【連載】箱根事前特集『燕脂の挑戦』第3回 平子凜太郎マネジャー×武士文哉副務

駅伝

 タイム計測、給水、大会での付き添いなど、あらゆる面で日々チームのサポートに従事しているマネジャーの方たち。そんなマネジャーの目には『箱根総合3位以内』を目指すチームがどのように映っているのか。今回は平子凜太郎マネジャー(創理4=福島・磐城)と武士文哉副務(文3=群馬・高崎)に、シード落ちに終わった前回の箱根から歩んできたチームの1年間を振り返っていただいた。

※この取材は12月14日に行われたものです。

「武士はアツい」「平子さんはみんなの癒し」

――マネジャーの1日の仕事内容を教えていただけますか

平子 これと決まっているわけではなくて、与えられている仕事をマネジャーのみんなで何とかやり繰りしようという感じなんですよね。

武士 目に見えるところで言うと、朝練習と本練習の2回の練習でタイムを取ったり、知野トレなどのトレーニングの時は先導して声かけをしたり、メニューを言ったりしています。あとは僕たちだったら会計ですね。お金の管理には365日追われています。合宿費もそうですし、大会に行けばお金がかかりますし、領収書の管理などもですね。最近だと、取材の対応は長距離マネジャーならではの仕事です。

――お互いの他己紹介をしていただけますか

平子 やっぱり武士はアツいですよね。本人もパッションを売りにしているんですけど、本当にアツいなと。練習でも情熱を感じます。あとは言いにくいことなども部の為に言ってくれるなという印象です。だらけている部分を指摘してくれるので、ただアツいだけではなくて本当にチームに対して愛があるマネジャーだと思います。

武士 こんなこと言われたことないです(笑)。

平子 同じ部屋なのでこの後帰りたくないです(笑)。これは恥ずかしいですね。

武士 平子さんは一言で言うとみんなの癒しのような感じかなと思っています。寮では平子さんの部屋に本当に沢山の同期が行っているんですよね。そういう面を見ていると、コミュニケーションを取るのがうまいなと感じます。みんなの少し溜まった愚痴などを聞いてあげていたり、そういうところがうまいなと。僕の場合はさっき平子さんからあったように、少し尖っているところがあるのですが、平子さんは柔和というか優しくあたたかい雰囲気があると思います。

――理想のマネジャー像などはありますか

平子 僕はマネジャーの一番の仕事は『選手が力を発揮できる環境づくり』だと思ってこの一年間やってきたので、当日いかに選手が力を出せるかを考えてそれを実行できるようなマネジャーでいたいと思っています。ただ、その思いを持ってこの一年やってきたつもりではありますがが、できたかなと振り返ると微妙かなと。

武士 僕はマネジャーになる時に、相楽さん(豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)に「日本一のチームには日本一のマネジャーがいる」と言われたことがすごく心に響いていて、自分のモチベーションになっているところがあります。なので繰り返すのが恥ずかしいのですが、それが僕がマネジャーの活動をしていく中で、自分の信念として思っている部分です。あと機械的なマネジャーには、あまりなりたくないと思っています。ただ与えられた仕事だけをやったり、タイムをロボットのように読んだりだとか、そういうのは嫌だなと思っていて、選手に思いが伝わるような、選手を支えるというよりは自分も選手と同じような気持ちで一緒に頑張りたいという思いはあります。

――理想としているマネジャーの先輩はいますか

武士 一人に絞るのは難しいのですが、本当に先輩方一人一人に色があったと思います。いろんな人のいろんな面を見てきたので、それぞれのいいところをたくさん取り入れたいなと。中山さん(智裕氏、平30スポ卒)だったら面倒見が良くて、僕が選手だった時は下の方にいたのですが、そういう選手にも声をかけてくれて、いろんなアドバイスをくれたりしました。井上さん(翔太氏、平31スポ卒)も同じで、人柄も良くて分け隔てなく接するという感じでしたよね。すごく仕事ができるマネジャーもいるし、部員とのコミュニケーションがうまいマネジャーもいるし、そういうそれぞれの先輩方のいいところを吸収していきたいと思っています。

