【連載】箱根事前特集『臙脂の誇りを取り戻す』第5回 菖蒲敦司

駅伝

 高校時代は総体3000メートル障害3位、全国都道府県男子対抗駅伝1区区間賞と、トラックでもロードでも実績を残してきた菖蒲敦司(スポ1=山口・西京)。早大入学後にいきなり、自主練習を余儀なくされたが、日本学生対校選手権(全カレ)1500メートル6位入賞など結果を残した。一方で、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では課題も見えた。自身初となる東京箱根間往復大学駅伝(箱根)を控えた今の胸中を伺った。

※この取材は11月28日に行われたものです。

「(チーム内で)バチバチに戦えている」

12月20日の合同取材にて

――最近の状態はいかがですか

 夏合宿が終わったあたりからずっと練習を積めてきているので、あとは試合で発揮するだけです。しかし、なかなか試合で結果を出せずに来ているので、調子自体は悪くないですけど、あとは本番でいかに発揮するかですね。

――集中練習が始まりましたが、その中で意識している点はありますか

 始まったばかりですが、約1か月続くということなので、けがせず継続すべきだと思います。けがだけには気を付けて、抜くときは抜いて、やるときはやるという感じでやっています。 

――息抜きにYouTubeを見られているということで、YouTubeで息抜きをしながら練習に取り組むということでしょうか

 そうですね、練習以外の時はあまり考えずに過ごすようにはしています。

――最近のチームの雰囲気はどうですか

 最近の記録会を見る限り、箱根優勝が狙えるようなチームになってきていると思います。上級生の方が引っ張ってくださって、練習しやすい環境ができていると思います。 

――1年生の立場から見て、上級生はどのような存在でしょうか

 練習でもそうですし、試合でも本当に結果を出さなきゃいけない試合で外さずにちゃんと結果を残しているので、目標にしやすい方々です。練習の時もついていけばいいくらいなので、やりやすいです。

――練習の際に意識する選手は上級生が多いですか

 そうですね、速い人ばかりなので、競り合うだけでも強くなれます。そういう点に関しては上級生を目標にしてやっています。

――1年生で意識する選手はいますか

 高校の時からずっとバチバチにやってきた北村(光・スポ1=群馬・樹徳)は本当に意識しますし、大学入って辻(文哉・政経1=東京・早実)や諸冨(湧・文1=京都・洛南)もかなり上がってきてはいるので、同じ学年ではありますけどバチバチに戦えていると思います。

――1年生のなかで、箱根の話をすることはありますか

 あまり集中して話をすることは特にないですね。一緒にジョグしたりすることもよくあるので、その時に調子どうと言って、箱根に向けて頑張ろうという話をたまにはします。

――どちらかというと競技ではない違うテーマでお話することが多いのですか

 陸上関係の話はたまにするくらいですね。

「試合で結果が出せるようにまだまだ努力しないといけない」

――大学入学から今までを振り返ってどのようなシーズンでしたか

 5000メートルと1万メートルで結果を残したいという思いで入学してきたのですが、今年は5000、1万共にベストを出せませんでした。取り組みが悪かったわけではないと思うのですが、目標は達成できずに終わってしまったなという感想です。このコロナ期間もあって、自分の目標を修正して、スピード強化に努めようという意識に途中から変えて、それで1500メートルで結果を残せたのはひとつ自信にはなりました。5000メートル、1万メートルで結果を残すという大学四年間での目標に向けて何もしていないわけではなく、近づけたのかなと思います。

――一方で課題や伸びしろだと感じる点はありますか

 スピードを強化できたのはよかったのですが、中間走や、長い距離に対してまだ自分自身課題があると思っています。そこを伸ばすことで目標である5000メートル、1万メートルで結果を残すことになってくるのかなと思っています。

――印象に残っている試合はありますか

 どうしてもコロナの影響で試合は少なかったのですが、やはり全日本大学駅伝対校選手権(全日本)に早稲田の代表として走らせてもらったのはとても大きな経験でした。

――全カレの際に「高校と大学の違いを肌で感じた」と言っていましたが具体的には高校と大学の違いはどのような点でしょうか

 安定感というか、どの大会においてもハイレベルで結果を出さないと大学では戦っていけないというのを感じました。個人的に波がある選手なのでそういう部分においてまだまだ通用しないと実感じました。

――以前の対談の際に「大学では自主性に任された練習が多い」と言っていたが、大学入学後に自主的に取り組んできたことはありますか

 高校だったらみんなで一緒にすべての練習をこなすけど、大学ならそれをすべて任されています。補強の時間がなかなか確保されていないので、時間があればするのと、今までやってきたことはしっかり継続してやるようにしています。

