前哨戦での収穫をもとに、王座奪還を掲げて挑んだ東京箱根間往復大学駅伝(箱根)。全日本大学駅伝対校選手権で鬼門の1区を克服した、中村信一郎(スポ4=香川・高松工芸)が今回も落ち着いた走りを見せ5位でスタートを切る。続く今季ケガに悩まされた高田康暉駅伝主将(スポ4=鹿児島実)は苦しい走りとなり、一時はシード圏外にも順位を下げるも後続が奮闘。伝統校の意地を発揮して5位で往路を終えた。
各校の監督が往路のポイントとして挙げる1区は昨季に続き、中村信が任された。高速レースで優勝候補の駒大が後れをとるなど波乱の展開にも冷静に対応する。しかし16キロ過ぎの青学大のペースアップについていくことはできず、首位とは48秒差の5位でタスキを渡した。花の2区は3年連続の出走となる高田。区間賞獲得の経験もあるコースで意地を見せたいところだったが、本調子とはいかず順位を14位にまで落としてしまう。4年生二人の思いを受け取った武田凜太郎(スポ3=東京・早実)は、静かなる闘志を燃やしながら着実に前を走るランナーをとらえていく。各大学のエース級が名を連ねる区間で5位のタイムを記録し、順位を3つ押し上げた。
苦しい走りとなった高田駅伝主将
最短18.5キロの4区を走るのはルーキーの永山博基(スポ1=鹿児島実)だ。憧れのエンジを身にまとった恐れ知らずの1年生は、自身の武器であるスピードを生かして軽やかに走り、チームは7位に浮上。往路の勝負を決めるともいわれる山上りの5区は、渡辺康幸前駅伝監督(平8人卒=現住友電工監督)にその適性を認められた安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)に託される。力強く山を駆け上った安井は、区間賞獲得のスピードで迫ってきたダニエル・ムイバ・キトニー(日大)の猛追を振り切り、往路タイム5時間34分17秒の5位で芦ノ湖のゴールテープを切った。
うなだれながらゴールした安井
今季ケガに苦しんだエース高田がまさかのブレーキとなり、一時14位まで順位を落とした早大。しかしこれまで受け継いできた伝統をつないでいくために、下級生は諦めることなく前を追い、5位で往路のフィニッシュを迎えた。往路優勝を果たした青学大とは8分22秒差と、復路も厳しい戦いになることが予想される。しかし『全員駅伝』で早大らしく、一つでも上の順位をつかみ取るべく大手町を目指す。
(記事 太田萌枝、写真 高畑幸、杉田陵也)