1区からの出遅れ挽回できず 往路を11位で終える/箱根往路

駅伝

 年明けの静かな街に、第98回東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の号砲が鳴り響いた。オープン参加の関東学生連合を含む全21チームが一斉に大手町を飛び出す。早大は1区と2区に当日変更で井川龍人(スポ3=熊本・九州学院)と中谷雄飛(スポ4=長野・佐久長聖)が投入され、3区太田直希(スポ4=静岡・浜松日体)までに前半区間の経験豊富な上級生をそろえた。そして終盤2区間はルーキーの石塚陽士(教1=東京・早実)と伊藤大志(スポ1=長野・佐久長聖)というフレッシュな布陣で、目標の総合優勝に向けて走り出した。しかし1区の歴史的ハイペースに対応できず16位スタートとなると、その後も巻き返せず、11位で往路を終えた。

 1区に起用されたのは前回この区間で5位と好走した井川。500メートル付近で中大の吉居大和と明大の手嶋杏丞がペースを上げ、早くも集団は縦長になった。井川は吉居の真後ろにつけて1キロを2分50秒から55秒、5キロを14分07秒という区間記録を上回るハイペースで進んでいく。6キロ過ぎには吉居が飛び出したが、2位以下はそれについていくことはせずに大集団を形成。井川はその集団の中ほどに身を潜めた。動きがあったのは16・5キロ地点。第2集団の先頭が一気にペースを上げ集団がばらけたが、井川はついていけない。そのままトップから遅れること1分43秒。16位で中谷にタスキをつなぐという苦しい出だしになった。

戸塚中継所でタスキリレーをする2区中谷(左)と3区太田

 花の2区を任されたのはエース中谷。最後の箱根路では攻めのレースをしたいと話していたが、序盤から区間二桁ペースとなり、各校のエースが名を連ねるこの区間でなかなか前との差を詰めることができない。8キロ地点の横浜をトップと1分42秒差の総合15位、15キロ過ぎの権太坂は順位を一つ上げて14位で通過したが、トップとの差は2分37秒差にまで開いていた。その後さらに順位を一つ上げ、中継所手前の上り坂では懸命な走りを見せたが、中継所にはトップと3分36秒差の13位で飛び込んだ。3区の太田は後方から来た順大には追いつかれたが、中継地点で26秒差のあった神奈川大を7・6キロの藤沢までにとらえ、区間6、7位ペースで進んでいく。前後の大学の順位変動がある中、太田は13位を維持して石塚にタスキを渡した。

山を上る5区伊藤

 4、5区は出雲全日本大学選抜駅伝と全日本大学駅伝対校選手権ともに出場したルーキー二人のリレーとなった。4区の石塚は15キロ以降に快走を見せる。15・2キロの酒匂橋通過時点では区間9位だったが、小田原中継所では区間6位に浮上。総合順位も3つ上げチームをシード圏内の10位に押し上げた。1年生ながら山上りの5区を任された伊藤は、3キロ過ぎの函嶺洞門で5区区間記録保持者の宮下隼人(東洋大)に並ばれたが、大崩れすることはなく山を上っていった。最後は10位の東海大と競り合った末に1秒先着を許し、総合11位でゴールした。

 6位までが従来の1区歴代ベスト10に入るという、超ハイペースとなった1区の出遅れから立て直せず、往路を終えた時点でトップの青学大とは7分差の厳しい展開になった早大。順位はシード圏外の11位となったが、わずか1秒前には10位のチームがいる。復路はほぼ同時にスタートするが、さらに前を追うことはできるか。前回同様復路での巻き返しで、早大の意地を見せたい。

(記事 布村果暖、写真提供 関東学連/月刊陸上競技※写真は禁転載)

結果
第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(往路成績)
区間 距離 名前 記録 区間/総合
1区 21.3キロ 井川龍人(3) 1時間02分23秒 16/16
2区 23.1キロ 中谷雄飛(4) 1時間08分45秒 14/13
3区 21.4キロ 太田直希(4) 1時間02分23秒 6/13
4区 20.9キロ 石塚陽士(1) 1時間02分20秒 6/10
5区 20.8キロ 伊藤大志(1) 1時間13分24秒 11/11
早大 往路  5時間29分15秒  第11位