予選通過するも主力奮わず

駅伝

 全日本大学駅伝対校選手権関東学生連盟推薦校選考会(全日本予選)が20日に開催された。昨年の全日本大学駅伝対校選手権(全日本)ではまさかの7位シード落ち。その雪辱を果たし、学生三大駅伝を制覇する足がかりとするためにも、1位通過を目指して臨んだ試合であった。しかし主力選手が奮わず、本戦出場権は獲得したものの4位という結果に終わった。

 1組目には柳利幸(教4=埼玉・早大本庄)と三井泰樹(人4=山形東)が出場。柳は故障明けのレースとなったが、序盤、三井とともに先頭集団を形成する。そのまま比較的スローなペースが続くが、6000メートルを過ぎた所から徐々に先頭集団が絞られ始める。残り2000メートルから柳が2回に渡りスパートをかけ見事組1着でフィニッシュ。一方の三井はそのペースに対応することができず若干後退するも、7位に踏みとどまった。続く2組目では永山博基(スポ1=鹿児島実)、光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)という下級生コンビが出走。中盤に何度か他大の選手により揺さぶりをかけられるが、2人は冷静に対処し終盤のスピード勝負に持ち込む。結局、ラスト200メートルでの競り合いを見せた永山が4位に。光延は粘りの走りで11位に滑り込んだ。

組1着でゴールした柳

 3組目に登場したのは昨季東京箱根間往復大学駅伝を経験した中村信一郎(スポ4=香川・高松工芸)と安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)。レース開始直後からお互いに安定したペースを刻んでいくが、8000メートル過ぎから徐々に中村信の足取りが重くなり、後方にいた安井がその前に出る。そのまま第二集団を一気にかわした安井。ラスト1周となったところで驚異的なスパートを見せ、7位に食いこんだ。この組が終わった時点で、ワセダの総合順位は1位。だが、後続との差は詰まっており、残る最終組である4組目の結果次第となった。各校のエースが集うこの組には駅伝主将の高田康暉(スポ4=鹿児島実)と井戸浩貴(商3=兵庫・竜野)がエントリー。序盤からキトニー(日大)を中心としてハイペースなレースとなる。高田は積極的に前を追い、井戸は冷静に後方待機という判断をする。ところが高田は4000メートル手前で先頭に離され苦しい展開を強いられると、序盤のオーバーペースがたたり、みるみるうちに後退。一方、終止安定したレースを展開した井戸が8位となった。しかし先頭とは大きく離れてのゴールになった。

冷静な走りを見せた井戸

 4組の結果を受け、早大の総合順位は4位となった。1位通過を目標にしていただけに、納得のいかない結果であることは事実だろう。とは言え、あくまでも全日本予選は通過点に過ぎない。「通過したことはポジティブに考える」(柳)というように、本戦である全日本での結果が最も重要である。学生駅伝三冠を目指す戦いに向け、まず一歩目を踏み出した。

(記事 平野紘揮、写真 杉田陵也、菅真衣子)

結果

▽男子1万メートル

第1組

柳利幸(教4=埼玉・早大本庄)    29分56秒51(1着)

三井泰樹(人4=山形東)       30分16秒58(7着)

第2組

永山博基(スポ1=鹿児島実)     30分03秒08(4着) 自己新記録

光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)    30分20秒81(11着)

第3組

安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)   29分47秒76(7着)

中村信一郎(スポ4=香川・高松工芸) 30分02秒42(22着)

第4組

井戸浩貴(商3=兵庫・竜野)     29分20秒24(8着)

高田康暉(スポ4=鹿児島実)     29分52秒48(28着)

▽総合結果

1位 中央学院大 3時間58分58秒68

2位 日大    3時間59分19秒28

3位 神奈川大  3時間59分23秒36

4位 早大    3時間59分40秒00

※上位9校が全日本出場権を獲得

コメント

相楽豊駅伝監督(平15人卒=福島・安積)

――全日本大学駅伝対校選手権関東学生陸上競技連盟推薦校選考会(全日本予選)4位通過という結果をどのように捉えられていますか

(全日本予選を)通って良かったなという部分と、望んでいた目標には届かなくて悔しいなという思いと、半分ずつですね。

――目標というのは1位通過ということでしょうか

そうですね。ランキング(全日本予選出場権審査の際の合計タイムのランキング)も1位でしたし、全日本本戦(全日本大学駅伝対校選手権)を考えてもここでこのチームの力を出して、本戦で十分戦えるという手応えをつかみたかったので、トップ通過を目標にしていました。

