『学生三大駅伝3位以内』。そう目標を掲げて臨んだ秋シーズンは、近年で最も苦戦を強いられた厳しいシーズンだった。不調にあえぐチームを率いるのは清水歓太駅伝主将(スポ4=群馬・中央中教校)。名誉挽回の最後のチャンスとなった東京箱根間往復大学駅伝(箱根)に向けて、主将の覚悟を伺った。
※この取材は12月5日に行われたものです。
「1年生が今年のチームでは強い」
笑顔で話す清水
――今どんな練習をされていますか
今は集中練習で長い距離を踏む練習が結構多いです。
――最近のご自身の調子はいかがですか
今は少し集中練習の前半の疲労が来ていて、動き自体はあまりよくないんですけど、集中練習はすごくいい状態で入れていたので、疲労がある中でもその動きや調子が良かった時の感覚を大事にしています。
――ここから競技の話に入らせていただきます。まず春から振り返っていただいて、いつも春は不調に苦しむことの多い時期だと思いますが、3月の日本学生ハーフマラソン選手権(立川ハーフ)は昨年とほぼ同じタイム・順位でした。調子はあまりよくなかったのですか
箱根が終わった後も1月、2月に関しては僕の中で結構調子がよくて。走る感覚がいい感覚で走れていて、2月の唐津10マイル(唐津10マイルロードレース)に出た時もそこまで練習はしていなかったんですが自分の想定内もしくはそれ以上の走りができて、いいかたちで春を迎えられるかなと思ったんですけど、2月の後半から良かった感覚が薄れてきて、立川ハーフの時にはあまり余裕をもってレースを進められなくて。調子的には悪くはなかったんですけど結果的に1、2月のいい感覚を3月まで伸ばせなかったという感じでした。
――その後の5月の関東学生対校選手権(関カレ)はハーフマラソンに出場されましたが、納得いかない結果だという趣旨の話でした。春を総括するとどんなシーズンでしたか
この4年間で春シーズンは自分の思うようにいったという年が正直なくて、4年目に関してもそれは例外ではなかったと思います。僕の中では立川ハーフと関カレのハーフの二つに重きを置いていて、その二つでしっかり結果を出して秋につなげたいと思っていたので、その二つ両方とも失敗してしまって。全体的に見るとかなり課題が残ったシーズンになってしまったかなと思います。
――課題というと具体的には
やっぱり二つは自分の中でも周りから見ても大事な大会だと思うんですけど、その決められた大会でしっかりと準備して結果を出せなかったというのは原因があると思っていて。記録会も何個か出ていてその結果も決してよくはなかったんですけど、そこがよくないというよりも大事な大会で結果が出せなかったことに関して僕は上手くいかなかったという思いが強かったです。駅伝もそうですけど、大事なところで外さない安定感というものが足りなかったかなと思います。
――夏合宿の際には「菅平があまり自分に合わない」といった話もありましたが、夏の調子はいかがでしたか
毎年春もあまり調子が良くない中で夏から秋に向けて調子を上げていくというスタイルで、今年も同じで菅平から妙高にかけて二次合宿までは思うような走りができなくて。それは例年同じなので、今年は割り切っていました。今までは練習100パーセントこなしてどんどん練習で引っ張っていかなくてはという気持ちはあったんですけど、そういう気持ちもありつつも僕の中では100パーセントこなそうとは思わずに最低限の効果が得られればいいかなと。その代わり他のジョグとか補強とか、自分でもできるところで補っていこうかなという考えでした。良く言えば2年3年での経験を生かして、練習を離れて落ち込んでしまったりせずに他で補おうという考えになれたので、結果的に見れば夏調子が良かったとはあまり言えないですけど、長期的に見れば自分の中でいい練習ができたかなと思います。できないなりに考えられたのでよかったかなと思います。
――得られたものはありますか
合宿で毎年走るベースが距離でも時間でもぐっと上がるので、今年も同じで、普段よりも長く距離を踏むという意識を続けてこられたので、日ごろのジョグの概念を覆すというかレベルアップできたかなと思います。あとはさっき話したように心の面で、ポイントで一喜一憂していた部分があったんですけど、あまり100パーセント求めすぎず、自分のできなかったところをどう補うかと気持ちを転換させることができたので、そこは結構大きかったと思います。
――合宿でのチームの雰囲気は
やっぱり1年生が今年のチームでは強くて、練習でも私生活でも盛り上げてくれたので、雰囲気自体はすごくいい状態で臨めたかなと思います。
「単純な力不足」
出雲、全日本とアンカーを任された(写真は全日本)
――出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)直前の世田谷競技会では5000メートルの大学ベストでした。調子は上向きでしたか
