早大競走部合宿所の寮監は小島久雄氏と妻の美恵子氏のお二人だ。部員とともに競走部に住み込み、 寮の管理と食事の管理をしている。生活から競技を支えるお二人から見た競走部について伺った。
※この取材は10月14日に行われたものです。
「若い子たちが頑張っていて、そのお手伝いができれば」
寮の前で写真撮影をさせていただきました!
――寮監ということで、こちらの寮に住まわれているんでしょうか
久雄氏 ここに住んでいます。管理人室があるのでそこで住んでいます。平日は大体いますね。
――寮監になったのはいつごろでしょうか
久雄氏 今年で5年目になります。
――どういった経緯だったんでしょうか
久雄氏 前の寮監さんと知り合いで、そういった話をいただきました。
――その話をされたときはどういった気持ちでしたか
久雄氏 正直、あまりやる気はありませんでした。自分でお店を経営していましたので、その時にお店の移転を考えていて。そのタイミングが重なったといいますか。それならば一度、体験してみようと体験をさせていただきました。そこでこの仕事もありかなと考えるようになりました。
美恵子氏 60人という人数の寮飯ができるのか、というのが不安だったので、体験させていただきました。
久雄氏 1日でしたがこれもありなのかなと思いました。
――どういったことからありだと感じましたか
久雄氏 学生が一生懸命やっていたからです。若い子たちが頑張っていて、そのお手伝いができればと思いました。
――それまでは競走部の活動は知っていましたか
久雄氏 まったく知らないです。正直、駅伝を見たことがないくらいでした(笑)
美恵子氏 もちろん、見たことはありましたが、たまに見るといいますか。一部、見たくらいでした。
――最初に仕事を始めるうえで、気を付けたことはありましたか
久雄氏 やはり食事です。食事がメインになるので。妻が栄養士の資格を持っています。
――選手と話しなどはされますか
久雄氏 もちろんみんなとミーティングをします。生活していくうえで、毎日見てますので、この子はどういう子かということはよくわかります。今の雰囲気はこうだ、とかこういうところを直した方がいいとか、そういったことは話します。特に寮長や幹部と話します。アドバイスをしますが、実際にするのは本人たちなので。ここは学生寮なので、なんのためにいるのかといった話を良くしています。
――生活の指導などもされるんですね
久雄氏 練習もそうですが、その一歩先を行くには生活の意識も大切だと思っています。挨拶をとっても毎日することが大事だと思います。
――試合前で変えていることはありますか
久雄氏 特に食事面であります。消化のいいものにしたり、脂質は控えたりといったことをしています。
――寮監の立ち位置はどのように思っていますか
久雄氏 当たり前のことを言えればと思っています。もちろん競技面では監督やコーチがいらっしゃるわけですが、自分たちは競技ではなく、当たり前のことを言ってあげたいと思っています。社会に出て困らないようにと思っています。日々の生活が競技につながると思いますので。
――父、母のような存在ですね
久雄氏 年齢で言えばそうですね(笑)
4時起きの生活
――寮飯の話に入ります。寮飯はそもそも、いつ出されるんでしょうか
久雄氏 朝と夜になります。
――献立はどなたが考えていらっしゃいますか
久雄氏 自分と妻で考えています。基本的にはバランスを考えてやってほしいと言われているので。試合が近いとかで変えています。試合がないときは楽しみという部分もあるので、そこも含めて考えています。
――特に学生から反響のあるメニューはありますか
久雄氏 カレーやウナギ、あとは肉系ですね。
――ウナギもあるんですね
久雄氏 ウナギも出ます。高いのでやりくりが大変ですね(笑)
美恵子氏 なるべく、バラエティーに富んでいて、家庭料理に近いものを考えています。飽きの来ないものをとは思っています。
――学生の皆さんにアンケートを取らせていただいて、その中にはやはり寮飯で管理されていることがいいと答えっている方が多い印象でした
美恵子氏 ありがたいことです。気持ちが伝わればとは思っていますが。中々、男の子なので分からないんですよね(笑)。
――献立を作るうえで監督などから話はされましたか
久雄氏 バランスを良くしてください、と言われますね。あとは自分たちでシーズンで変えたりですね。
――寮飯を作るうえで、苦労したことはありますか
久雄氏 量が多いことです。
美恵子氏 毎日が苦労です。
――6時30分から食事の時間だと聞きましたが、何時から作られているんですか
久雄氏 5時くらいからですね。
――起きるのは、では
久雄氏 4時くらいになりますね。遅くとも5時からは作らないと難しいので。 /p>
――学生並みの朝の早さですね
美恵子氏 私たちの方が早いくらいですね(笑)。当番の子たちと同じくらいでしょうか。
――逆にこの仕事で良かった点はありますか
久雄氏 みんなが活躍してくれることが一番ですね。
美恵子氏 最終的にはそこにもっていければいいな、と思っています。
――寮というのはどのような存在だと捉えていますか
久雄氏 私生活から、少しでも自分を高めることによって、競技にも反映していくだろうし、今後の彼らにとっても社会に出て影響はあると思います。学生の世界なのであの子らがメインでなければいけないです。ただ、言わなければいけないことは言ってあげないといけない。それは自分がどうとらえるかは彼らの自由だと思います。なんのためにここがあるのかということを考えてほしいといいます。
――4年生はそろそろ、退寮となりますが
久雄氏 そうですね。11月の全日本と箱根と短いですし、1月になれば退寮となります。さみしさ半分、次のステージへのお祝いの気持ちとあります。
――最後になりますが、箱根へのエールをお願いします
久雄氏 ケガに気を付けてほしいです。ケガで出場できない、ということをたくさん見ているので、合わせられなかったとか体調不良とか。タイミングに合わせられるかなので、それだけは祈っています。もちろん、自分たちも気を付けていこうと思います。
美恵子氏 ベストの状態で走ることが一番です。
――ありがとうございました!
(取材・編集 平松史帆)