――8年ぶりの予選出場となりましたが、どのような練習をされてきましたか

8年前は間に全カレ(日本学生対校選手権)が入るなどいまとは違うスケジュールだったので、近年の練習などをいろいろ考えて改めてつくり直したという感じでした。なので手探りでやっていた部分はありましたね。

――1組ではメンバー変更もありましたが、どのような意図でオーダーを組まれましたか

柳(利幸、教4=埼玉・早大本庄)が関カレ(関東学生対校選手権)を欠場したように、ちょっと本調子ではなかったですね。何とか1万メートルなら持ちそうだということだったので、どこかで使いたいなという思いと、また藤岡(孝彰、商4=東京・早実)がずっと調子が良かったのですが最後の最後に足に不安があるということだったので、そこに柳を入れるかたちで起用しました。

――平和真選手(スポ3=愛知・豊川工)は来週の日本選手権へ向けて出場を回避されたのですか

それもありますね。足に少し不安があるとのことだったので、2週連続の試合が厳しいかなということと、あとはチーム全体で日本選手権という大きな舞台に行く選手に頼るのではなくて、彼を生かせるようなチームになろうということであえて彼を外そうとみんなで確認をしましたので、そういうかたちで彼を起用しませんでした。

――今大会で、良かった点や改善点はありますか

全員ではないのですがほぼ全ての選手が、指示したレース通りに、後半勝負に向けて勝負どころまでしっかりレースづくりができたのは良かった部分かなと思います。ただ最後競ったときに負けるとか、我慢するべきところで我慢できないということは、このチームが昔から持っている悪いクセなので、そこは本戦の方ではしっかり修正していきたいと思います。

――春シーズンを振り返っていかがですか

特に春については関カレとこの全日本大学駅伝の予選をチームの最重要レースと位置付けてやっていました。結果的にはどちらのレースも目標としているところには届いていないというところで、私も含めてチームとして、認識の甘さなど反省しなければいけないところが多々出たと思います。それをこれからしっかり夏合宿で修正したいと思います。

三井泰樹(人4=山形東)

――本日のレースプランは

柳がラスト3000からスパートするという話はずっと聞いていたので、それに頑張ってついていって、ラストに前の方で2人でゴールするというのが、理想でした。

――実際にレースをしてみていかがでしたか

実際にレースが動き出したときに、もう僕はきつくなってしまって前を追うことができなくて、結果、チームも4番で。チームの結果を見た後は、すごくしょうもないレースをしたなと思います。

――序盤、先頭に立つ場面もありましたが

あれは、最初の位置取りに失敗してしまってだいぶ後ろに行ったので、1回前に出て、すぐまた誰か他の選手に出てもらっていい位置取りをしようかなと思っていました。

――1組目でしたが、どのような思いで臨んだのでしょうか

2組目が下級生2人だったということもあって、柳と2人で貯金をつくって楽に走らせてあげたいなと思っていたのですが、あまりできなくて、ちょっと申し訳ないですね。

――緊張などはありましたか

すごくしていました。

――やはり独特の雰囲気がありましたか

そうですね。緊張はけっこう楽しく感じる方なので、そこはすごく楽しめましたが、もうちょっと結果が伴えばよかったなと。

――関カレのハーフマラソンでは入賞がありましたが、本日の調子というのはいかがでしたか

練習もここまで順調にできていましたし、調子はすごく良いと思っていました。なんでかはわからないですけど、後半(体が)動かなくて。その原因を今から探していかなくてはいけないなと思います。

――次のレースの予定を教えてください

このあと練習が順調に積めれば、北海道のホクレン(ホクレンディスタンスチャレンジ)に連れて行ってもらえると思うので、そこの1万メートルで走ると思います。

柳利幸(教4=埼玉・早大本庄)

――率直に、きょうの全日本予選という舞台はいかがでしたか

インカレや駅伝とは違って、上げ下げのあるレースが4組行われていて、正直経験したことの無いプレッシャーだったり、そういうレース展開だったりして、走った選手は皆戸惑いや緊張があったと思うのですが、一応予選は通過したので、そこはポジティブに捉えて良いのかなと思います。