三次合宿の後半は実戦練習みたいな感じで時間も距離も駅伝を見据えてやっていたんですが、その練習はしっかりこなせていたので調子自体は上向いていたかなと思います。
――その後の出雲は10位という結果でしたが、今振り返ってどう受け止めていますか
出雲に関しては準備不足だったかなと今思います。チームとして三大駅伝の開幕戦に心の準備も体の準備も100パーセントできていなかったのではないかなと振り返って思います。
――初出場でご自身は区間6位でした。納得はあまりされていない様子でしたが
正直体も100パーセント仕上がっているという状態ではなかったので、それでもその中でもう少しできたかなと期待していたので。直後も悔しかったですけどそれは今も変わらないです。チームとして苦しかったので、最後見える位置ではもらっていたので僕が3、40秒速ければかなり変わってきたので、そこはものすごく悔しいです。
――出雲の後、部内の雰囲気はどうでしたか
出雲終わった後は世田谷でいい結果がたくさん出ていて浮かれていた雰囲気があったとみんなで反省して、全員で切り替えていこうという雰囲気はあったのでそんなに悪かったとは思わないです。僕としても出雲でかなりチームとしての準備不足を感じたので、チームとして戦うという意識の部分を大事にしようと僕からも危機感持っていこうという話はしました。そこまで雰囲気が悪かったという感覚はなかったです。逆に言うと全日本大学駅伝対校選手権(全日本)を振り返った時に変われたかというとか変われていなかったのではないかなという反省点はあります。
――早大記録会では16人が自己ベストを更新し調子は上向きに見受けられました。出雲からどういった点を中心に修正していったのですか
特に変えたことはなくて、出雲から全日本も例年通り同じポイント練習であったり同じスケジュールで、少し微調整して臨むという感じでした。その中で出た記録会で自己ベストが結構出ていたので、チームの中では上を向けていい流れで来ていたと思うんですけど。そこで世田谷(から出雲にかけて)で失敗していたから、同じミスはしないようにしようとは声をかけていたんですけど…ちょっと合わなかったですね。
――全日本では史上最低の15位でした。出雲同様直前のレースからいい流れをつなげられなかったという結果になりましたが、改めて今敗因をどう分析していますか
全日本終わった直後のインタビューでも言ったんですけど、やっぱり上級生の力のなさというのが出ていて、結果的に上級生の力がないことで1年生を前半に並べなくてはいけなかったというのが原因かなと。1年生がダメだったというわけではなくて、駅伝経験も少ない1年生に対して負担をかけすぎてしまったというか、1年生を多く出すにしても間に上級生を挟んだりして負担を軽減できればもう少し違った戦い方ができたのかなと思います。その経験不足とか色々な要因がありますけど、僕個人としては3、4年生の存在感が結果を見ても早稲田大学のチーム全体として見ても、ちょっと力を出し切れていない要因になっているのかなと思います。
――ご自身は初出走で区間10位でした、ご自身の調子はいかがでしたか
調子も悪くはなかったんですが、出雲よりも気負っていて、ちょっと緊張していて。体はすごく整っていて、出雲よりも仕上がっている感覚はあったんですけど、精神的にちょっとあがっていて、そこの調整はもっとできたかなと思います。あと結果として区間10番でもっと上を見たかったですけど、僕が今出せる力の6~8割は出してのあの結果だと思うので、もらった位置とか色々ありますけど、単純な力不足というのをチームとしても感じましたし、僕自身も感じた駅伝でした。
――状況的には走りづらかったですか
まあでも単独走になることはわかっていたし、15番でもらっても3番でもらっても前をただ追うという気持ちは変わらないので、そこで15番だから気持ちが乗らないとかは全くなかったです。周りの人とかは「あの位置でもらったらしょうがないよね」とか言ってくださるんですけど、僕の中では全然そんなことはなくて、単純に1人で19キロの長さを押していく力がなかったのだと思います。区間賞を獲った選手と1分30秒くらい差があって、単純に力不足を感じました。
――全日本の際のインタビューで中谷雄飛選手(スポ1=長野・佐久長聖)が「高校時代と比べるとチームの勝負に対する貪欲さが少ない」といった厳しいことをインタビューで語っていました、どう思いますか
その通りだと思います。やっぱり中谷は駅伝の優勝を経験しているチームから来ていると、やっぱり練習に対して少し緊張感が足りないところは感じているというか、まあ僕はそのチームにいたわけではないのでわからないですけど、緊張感をもって練習できたかと言われるとそこは足りない部分があるので、1年生ですけど本当にその通りだなと単純に僕らは真摯(しんし)に受け止めなくてはいけないなと思います。やっぱり中谷からそういう指摘があったことを、今やっている集中練習で生かせればいいかなと思います。
