復路健闘も無念の総合5位

駅伝

 箱根・芦ノ湖から東京・大手町へとタスキをつなぐ東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)の復路が3日、行われた。往路は優勝を目指したものの6位。序盤の出遅れや、山上りに挑んだ山本修平駅伝主将(スポ4=愛知・時習館)の足が万全ではなかったことが響いた。復路での逆転は極めて厳しい状況に追い込まれたが、ことしは渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)が采配を振るう最後の箱根、そして早大競走部100周年というメモリアルイヤー。復路を走る選手の魂が燃え尽きることは決してなかった。早大は6区以降、必死に前を追い総合5位、復路3位。復路は5時間29分13秒という『三冠』を達成した87回大会に勝るタイムで走り切ったが、総合優勝を遂げた青学大とは12分48秒差という完敗だった。

区間賞を獲得し、復路にいい流れをつくった三浦

 次年度に希望をつなぐためにも、11月に落とした全日本大学駅伝対校選手権のシード権が与えられる3位を目指した早大は、山下り職人の三浦雅裕(スポ3=兵庫・西脇工)で好スタートを切る。往路終了地点で3位東洋大との差は2分15秒。ここで一気に差を詰めたいという期待を背負った三浦は飛ぶように山を駆け下りていく。区間新記録ペースでラップを刻み5位の中央学大を交わすと、4位に転落した東洋大へ45秒差まで肉薄。前回の記録を大幅に上回る58分32秒を叩き出し、反撃ののろしを上げた。続く7区を務めた武田凜太郎(スポ2=東京・早実)は序盤から軽快な動きを見せる。各校有力選手がこの区間に登場した中、順位をキープしたまま平塚中継所へと飛び込んだ。

 8区を担当するのはルーキーの安井雄一(スポ1=千葉・市船橋)。安井は一気に突っ込まず、ジワジワと明大の背後に迫っていく。すると20キロ過ぎ、難所である遊行寺坂でもペースを落とすことなく走り続けた安井がついに明大に並ぶ。最後のスパートで力を振り絞り単独4位に引き上ると、エンジのタスキは9区の柳利幸(教3=埼玉・早大本庄)へと渡った。柳はこれまでトラックでは好成績を収めるも、駅伝になると力を発揮できないというもどかしいシーズンが続いていた。いよいよ見える背中は上位3チームだけ。前だけを見据え、安定したペースを刻んでいく柳だが、後方からスタートした木村慎(明大)が猛追。10キロ以上の並走の末、柳は木村につくことができず、再びの5位後退となった。それでも区間タイムは早大記録を更新。準エースとしての役目はきっちりと果たした。最終10区を任された4年生の田口大貴(スポ4=秋田)も最後まで攻めの走りを貫き、大手町のフィニッシュへタスキを持ち込む。上位4校の背中は届かなかったが、復路は3位と健闘した。

田口は最後まで力走を続けた

 4年ぶりの総合優勝を目指した今大会。絶対エースが不在である早大の強さはチーム力、総合力だった。往路、復路問わず全選手が前を走る選手に食らいつき、そして少しでも前に出ようとする姿勢を貫いた。それを最も体現したのは4年生。山本駅伝主将は顔をゆがめながらもスパートをかけ、田口はゴールするその瞬間まで腕を振り、力強く歩を進めた。大学に入り実績のある彼らが見せたのは気持ちを前面に出した走りであり、チームの役割を全うしようとする姿勢だった。渡辺監督の退任、4年生の卒業――。1月4日から、チームが新境地を切り開いていかなければならない。順位こそ納得のいくものではなかったが、それよりも大事なものを下級生は受け継いだはずだ。さらなる進化を遂げ、来春こそVロードを突き進みたい。

(記事 和泉智也、写真 三上雄大、目黒広菜)

第91回東京箱根間往復大学駅伝競走
区間 距離 名前 記録 区間順位
早大 往路 5時間33分02秒 第6位
1区 21.3キロ 中村信一郎 1時間02分42秒 11位
2区 23.1キロ 高田康暉 1時間08分17秒 6位
3区 21.4キロ 井戸浩貴 1時間03分47秒 8位
4区 18.5キロ 平和真 56分31秒 9位
5区 23.2キロ 山本修平 1時間21分45秒 10位
早大 復路 5時間29分13秒 第3位
6区 20.8キロ 三浦雅裕 58分31秒 1位
7区 21.3キロ 武田凜太郎 1時間04分09秒 5位
8区 21.4キロ 安井雄一 1時間06分05秒 7位
9区 23.1キロ 柳利幸 1時間09分32秒 4位
10区 23.0キロ 田口大貴 1時間10分56秒 7位
早大 総合 11時間02分15秒 第5位
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