――レースプランはありましたか

ケガ明け1カ月くらいしか経っていないのでどういうレースにするかきょうまで迷ったのですが、自己ベストで言えば自分は上位なので、残り3000(メートル)くらいでしっかりレースの主導権を握れれば良いなと思っていました。日差しもあって風も強かったので、一度前へ出たのですけど、そこで自分の調子と感覚を考えて、そこで出てしまったら危ないかもしれないと思い、ラスト1000(メートル)でまた出ました。

――2度目のスパートは計算の上だったのですか

そういうよりは、ラスト1000(メートル)で出ないと、他大とタイム差も稼げませんし、またケガ明けといってもシーズンで見れば僕が1番の記録なので、そういうギリギリのレースをしていたらチームが勢いづかないなと思って(ラストで)出ました。

――総合4位という結果についてはいかがですか

チームとして掲げていた1位通過がならなくて、非常に残念という気持ちと同時に、またここから何かをつかむと言いますか。夏合宿でしっかりとその「何か」を自分たちで見極めて、本戦で戦っていけたらなと思います。

――ケガの影響についてはいかがでしたか

ケガについては1カ月前には練習に復帰することが出来たので、今後にも特に影響はないかなと思います。

――今後のレース予定は

ホクレンで、どれに出るかはまだ定かではないのですが、しっかりそこでトラックシーズンを良いかたちで締めくくれるよう、また、夏合宿に向けてしっかりチーム一丸となって頑張れるように走りたいと思います。

井戸浩貴(商3=兵庫・竜野)

――本日のご自身のレースを振り返って、感想をお願いします

あらかじめ高田さん(康暉駅伝主将、スポ4=鹿児島実)が突っ込むとは思っていて、自分も同じようにいってしまったら、もし(ペースが)落ちてしまったときに収集がつかなくなるのが嫌だったので、第二集団で自分の持てる力をある程度出して、最低限の走りをしようと思っていました。その部分についてはきちんとできたと思います。

――前半は集団内でレースを進めて、後半にペースを上げていかれましたが、どのようなことを考えて走られていましたか

ラストはどうなるかわからなかったのですが、とにかく自分の1秒で何が変わるかわからないので、1秒にこだわるというのがありました。最後は3人ぐらい(前に)いたので、その中で勝てないとその時点でほかのチームに負けていることになるので、近くにいる人だけでも捕えようと思って捕えられて良かったです。

――全日本の出場権を獲得されましたが、どのように感じていらっしゃいますか

きょねんなくしたものはシード権なのですが、きょねん逃したものをある程度戻すことができたので、その点では良かったです。ただ、下馬評通り1位通過をすることができなかったので、それをこれからどうするか考えなければいけないなと思います。

――チームとして本日のレースを振り返っていかがですか

4組目にチャレンジしてどうなってもいいように、3組目までで貯金をつくりたいというところだったのですが、もう少し3組目までに貯金をつくれたのではないかなというのがありました。3組目は特に、他のチームと比べて群を抜いて強かったところだったので、4組目の自分たちがエースになれていなくて(総合順位を)持ち上げられなかったことはすごく申し訳なかったのですが、出せるべき力が出せていないのかなというのはとても感じました。

――チームとして見えた課題をどのようにとらえていますか

今回はベストタイムだけ見れば1位で、持ちタイムも各組の1番、2番というのが多かったので、実際にその力が出せていなかったと感じました。ずっと課題にはしていて、きょねんの全日本でもそうだったのですが、チームとしての雰囲気が全然まだ直っていなくて、『本来持つべき力を出す』ということがまだまだ甘いのではないかということを感じています。夏合宿の練習でというよりは、しっかりと試合で結果を出すチームにしなければいけないと考えています。

――関カレのハーフマラソンでは2位に入られましたが、調子はいかがですか

ハーフマラソンの練習を1カ月間くらいずっとやっていて、その延長でずっと練習をしていました。相楽さん(相楽豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)のメニューはトラックシーズン仕様になっていたのですが、僕の中での練習の流れというのがハーフの流れになったままでだったので、きょうは1万メートルに切り替えきれていない中では夏合宿を見据えてそこそこの走りはできたと感じていて、調子はまだ落ちていないと思います。普通の水準を保ってずっと走れているのかなと思います。

