【連載】『箱根路への挑戦状』 第7回 高田康暉×三浦雅裕×柳利幸

駅伝

 第7回は、高田康暉(スポ2=鹿児島実)、三浦雅裕(スポ2=兵庫・西脇工)、柳利幸(教2=埼玉・早大本庄)の2年生トリオだ。これからの早大を背負っていく上で欠かせない存在の3人は、前哨戦を終えて現在どのような心境なのだろうか。そして箱根(東京箱根間往復大学駅伝)へ向けての思いとは――。三者三様の立場にいる彼らがそれぞれの視点から競技を語る。

※この取材は11月27日に行われたものです。

2年目の余裕

取材中のやりとりからも仲の良さがうかがえた三浦(左)、高田(中央)、柳

――2年生トリオということで特集を組ませていただいていますが、普段から一緒にいることが多いのですか

高田 そうですね。柳は本キャン(早稲田キャンパス)の方へ行っているのですが、練習とかジョグしたりは普段からしていますね。

――2年生での盛り上げ役は誰ですか

三浦 高田はグイグイきますね(笑)。

高田 僕が三浦をイジって、結局三浦が面白いみたいな。柳は調子乗っていろいろ言うんですけど、そこで冷めるっていう(笑)。

 そうだっけ、冷めてるっけ(笑)。

――三浦選手がいじられキャラなのですね

三浦 そんな感じになってます!

高田 入部当初からそうですね…はい(笑)。

――高校時代の境遇が違う中、どのように仲良くなったのですか

三浦 僕と高田は高校の時会っていたりしたので、入った時から仲良かったです。

――その中に柳選手は入っていって、最初はいかがでしたか

 最初こっちに練習しに来た時に三浦が早めに入寮していて、練習を一緒にすることになって。あの三浦君が、西脇工業主将の三浦君が一緒に練習するのかって思いました。住む世界が違うっていうかレベルの違う選手が目の前にいるなってすごく緊張しました。高田の時も緊張しました。

――イメージと実際の印象は違いましたか

 ちょっとたったらもうこんな感じだったんで(笑)。

――同学年以外に、上級生と仲が良かったりするのですか

高田 かなりの頻度で絡んでます。僕の場合は修平さん(山本修平、スポ3=愛知・時習館)とか…。

三浦 僕は全般的に良いですね。山田侑矢さん(スポ3=三重・伊勢)が一番親しくさせてもらっていますね。入寮した時に同じ部屋で、一個上だったのでその時からいろいろ教えてもらっていて、そういのもあって仲が良いです。

 一個上に同じ早大本庄出身の徳留先輩(駿、法3=埼玉・早大本庄)もいますけど、多分一番話しやすいのは田中さん(鴻佑、法4=京都・洛南)ですね。先週も練習中に言い合いになったり、バトったりしていたんですけど、そういのもひっくるめて素が出せるというか、良い先輩です。

――3人のお互いの印象はどうですか。まずは三浦選手の印象を、高田選手と柳選手、お願いいたします。

三浦 本音でいいよ、本音で(笑)。

高田 すごく明るくて、多分イライラすることもあるのにそういうのをあまり表に出さない子なんですけど(笑)、悩んだら隠すんですよ。一人で抱えたりもして。すごく良い人ですけど競技者として捉えたらそれはどうなのかっていうのはありますが、良い人です(笑)。

 一言で言ったら面白いヤツなんですけど、練習になると切り替わりますし、ちゃんと競技とプライベートとかオンオフがしっかりしてるのかなっていうのはありますね。

――続いて高田選手の印象をお願いいたします

三浦 普段ふざけるのに、走りとか生活面とかいろんな選手のことを見ています。こういうことが足りてないんじゃないかとかストイックなことをめっちゃ言うんでちょっとギャップがあって怖いなって(笑)。

 やっぱり僕らの代の長距離ブロックで言うと中心的存在なので、僕もいろいろあったとき高田に支えられたことがいっぱいあります。三浦と同じでオンオフ使い分けて、遊ぶときは遊んで練習するときは練習するといったストイックな部分もあって、尊敬しています。

高田 ちょっと恥ずかしいですね。さすがにこんな話は普段しないので。

――柳選手に対しての印象はいかがですか

三浦 サッカー上がりで、始めの方はなんでこんなに走れるんだろうっていう印象でした。陸上を全然していないのに何で負けてるんだろうって思っていたんですけど、いまはそういうことを思って自分が頑張れているので、彼にはもっと頑張ってほしいです。

高田 ひとつひとつのことに対してどうすればこうできるとか、勉強にしろ、競技にしろ、ここに行くためにはどうすればいいっていうことを、プロセスを知っているというか。自分の力の最大限を発揮する方法が僕らより器用で、そういう面では、サッカーやっていて陸上始めたばかりっていうのもあるけど、結果を出すのはそういうのがあるのかなと。そういう一面もありながら、普段は適当な部分もあるのですがそういうことも含めていいんじゃないかなと思います。

――オフの日はお互いにバラバラなのですか

高田 オフの日はみんな結構バラバラというか、僕の場合は外に出たりとかが多いですね。

三浦 僕はどちらかというと寮の中にいるほうが多いですね。

 前までは三浦と同じで寮の中で過ごすっていうのが多かったのですが、最近では前よりは比較的外に出るようになりました。

――1年時と比べて寮生活にも余裕が出てきたのですか

高田 当番が無くなったので、自分の時間ができたり考えたりする時間が増えました。当番は大変ですけど、あれがあったからこそいまの基盤というかそういうものができているので、当番はつらい道かもしれないですけど、通らなきゃならないものだと思います。いまの方が余裕あって良いのは事実ですが、あれがあって良かったなと思います。