――全日本の後、部内の雰囲気もかなり厳しいものになったのではないかと思います。どう切り替えていきましたか
僕ら4年生でなるべく早くミーティングをして、現状を振り返って、これから頑張っていこうというかやれることは限られてはいるけれど下を向かずにやっていこうと話したんですけど、やっぱり走った選手は走った選手でちょっと悔しさというか暗い雰囲気があって、走っていない選手は走っていない選手で「俺が走っていればもっとできたのではないか」とか、色んな感情が混じっていていい雰囲気ではなかったです。
――そこからどう切り替えていこうとしましたか
2週間経ったら上尾(上尾シティマラソン)があって、上尾がない人も記録会があって、そういった試合という節目の中で手ごたえをつかめた選手もいたりとか、調子が悪い選手には個別に声をかけたりして、雰囲気的に下を向いている選手が多かったので、そういう節目で自然と箱根に向けて雰囲気はだんだん上がってきてはいたので。特に言うことはなく、さっきも意識の話がありましたがそういった部分を4年生からやっていこうという形で、僕らの姿勢から切り替えるという感じですね。
――個人としては目標であった三大駅伝全てに出るといったところをいまのところクリアしています。秋シーズンのご自身の走りをどう評価されますか
レベルの低い話ではありますけど、正直大学生で三大駅伝全てに出るというのが僕の目標であったので、チーム状況がどうであれ一応出雲、全日本と出られたことは僕にとっては大きなことで、出た経験というのは僕の中でものすごく力になっていると思います。ただ結果として区間6番や10番ということで、箱根は2年走っていますけど、どちらも復路で勝負が決まるような区間ではなくて自分との戦いである部分が多い区間だったんですが、出雲は距離が短い中で周りと競う部分があって、全日本に関しても箱根では往路を走るような強いランナーが出た中で戦ったのが初めてで、その中でかなり差を感じたので最低限で言えば僕の一つの目標を達成することはできたんですけど、満足はしていないです。でももう4年なので、二つ終わってしまってそれをどう補うかと言ったら箱根しかないので。あんまり言いたくはないんですけど終わり良ければすべて良しみたいな感じで最後しっかり終わらせたいなとは思っています。
――先日の上尾ハーフではチーム内トップで、自己ベストに迫るセカンドベストのタイムでした。調子はよかったのですか
調子がよくて、チームの状況的にも、自分は距離が長くなっていく方が得意なので自分がチームの主力としてやっていかなければいけないという中でも上尾は一つ大事な予行練習だと思っていて。大学生ではないですけど、設楽さん(設楽悠太、Honda)とか神野さん(大地、セルロース)とかが出ていて速いレースになるというのは予想できたので、そこにどれだけ食らいつけるか勝負してみようと思って挑戦して、結果的に他大の強い選手には置いて行かれてしまったんですけど、集中練習の前の課題を見つけることができた大会になったので僕のやりたいことを挑戦できたということが収穫でした。それを今練習で潰しているという感じですかね。
――全日本のインタビューで「ひとつ結果を残したい」とおっしゃっていました。自己ベストを更新した選手も多くいましたが、どう捉えていますか
3分台で走った選手も結構多く見られたので、チームとしてはかなり思った以上にいい結果だったなという印象が個人的にはあって。全日本で暗い雰囲気だった人が結構自己ベスト出していたので、真柄(光佑、スポ3=埼玉・西武文理)とか吉田(匠、スポ2=京都・洛南)とか伊澤(優人、社3=千葉・東海大浦安)とか。そういうニュースがチームとしても勢いを与えてくれたので、その点に関してはすごくよかったとは思います。でもその反面で一歩引いてみると他大もエースではない選手が3分台で走っていたりとか、東洋大とか青学大の主力が出ていなかったりとか、コンディションもかなりよかったことなども含めて考えると、やっぱり一概には喜んではいられないなと思います。もちろんチームとしてプラスであることは間違いないんですけど、そうやって2回失敗しているので、一喜一憂だけはしないでと釘はさしておきました。
「負担のある区間を走りたい」
上尾ではチームで1番良い成績だった
――主将に就任されてから長く経ちました、この1年間どんなことを意識してきましたか