平子 ほぼ一緒ですね。歴代の先輩方は本当にいい方ばかりだったので、そういった人たちのいいところを取り入れて少しでもいいマネジャーになりたいと思っています。

「山場の全日本予選会を突破してくれてよかった」(平子)

理工学部ながらマネジャー業も果たしてきた平子マネ

――前回の箱根が終わってから、お二人はどのようなお気持ちでこの一年をスタートさせたのでしょうか

平子 どちらも(全日本大学駅伝対校選手権、全日本と箱根)シード落ちしたので、例年と流れが変わってくるというところで臨機応変に対応できるマネジャーになりたいと思いました。

武士 大会の率直な感想から言うと、「こんなはずじゃない」というもどかしい気持ちが選手と同様にありましたね。出し切れなかったというか、「これが早稲田の力じゃないよな」と思った部分があって、そこに対してマネジャーである自分が何ができるのかなというのは考えていました。あとは今平子さんからもあったように、例年と流れが違う部分に対して、動きでもそうですし、気持ちの部分でもいつもと同じではいけないなということを考えていたと思います。

――夏までのトラックシーズンについて、マネジャーから見てどう感じましたか

平子 やはりトラックシーズンの中の大きな山場として全日本予選会があったので、そこをまずチームとして突破してくれたことが良かったかなと思っています。あとは何人か自己ベストを出したりもしていたので、全体的に復活の兆しとしてはあったのかなと思います。

武士 成績的な面から言うと平子さんとほぼ一緒で、太田さん(智樹駅伝主将、スポ4=静岡・浜松日体)がずっとけがしていた中でやっと出た復帰戦で13分台の自己ベストを出したりだとか、新入生の井川(龍人、スポ1=熊本・九州学院)がいきなり13分54秒で走ったりだとか、全日本予選会で無事通れたことに加えて、そういった良いニュースがあったなと。でもその反面、予選会に回ったチームだったのにこんな雰囲気でいいのかなと感じた時期はありました。全日本予選会の前、太田さんが教育実習で2週間くらい部を離れていて主将がいなかった時に、チームがバラバラになりかけていて、このままじゃまずいなと感じたことがあったんです。そこで新迫さん(志希、スポ4=広島・世羅)がミーティングを開いた時、自分に何ができるかなと考えましたね。

――平子さんはそのミーティングにいらっしゃったのでしょうか

平子 僕はいなかったんです。4年生がチームの中心にならなくてはいけないのですが、その時期はチームを離れている選手が結構多くて。新迫などにチームを助けてもらったなと感じています。

――関東学生対校選手権(関カレ)では複数人の入賞などありましたが、どのようにご覧になっていましたか

平子 ひいき目に見てしまう部分があるのですが、ハーフマラソンの3人(三上多聞、商4=東京・早実、伊澤優人、社4=千葉・東海大浦安、真柄光佑、スポ4=埼玉・西武学園文理)には本当に頑張ってほしいなと思っていました。特に多聞と伊澤に関しては初エンジだったので、もうちょっと頑張ってほしかったなという気持ちはありましたね。

武士 マネジャーという立場なので言いづらい部分もあるのですが、やはりずっと憧れていた早稲田大学にいざ入ってということを考えたときに、もう少し上で戦ってほしいなという気持ちがありました。上位入賞というのはなかったですし、僕が1年生の時はハーフマラソンで安井さん(雄一、平30スポ卒=現トヨタ自動車)と康幸さん(石田氏、平30商卒)がダブル入賞をしていて、ああいう輝かしい早稲田というのをいろんな面で見られたらいいなと思っていました。なので先ほどトラックシーズンについての質問がありましたが、正直に言うと関カレがあまり印象にないんですよね。関カレの時はもちろん関カレに向けてアツくやっていましたが、終わったらすぐに全日本予選会があったので、そっちに気持ちがいってしまったかなという感じでした。

