今シーズン、ロードに対して明らかな適性を示してきたのが真柄光佑(スポ3=埼玉・西武学園文理)だ。5月の関東学生対校選手権(関カレ)ではハーフマラソンで5位に入賞すると、11月の上尾シティマラソンでもチーム内2位と結果を残した。夏にケガした影響で出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)や全日本大学駅伝対校選手権(全日本)は回避したが、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)で学生三大駅伝デビューとなった。レースから約2週間たった今、レースの内容や今後について伺った。
※この取材は1月16日に行われたものです。
「直前の練習がうまくいかなくて」
質問に答える真柄。
――箱根を走り終えてからどのように過ごされましたか
普通に友達と遊んだり家族と過ごしたりしていました。
――学生三大駅伝は初出場でしたがどうでしたか
注目度が普段の関カレや対校戦に比べて大きくて、そこに驚きました。
――7区を走る事が決定したのはいつ頃ですか
区間エントリーの時に7区を走ると言われたのですが、直前の練習が上手くいかなくて、少しふりだしに戻った部分はありました。
――7区を走ると決定した際に相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)からはどのような事を伝えられましたか
今までの練習に自信を持って頑張るようにと伝えられました。
――希望区間は何区でしたか
希望区間は7区で、希望通りの区間でした。
――レース前に尼子風斗選手(スポ3=神奈川・鎌倉学園)や黒田賢選手(スポ2=東京・早実)と話をされていましたがどのようなことを話されていましたか
意外となんでもない話で、リラックスすることを心がけてと声をかけられました。普段から仲が良いので、そういう面では助かりました。
――6区の渕田拓臣選手(スポ2=京都・桂)とのタスキ渡しの際に言葉をかわされましたか
お互いに余裕があったわけではないので、特に言葉は交わしていないです。
――7区はご自身にとってどのような区間でしたか
下り基調で下りでリズムをつかみやすいというのもあり、自分に向いているコースだと思っていたのですが、コンディションが良くなかったので、コースが自分に合っていると思う反面、それを活かすことの出来なかった悔しさがあります。
――ご自身の得意なコースとはどのようなコースですか
細かいアップダウンがあるようなコースの方が自分は得意です。7区には自信を持っていました。
――タスキをもらった当初のレースプランはどのようなものでしたか
とりあえず前半5キロくらいまでは前の選手を使いながらリズムを作って、10キロを過ぎたあたりから集団の先頭へ出る予定だったのですが、10キロのあたりで先頭に出る余裕が無かったので、プラン通りには全然走れなかったです。
――3キロあたりで集団に飲み込まれましたが、ご自身にとってはいかがでしたか
その状況は良くないと思って、集団にいても前との差は詰まりづらいと思っていました。その反面身体はなかなか動かず、集団に付いていくことがやっとでした。
――集団の中でけん制はありましたか
自分で3回くらい前に出ようとしたのですが、どれも前に出た時に思うような動きができていなかったので、集団に付いていくしかないという思いでした。
――集団走の際にシード権との差が広まっているという情報は入っていましたか
はい。ボードを出してくれたりしたので、そこで分かっていました。
――「後半ビルドアップしていくぞ」という監督からの指示は、走っている際にどのように捉えていましたか
途中まではビルドアップしていることをイメージしながら走れたのですが、自分が本当にビルドアップしないといけない地点では余裕が無くて、ビルドアップすることが出来なかったと思います。
――タスキ渡し直前に真柄選手がスパートをかけたようにみえたのですが、いかがでしたか
ラストは余裕が無くても、ある程度スパートをかけられるので、使える力を使い切ろうという気持ちでした。
――自身の記録や区間順位はいかがでしたか
自分の力と走りを出せなかったのと、正直に悔しかったので、来シーズンは悔しさをはらしたいです。
――箱根前に実施したアンケートで、「復路で区間賞を取ってチームに勢いを与えたい」という仰っていましたが、レース後半に前との差を詰められることができた部分での充実度は
自分が詰めたというよりは前が失速して、結果的に差が詰まっただけだと思います。自分がもっと良い走りが出来ていたら前に追い付くこともできたと思うので、本当に悔しいです。
――今回の自身の走りを受けて、自分が見直していこうと感じた部分は具体的にどこですか
まず、レースの入りから攻めていく走りが箱根だけでなく1年間を通して出来なかったので、今年は一つ一つのレースで攻めていく走りを意識して走っていければと思います。
――今シーズン、「関カレで入賞してから自信を持って練習できるようになった」とアンケートで書かれましたが、今振り返ってみると関カレの結果はどのようなものでしたか
関カレは自信を持つきっかけになったのと、エンジを着て走る喜びを知ることのできた貴重な経験だったと思います。
――ご自身にとってのエンジとはどのようなものですか
責任、誇り、自分だけで無くてチームのために走る、そして伝統。これらなどの色々なものを背負って走ることだと思います。
――8月中旬にケガをされていますが、どの程度のケガでしたか
膝だけで3ヶ所くらいケガをして長引いてしまって、疲労骨折も起こしているので程度的には重いです。色々原因があったと思います。
――ケガした後に控えるレースに向けてのモチベーションの部分での変化は
ケガで一ヶ月くらい気持ちが切れてしまったのですが、色々な先輩やOBの人と話をして、モチベーションを取り戻しました。そこからは出雲は諦めて、上尾ハーフに向けてモチベーションを上げていきました。
――全日本は出られるコンディションではなかったのですか
全日本に合わせようと思ったのですが、思ったようにそれに見合うだけの練習が積めなかったので、途中で全日本を諦めて、全日本に向けて取り組んでいた練習を上尾ハーフへとつなげました。
――上尾ハーフで好成績を残したことで、箱根に向けて感情面での変化はありましたか
8月のケガで、関カレで走れた自信を一回失ったのですが、上尾ハーフである程度の走りができたので、もう一回自信を取り戻すことが出来ました。
往路を走れるくらいの選手にはなりたい
初出場の箱根では集団の中でレースを進めた
――新チームで主将を務める太田智樹選手(スポ3=静岡・浜松日体)はどのような選手ですか
多くは語らないですが、自分の走りでチームを引っ張っていける選手であると思います。
――これからはご自身も最上級生となりますが、どのようなチームにしていきたいですか
全員が同じところを向いて、団結して一つの目標に向かっていけるチームにしていきたいです。
――現在の早大は若いチームと呼ばれていますが、その部分で下級生に期待をしている部分はありますか
それこそ自分もですが、攻めの走りやもう少し粘ることができていたらシードとの差も詰めれたので、そこでの走り。
――来年の個人の走りとしての目標は
関カレで昨年の5位を超える走りをするのと、予選会でしっかりとチームに貢献をして、全日本や箱根では区間賞を取れる走りをしたいです。
――最後に来年の駅伝に向けての目標は
チームとしての目標はまだ定めていないのですが、個人的にはチームが3位以内と区間賞を目標にしたいと思います。あとは、箱根で往路を走れるくらいの選手にはなりたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 大島悠希)
◆真柄光佑(まがら・こうすけ)
1997(平9)年5月11日生まれ。176センチ、56キロ。埼玉・西武学園文理高出身。スポーツ科学部3年。自己記録:5000メートル14分19秒29、1万メートル29分54秒25、ハーフマラソン1時間3分39秒。2019年箱根駅伝7区1時間4分56秒(区間13位)。