僕のぶらさない軸というのは決めていて、それはこの早稲田大学というのは自由度が高いので、そこは強みだと思っていて。練習とかでも自分のやりたい練習、やりたいことをできる環境を整えてあげたいと思っていて、自主性を伸ばしてあげることでチームを強くするというのが僕の目指すチーム像だったので、声掛けとかは基本的なことだけでした。あとは自分が強くなるために競技をやってほしいと思っているので、そういう形で1年間やってきました。でも駅伝二つ失敗して、そのやり方が正しかったか正しくなかったかというと今のところはよくない方向に向いているので、少しその自主性を尊重しすぎて言うべきことに目をつぶっていた部分もあったので、そういったところは今は言うようにはしています。
――特に秋は厳しい結果に苦しんだのではないかと思いますが、『三大駅伝3位以内』という目標に向けてどう切り替えて前向きにやっていこうとしましたか
前向きなことは言っていないですね。あまり危機感を持っていない人の方が多くて、どちらかというと。なので結構そっちを出雲も全日本も終わった後言った印象はあります。「結果ダメだったけど箱根は練習していけばいけるよ」とか「頑張ろう」みたいなことは言っていないです。「このままじゃダメだったよね、自分たちの生活とか競技とかもっと見直さなきゃいけないところはあるよね」ということを問いただすじゃないですけど、そういうことをしていますかね今は。
――相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)が「夏以降は厳しいことも言うようになってきた」と話されていました。具体的にはどんなことを言ったのですか
思ったことは言うようにしてきて。例えば練習とかも自由度を持たせることが僕の考えではあるんですけど、やっぱりやってほしい練習とか目に余る部分とかは言うようにしたりとか、選手たちも自由度と楽をはき違えていることが見られたときは強く言って。チームで決めたことをやらなかったりする選手がいたら、「なんでやらないのか」と。僕はちゃんとした理由があれば全然いいと思うんですけど、それがなければ言ったりはしたので、そういうところですかね。
――ご自身ではチームメイトからどんな主将だと思われていると感じていますか
主将感はないかなと思います(笑)。別にいいんですけど、僕は(笑)。僕が本当はばーんって立って引っ張れればいいんですけどそういうあれでもないので、みんなに助けてもらいながらやっていくスタイルが自分には合っているので。たぶんみんなもそう思っていると思うので。その点に関してはまあ「支えなきゃ」という方がいいような気がしています(笑)。
――主将として苦しかった場面はありますか
やっぱり二つの駅伝の後ですかね。何が苦しいというか、申し訳ないというか。合宿とか駅伝の前とか支援していただいているのを見ているので、ダメだった時にその姿が頭に浮かんできて、すごく申し訳なかったです。もっと言えばOBとか、強いワセダをつくってきてくださった先輩方の顔が浮かんできて、自分でそれに泥を塗ってしまったような気持ちがして責任を感じたので、悲しかったです。後は後輩に対して申し訳なさを感じていて。1年生は強くてこれからどんどん早稲田大学は強くなっていくと思うんですけど、そういうチームの中で15番とかの経験はしてほしくなかったというか。下の経験はいらないじゃないですか。仮に全部3番だったら、それが1年生の早稲田大学のベースになるじゃないですか。最初の駅伝が10番と15番だとそれがベースになってしまったので、そこは申し訳ないなという気持ちがあって。色んなことを考えてきつかったです。
――井上翔太マネージャー(スポ4=愛知・千種)が先日のインタビューで、清水選手が苦しんでいる姿を見てきたと話されていたのですが、共有されたりはしてきましたか
そうですね。井上は立場が違ってマネージャーなので、選手に言えないことも言えるので、井上とは結構色々話したりしていたので彼にはそう映ったのかもしれないですね。そんなに深くは考えていなくて(笑)。でも井上とはよく話をしています。
――上級生の不調が目立った年でした。今清水選手から見て同学年や3年生はいかがですか
全体的に見たら今までよりはいいと思うんですけど、本当にまちまちで。いい選手もいれば最近から下がってきてしまった選手もいて。全体的に見るといい感じはしますけど、もっと引っ張ってほしい選手とかもいるので。
――特に長い間チームの主力を担ってきた同期の永山博基選手(スポ4=鹿児島実)については
練習は結構できてきていて、彼自身も自分の体質はわかっていて慎重に慎重に練習は積んできていて。少なくともここ1カ月半は練習を積めているので、徐々には戻ってきてはいます。調子もいいようなので、箱根には間に合ってくれるのではないかなと思います。
――一緒に走りたいという思いはありますか
それはもちろんありますね。僕も個人的に一緒に走りたいですし、チームとしても走ってくれないと困るので。走ってほしいですね。