「良い雰囲気で夏合宿ができた」(平子)

――夏合宿での練習の消化具合や雰囲気などはお二人から見ていかがでしたか

武士 例年以上に距離も踏めていましたし、良かったと思っています。(月間走行距離の)1000キロ超えはたくさんいましたよね。

平子 4人くらい出ましたね。月間走行距離が1000キロを超えるというのはなかなか大変なのですが、今年は4〜5人出ていて、距離に関しては本当にみんな頑張っていたなという印象です。その中でポイント練習など、きつい部分も結構あったと思うのですが、Aチームを中心にいい雰囲気でやっていたと思います。

――特に頑張っていた選手はいらっしゃいますか

平子 今年の夏合宿に関しては尼子(風斗、スポ4=神奈川・鎌倉学園)ですね。

武士 確かに、そうですね。

平子 みんな足に負担がかかる中で、練習を飛ばしたりもしていたのですが、尼子だけはほとんどの練習を消化していて、「今年くるな」と思いました。

武士 夏前の記録会などではそのような兆しは見られなかったのですが、夏合宿に入ってからは全部のポイント練習を消化していました。岩手での3次合宿の10マイルでも上位でゴールしていて、「これは往路に行くんじゃないか」と冗談なしで思うほど、チームの中で存在感がありました。

――尼子選手はタフな選手なのでしょうか

平子 いや、タフではないです(笑)。これまではけが続きで、今年やっと練習積めたかなというところですね。でもやはりポテンシャルがあったみたいで、ちゃんと練習を積んだら強いんだなと思いました。

「箱根予選会の9位で意識が変わりつつある」(武士)

チームへの熱い思いを語った武士副務

――箱根予選会の結果はどのように受け止めましたか

平子 先ほど武士が「こんなはずじゃなかった」と言っていましたが、それこそ僕も予選会で「こんなはずじゃないのにな」と思ってしまった部分が大きかったです。そこまでの練習もいい感じに積めていたのですが、当日いざ走ってみたら9番ということで、「どうしてだろうな」という感情が先に来てしまいました。距離を踏めていての9位だったので、この先全日本とすぐに続いていく中で大丈夫かなと不安になった部分はありましたね。

武士 ほぼ同じですが、「またか」という感じでした。「こんなはずじゃない」という気持ちになるのは昨年度の学生三大駅伝からずっとそうで、「何でこんなに強い選手が集まっているのに本番になったら力が出せないんだろうな」という思いが1年を通してありました。「勝ち癖がないのかな」、「そういう経験がないのかな」と思っていて、それがやっと今年の全日本予選会の時には多少かたちになったのかなと思ったら、また箱根予選会はそういう結果に終わってしまって。これは僕の感じたことなのですが、チームの雰囲気としても思っていたより落ち込んでいなかった気がしたんですよね。サポートに回った選手たちが陣地に戻ってきたときに「本当にヤバい」という感じはあまり受けなくて。でも走った選手たちに対して、その後のミーティングでは「あまり落ち込みすぎてもしょうがないから次に向けて切り替えて」というのが相楽さんとか駒野さん(亮太長距離コーチ、平20教卒=東京・早実)たちの主な意見で、確かにそういう見方も大事かなとは思いました。今振り返って思うことなのですが、箱根予選会で9番だったのも、単に力がなかったということではなくて、予選会慣れしている大学が強かったなという感想が正直あります。チームとしての経験がそこに対してありませんでしたし、自分たちはあまりきちんと作戦を立てていたわけではなかったので、そういう面でも甘さがあったのかなと。他の大学は集団走など、緻密に走り方を決めていたと思うのですが、うちはあまり作戦を立てていませんでした。そういったところでチーム全体の意識として、他の学校には負けていたのかなと。それが9番という結果につながっていたのかなと思います。

