第98回東京箱根間往復大学駅伝(箱根)エントリーメンバー16人を紹介する。
太田直希(スポ4=静岡・浜松日体)《4年連続》
5000メートル 13分56秒48
1万メートル 27分55秒59
ハーフマラソン 1時間03分48秒
今季は苦しい期間が続いている。昨季は1万メートルで27分台に突入していたが、トラックシーズンは不調に苦しみ、結果を残せず。出雲では3区区間4位と復調の兆しを見せたものの、全日本はケガで欠場。駅伝への出走を初めて逃した。今季は「風紀委員長」と、チームに厳しい言葉も吐いてきた太田。「チームに貢献するのが一番。その結果区間賞がついてきたら」と思いも強い。前回大会、エース区間2区で区間13位と苦戦したリベンジを果たせるか。
河合陽平(スポ4=愛知・時習館)《初選出》
5000メートル 14分17秒07
1万メートル 29分33秒10
ハーフマラソン 1時間06分05秒
「長い距離なら誰にも負けない」。3年冬に出場したびわ湖毎日マラソンは、初マラソンながら2時間16分台で走破。また4年春には関東学生対校選手権(関カレ)のハーフマラソンで初エンジをまとうなど、4年間で着実にステップアップしてきた。強みはスタミナと、ケガせず練習を積めること。「コツコツと、ケガをせずに練習を積めば、3、4年生になった時に(箱根)メンバー入りできる実力をつけられる」という姿を示したいと語る。
千明龍之佑駅伝主将(スポ4=群馬・東農大二)《4年連続》
5000メートル 13分31秒52
1万メートル 29分00秒57
ハーフマラソン 1時間03分32秒
「90点」と評するトラックシーズンは、5月に13分31秒52という部内トップの好記録をたたき出すと、関カレ5000メートル3位、日本選手権でも8位入賞を果たす活躍ぶりを見せた。しかし夏前に足を痛めてから、ケガに苦しむことに。6月の日本選手権後のアキレス腱の痛みで夏合宿には遅れて参加し、その後出雲数日前には仙骨を骨折。最後の駅伝シーズンで出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)・全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の欠場を余儀なくされ「最後だったので、去年よりもやっぱり今年にかける思いは強かった。出られないとなったときは本当につらかった」。主将として背中で引っ張り続けた一年間。チームとして、個人としての悔しさを、最後の箱根路にぶつけたい。得意の上り基調の区間でチームに貢献する。
中谷雄飛(スポ4=長野・佐久長聖)《4年連続》
5000メートル 13分39秒21
1万メートル 27分54秒06
ハーフマラソン 1時間03分31秒
学生最後のシーズンは、結果を残すこと、さらには早大記録を狙いたいと意気込んでいた。しかし関カレで足を痛めてからは、足の状態が100パーセント完治する前にレースに出ていたこともあり、途中棄権もしばしば。エースとして注目されながらもどかしさも募り「悔しさは常に抱えていた」という。今季の駅伝では4年生で唯一出雲・全日本ともに出場した中谷は6位という順位に悔しさをあらわにした。「今回(の箱根)は、中途半端な順位はいらない。守って3位とか6位で終わるぐらいなら、最初から最後まで攻めていきたい」と覚悟を決めて箱根に挑む。希望するエース区間でも「攻めのレース」を展開するか。
半澤黎斗(スポ4=福島・学法石川)《4年連続》
5000メートル 13分54秒57
1万メートル 29分04秒24
ハーフマラソン 1時間06分55秒
例年にない『副将』としてチームをまとめてきた半澤。「夏合宿の間は大げさに表現すれば半澤一人に頼っていたと言えるくらい、うまくチームをまとめてくれていた」(山口)「半澤が主導となって、こういうことを話し合おうということを決めて、それを下に落とし込んでミーティングをしたので、例年に比べると有意義なものになった」(室伏)と周囲からの信頼は絶大だ。競技面では春先から東京六大学対校や関カレにも出場したが、体調不良にも悩まされ満足いく結果は出せていない。陸上を始めたきっかけである箱根で、有終の美を飾れるか。
