【連載】駅伝強豪校主将特集『俺たちのキャプテンシー』第2回 東海大・荒井七海主将

駅伝

 先日行われた出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)は最終区まで激しい先頭争いを繰り広げた東海大。關颯人ら強力なルーキーたちを擁し、飛躍的に実力を伸ばしている今季だが、その裏でチームを支えてきたのが荒井七海主将である。自身は夏合宿でのケガの影響から苦しいシーズンとなっているが、チームのことを第一に考えるその視線は常に仲間たちに向けられていた――。最後となる駅伝シーズンを主将としてどう臨んでいくのか。お話を伺った。

※この取材は10月6日に行われたものです。

今季東海大の主将を務める荒井七海主将。チームへの思いを語ってくれた

「(全カレ時)あいつらのためにも何とかして走って結果を出して、チームに活気を与えたいと思った」

――まずきょうの練習内容から伺いたいと思うのですが、どのような練習をなされましたか

 東海大ではきのうがポイント練習だったので、きょうは休養日で各自での練習となっています。

――出雲前(※取材時は10月6日)ということですが、各エントリー選手は現在調整メニューをやられているのでしょうか

 きのうで一通りの大きなポイント練習が終わったので、ここから調整していくかたちになります。

――現在ご自身の調子はいかがでしょうか

 夏合宿中の8月中旬ごろから故障して左足のすねを疲労骨折してしまって、その満身創痍(そうい)な状態で全カレ(日本学生対校選手権)に出場し、ケガを悪化させてしまいました。そこからチームの練習からは離れて自分自身の練習をずっとやっていたのですが、最近になってようやくジョグができるようになりました。もうすぐチームにも合流できそうです。

――そのような状態での練習において、何か意識していることはありますか

 課題であったフォームの修正というのを第一に考えました。僕自身スピードが持ち味であったので、よりスピードが出るようなフォームにするために、基礎的な補強であったりウェイトトレーニングであったりを練習の中心に取り入れました。

――続いて今シーズンの振り返りをしていただきます。まず関東学生対校選手権(関カレ)について、昨年日本選手権の1500メートルで優勝されたこともあり注目度も高まっていたと思います。レースを振り返っていただいていかがですか

 昨年の日本選手権は、僕から言わせていただくとたまたま優勝してしまったという感覚がずっと自分の中でありました。周りから関カレではある種プレッシャーを感じるのではないかということを言われていたのですが、僕自身そこまでに調子が上がっていたとは思っていなくて、その中で調子を上げきれずにレースを迎えてしまったかなという印象を持っています。ただその時その時で調子の良し悪しというのがあり、その中では自分なりに全力を出し切れての結果だったので、悔しい思いはあったのですが後悔はありません。

――関カレはチームとしてもトラック6位ということで、結果を出せなかった選手も多かったと思います。主将としてそれに関してはどう思われましたか

 どこの大学さんも上下関係がなくて非常に雰囲気の良いチームだと思うのですが、本学もそのような仲の良いチームです。ただうちのチームの毎年の課題や修正しなければいけない点として、チームとして戦っていかなければいけないというときに少しまとまりに欠けるといいますか、仲良しクラブのような雰囲気を出してしまうときがあります。関カレは個人種目ではあるのですが、『対校』という名前が付いている以上チームとして戦っていかなくてはいけないレースであります。僕自身そこに向けてチーム全体で士気を高められなかったことが大きな反省点だと感じています。

――その結果を受けて、関カレの後にご自身で変えていったことはありますか

 本当はあってはならないことなのですが、僕自身が自分のことしか考えることができていなかったのかなと思ったので、なるべくチームの方に目を向けようとしました。そうした時にそこまで自分がチームを見られていなかった分、チームとしてまだまだ不十分な部分というのをいろいろと見つけました。まずそのようなところ指摘し、少しずつマイナスな部分をなくしていこうと思って、時には厳しいことを言ったりもしました。

――厳しいことを言ったとのことですが、それについて具体的なエピソードはありますか

 5月の関カレが終わってからの6月のことなのですが、4年生が半分以上教育実習に行ってチームを留守にしており、その中で少し雰囲気が緩んでしまいました。具体的に言いますと寝坊する学生が結構多くて、そういう学生に対して少し厳しく言いました。