――箱根予選会後にミーティングをしたとうかがったのですが、お二人はどのように関わったのでしょうか

平子 本当に一部員としての参加です。みんなでどうやったらチームを立て直せるかという話をして、個人が思ったことを話したという感じです。

――ミーティングの後はどのような変化がありましたか

武士 一部の部員は「ミーティングがあってチームの意識が変わって全日本の結果につながった」と言っていて、たしかに多少変わったかなとは思うのですが、たった一つのミーティングでチームの雰囲気が急に変わってその結果成績がジャンプアップするということはないと思っています。全日本の結果が良くなったのは単純にそれぞれの選手が自分の力を出せたというのと、ピーキングの問題や経験、そういったところかなと思っているので、正直あまりそこと直結して考えてはいないです。ただ、意識は変わりつつあると思います。あのミーティングがなかったら、チームはそのままだらだらといっていたかなと思います。

平子 僕もあのタイミングでミーティングがなかったら悪い結果を引きずって、そのまま全日本、箱根と駄目になっていったのではないかなと思います。あのタイミングでできて、チームは前向きになれたのではないかなと思っています。

武士 一気にパッと変わるのは無理な話ですが、それを受けていい意味でだんだんお互いに指摘のし合いなどが始まったのかなと思います。

――その後の1万メートル記録挑戦会の結果に関してはいかがでしょうか。28分台ランナーが3人出るのはここ最近ではあまりなかったと思いますが

武士 これは率直にすごくうれしかったです。予想以上でしたよね。ここ数年、早稲田から1万メートル28分台と5000メートル13分台ランナーというのは3人くらいしか出ていないんですよ。なので、あれだけバババっと28分台ランナーが生まれたことはうれしかったです。

平子 僕は現地に行けなかったのですが、驚いたのが先でしたね。本当に予想以上の結果だったのでうれしかったです。

――特に新迫選手(志希、スポ4=広島・世羅)の自己ベストは大きかったのではないでしょうか

平子 前の記録は高2とかのものだったと思うので、本当に良かったなと。大1の時に(5000メートル)13分47秒くらいで走っていて力があるなと思って見ていたのですが、ここ2、3年は苦しんでいたので、やっと4年目で力が結果につながってきていて、本当に同期としてうれしいなと思います。

武士 僕の個人的な話になってしまうのですが、大学に入ってから、強い新迫さんというのをあまり見ていなかったんですよね。関カレや駅伝で走っているのは見ましたが、正直あまり力通りの結果を出せていないというのがあって。高校時代は広島の世羅高校で活躍していましたが、僕とは全然違う場所でやっていて、映像としては見ていましたが強さを生では感じたことがありませんでした。それをやっと見ることができたので、やっぱり新迫さんは強いなという気持ちがその瞬間はありましたね。

――特に平子さんは新迫選手と仲が良いようですが

平子 仲良くしてもらっていますね。良いように使われている部分もあると思うのですが(笑)。それでも来てくれるのはありがたいです。

「集中練習ではみんなが声を掛け合っています」(武士)

――現在の集中練習の消化具合などは見ていていかがですか

平子 いい感じだと思いますね。2年前が結構できていたなという印象なのですが、それと同等くらいの感じで消化できいると思います。選手はだいぶ仕上がってきているのではないかなと思います。

武士 実際にタイムなどを比較して見たわけではないのですが、感覚としてはできすぎているかなと。逆に不安というか、当日大丈夫かなという気持ちがあるくらいです(笑)。あと、去年との一番の違いは主力がしっかりここで練習踏めているというところですね。去年は二大エースだった永山さん(博基、平31スポ卒=現住友電工)、太田さんは練習に参加できていなかったので、そういった部分でしっかり今だと太田さん、中谷(雄飛、スポ2=長野・佐久長聖)、千明(龍之佑、スポ2=群馬・東農大二)などを中心として井川、創士(鈴木、スポ1=静岡・浜松日体)、直希(太田、スポ2=静岡・浜松日体)など、次に続くような選手が欠けることなく練習ができているのが大きいと思います。