室伏祐吾(商4=東京・早実)《2年連続》
5000メートル 14分15秒75
1万メートル 29分04秒18
ハーフマラソン 1時間07分13秒
昨季は5度の自己ベスト更新と飛躍のシーズンとなったが、今季は3月に虫垂炎を患った影響もあり苦しいシーズンに。自己ベストの更新もかなわなかった。しかし、相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)から「チーム屈指」と評される練習量は健在で、夏合宿以降は継続して走り込みを重ねてきた。さらに、「1月2日、3日からの逆算」を重視してきた成果もあり、12月に入ってからの調子は上々。初の駅伝出走への準備を整えつつある。「早稲田で箱根を走りたい」という目標を掲げて陸上に取り組んできた10年間。支えてくれた方々への『恩返し』の走りでその思いを体現し、長きにわたる努力を結実させる。
山口賢助(文4=鹿児島・鶴丸)《3年連続》
5000メートル 14分01秒15
1万メートル 28分20秒40
ハーフマラソン 1時間04分50秒
前回の箱根から7月までは十分に練習を積むことができなかった。ようやく体のキレが出てきた9月の二次合宿からは徐々に調子を上げ、駅伝には全日本のアンカーで復帰。20年の全日本・21年の箱根・全日本でアンカーのイメージが定着しているが、守りではなく攻めの走りとなった。前回の箱根は4チームで6位争いが繰り広げられ、ゴールの直線はスパート合戦が繰り広げられたが、山口はそれを制して6位で飛びこんだ。今季も5000メートル14分03秒をマークしており、スピードにも磨きがかかっているだろう。
井川龍人(スポ3=熊本・九州学院)《3年連続》
5000メートル 13分45秒30
1万メートル 27分59秒74
ハーフマラソン 1時間04分50秒
春に中谷、太田に次ぐ3人目の1万メートル27分台ランナーに。5月の日本選手権1万メートルこそ振るわなかったが、夏合宿で充実の練習を積み、秋以降は安定して好成績を残す。主力の4年生が不在の中、出雲、全日本の2つの駅伝ではチームの中核を担い、全日本では区間2位と、今季の目標として挙げている区間賞まであと一歩と迫った。得意のラストスパートのキレが増してきた今季後半。今回の箱根こそ、ラストで勝ち切り、高校以来の駅伝区間賞を目指す。前半区間での、チームに勢いをもたらす走りに期待だ。
鈴木創士(スポ3=静岡・浜松日体)《3年連続》
5000メートル 13分54秒40
1万メートル 28分26秒41
ハーフマラソン 1時間05分07秒
9月末の早大競技会が復帰戦となった。21年3月から7月の間には、一時選手生命をおびやかされるほどのケガに悩まされ、つらい時期があったという。しかし走れるようになってからすぐにキレを取り戻すと、駅伝には全日本で復帰。区間5位でも「40点」と厳しい自己評価をしたが、箱根では持ち前の粘り強さを発揮し、自分でも納得のいく走りを見せられるか。
安田博登(スポ3=千葉・市船橋)《初選出》
5000メートル 14分08秒22
1万メートル 29分21秒09
ハーフマラソン なし
ついにメンバー入り。1、2年時の箱根は井川の付き添いを務めたが今年は違う。大学入学後の2年間は度重なるケガで練習を継続できなかったが、今季は「ケガを絶対にしない」と誓い、3年間で一番と評価されるほど順調に練習を重ねてきた。20キロ超のレースで、着実に練習を積んできた成果が表れるか。箱根は「目標というか走る場所」。希望は8区か10区で、上りは苦手ではないと語っている。
北村光(スポ2=群馬・樹徳)《2年連続》
5000メートル 13分58秒64
1万メートル 29分00秒51
ハーフマラソン 1時間07分52秒
前回の箱根は6区を58分台で走破し、大学駅伝デビューを飾った。今季はトラックシーズンでの自己ベスト更新を目標に掲げてスタートしたが、貧血の影響もあり、1種目も更新できなかった。夏合宿では昨年以上に距離を踏めたというが、その影響で貧血が再発し、出雲、全日本は不出場に終わった。しかし全日本以降は練習を継続して積めており、「1年間悔しい思いをした分、箱根では自分の役割を果たしたい」と語る。
