までの練習で、ハーフの距離に向けて意識していたことはありますか
距離が21キロと長いので、普段からジョグのボリュームを増やして備えるかたちにしました。
――予選会当日のコンディションはいかがでしたか
体調とコンディションは結構いい状態でした。
――レースプランについては花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)からどのような指示がありましたか
故障明けで復帰段階の石塚(石塚陽士、教2=東京・早実)と同じようにレースを進めるというプランでしたが、僕は調子が良かったので少し前でレースを進めました。それが後半にダメージになってしまったかなと思います。
――走りやタイムは振り返っていかがですか
65分3秒でしたが、もう1分くらい速く走ることができると思っていたので、そこは今後につながる反省点だと思います。
――予選突破が発表される前に感触はありましたか
走っていた時はタイムも順位も分からないですし、山口(智規、スポ1=福島・学法石川)のアクシデントも目に入っていたので、少し不安な部分はありましたが、タイムを知って大丈夫かなと思いました。
――予選突破が発表された際の心境はいかがでしたか
予選会に向けて夏合宿でも結構練習していたので、予選突破できて安心感がありました。
――初の予選会でしたが、いかがでしたか
一つ間違えれば僕たちも落ちていた可能性があることを考えると、予選会は非常に怖いし、失敗できないなと思いました。
――全日本大学駅伝対校選手権(全日本)のチームの走りを見ていかがでしたか
全日本に関しては出走できなかったですが、同期や後輩、先輩方が非常に頼もしい走りをしていて、僕自身箱根は絶対に活躍したいと思える大会でした。
――体調はいかがでしたか
練習はできていましたが、予選会があまりいい走りではなかったので、全日本は他の選手が出走するということで、監督と話して走らないことが決まりました。
流れを変えられる走りを
質問に答える北村
――現在の調子はいかがですか
11月、12月の今まで結構練習は積めているので、箱根をいい状態で迎えられるかなと思います。
――練習の消化具合はいかがですか
監督から出されたメニューは消化できているので、ほぼ100パーセント練習を消化できています。
――現段階で箱根に向けて特に意識していることはありますか
うちは少数精鋭で1人も欠けられない状態なので、まずはケガをしないことを第一に行っています。
――箱根の希望区間とその理由を教えてください
希望区間は6区です。下りが得意なので、最大限自分の力を出せる区間だと思うからです。
――具体的なタイムや順位の目標はありますか
順位では区間3位以内とタイムは58分半切りというのを目標に頑張りたいと思います。
――どのような走りをしたいですか
チームの目標順位に一つでも近づけるような走りと、いい流れを作るような走りをしたいです。往路の流れにもよりますが、流れをいい方向に変えられるような走りをしたいです。
――ご自身の走りの強みは何だと思いますか
下りのスピードだと思います。
――チーム内での役割についてどのようなことを意識されていますか
チーム内で学年問わず、積極的にコミュニケーションを取るように意識しています。
――意識している選手はいらっしゃいますか
早大だと同期で、同期のメンバーには負けたくないです。他大だと同じ区間を走ることはないと思いますが、東洋大の石田(石田洸介)です。石田とは高校の時から同じ大会で勝ったり負けたりしていて、今も大会で話すことがあるので意識しています。
――早大の注目選手はいらっしゃいますか
石塚と山口です。石塚は文武両道で同部屋ですがいつも見ていてすごいなと思うので、尊敬の念も含めて頑張ってほしいです。山口は1年生らしからぬというか、非常に練習もしますし、継続して練習をこなしているので箱根で活躍すると思います。
――最後に箱根への意気込みをお願いします
箱根に向けて今シーズンは頑張ってきたので、昨年の思いも含めて、区間賞を目標に頑張りたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 堀内まさみ)
◆北村光(きたむら・ひかる)
2002(平14)年1月18日生まれ。168センチ。群馬・樹徳高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル13分58秒64、ハーフマラソン1時間5分03秒。第97回箱根6区区間8位。今回は、北村選手の穏やかな雰囲気がとても伝わってくる対談となりました。箱根ではその穏やかな雰囲気と、攻めの走りのギャップにも注目です!