――続いては夏合宿についてお伺いしたのですが、夏合宿での個人としての収穫はどのようなものがありましたか

 例年夏合宿ではあまり良い感触を得られたなということがありません。ことしも先ほど言ったように8月中旬ぐらいから故障してしまって、後半は練習をするというよりはどちらかというとチームのサポートをするほうがメインになっていました。ただそれまでの段階で言えば非常に積極的に走れていたかなと感じます。上級生なので引っ張らなければならないという気持ちがあり、何よりそうやって引っ張っていくことによって臆することなくきつい練習にも取り組め、非常に前向きに生活できていたなと思うので、そこは今までとは違う点かなと感じます。

――サポートするという観点からみて、チーム全体として夏合宿の雰囲気は

 夏合宿に入る前に僕自身がチームに投げかけたこととして、周りの選手や他人に対して気遣いができる集団になろうというのがあり、そこを僕自身も意識しました。練習自体はみんなしっかりやってくれているので特に言うことはありません。ただ先ほども言ったように仲良しクラブのようなところがあって、具体的に言うと普段の私生活の中ではお互い干渉し合うのですが、競技の話になるとあまり干渉しなかったりします。例えば隣で走っている選手がきつくて離れそうになったときに何も声掛けをしないとか…。僕自身それは入学した時から感じていて、何で陸上競技をしに来たのに陸上競技に対してドライなんだろうなとずっと思っていたので、そこは変えたいと思っていました。周りの選手、隣にいる選手がいるから自分が頑張れているんだという意識というのを持たせるために、なるべく僕だけが声掛けするのではなくて、選手間でも声掛けや競技に対する話をしてもらいました。合宿となると寮生活よりも一緒にいる機会が増えるので、そういった中でお互いの考えを話しあってもらうことを心がけた結果、4次まである合宿を重ねるごとにチームにまとまりが出てきたなと感じました。

――荒井選手から見て、夏合宿で特に伸びた選手は誰でしょうか

 結構いるのですが…(笑)。具体的に下のグループから這い上がってきた選手を言いますと3年生の島田良吾です。彼は入学したときは14分57秒が5000メートルのベストで、1、2年は比較的苦しんでいたかなというイメージがありました。しかし3年になって急成長し、夏前に5000メートル14分19秒まで伸ばして、それと同時に長い距離にもしっかり適応し、練習もほぼパーフェクトにこなしていたという印象があります。また3年前の箱根(東京箱根間往復大学駅伝)で6区を走った福村(拳太)は、故障して1年半ぐらいまったく走っていなかったのですが、そこからよく戻ってきてくれたなと感じます。その他にも1年生はもともと能力のある選手が多いので、關(颯人)や鬼塚(翔太)、羽生(拓矢)、館澤(亨次)あたりは非常に能力通り良い練習をしています。

――夏合宿から長距離ブロック全体のブログを始められていましたが、ブログ創設の経緯はありますか

 ブログは4年生だけでやりました。4年生は最終学年なのでチームをまとめなければいけない立場ではあるのですが、どうしても自分も箱根を走りたいとか駅伝を走りたいとか自己中心的になりがちなところもあります。そういったことを解消するために始めました。ブログの内容はチームの現状報告で、ブログを書くためにはチームを見ないといけないので、そのきっかけづくりにもなると思いました。また東海大のことを応援してくれている人たちもいるので、そういった人たちに対しても定期的に情報発信するというのは良いことなのではないかと思いました。ブログ開設は僕と同学年の林(竜之介)が提案してくれて、それを僕たち4年生の中で落とし込んだかたちです。

――その効果は今の4年生に出てきているのでしょうか

 今回の合宿期間は僕が何かをしたというよりは僕が助けてもらったという感じで、非常に4年生の存在が大きかったなと思っています。合宿は基本的に2、3カ所に分かれていて、僕が全部の合宿地に行けたら良いのですが、体は一つしかないので…(笑)。そんな状況で他の合宿地に行っている4年生が一緒に雰囲気を良くしてくれたり盛り上げてくれたりして、練習においても積極的に引っ張ってくれました。僕もケガをしていて走りで引っ張れるような状況ではなかったので、その点では本当に助かっていて、非常に感謝しています。