佐藤航希(スポ2=宮崎日大)《初選出》
5000メートル 13分59秒96
1万メートル 29分42秒98
ハーフマラソン 1時間05分42秒
入学後1年間はケガで思うように練習できない日々が続いていたが、同期や先輩に刺激をもらいながら地道な練習を重ね、今季は飛躍を遂げた。競技・授業とも常に一緒だという菖蒲と同時に達成した5000m自己新を皮切りに、エンジデビューの関カレハーフマラソンでは、集団を引っ張りながら日本人3位に入賞。大学駅伝にも全日本で初めて選出された。しかし、その直前期に『体が動きすぎた』ことも原因として考えられる腹斜筋の痛みを発症し、本番で力を出し切れず、悔しさの残るレースとなった。箱根でのリベンジに向け、気持ちと体の状態は順調に仕上がった。『ロード最強』と呼ばれる男が大舞台で雄姿を見せつける。
菖蒲敦司(スポ2=山口・西京)《2年連続》
5000メートル 13分52秒46
1万メートル 28分58秒10
ハーフマラソン 1時間05分18秒
2年目に開花したマルチランナー。春のトラックシーズンから輝きを放ってきた。5000メートルで2度の自己新、3000メートル障害では関カレで優勝し、日本選手権では29年ぶりに早大記録を更新。駅伝でも好調を維持し出雲1区2位、全日本でも4区5位と役割を果たした。自身で「シーズンを通して100点以上」と高く評価する。昨年疲労骨折で出走がかなわなかった悔しさと、全日本の敗北で感じた悔しさを晴らすべく、見据えるのは優勝の2文字のみ。部内でもミーティングで発言するなど強い気持ちは周囲にも伝わる。「どうしても勝ちたい」と語る箱根で、勝利の旋律を奏でられるか。
栁本匡哉(スポ2=愛知・豊川)《初選出》
5000メートル 14分04秒01
1万メートル 29分17秒37
ハーフマラソン なし
貧血を起こし思うように走れなかった夏を乗り越え、12月に5000メートルの自己新を記録。取り組み続けてきた中距離の鍛錬に加え、ジョグの距離を伸ばした成果が実り始め、現在は今年一の好調ぶりだ。しかしこの1年間を振り返れば悔恨の念が多くこぼれ落ちる。納得のいく結果とは言えなかったU20日本選手権。メンバー入りを果たした分、走れないのがとても悔しかったと語る出雲・全日本。これらの無念は希望の初駅伝で晴らしたい。武器となるのは持ち前のスピード力で、夏時点からひそかに6区を走りたいと発言していた。「ラスト勝負なら誰よりも速い自信がある」と話す強気なスパートも発揮されるか。
石塚陽士(教1=東京・早実)《初選出》
5000メートル 13分55秒39
1万メートル なし
ハーフマラソン なし
早実高3年時には1500㍍高校歴代3位(当時)となる3分44秒62をたたき出し、日本選手権決勝も経験した期待のルーキー。教育学部では生物学を専攻する『理系』で、教職課程も履修している。授業の都合上、練習を一人でこなすこともあるが、それは単独走の強みに変わった。持ち味は距離、気象条件にかかわらず安定感のある「失敗しない走り」。トラックシーズンは不完全燃焼に終わったものの、初の大学駅伝となった出雲でいきなり区間賞を獲得すると、全日本でも37秒差を逆転しトップに立つ好走を見せた。箱根に向けては「最低でも区間3位以内。できれば区間賞も」と意気込み十分。気鋭の新人が、11年ぶり箱根路制覇を目指す名門の救世主となる。
伊藤大志(スポ1=長野・佐久長聖)《初選出》
5000メートル 13分36秒57
1万メートル 29分42秒24
ハーフマラソン なし
5000メートル高校歴代2位(当時)13分36秒57を手土産に入学した期待の新星。トラックシーズンは自己新とはならなかったが、日本選手権に出場するなど、1年生ながら大舞台の経験を積んだ。初めての大学駅伝であった出雲では苦戦したが、悔しさをバネに全日本までに課題を修正する練習をしてきた。1区を任された全日本はトップから13秒差の区間7位といい流れでつなぐ。出雲と全日本での悔しい6位という結果が伊藤の「このチームで勝ちたい」という思いに拍車をかけた。「箱根は初の経験だが、初めてをうまく利用したい」と声を弾ませる。箱根山の頂点に金字塔を打ち立てろ。