『全員駅伝』で総合優勝へ

駅伝

 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)まで残り10日を迎えた23日、早大所沢キャンパスにて公開取材が行われた。約1カ月間に渡る集中練習について相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)は「想定していたよりも質、量ともに良いものができた」とコメント。学生三大駅伝の最終戦を勝ち取りに行く準備は整ってきており、万全の状態で箱根路へと臨むことができそうだ。

 箱根に向けた伝統の集中練習を終えたエントリーメンバーたち。「夏合宿以降大きな故障者はいない」と相楽監督は語り、好調な16人をそろえることができた。中村信一郎(スポ4=香川・高松工芸)は「(集中練習では)スピードをさらに強化できた。どの区間を任されても走る準備はできており、個人の目標は区間賞しかない」と話し、快走を見せるもわずかに届かなかった全日本大学駅伝対校選手権(全日本)1区区間賞へのリベンジを果たしたい。今シーズン、学生三大駅伝未出場の高田康暉駅伝主将(スポ4=鹿児島実)も復帰。「2区の練習をしていればどこでも戦えると思い、2区を走るイメージで練習してきた」とコメントし、第90回大会で区間賞を獲得した花の2区への自信をのぞかせた。伊勢路を走ることがかなわず、悔しさをかみしめた柳利幸(教4=埼玉・早大本庄)は「いままでで一番できの良い集中練習。9区で区間賞を」と前回早大新記録をマークした9区で再びの躍動を誓う。そして3年連続で6区への起用が濃厚なのは三浦雅裕(スポ4=兵庫・西脇工)。「(前との差が)1分以内なら逆転できる」と話し、今大会も山下りのスペシャリストの快走が見られそうだ。

5年ぶりの総合優勝を狙う

 今季出雲全日本大学選抜駅伝、全日本の両レースに出場した3年生4人も手応えをつかんでいる。第91回大会に疲労骨折しながらも出走した平和真(スポ3=愛知・豊川工)も順調に練習を積み、調子は整っているとのこと。武田凜太郎(スポ3=東京・早実)は「個人としても区間賞争いに絡み、他大のエース級とも戦える選手であることをアピールすることが目標」と話し、主要区間へのエントリーを希望している。抜群の安定感を誇る井戸浩貴(商3=兵庫・竜野)は「きょねんよりもレベルの上がった集中練習をこなせた。これまでの箱根では失敗しているので、結果を出さなければいけないと思っている」と主軸としての覚悟を見せた。全日本ではアンカーを任された佐藤淳(スポ3=愛知・明和)も「個人目標は区間賞」と語り、前回出場できなかった雪辱を果たしたい。

 山上りの5区には安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)が名乗りを上げた。「1年間5区を走る準備をしてきて、自分が山を上る覚悟はできている。目標タイムは78分、最低でも80分を切る」と語り、並々ならぬ決意を表明した。同学年の光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)も良いコンディションで集中練習を終えている。「ケガもなく、今シーズンで一番良いと思えるくらい体の状態ができ上がっている」と話し、積極的に練習を引っ張る場面もあったそうだ。全日本で駅伝デビューを果たした藤原滋記(スポ2=兵庫・西脇工)は「20キロに対応できるだけの体をつくれた」と成長を実感。ルーキーの永山博基(スポ1=鹿児島実)も徐々に距離への対応力をつけてきた。総合優勝のためには、勢いのある下級生の台頭もカギとなるだろう。

 『全員駅伝』。今季の早大を語る上で欠かせないキーワードだ。エース不在と言われる中、メンバー全員が確実につなぐ駅伝をこれまで見せてきた。「今回の箱根で優勝して、ワセダが学生スポーツ界を引っ張るという印象付けをしたい」(柳)。全ては5大会ぶりの総合優勝をつかみ取るため――。大手町で、エンジのユニホームが最初にゴールテープを切ることを期待したい。

(記事 八木瑛莉佳、写真 佐藤亜利紗)

関連特集

【連載】『栄冠への走路』/第92回東京箱根間往復大学駅伝(12/18~25)