2日の往路を11位で終え、巻き返しを期して迎えた復路。総合3位以内を目指し、首位の創価大とは7分5秒差でスタートした。し烈なシード権争いの中、早大は各区間で着実に順位を上げていく。相楽豊駅伝監督(平15年卒=福島・安積)は「中盤から終盤で攻める指示を選手たちに出していた」とその戦略を明かしたが、その言葉の通り、早大の選手は各区間の後半で大きく前との距離を縮める走りを見せる。順位争いは最終10区までもつれこんだが、最後は山口賢助(文3=鹿児島・鶴丸)が後続を引き離し、総合6位でゴールした。
6区を走った北村光(スポ1=群馬・樹徳)は5キロ地点・芦之湯で青学大に追いつかれた。一時は順位を落とすかと思われたが、ここから粘りの快走を見せる。6.5キロ地点で青学大を引き離し、その勢いのまま10位の拓殖大をかわしてシード圏内に入った。中継所目前で猛然と追い上げてきた青学大にかわされたが、前が見える好位置でタスキをつないだ。1年生としては歴代5番目のタイムを残し、ルーキーイヤーを来年につながる好感触で締めくくった。7区はメンバー唯一の4年生・宍倉健浩(スポ4=東京・早実)。前半は独走が続いたが、18キロ手前で前を走る10位の神奈川大に追いつく。19キロ地点では一気に引き離し10位に躍り出た。さらに、9位帝京大との差を10秒まで詰めてタスキを平塚中継所に運び、区間8位で大学ラストランを終えた。4年生の力強い走りに背中を押されるようにして、8区・千明龍之佑(スポ3・群馬・東農大二)も好走を見せた。一時は後ろから追ってくる神奈川大学に追いつかれそうになる場面もあったが、後半に見事な追い上げを見せ9位に浮上。前を走る帝京大学にほぼ並ぶようにして、中継所に駆け込んだ。今季は主力でありながらケガに苦しんできたが、駅伝主将を担う来季に向けて自身の走りで弾みをつけた。
9区は小指卓也(スポ2=福島・学法石川)。持ち前のスピードを生かし、前との距離を着実に縮める安定感のある走りを披露した。9区7.8キロ地点で帝京大と共に8位国学院大に追いつくと、さらにその後東京国際大に追いついて7位集団を形成。集団を常に率いる積極的な走りを見せ、初の箱根路ながら区間4位の好成績を残した。7位で最終10区に駆け出したのは、山口賢助(文3=鹿児島・鶴丸)。序盤から帝京大、順天堂大とし烈な6位争いを繰り広げるがペースが上がらず、後ろを走っていた国学院大から迫られる展開に。順位争いは終盤までもつれ込んだが、山口は最後の直線で意地の走りを見せ、見事なラストスパートを炸裂させた。他校を振り切り6位でフィニッシュテープを切った。
『5強』の一角と目されることもあった早大だが、往路で予想外の11位に沈み、復路はシード権獲得すら危ぶまれる状況から始まった。だが、復路の選手は全員がミスなくタスキをつなぎ、見事に順位を5つ上げてみせた。1年間掲げてきた「総合3位以内」の目標は達成できなかったが、来年はメンバー10人中9人が残る。箱根路の雪辱は箱根路で果たしてくれるだろう。「優勝するためにはエースと呼ばれる選手以外にも区間賞を取れるような選手がいないといけない」と、相楽監督はレースを振り返った。さらに力をつけた『臙脂のサムライ』たちが、箱根路に戻ってくる日を楽しみに待ちたい。
(記事 鬼頭里歩)
第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(復路成績) | |||||
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区間 | 距離 | 名前 | 記録 | 区間順位 | |
6区 | 20.8キロ | 北村光 | 58分55秒 | 8位 | |
7区 | 21.3キロ | 宍倉健浩 | 1時間04分22秒 | 8位 | |
8区 | 21.4キロ | 千明龍之佑 | 1時間04分55秒 | 5位 | |
9区 | 23.1キロ | 小指卓也 | 1時間09分28秒 | 4位 | |
10区 | 23.0キロ | 山口賢助 | 1時間11分07秒 | 7位 | |
早大 往路 5時間35分12秒 第11位 総合 11時間03分59秒 第6位 |
直前インタビュー
区間エントリー発表!/第97回東京箱根間往復大学駅伝(12/29)
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