トラックシーズンでは自己ベストを1種目も更新できず、苦しかったと振り返る北村光(スポ2=群馬・樹徳)。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)ともに出走はかなわなかったが、前回好走した6区での再出走に向けてひたむきに努力を重ねている。この1年の集大成、そして1年間の悔しさをぶつける東京箱根間往復大学駅伝(箱根)を前にした今の思いとはーー
※この取材は12月12日に行われたものです。
もがき苦しんだ今シーズン
質問に答える北村
――前回の箱根が終わってからはどのような目標を立てて今シーズンをスタートしましたか
トラック種目ではやっぱり自己ベストを更新することを目標にしていました。また、来年度の箱根も同じ6区で更に記録を更新したいという目標を立てました。
―夏にもお伺いしましたが、改めてトラックシーズン全体を振り返っていかがですか
関東インカレ(関東学生対校選手権)では最低限8位入賞ができたのですが、僕自身自己ベストを1種目も更新できなかったので、良いシーズンではなかったと思います。
――今シーズンは貧血で苦しんでいた時期もあったとお聞きしました。7月末まで休んで、8月から合宿で走り込んだと思うのですが、夏以降のレースに出場されていません。夏明けの状態を振り返っていただけますか
夏合宿が明けてから、また少し貧血をぶり返したというか再発してしまって、それが結構長引いてしまいました。練習してちょっと良くなって、また悪くなってみたいな感じで。10月の半ばくらいに1回、練習を2週間くらい休んで、11月に入ってからしっかり走り始めた感じです。
――貧血で走れなかった時期に意識されていたことはありますか
食事改善、レバーであったり、牛肉、ビタミンcを多く含んだ食事を一緒に取ると吸収がいいといったことを聞いて、それを実践したことですかね。
――走れない時期はどのように過ごされていたのですか
補強がメインで、走れないからこそではないですが復帰した時に出遅れないように、最低限の体づくりはしていました。
――走れない時期に焦りなどはありましたか
やっぱり周りが駅伝に出ていて自己ベストを更新したりしていて、何をしているんだろうな、ではないですがちょっと焦りはありました。
――次に夏合宿についてお伺いします。どのようなテーマを持って臨まれましたか
走り込みがメインになるので、しっかり夏に土台を作って、秋以降にしっかり走れるようにしたなと思っていました。また体づくりの面で、ケガをしない体づくりというのを意識して合宿に臨みました。
――夏合宿を通して昨年から成長した部分はありますか
昨年以上に距離は走れたのですが、やっぱりその分ちょっと貧血がぶり返してしまったので、そこは少し反省点というか走りすぎてしまったかなと思います。
――夏合宿以降はどのような点を意識して練習してきましたか
やはり第一は貧血をぶり返さないということで、ジョグ一つとってもみんなと同じ距離をいくのではなくて、ペースを速めて短めにしたり、いろいろ相楽さんと相談しながら練習を組んできました。
――普段の練習で意識している選手はいらっしゃいますか
同級生だったら、菖蒲(敦司、スポ2=山口・西京)であったり、先輩だったら同じ群馬(出身)の千明さん(千明龍之佑駅伝主将、スポ4=群馬・東農大二)とかエースの中谷さん(中谷雄飛、スポ4=長野・佐久長聖)とかはお手本になる走りというか意識していますね。
――今、千明選手のお話が出たと思うのですが、北村選手にとって千明選手はどのような存在ですか
チームのエースとして走りでいつも引っ張ってくれるので、憧れはあるのですが、私生活ではちょっとおっとりしているというか、話しやすい先輩という感じですかね。
――いつもの2年生の雰囲気はどのような感じですか
仲が悪いわけではないのですが、あまりみんな干渉し合わないというか、結構みんな違う人と話し合っていて、何か『2年でまとまってやる』っていうのはあまりないですね。
箱根では自分の役割を果たしたい
東京六大学対校大会では3000メートル障害に出場した北村
――次に駅伝シーズンの話を伺います。出雲と全日本は出走できなかったと思うのですが、当時の北村選手ご自身の調子はどうでしたか
出雲の時はあんまり状態が良くなくて、全日本あたりからやっと練習を始めました。メンバーから外れたのはそうですけれど、やっぱりテレビとかで観ていて、ちょっと悔しいなというのはありました。
――先ほど出雲の時は貧血だったとおっしゃっていましたが、練習自体は積めていましたか
出雲の時は練習はしていなかったと思います。しっかり休んで回復させる、みたいな感じです。
――全日本の時は走り始めていたのですか
そうですね。11月から練習を再開して、全日本が11月の1週目だったので、そのあたりで回復しました。
――出雲と全日本に出場できなかったという点についてはどのように捉えていますか
去年も走れなくて少し悔しい思いもあって、「今年こそは」というのはあったのですが、自分の状態が悪くて走れませんでした。チームも6位ということで、もどかしさはありました。
――走れなかった中で、チームの結果についてはどのように考えていますか
出雲、全日本ともに惜しいというか、一つの区間でもミスはできないなというのは思いました。
――全日本を終えてからのチームの雰囲気はいかがですか
次は箱根に向けて引き締めていこうという感じですね。
――次に集中練習の話に移りたいと思います。集中練習ではどのようなことを意識して取り組んでいますか
僕が走るとしたら山下りがメインになってくると思うので、他の選手がこの練習をやっているからではなくて、下りは下りで考えています。他と完全に同じメニューというわけではないのですが、そこはやはり下りを意識した練習をやっていますね。
――最近の調子はいかがですか
そうですね。前に比べたら順調にやれているかなという感じです。
――昨年の集中練習の時と比べて消化率はいかがですか
練習メニューが去年と結構異なっているので、比較はできないのですが、そこは去年の経験も生かしつつ本番走れたら良いなと感じています。
――昨年は6区を走られましたが、今年も希望区間は6区ですか
そうですね。
――目標タイムや目標の区間順位はありますか
前回が58分55秒で(区間)8番だったので、今回は走るとしたら58分半を目標にして、区間5番以内を目指したいと思います。
――チームの中で北村選手に求められている役割については、どのように考えていますか
6区は復路のスターターということで、6区の走り、流れで復路の流れも結構変わってくると思います。総合優勝を目指しているからにはそこでしっかり仕事を果たせたらなと思います。
――箱根でのご自身の走りのアピールポイントや注目してほしいところはありますか
注目してほしいところ…(少し考えて)特にないですかね(笑)。
――試合前の勝負飯や願掛けなどはありますか
あまりそういうのは決めていないようにしています。何かこれをしないとダメというよりかは、いつも通りにという感じです。
――最後に箱根に向けての意気込みをお願いします
今年1年間悔しい思いをした分、箱根ではチームの目標に対して自分の仕事をしっかりして、目標を達成したいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 加藤志保)
◆北村光(きたむら・ひかる)
2002(平14)年1月18日生まれ。169センチ。群馬・樹徳高出身。スポーツ科学部2年。5000メートル13分58秒64。1万メートル29分00秒51。貧血で思うように走れなかった時には積極的に食事改善をするなど工夫をしていたそうです。そんな努力家の北村選手は箱根路でも好走を披露してくれることでしょう!