――続いて全カレについてお伺いします。個人では足に不安のある状態での出場となりましたが、そのときの心境などはいかがだったでしょうか

 エントリーの時点でもう足の痛みがあって、それがちょうど8月の中旬ぐらいだったのですが、その時点でエントリーするかどうかというのを自分自身で決めて良いと監督から言っていただきました。ただ身勝手な考えであるかもしれませんが、どうしても出たいという思いもありましたし、長距離ブロックが主眼としている試合に主将が出ないというのは少し寂しいかなという思いもありました。自分のことだけ考えてみれば、足が痛いので試合に出ませんと言うことはできますし、普通に考えれば足が痛いのに試合に出るというのはナンセンスなことだと思うので、出場しないと思います。ただ僕が走ることで何かしらチームにプラスになることがあるのではないかと思うと、あいつらのためにも何とかして走って結果を出して、チームに活気を与えたいなと思うようになりました。自分のためだったらやめていたのに、あいつらのためだったら頑張れる、不思議とパワーが出るというのをその時に感じました。結果的に予選で落ちてしまったのですが、それを見て何かを感じてくれた学生もいました。ケガして自分自身はダメになってしまったのですが、そういったことを感じてくれる学生がいたことはすごくうれしかったです。

――今おっしゃっていた通り、全カレ時の東海大は3000メートル障害で2、3、4位を占めるなどの活躍がありました

 夏合宿で順調に練習できていた選手が多かったということと、比較的距離を踏む練習が多い中でトラックでもスピードを生かしきれたことに関しては、シーズン前半に5000メートルを主にスピード強化を図った成果も少しはあったのかなと感じます。

――全カレが終わって1カ月後の世田谷陸上競技会では、13分台のパーソナルベストを出した選手が多くいらっしゃいました。それに関して、主将としてどう感じられましたか

 世田谷で13分台を出した3年生の國行(麗生)は、夏合宿ではほとんど故障していてまだ復帰して40日ほどしか経っていなかった選手です。彼は故障していたので選抜の合宿には行っておらず、育成の合宿に行っていました。そういったところから這い上がってきた選手が学生ランナーの1つの目標であるような13分台というタイムを叩き出すことによって、非常に上位の選手たちも刺激を受けたと思います。またしっかりと自己ベストを出した上位の選手や、不調だったのにタイムを出した選手もいたので、良い循環ができているなということを感じられました。

――ご自身に関しては、まだケガから完全には復活できていない状況だと思います。そのような状態で、気分転換として何かしていることはありますか

 気分転換…というと少し違うかもしれませんが、記録会などに応援に行くことですかね。寮にいても悶々とするだけなので、そういうところに行ってしっかりと応援しています。偶然なのかもしれませんがみんながタイムを出してくれるので、それですっきりすると言いますかうれしい気持ちになって、また早く故障を治して頑張ろうと思えます。普段ずっと大学にいるので、日体大(日本体育大学長距離記録会)や世田谷に行くことがちょっとした外出になりますし、そういうのも気分転換になっているのかなと感じます。

「不安というよりは、自分の中にまだまだ可能性を感じています。」

――ここからは主将としての荒井選手についてお伺いします。まず、東海大の主将の決め方はどのようなものでしょうか

 決め方というのが特になくて。完全に立候補制にするときもあれば、強制ではないのですが先生の方から勧められたりして、自分で考えて立候補したりという時もあります。ただ推薦というのはあまりないですね。

――ことしはどのように荒井主将に決まったのでしょうか

 箱根を終えた時点で立候補の方をさせていただいたのですが、その前の、去年の9月あたりにコーチ陣と話す機会があって、そこで監督(両角速監督)から「来年は主将をやってみないか」と勧められました。僕自身そういうことをやったことがなくて、柄でもないタイプかなと思っていたので、そこから主将になる準備というか、どういうことをしなくてはいけないのかというのを考えて生活し、気構えを持つようにしていました。そのまま主将を決める時に立候補したかたちです。

 

――そのように両角監督から言われた時のお気持ちは

 正直に、「え?」という感じでした(笑)。びっくりしてしまって(笑)。ただ、僕たちの学年は特別何かキャプテンシーを持っている選手ってあまりいなくて、我が強い選手が多いというか、個性的な集団なんです。その中で引っ張っていけるのかなという心配はありました。ですが、僕は監督やコーチの方々には全幅の信頼を置いているので、そういう人たちにキャプテンを勧められたのは本当にうれしくて、そう言ってくださるのならやってみたいという気持ちでした。

――主将としてのやりがいを感じた瞬間はありますか

 むしろやりがいを感じるのはこれからの駅伝シーズンの結果次第なのかなと思います。僕自身大きな仕事というのはあまりやっていなくて、周りの選手が協力してくれたというか。合宿中であれば4年生が助けてくれたり、能力の高い選手は僕が何か言わなくてもてきぱきと動いてくれますし、そういう意味では本当に仲間に恵まれたなと思っています。やりがいというよりは周りの選手に生かしてもらってるなという、そういう感じを受けますね。