――逆に1年生は元気のある様子でした。ルーキーについてはどう見ていますか
駅伝に関して言うと中谷がすごく結果を出していて、それ以外には負担の大きい区間を任せすぎたかなと思うことがあったので、練習で元気な姿を魅せてくれるんですけど、箱根駅伝に関しては上級生の強みが本当に必要だと思うので、できれば1年生には負担の少ない区間を走ってほしいなという思いはあります。練習とかでは1番元気なので心配はしていないです。それをしっかり結果に出してくれれば、という感じですね。
――駅伝の前に声をかけたりはされましたか
出雲の時は走る選手全員に声かけましたね、力になったかはわからないですけど。僕も去年箱根で安井さん(雄一、平30スポ卒=現トヨタ自動車)からLINEもらって力になったので。ちょっとらしくないんですけど、やろうかなと思ってやってみました。
――箱根に向けて上級生の復活がキーになってくると思いますが、なにか上級生に向けて話したりはされましたか
上級生というか僕らの代ではちょっと僕以外4年生苦しくて、足が痛かったり腰が痛かったりという人がいて、でもできることはあると思うので。練習で引っ張ること以外にも声かけたりとか私生活で指摘したりはできると思うので、できないことを無理にやる必要はないから、できることをしっかり詰めていこうとという話はしました。
――今年のチームの強みは
去年よりも駒はいると思っていて。全員が区間2桁には入らない、もっと言えば上位に入れるポテンシャルは持っていると思うので、穴がないというチームではあるかと思います。去年は復路7番で復路区間2桁が3人だったんですけど、今年は全員1桁で行けるくらいの厚みはあると思います。
――2年時は10区、前回は9区でした。今年の区間の希望はありますか
僕個人としては、今まではずっと復路で安定した走りで行きたいと思っていたんですけど、チームの状況的にも自分の立場的にも往路で勝負したいという気持ちがだんだん強くなってきていて。まあ区間はどこでもいいんですけど、負担のある区間を走りたいですね、できれば。
――負担というのは
流れが決まってしまうような区間。大事な区間です。本当は走りたくないですけど、そこで僕が計算できる走りができたらチームとして他の人を温存できると思うので、チームとしても、個人で目立つためにもそういうところを走りたいですね。去年は結構自信がなかったのでそういう気持ちになれなかったんですけど、全日本終わってからは意識変えなきゃだめだなと思って、そういう気持ちで練習はしているので、準備はしっかりしていくつもりなので。
――駅伝における今年のご自身の役割は何だと考えていますか
全日本も出雲もアンカーだったので、それまでの区間の選手が僕がアンカーで安心できるような選手でいたいと思っていたので、役割としては信頼できる、何とかしてくれるだろうと思ってもらえるような。そういう時に、「後半にいるから自分はちょっと攻めても大丈夫だ」とか「あの人が何とかしてくれるだろう」と思ってもらえるような存在になりたいと思っているので。信頼してもらえるような選手になる、そんな役割ですかね。
――今の自分の走りの強みはどこですか
やっぱり粘り強さというところだと思います。キレとかスピードとかよりは、粘り強い感じです。ガッツとか、そんな感じかなと思います。
――箱根でのチームとして、個人としての目標をそれぞれ教えてください
チームとしては三大駅伝3番以内という目標を掲げているので、そこは絶対達成したい目標です。個人としては重要な区間でいい走りがしたいです。チームに勢いがつくような走りをしたいと思っています。
――最後に改めて箱根への意気込みをお願いします
ここまで多くの方々に迷惑をかけたりとか、心配をさせてしまったと思うんですけど、箱根に関してはマイナスな気持ちを全部相殺してプラスにできるように。他の人は今年はシード危ないんじゃないかとか思っていると思うんですけど、そう思ってもらってよくて。本番でドカンと覆したいというか、そういう気持ちでいます。みんなで笑って終わりたいと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 石塚ひなの)
最後は全力で駆け抜けます!
◆清水歓太(しみず・かんた)
1996(平8)年5月3日生まれ。168センチ。53キロ。群馬・中央中教校出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル14分08秒97。1万メートル29分24秒33。ハーフマラソン1時間3分08秒。厳しい練習の中での息抜きは、食事だという清水選手。同期の永山選手からは意外に大食いだという話もありました。しっかり栄養をつけて、万全の状態で最後の箱根に臨んでほしいですね!