箱根への切符をつかみとれ 早大3年ぶりの予選会/箱根予選会展望

駅伝

 第99回東京箱根間往復大学駅伝予選会(箱根予選会)が10月15日に開催される。コロナの影響で一昨年、昨年とコースは陸上自衛隊立川駐屯地内の周回コースのみだったが、今年は市街地と国営昭和記念公園を回る従来のハーフマラソンコースで行われる。各校12人が出場し、上位10人の合計タイムの上位10校が箱根出場への権利を獲得する。2019年以来3年ぶりの予選会の参加となる早大。競合となる大学との比較とエントリー選手の分析を通して、箱根路に向けた大会の展望をお伝えする。

 まずは他大学との比較を行う。資格記録を見ると、エントリーメンバーの1万メートル上位10人の平均タイムは29分18秒50。このタイムは出場校中9位と箱根本戦へ道は決して簡単ではないことが伺える。加えて、平均タイム29分17秒から29分20秒の間には神奈川大、拓殖大、城西大、中央学院大がおり、早大としてはこの4大学との混戦を避けて、上位進出を狙いたいところだ。また、東海大は上位10人の平均タイムが唯一28分台に乗っており、上位通過を目標とする早大にとっては難しい相手になる。

 6月に花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)が就任し、新体制でのチーム強化を行ってきた早大長距離ブロック。花田監督就任当時は半分以上の選手がポイント練習ができない状況で、まずはケガ人をなくすところからチームはスタートした。徐々に故障者が減り、夏合宿ではほとんどの選手が問題なく練習を積める状態にまで回復。士別ハーフマラソンは「思ったよりも良かった」(花田)と振り返り、全体の力の底上げもできている印象だ。予選会では「少なくとも3番以内で通過したい」(花田)と語り、「(選手が自分の力で走れなければ)集団走を行うかもしれない」と戦略的な面で選手を支える姿勢を見せた。

就任会見で撮影に応じる花田監督

 次に早大選手陣に注目していく。やはり注目すべきはラストイヤーの鈴木創士駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)と井川龍人(スポ4=熊本・九州学院)だ。鈴木は夏合宿では「ほぼ100パーセント」と順調に練習を積めており、キャプテンとして準備は万端だ。また、井川は予選会出場日本選手の中で唯一1万メートル27分台を記録しており、早大の上位進出に向けて必要不可欠な存在だ。両者とも3年前の予選会に出場しており、その経験をどのようにチームに還元できたのかが鍵になってくる。

鈴木(左)、井川

 3年生では、関東学生対校選手権(関カレ)の3000メートル障害で2連覇を果たした菖蒲敦司(スポ3=山口・西京)がエントリー。昨年の出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)で1区2位を獲得した強い菖蒲が戻ってくれば、予選会突破に向けて強い追い風が吹くはずだ。2年生は最多の5人がエントリーした。1年時に3大駅伝出場経験を持つ石塚陽士(教2=東京・早実)と伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖)はもちろんのこと、通過の鍵となる10人目の選手になる可能性のある、伊福陽太(政経2=京都・洛南)と菅野雄太(教2=埼玉・西武文理)も大学に入ってから力を伸ばしてきた選手だ。伊福は、昨年はケガで思うような結果が残せなかったが今年は夏にかけて調子を上げ、花田監督も「すごく期待している」と太鼓判を押す。菅野もハーフマラソンで1時間4分31と部内6位。今年の関カレで既に対校代表を経験しており、予選会では2年生の若さ溢れるパワーでチームを押し上げられるかに期待がかかる。

関カレ3000メートル障害で2連覇を果たした菖蒲

 1年生には間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工)と山口智規(スポ1=福島・学法石川)の2名がエントリー。間瀬田は8月のU20世界選手権に出場し、世界の舞台を経験。山口も士別ハーフマラソンでは部内トップの1時間3分09を記録、5000メートルでは日本選手権に出場し、入部以来高いレベルで戦ってきた。両者とも1年生ながら実力は充分。予選会でも心強い戦力になってくれるはずだ。