――東海大のキャプテンというと、名だたる選手が務めてきています。『東海のキャプテン』という重圧はありますか

 日が経つことに感じる部分が多いです。東海大自体も50年以上の歴史のある大学でもあるので、僕自身も4年前入学した時にまさか自分がキャプテンをやるなんて思っていなかったですし、そういう憧れがあって入ってきたチームの主将ができるということは充実しているなと感じます。

――荒井主将らの学年は両角監督体制の第二期生の代であり、変わったばかりの時期だったと思います。両角監督と今まで練習をしてきていかがですか

 最初はある種の不信感というか、高校の時に培った自分自身の自信というか、経験があったので、素直に監督の言っていることを聞き入れることができない部分がありました。今思うと本当に自分が未熟だったと思います。ただ、監督は競技どうこうというよりは人間性を説いてくれる方で、そういう話を聞くうち、自分自身も結果が出るようになってきて。昨年で言えば日本選手権の1500メートルで勝たせていただいたりという経験もできました。その背景には監督自身も年々変わろうとしてくれていて、そこに対して僕たちが変わらないというのはいかがなものなのか、上に立つ人が変わろうとしてくれているなら、僕たちも変わろうという風に思えたということがあったと思います。僕だけではできなかったと思いますし、僕自身を大きく成長させてくれたと思っています。

――理想のチーム像はありますか

 寮の中でも基本的に上下関係もなくて、ことしに入ってから一年生の仕事というものもなくし、全学年でトイレ掃除や受付当番を回すようにして、ある意味平等という状況になっています。そこでチームとしての一体感が生まれてくれればいいなと思います。駅伝ではどんなに頑張っても箱根であれば10人しか走れないです。(チームに)80人いる中で、残りの70人は走れないわけで、そういった選手がまとまった時というのはきっとどんな結果であろうと、どんなメンバーであろうと、お互いを応援しあえるようなチームになるのかなと思います。そういったところを目指していきたいなと思いますね。

――そのように上下関係を取り払うと、先ほどのお話にあった『仲良しクラブ』のようになってしまう危険性はありませんか

 そういう風になってしまうというのは考えられることです。今までのチームというのはそっちの方にいってしまっていたかなという感じがありました。そうならないためには、練習でも試合においても自分のためだけではなく、自分の役割や立場があると思うので、それを一人一人が理解しないといけないかなと思います。それができれば、チームが目指す結果があるから、そのために仲良し集団になるのではなく、チームのために生活し、走れる選手が育ってくるのかなと思います。

――荒井選手自身はロードとトラックどちらの方が得意としているでしょうか

 どちらかというとトラックの方が得意かなと思います。

――駅伝はロードレースですが、不安はありますか

 トラックは得意なのですが、長い距離を走るのも好きなので、距離に対する不安はあまりないです。不安というよりは、自分の中にまだまだ可能性を感じています。

「駅伝に出走し、確実に結果を残して感謝を伝えたい」

――昨年の駅伝シーズンでは各大会で5位以内を掲げて臨んだと思います。振り返っていかがですか

 選手の中では3位を狙いたいなという意見も多かったのですが、実際問題、これが妥当な順位だったのかなと思います。アピールができなかったというか、上位4校とは全く競り合えずに終わってしまったな、存在感を表すことができなかったな、というシーズンだったと感じています。

――ことしは5位以内から3位以内に目標が上がるなどしていますが、戦力の面で昨年と比べていかがですか

 学生のスポーツなので、毎年メンバーの入れ替えがあってその中で戦力の差があるというのは僕自身いつも考えていることなのですけど、それにしても昨年と比べると5000メートル13分台の選手は2倍以上になって、1万メートルのタイムというのもこの後も伸びていくと思いますし、駅伝のメンバー争いも熾烈になってくると思います。去年と比べたら非常に充実しているなと思います。

――東海大の強みは

 スピードが強みかなと思っています。今までだと勢いというか、そういうものを持つ選手が少し少なかったという印象があるのですけど、ことしに関して言えば、各学年に1人、2人そういう爆発力のある選手がいます。エース格の選手がそろってきたなという感じがあって、非常に楽しみだなと思います。