――練習中のチームの雰囲気はいかがですか

平子 きょうとかも、離れそうな選手がいるとゲキが飛んだりだとか、みんな気合を入れて練習に取り組んでいると思います。

――去年はそのような雰囲気はなかったのでしょうか

武士 ないことはないのですが、そのような雰囲気が当たり前にはなっていなかったかもしれません。今年の全日本予選会の練習くらいから今の感じになりましたかね。千明とかは上級生にも臆することなく厳しい声をかけたりするのですが、そういうのが今はチームに浸透していて、みんなが声を掛け合って、多少自分がきつくてもみんなでやり切ろうとする姿は見られるようになったと思います。

――10日にエントリーメンバーが発表されました。率直な感想はいかがでしたか

武士 ほぼほぼ予想通りでした。住吉(宙樹、政経3=東京・早大学院)がちょっと意外だったなというくらいですね。

平子 僕は予想通りでしたね。それでもやはり4年生はみんなメンバー入りできるポテンシャルはあると思っていたので、もうちょっと入ってほしかったなという思いはありました。けがなどでなかなか厳しいところもあったのですが、大木(皓太、スポ4=千葉・成田)も真柄(光佑、スポ4=埼玉・西武学園文理)も伊澤もメンバーに入っておかしくなかったですし、去年はこの3人とも入っているので、本音を言うと全員入ってほしかったなという気持ちはありましたね。

――相楽監督が今年は良くも悪くも4年生の年だとおっしゃっていました

平子 駅伝主将の太田は本当にこの1年よくやってきてくれたなと思っています。主要大会でも外さないですし、練習でも常に引っ張ってくれているので、本当に太田を中心に頑張っていると思います。

武士 僕は、4年生は一般組が強いという印象で、それが特徴だなと思っています。一般組の活躍というのは、谷口さん(耕一郎氏、平30スポ卒)が記憶に新しいですが、それくらいで、あまりなかったような気がします。僕らの学年でようやく住吉がメンバーに入れたのですが、うちの学年はスポーツ推薦と一般組の差が大きいんですよね。そういう部分でどちらもお互いの刺激になっているというか、スポーツ推薦組にとっても一般組にとっても刺激し合えて高めていけているのが今の4年生だと思います。あとはやはり後輩にそういう姿を見せているというのが、学年としての強みですよね。地道に距離を積めば一般組でもエンジを着られるんだというのを示してもらったことは下に伝わっていると思っていて、下の学年でも走り込もうと頑張っている選手がいるのは4年生の一般組が頑張っていたおかげだと思います。

――エントリーから外れてしまった選手は今チーム内でどのようなはたらきをしていますか

平子 まだ一緒に練習をしています。外れた選手は入った選手に負けたくないと思っていると思いますし、逆にメンバーに入った選手は外れた選手に負けられないと思っていると思うので、練習を続けてくれていることで相乗効果というか、競いながら練習をするための役割を果たしてくれていると思います。

武士 やはり外れたメンバーに入ったメンバーは負けるわけにはいかないので、外れたメンバーがそういったハードルを上げることによって練習の中の競争が激しくなっていると思います。その延長線上が他大学との力の勝負になってくると思うので、言ってしまえば外れたメンバーが、選ばれたメンバーの力を伸ばしていると言っても過言ではないかなと思います。

箱根が楽しみ

――あと2週間ほどで箱根がやってきます。お二人の心境はいかがですか

平子 僕は楽しみだなと思っています。ここまで練習も積めてきていますし、大きなけがもなくみんな頑張っていて、うまくいけば目標である3位以内も見えてくるので、楽しみです。

武士 僕も楽しみな気持ちが強くて、箱根予選会が9位で全日本が6位だったので、次は3位なんじゃないかなと(笑)。やはり世間的には「早稲田は箱根予選会9番か」と思われていると思うのですが、本当に今の練習の仕上がりを見ていたら3番以内、5強を3つ倒すこともできるんじゃないかなと僕は思っています。あとは少し寂しい気持ちがありますね。4年生はもういなくなっちゃうのかと。いろいろよくしてもらってきたので、このチームで戦えるのもあと少しかと思うと結構寂しいです。

