当日のエントリー変更により1区に前田悠貴(スポ4=宮崎・小林)、3区に大迫傑(スポ3=長野・佐久長聖)と主力選手を大胆に起用した早大。5年ぶりの往路優勝にも一層期待が高まったが、1区でまさかの区間17位と厳しい展開に。3区・大迫が12位でタスキを受け取ると、9つ順位を上げ一気に3位に浮上。5区では山本修平(スポ2=愛知・時習館)が1つ順位を上げ、2位でフィニッシュ。あすの復路は1位の日体大を2分35秒差で追いかけ、2年ぶりの総合優勝を目指す。
団子状態のまま1区のレースは進んだ。7.3キロ付近で田口雅也(東洋大)が集団から飛び出すと、一時は前田もその後ろに付く。ところが先頭集団から次第に離され、トップの東洋大から2分04秒差でタスキリレー。全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では区間賞を獲得するなど、主力として好走を期待されていただけにまさかの出遅れとなった。3年連続で花の2区を任された平賀翔太(基理4=長野・佐久長聖)は安定した走りで順位を5つ上げ、3区エース大迫へつなぐ。大迫は12位でタスキを受け取ると、まもなく8位に浮上する。その後も激走を続け、9人抜きを達成。東洋大、駒大に続く3位で4区・佐々木寛文駅伝主将(スポ4=長野・佐久長聖)にタスキを渡した。駒大が4区8キロ付近で後退すると、早大は日体大との2位争いを繰り広げる。日体大には及ばなかったが、佐々木は2分45秒あった東洋大との差を40秒近く縮め、小田原中継所に姿を見せた。
3区に登場し、9人抜きを達成したエース大迫
5区の山上りを任されたのは、昨年に引き続き山本。強い向かい風に苦しみながらもハイペースで山を駆け上り、前を行く服部翔大(日体大)に食らい付く。二人で2位を争いながら前を追い、14.3キロの箱根小涌園前でついにトップ東洋大を捉えた。その後東洋大を引き離し、首位争いをする中で往路優勝の可能性も十分に見えていた。しかし、次第に遅れ出した山本。芦ノ湖フィニッシュ地点まで残り5.2キロの芦之湯では、服部との差が28秒に。その差はさらに広がり、一度は振り切った東洋大ときん差での2着となった。
山本は東洋大に4秒差をつけ2位でフィニッシュ
早大は1区の出遅れが響き、2位で往路を終えた。主力選手を十分にそろえていただけに納得のいく結果ではない。さらに優勝候補と呼ばれた駒大が9位に沈む一方、予選会からの出場となる日体大、法大がそれぞれ往路優勝、5着に入るなど往路は波乱の展開となった。あすの復路は、タイム差わずか4秒で往路3位の東洋大と共に、先頭を追いかける展開が予想される。今季掲げてきた学生三大駅伝一冠という目標を達成するため、狙うは総合優勝のみだ。可能性は十分に残されている。最後まで諦めない、選手たちの粘りの走りを期待したい。
(記事 加藤万理子、写真 目良夕貴、細矢大帆)
あす行われる復路での総合優勝への思いを強くした
★総合優勝を祈って
往路レース後、あすの総合優勝を祈り、応援部から競走部へとエールが送られた。惜しくも往路優勝を逃したものの、トップと2分35秒差と総合優勝は十分に射程圏内にある。応援部が「総合優勝を目指して頑張ってください」と声をかけると、競走部の卯木研也主務(スポ4=石川・星稜)が「あすも応援よろしくお願い致します」と応え、翌日行われる復路に向け良い雰囲気に包まれた。その後、応援部から総合優勝への思いを込めた酒やメッセージ入りのタスキが送られ、選手たちの士気も高まったようだ。力強いエールを受けた競走部。あすはさらなる活躍を見せてくれるに違いない。
第89回東京箱根間往復大学駅伝競走(往路成績) | |||||
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区間 | 距離 | 名前 | 記録 | 区間順位 | |
1区 | 21.4キロ | 前田悠貴 | 1時間05分36秒 | 17位 | |
2区 | 23.2キロ | 平賀翔太 | 1時間11分02秒 | 6位 | |
3区 | 21.5キロ | 大迫傑 | 1時間04分44秒 | 2位 | |
4区 | 18.5キロ | 佐々木寛文 | 58分36秒 | 8位 | |
5区 | 23.4キロ | 山本修平 | 1時間22分52秒 | 3位 | |
早大 往路 5時間42分50秒 第2位 |
◆コメント
渡辺康幸駅伝監督(平8人卒=千葉・市船橋)
――きょうのレースを振り返っていかがですか
きょうはちぐはぐでした。1区から出入りが激しいというか、かみ合わなかったですね。
――1区、3区のエントリー変更はずっと考えていたものだったのでしょうか
そうですね。そのオーダーでいこうというのは早くから決めていました。
――1区・前田選手は区間17位と出遅れてしまいました
ちょっと故障がありましたが、調子自体は悪くなかったので1区にしていました。あそこまで悪いとは思っていなかったですね。
――大迫選手はエースらしい快走でした
区間賞を獲っていないので、素直に褒めることはできないんですけど、最低限エースのはたらきはしてくれたかなと思います。
――平賀選手、佐々木選手の走りについてはいかがですか
平賀にしろ佐々木にしろ最後の箱根駅伝でしたので、向かい風の中力は出し切ったと思います。
――区間エントリーが発表される前は、大迫選手が2区を務めるとも言われていましたが
それは(構想として)ありましたね。ただ僕の中では、優勝を狙うために彼を何区で使うか悩んでいたので、結果的に彼を3区に置いた方が優勝には近付くのかなということで(3区に)配置しました。
――山本選手は途中まで区間賞ペースの好走でした
てっぺんまでは良かったんですけどね。ちょっとやはり脚が前半のハイペースで良くなかったのかなと…まだ本人と会っていないので、どういうアクシデントがあったのかちょっと聞いてみたいですね。
――きょうの結果を踏まえ、あすのオーダーに変更はありそうですか
変えるとこは変える可能性があるのですが、ちょっとまだ決めていないです。いまの段階ではわからないですね。
――東洋大ときん差での復路スタートとなりました
6・7区で攻めていくしかないです。そこでうまく滑り出さないとうちは厳しいので、そこに期待しますね。まずは山下りですね。
――あすの抱負をお願いします
トップと2分35秒差ということで、まだ総合優勝の可能性は残っていますので、最後まで諦めずに前を追います。