――中でも荒井主将から見てエース格となる選手は

 4年生びいきになっちゃうかもしれないんですけど(笑)。やはり廣田(雄希)と林竜之介、石橋安孝の三人は非常にカギになるのかなと思っています。その三人を含めて4年生がしっかり走った時はうちは強いだろうと思います。

――東海大は強力なルーキーたちに注目が集まっていますが、上級生としてどのように受け止めていますか

 1年生はああして結果においてもしっかり走ってくれていて、安心はするのですが、なんといっても練習などで引っ張っているのは4年生です。特に林は自分がエースになるんだという自覚を持ってやってくれていて、そういう強い覚悟を持った選手に下級生は惹かれて、相乗効果で強くなれるのかなという感じがしています。

――今季の駅伝での目標について、詳しく教えてください

 出雲に関しては優勝を、全日本と箱根では3位というのを目標に掲げています。単純に戦力の充実ぶりが昨年とは違うなということと、5000メートルであれば上位十人の平均タイムが(出雲に出場する)全大学で1位なので、そのような大学が出雲で優勝を目指さないというのはおかしいということもあって出雲は(もともと掲げていた3位という目標から優勝に)上方修正したり、そういうデータに基づいて目標を算出するという面もあります。本当は優勝すると言いたいところなんですが、現実的なところを着実にクリアしていこうというのがうちのやり方なので。

――出雲に関しては以前の目標を上方修正したとのことですが

 ことし4年間で初めて上方修正しました。今までは学生が掲げた目標に対して、監督やコーチ陣が「本当に大丈夫か、それ」というような心配をされたりしたこともあって(笑)。少し背伸びしすぎなんじゃないか、と現実的なことを言ってくれるスタッフ陣なんです。そういうスタッフ陣が上方修正しても良いと言ってくれた時には、スタッフ陣にも僕たちにもそういう自信があって、ベクトルが一緒の方向を向いているなという感じがあり、4年目でそのようなことになったのはうれしかったです。

――出雲は残念ながら荒井主将はエントリーがかないませんでした。その中でチームに対して何かしていることなどはありますか

 とにかく経験の浅い選手が多くエントリーしていて。肝が据わってる選手ばかりなので、あまり心配はしていないのですが(笑)。その中で引っ張ってあげられないというのは申し訳ないなという気持ちもあって。ただ、現状ではベストのメンバーを組んでいるつもりなので、東海大で出雲のメンバーに入れれば、出雲で実際に走る時の方が楽なんだよ、ということを呼びかけています。

――これから学生三大駅伝が続いていきますが、荒井選手個人の目標は

 出雲もそうですし全日本もそうですが、僕が大学2、3年と走ることのできなかった大会で、出雲に関してはエントリーに入っていないのでもう走ることはできませんが、全日本、箱根と見ていった時に、主将として何かしら結果を出して、監督や仲間たち、いつも支えてくれている方々になんとか恩返しをしたいなと思っています。個人的には駅伝に出走し、確実に結果を残して、感謝を伝えたいなと思います。

――箱根で走りたい区間はありますか

 特別走りたい区間というか、こだわりはそんなになくて。山以外ならどこでも良いかなと思います(笑)。

――では、早大との関わりについてお伺いします。まず、早大の選手とプライベートな部分も含めた付き合いなどはありますか

 あまりプライベートでの付き合いはなくて、レースの時によく話をします。千葉県出身なので武田(凜太郎、スポ4=東京・早実)や安井(雄一、スポ3=千葉・市船橋)なんかはあいさつをしたりしますね。

――早大の印象は

 いわゆる僕が理想としているチーム状況がワセダさんです。強い1年生がいながらも、そこに頼るのでなく、4年生がしっかりしていて。大学駅伝においては4年生が強いチームというのは活躍している印象があるのですが、(4年生の)主将の平(和真、スポ4=愛知・豊川工)、井戸(浩貴、商4=兵庫・竜野)、武田、鈴木(洋平、スポ4=愛媛・新居浜西)がいて、彼らが結果においても引っ張っているなというところがあって、僕たちも参考にしなくてはいけないなと思います。

――最後に、これから始まる駅伝シーズンへの意気込みをお願いします

 目標として、出雲が優勝、全日本、箱根が3位となっていますが、まずは出雲でしっかり戦って、全日本や箱根でまた目標をもう一度上方修正して、できれば優勝を目指すことができるようにやっていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 藤岡小雪、平野紘揮)