――重なってしまうのですが、改めて3位以内という目標に対してはいかがでしょう

平子 厳しいものだとは思うのですが、このままの調子でいってくれれば本当に狙えると思っています。本番失敗しないことと、全員が走ることができればいけるのではないかなと思っています。

武士 簡単なことではないと思いますし、他大学が今どういう状況かというのもわかりづらくなっているので何とも言えませんが、これだけは変わらないというのは、このチームには各学年にその世代のトップの選手がいることです。そういった選手がチームを引っ張ってくれているのが早稲田の特徴かなと思っているので、各々の選手がしっかり力を発揮してくれれば3位以内も十分狙えると思っています。

――平子マネジャーにとっては最後の箱根になります

平子 正直まだ最後だという実感はあまりないですね。でも、最後くらいというのは変ですが、選手に負担がかからないような環境づくりができたらなと思っています。

――特に注目している選手はいらっしゃいますか

武士 一番頑張ってほしいと思っているのは吉田(匠、スポ3=京都・洛南)です。同期だということもありますし、去年走れなかったということがあるので。今回だけの話ではなく、来年度も山の有力候補になってくると思うので、今年の箱根でどれくらい走れるのかというのは本人にとっても重要なことだと思います。これまで吉田の登場を温存してきて、そこに対してチーム的にどれくらい走れるのかという期待があると思うので頑張ってほしいなと。あとは創士ですね。1年生で、箱根予選会でハーフを走った後、1週間で全日本もそれなりに走っていて、すごくタフだなと思っています。調子も良くて、それこそ1万メートル記録挑戦会でも28分台を出して、今1万メートルの記録はチーム内トップになっています。すごく勢いがあると思うので、箱根でも活躍してくれるのではないかなと思っています。

平子 僕は三上ですね。4年目でやっとエントリーに入ったので、走ってもらいたいなと思っています。タフでこの一年誰に何と言われようと距離を踏んでいた選手で、そういう取り組みが復路の長い距離で、1人で走る時に絶対生きてくると思うので、頑張ってほしいですね。

――箱根に向けて選手へのメッセージがあればお願いします

平子 僕は絶対にできると思っているので、あと残り2週間信じて頑張ってくださいということですね。

武士 選手が3位以内を目指している以上は、サポート組もそれに見合うようなサポートをしていくべきだと思っています。なのでそこに対して全力でやっていきたいと思っていますし、僕としては冒頭でも言いましたが、選手と一緒に戦っているつもりで箱根に挑みたいと思っています。情熱を力に変えて、20キロというのは孤独な戦いになるかもしれませんが、つらくなったらチームのことを考えて頑張ってほしいと思います。

――最後にマネジャーとして箱根を迎えるにあたって意気込みをお願いします

武士 先ほども言いましたが、このチームがあともう少しで終わってしまうのがすごく寂しくて、最後このチームでのいい終わり方にこだわりたいですし、4年生を笑顔で送り出したいという気持ちがあります。そこに対して直接貢献することはかなわないのですが、いつも通りのことだけではなくて、よく考えてみればこういったことが箱根の結果につながるなとか、チームのモチベーションを高められるなというような今までやってこなかった取り組みとかもあると思うので、そういったところに神経を使って少しでもチームがいい状態で箱根を迎えられるように、マネジャーだからこそできることをやっていきたいです。

平子 選手が100パーセントの力を発揮できるような環境づくりを残り2週間、死ぬ気で頑張ります。

――ありがとうございました!

『パッション』でチームを鼓舞し、『大手町で笑いたい』。最後まで選手たちを支えます!

(取材・編集 岡部稜、宅森咲子)

◆平子凜太郎(ひらこ・りんたろう)

1997(平9)年4月13日生まれ。福島・磐城高出身。創造理工学部4年。

◆武士文哉(たけし・ふみや)

1998(平10)年5月16日生まれ。群馬・高崎高出身。文学部3年。