――1500メートル、3000メートルで自己ベストを更新できた要因は ありますか

 高校だったらチームで一番っていうそういう環境でやらせてもらえたので、なかなか練習で競る相手はいませんでしたが、大学に入ったら本当に強くて速い選手ばかりなので、彼らと一緒に練習できたのが一番の要因だと思っています。

――一方で5000メートルや駅伝など距離が伸びた際の課題をどのように克服しようとしていますか

 多くの選手が取り組んでいることだと思いますが、この時期にしっかり距離を踏んで、試合で結果出すためには練習で自信をつけていかなければいけないなというのを実感したので、距離を踏みつつ、ポイント練習では達成度の高い練習を求めてやっています。

――最近練習に手応えを感じることはありますか

 練習ではいい状態でできているっていうのは実感できていますが、まだ試合で結果っていうのが出せていないので、試合で結果が出せるようにまだまだ努力しないといけないという思いはありますね。

――大学4年間で5000メートル、1万メートルで結果を残したいとのことでしたが、スピードを磨いたことでつながったことはありますか

 ラスト1000メートルや、ラスト1周での切り替えが結局大事になってくると思うので、そういうときは絶対負けてはいけないという思いで走っています。練習に関してもラスト一本は絶対に負けないという思いでやっているので、それが少しではありますけど試合につながってきていると思います。

――全日本のチーム5位、5区9位という結果についてはどう感じているか

 チームの目標が3番以内、あわよくば優勝というのを掲げていて、本当に4区までいい流れで来ていました。でも僕のところで流れを止めてしまったというか、チームの目標達成に向けてマイナスになった部分だと思うので、その点に関して課題があると思いました。

――全日本の前には達成度の高い練習ができていると言っていたが、あまり思うように走れなかったと感じる要因をどう考えていますか

 自分のなかではあまり緊張せずに臨めたと思っていたのですが、大学初の駅伝というのもあって自分が感じていない部分でかなりプレッシャーも感じていて、それが消極的になってしまって、うまく走れなかったのかなと思います。

――全日本の後に変えた、あるいは変えたいと思った点はあるか

 前回の記録会(11月21日の早大競技会)でも最初突っ込むというのは言われて、実際突っ込んだレースになりました。そこで5000メートルまで行くぞって思いでやったので、全日本で出た自分の課題は少しずつ克服できているのかなと思っています。

――21日の早大競技会では29分07秒というタイムでしたが

 最低でも28分台は出さないといけないと思っていたので、それに関しては達成できませんでした。初めてああいう形で前半突っ込んで、後半粘るレースを経験させてもらったことはすごい大きなことだったなと思っています。

――28分台を出すのに、足りなかったと考えることはありますか

 根本的に走り込みが足りなかったっていうのもありますし、5000メートルまでを目標にしていた自分がいて、5000メートル以降しっかり前で勝負する気持ちがまだまだ弱かったのかなと思います。

「走ったら区間3番以上」

――箱根に向けて現在の課題は何と捉えていますか

 距離に対する不安が一番の課題だと思います。

――箱根駅伝を走ってみたいと思ったのはいつ頃ですか

 陸上を始めるってなったのが中学校3年生でした。その時に箱根を走りたいという目標を立てた気がします。

――チームの目標達成のための個人の目標は

 3番以内を掲げている以上個人としても3番以上を取らないといけないと思っているので、走ったら区間3番以上というのを目標にしています。

――区間3位以内の目標を達成するために必要なことは何と考えるか

 いろいろあるのですが、全日本で思ったことは積極的にいかないといけないということです。最近高速化がすごい進んでいて、ビビらずどんどんいくことが必要だと思うので、そういう練習が今は必要になってくるのかなと思います。

――走ってみたい区間はありますか

 強い選手がかなりいるので、狙っていきたい区間は復路になってきますかね。単独走が求められる区間で頑張っていきたいと思います。

――具体的にこの区間というようなこだわりはないということですか

 そうですね、あまりないです。

――最後に箱根への意気込みをお願いします

 箱根に向けて、1年生だからこそできる役割もあると思うので、練習でも油断を見せないというか、いつでも下から上がってくるぞという雰囲気を作っていきたいと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高橋優輔)

◆菖蒲敦司(しょうぶ・あつし)

2001(平13)年12月16日生まれ。168センチ。山口・西京出身。スポーツ科学部1年。自己記録:5000メートル14分03秒15、1万メートル28分58秒10。自粛期間中にはYouTubeを見ることにハマったという菖蒲選手。好きなYouTuberはあめんぼぷらすだそうです。YouTubeで息抜きをして、心身ともに万全な状態で初めての箱根に挑みます!