【連載】『十人の戦士たち』 第7回 平和真

駅伝

 「調子の良いルーキーがいくイメージ」と自身も語った4区を任され、堂々の区間2位、そして早大記録を更新した平和真(スポ1=愛知・豊川工)。初めての箱根路で感じたこと、レースを振り返っていただいた。

※この取材は2月5日に行われたものです。

「優勝というのは甘くない」

積極的な走りで早大記録を更新した平

――箱根が終わって約1カ月がたちます。当時を振り返っていかがですか

チームが優勝を狙って1年間、主に夏合宿で優勝するんだという気持ちで練習してきました。いざ本番、4位っていう結果になって、やはり優勝というのはそんなに甘くないんだなというのは一番に思いました。

――優勝するのは甘くないですか

はい、そうですね。そんな簡単には優勝できないですね。

――平選手は4区を走られましたが、4区の印象はいかがですか

距離も一番短いですし、だいたい3区までにチームの前後の差はつくと思うので、いかに一人でその位置を良くしたり、キープしたりできるかというのが問われる区間かなと思います。

――「4区は調子の良いルーキーがいくイメージ」と23日の合同取材で仰っていました。ご自身はいかがでしたか

集中練習をやってくうちに、みんなは疲労が溜まってたりしたんですけど、逆に僕は疲れはもちろんあるんですけど調子が上がっていったので、自信もありましたし、思いっきり本番は臨めましたね。

――疲れは溜まっていたけど調子は上がっていった

そうですね。うーん、なんて言うんでしょう…。練習がきちっとできた充実感とか、箱根が迫ってきてる緊張感とかが、うまい方に転がっていったんですかね。気持ちの充実が一番ですかね。気持ちが上がっていったので、動きも良くなってきたって感じです。

――平選手自身の持ち味が、前に出る走りと仰っていましたが、明大の木村慎選手と並走した時はどのようなことを考えていたのですか

全日本(全日本大学駅伝対校選手権)でも区間賞を獲っている先輩ですし、強いのはわかっていたので。追いつかれた時に後ろにつこうかなと考えたんですけど、やっぱりここで下がるとけん制し合って前を追えないと思ったので、横に並ばれないぞっていう強い気持ちでした。強気になれたことが結果に繋がったかなと思います。

――それが区間2位という結果につながりましたか

そうですね。はい。

――早大記録も更新されましたがいかがでしたか

三田先輩(裕介、平24スポ卒=現、JR東日本)の1年生の頃の記録なので嬉しく思います。

「チームのために」

――23日の合同取材の時に、3、4区のどちらかかなと仰っていました。その時には決まっていたのですか

いや、試しに走るのを3、4区すると言われていて、4区が固いけど、3区ももしかしたら、くらいの考えでしたね。けど、1週間くらい前から確実になってきて、って感じです。

――1週間前に大体固まった

はい。試しに走るのが終わってからですね。

――3区武田凜太郎選手(スポ1=東京・早実)でしたが、タスキリレーはいかがでした

凜太郎も頑張って走ったので、僕もその分、それ以上の走りをしようと思って走り出しました。

――貰った時は声をかけられましたか

なんだっけなあ…。声をかけてもらったんですけど、あいつ自身へばってたんで(笑)。ぱっと貰って、ぱっといきました(笑)。

――事前取材の時に、緊張しないと仰っていたと思います。緊張はしませんでしたか

さすがにしました(笑)。アップが終わって召集に行くときに、人がすごく多かったので、少し固まっちゃった部分がありますけど、走り出したら全然大丈夫でしたね。

――期待も高かったと思いますが、プレッシャーはありました

トラックシーズンで全然良い所を見せれていなかったので、そんなに、注目されてるとか自分自身そんなに感じなかったですね。どちらかというと駒澤の中谷(圭佑)がルーキーだと注目されていたので。僕は気楽に行けました。