――今後の意気込みをお願いします

夏合宿に向けてハーフの練習を積んでいるところなので、夏合宿でとにかくロードの耐性をつけるということも踏まえて、距離を落とさない練習をしようと思っています。きょねんまでは2年生ということで練習を引っ張らなくてもよいというときもあったのですが、ことしからは結果を出さないといけないので、しっかりとジョグをある程度やって、その上で練習を引っ張っていければと思います。

光延誠(スポ2=佐賀・鳥栖工)

――きょうのレースを振り返っていかがでしたか

きょねんの全日本で自分が走らせてもらったのですが、自分のミスでシード落ちしたので、そのリベンジを懸けていました。やっぱり僕がリベンジしなきゃいけないところを、先輩たちに迷惑を掛けてしまい、カバーしてもらったのにまた同じミスを繰り返してしまいました。1年生のような感じではなく、きちんとチームを引っ張っていく立場にならないと結果もついてこないと思いました。一から考え直して、何が駄目だったのかを振り返りながらもう一度これからやっていこうと思いました。

――関カレや世田谷競技会(世田谷)へエントリーされながらも出場されませんでしたが、それは今大会へ合わせてきたからでしょうか

関カレは少しケガをしてしまっていました。それまでは結構練習を積めていたのですが大会直前にケガをしてしまって、そこから1週間ちょっと全く走れない期間がありました。そこから振り出しに戻った感じで、練習もついたりつけなかったりという状況でした。世田谷もエントリーはしていましたが、練習もあやふやだったので、まずは練習に打ち込まないといけないと思い、欠場してこの大会に懸けていました。ですがやっぱり走れなかったので、何か変えないといけないと強く思いました。

――ではまだ調子は完全には戻られていないのでしょうか

そうですね。ですがやっぱりレースの中で粘るということに対して同じミスばかりしているので、本調子じゃなくてもある程度自己ベストに近いタイムでまとめるぐらいの力をつけないといけないので、いかに調子が悪くてもまとめるレースができたら良いなと思います。

――今後のレース予定と目標をお願いします

今後は7月のホクレンに出場する予定です。5000(メートル)か1万(メートル)かはまだわからないのですが、きょう駄目だったことを踏まえて、大会まで残りは少ないですが調子を上げて結果を残していけるようにしたいです。

安井雄一(スポ2=千葉・市船橋)

――本日のレースプランは

信一郎さん(中村信一郎、スポ4=香川・高松工芸)と2人で落ち着いたレース展開をして、トップ争いをするというのがレースプランでした。

――実際に走ってみていかがでしたか

留学生もいて、けっこうハイペースになるかなという予想だったのですが、全く逆で、ものすごく遅いペースで途中からペースがあがって。ちょっと混乱してしまった部分があって、そのレースプランを崩されてしまいました。

――展開に対してどのような対応をされましたか

そこは対応ができなくて、今回はあまり良い走りができなかったです。

――結果に関してはどのように捉えられていますか

点数をつけるなら0点ですね。全く良いと言える結果ではないですし。最終的に最後までしっかり走りきれて追い上げられたのですが、それはあくまでも遅いペースで走ったからで、全然先頭集団に食らいついていけなかったので、自分の役目としては本当に何もできなかったです。

――見つかった課題などはありますか

課題はたくさんあるのですが、やはり先頭争いです。今回ずっと1番後ろで走ってしまって、そのまま結局先頭に立つことは一度もなかったので、やはりトップを目指しているからには、しっかり先頭で走るくらいの気持ちを持たなくてはいけなかったなと感じました。

――どのように改善していきますか

やはり直していくためには練習であって、練習で積極的に先頭で先輩方を引っ張るということを意識したいです。2年生なのでいままではいつも後ろにいたのですが、前でチームを引っ張れるようにしていければ、おのずと試合でも先頭で引っ張っていけるかなと思います。

――今後のレース予定をお願いします

まだ決めてはいないのですが、北海道であるホクレンに出場する予定です。

――意気込みをお願いします

このトラックシーズンは、良い結果がまだ一つも出せていないので、ホクレンで自己ベストを出して、夏合宿や駅伝につなげていけたら良いなと思っています。