間瀬田(左)、山口

 早大長距離ブロックの駅伝シーズンの幕開けとなる今大会。前回の予選会経験者が2人のみと不安要素はあるが、それをカバーするほどの若い力と大舞台での経験が早大にはある。加えて、夏合宿の集大成をまずは予選会で見せてくれるだろう。箱根での捲土重来を目指す早大。まずは予選会を突破することが至上命題だ。

(記事 湯口賢人)

エントリー

◆井川龍人(いがわ・りゅうと)

2000(平12)年9月4日生まれ。178センチ。熊本・九州学院高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル13分45秒30、1万メートル27分59秒74、ハーフマラソン1時間4分10。第98回箱根1区16位。

◆鈴木創士(すずき・そうし)

2001(平13)年3月27日生まれ。176センチ。静岡・浜松日体高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル13分54秒40、1万メートル28分26秒41、ハーフマラソン1時間4分12。第98回箱根7区区間5位。

◆安田博登(やすだ・ひろと)

2000(平12)年9月11日生まれ。170センチ。千葉・市船橋高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル14分08秒22、1万メートル29分21秒09、ハーフマラソン1時間4分36。

◆北村光(きたむら・ひかる)

2002(平14)年1月18日生まれ。168センチ。群馬・樹徳高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル13分58秒64、ハーフマラソン1時間7分52。第97回箱根6区区間8位。

◆佐藤航希(さとう・こうき)

2001(平13)年8月2日生まれ。168センチ。宮崎日大高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル13分59秒96、1万メートル29分35秒12、ハーフマラソン1時間5分42。第98回箱根9区区間14位。

◆菖蒲敦司(しょうぶ・あつし)

2001(平13)年12月16日生まれ。168センチ。山口・西京高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル13分52秒46、1万メートル28分58秒10、ハーフマラソン1時間4分47。

◆辻文哉(つじ・ふみや)

2002(平14)年1月4日生まれ。167センチ。東京・早実高出身。政治経済学部3年。自己記録:5000メートル13分49秒31、1万メートル28分54秒74、ハーフマラソン1時間4分11。

◆諸冨湧(もろとみ・わく)

2001(平13)年10月12日生まれ。167センチ。京都・洛南高出身。文学部3年。自己記録:5000メートル14分07秒20、1万メートル30分11秒48、ハーフマラソン1時間5分54。第97回箱根5区区間19位。

◆石塚陽士(いしづか・はると)

2002(平14)年4月22日生まれ。170センチ。東京・早実高出身。教育学部2年。自己記録:5000メートル13分48秒81、1万メートル28分36秒53、ハーフマラソン1時間4分55。第98回箱根4区区間6位。

◆伊藤大志(いとう・たいし)

2003(平15)年2月2日生まれ。171センチ。長野・佐久長聖高出身。スポーツ科学部2年。自己記録:5000メートル13分35秒70、1万メートル29分42秒24、第98回箱根5区区間11位。

◆伊福陽太(いふく・ようた)

2002(平14)年12月23日生まれ。172センチ。京都・洛南高出身。政治経済学部2年。自己記録:5000メートル14分34秒43、1万メートル30分15秒42、ハーフマラソン1時間5分47。

◆菅野雄太(かんの・ゆうた)

2002(平14)年5月7日生まれ。165センチ。埼玉・西武文理出身。教育学部2年。自己記録:5000メートル14分22秒15、1万メートル30分19秒19、ハーフマラソン1時間4分31。

◆間瀬田純平(ませだ・じゅんぺい)

2004(平16)年2月17日生まれ。172センチ。佐賀・鳥栖工高出身。スポーツ科学部1年。自己記録:5000メートル13分57秒41。

◆山口智規(やまぐち・とものり)

2003(平15)年4月13日生まれ。172センチ。福島・学法石川高出身。スポーツ科学部1年。自己記録:5000メートル13分35秒16、1万メートル29分35秒47、ハーフマラソン1時間3分09。