――その中谷選手は区間賞を獲得、同じ1年生としていかがでしたか

自分はあの時のベストを出したので、もうちょっといけたとかは思わないですけど、ビデオとかで、中谷の走りを見て、やっぱ強いなあと思いました。

――悔しいとかそういう気持ちはあまりなかった

もちろんありますね。

――やはり同じ1年生だと気になりますか

そうですね、はい。負けたくないって気持ちはありますね。

――負けん気は強い方ですか

ですね、はい。高校の時はそんなんばっかでした(笑)。大学は…若干気持ち弱くなっちゃったかなあと…(笑)。

――集中練習の調子はかなり良かったとお聞きしました。目標区間順位などは決めていましたか

区間順位、区間タイムは気にしてなかったですね。その展開に応じて、チームのためになる走りが出来ればなと。

――チームのために

1位できたなら、後ろとの差を広げる、位置を守りきるって走りですし、2位とか、3位とか1位を狙える位置だったらどんだけ近づけるかっていう走りですね。

――ご自身の走りはいかがでした

前との差が結構離れてて、監督からも自分のペースでいければいいよって言われていたので。自分のペースでいけたかなと思いますね。

挑戦の1年に

今季はトラックでも飛躍を誓う

――箱根駅伝は沿道の応援もすごいと思います。応援は聞こえますか

そうですね。二宮の、交差点の前ですか。5列くらい人がいたので、もう左耳が聞こえなくなるんじゃないかってくらい大きかったですね声援が(笑)。そこが一番すごかったのを覚えてますね。

――ご両親や友人は来ていたのですか

はい。来てましたけど…父と、兄は残り5キロすぎたくらいの橋にいて、それは気づいたんですけど。母とか、友達とか、中学校の先生とかは気づかなかったですね。わからなかったです。

――たくさんの方が来て下さったんですね

そうですね。いろいろ聞いてますね。もう、中学生の時から約束していたので。「箱根走ったら来てよ」。「全然行く行く」って。5人くらいで車で来てくれたらしいです。

――その頃から箱根を走ると言っていたんですね

そうですね。目指せる力はなかったですけど。高校強いとこに行くって決めたので。大学で箱根までが目標かなと思って。その時確か言っていたと思います。

――中学の監督も来て下さったんですね

そうですね、はい。みんなずっと気にかけて下さって。親を通じて、話がきたり。見てるよーとか応援行くよとか。そういうのは本当にありがたいですね。

――全日本はもっとすごかったんじゃないですか

そうですね。地元だったので、友達もたくさん来てくれました。来てくれっていえば来てくれるやつなので。

――帰ってから会われたりはしたんですか

はいそうですね。一緒にご飯食べたりとかしました。現地に来れなかった人たちもテレビで見ててくれていたので。

――解散期間後の練習ですが、山本修平駅伝主将(スポ3=愛知・時習館)の下、始まったと思いますがいかがですか

僕は、ケガなく順調に練習を積めているのでロードのハーフとかのタイムを出したり、どうやってトラックに移行していくかっていうのを考えながらやっています。チームとしては、ここからまた個人的なレースに代わっていくので、各自が次のシーズンに向けて燃えてる部分があるかなと思いますね。

――部員日記に『挑戦の1年にしたい』と書いていましたが具体的にはどのような1年にしていきたいですか

やはり、1年目は大迫さん(傑、スポ4=長野・佐久長聖)はじめ他大を含む、4年生の強い先輩たちには手が届かないなという感じでした。関カレ(関東学生対校選手権)とか、記録会とかもそんなに先頭のほうに挑戦することもなかったですし、ちょっと真ん中とか後ろの方でレースを進めてた部分もあるので、ことしは自分より強い人に関係なくついていったりとか、レースも多めに出て行こうと思っています。1万メートルで、ホクレンディスタンスチャレンジはじめ、記録の出やすい記録会に監督、コーチと相談しながら出させてもらって、記録を伸ばしていく1年にしたいなと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 目良夕貴)

◆平和真(たいら・かずま)

1994年(平6)年11月5日生まれ。177センチ、57キロ。愛知・豊川工高出身、スポーツ科学部1年。自己記録:5000メートル13分55秒64。1万メートル29分11秒26。ハーフマラソン1時間3分12秒。2014年箱根駅伝4区55分03秒(区間2位、早大新記録)