――2年生は他にもたくさんの選手がいますが、2年生はどのような学年なのですか

高田 仲は良いです。寮内とか寮外とか色んな違いがありますけど、集まるときは集まります。結構明るい学年だと思います。

手応えをつかんだトラックシーズン

2年生のまとめ役という高田の口からは、チームをよく見ている発言も

――それでは競技面の質問に入らせていただきます。今シーズンの感想をお願いいたします

三浦 今シーズンは5000メートル13分台、1万メートル28分台っていうのを目標に掲げていたのですが、全くその目標を切れなくて、なんでだろうって考え込んでしまいました。そういうのもあって今シーズンは走れていなかったっていうのがあったのですが、いまはもう悪くても良くてもこんな感じかって割り切れています。そう考えると今シーズン不調だった経験もいまに生きているし来年はもっとステップアップできると思います。

――三浦選手の現在の調子はいかがですか

三浦 いまはもう絶好調です!

高田 いまがヤマじゃない?大丈夫(笑)?

三浦 大丈夫大丈夫。絶好調だから(笑)。

――高田選手は今シーズンいかがでしたか

高田 練習が元々できて、最初の3月とかはそれなりに長い距離も苦手だった割にはそれなりに走れて良かったです。ただトラックシーズンではカベじゃないですけど何にも意識はしていないですが、そういうものを自然に作ってしまっていたような気がします。タイムも出なくて…。でもその中で1500メートルを3分46秒で走った時に、過去を振り返るわけではないですが昔走れていた、理想としていたような感覚をそこでつかむことができましたし、その流れで合宿に入れました。トラックシーズンは全体的には良くはなかったですが、それがあったお陰で総合的に考えると良いきっかけになりました。ただまだまだ満足していない自分がいます。

――高田選手は短い距離もこれからやっていこうとお考えなのですか

高田 基本的に長い距離で練習しているのですが、僕はスピードを武器にしているのに、高校2、3年生からあまりそういう練習をしなくなってしまって。監督に1500メートルに出たいって言って、そこから自分の求めているスピードも入れていけば5000メートルとか1万メートルとかも距離走っている分記録も伸びるんじゃないかなって思います。これからそうやっていくつもりです。

――1500メートルの経験というのはトライアルinいせさきでの記録会でのことですか

高田 そうですね。元々は3000メートルに出る予定だったのですが、10日前くらいにひらめいて(笑)。そういえば1500メートルもあるなって。監督(渡辺康幸駅伝監督、平8人卒=千葉・市船橋)に言ったらオッケーだったので、出ることになりました。

――柳選手はいかがでしたか

 ことしのトラックレースは5000メートル1本と1万メートル2本くらいしか走れていません。春先にケガをしてしまって、関カレ(関東学生対校選手権)にも出られなくてチームに迷惑をかけてしまったのですが、その分全日本インカレ(日本学生対校選手権)で入賞できましたしそれが自分の中で自信になりました。トラックに対してはまだまだ限界が見えないというか自分でもまだいけると思うので、来年以降のトラックシーズンでまた自己ベストを更新し続けられたらいいなと思っています。ことしに関しては申し分ない結果だったのではないかと思います。

――トラックで自己ベストを出し続けられる理由は何だとお考えですか

 自分の中では前回よりも良いタイムで走るのが当たり前っていう感覚で走っています。どんな状態であれ前回の自分のタイムは越せるだろうって、自分で自己暗示というか思い込んでずっと走ってきたんで、気持ちの部分が大きいのではないかと思います。

――やはり全日本インカレの入賞は転機になりましたか

 あの舞台で28分台と入賞が同時に得られたというのは自分の中で何か一つカベが越えられたというかそんな感覚があります。

――続いて夏合宿のことについてお伺いします。夏はどういう目標を持って取り組んでいたのですか

高田 きょねんは一つ一つの練習に全力で臨んでいたのですが、ことしはどういう時のためにこの練習をやっているのかとか考えながら余裕を持ってやれたのが一番良かったかなと思います。何のためにどういう練習をしているのかっていうのが毎回できて、全部っていうくらい余裕を持ててやれました。

 きょねんは1年生で食らいついていくのがやっとで、上級生に少しでも勝てればと思って全力でやっていました。ことしに関しては2年生ということで後輩もいますし先輩もいて、真ん中の学年として後輩を引っ張らなきゃいけないという反面、まだ先輩に負けたくないっていうのがあって、本当に多くの刺激がありました。それこそ高田みたいに練習強いやつにどれだけ食らいついていけるかっていうのを考えていました。ことしの夏合宿はみんなで頑張ろうっていう雰囲気で、田中さんが中心になってチームとしての一体感が増したきっかけだったと思います。

三浦 僕はトラックシーズンから一つ一つの試合で自分の力が発揮できないのと、後半足が止まってしまうのが課題でした。夏合宿で練習量が多くなって疲労が溜まってくる中で、この質の高いポイントをどう楽にこなせるかということを目標においてやっていました。夏合宿重ねていく中で、一つ一つのポイントで最後フリーになった時とか先頭集団に食らいついていけたりしたこともありました。それはやっぱり自分に妥協したくないということもあって、粘れたので、そういうことは今後の駅伝やトラックシーズンにつながっていくのではないかと思いました。

強豪校出身ながらも大学駅伝経験のない三浦だが、箱根でデビューなるか

――先ほど三浦選手は絶好調とおっしゃっていましたが、夏合宿でのことがいまに生きていると感じる部分はありますか

三浦 きつくなってしまったら(走りが)上に跳ねてしまうんですよね。夏合宿の疲労がどんどん重なっていく中で自分にあった走りとか、楽な走り方っていうのが感覚でしかないんですけど、ある程度身につけられたので良かったです。

――見た目のフォームが変わったという訳ではないのでしょうか

三浦 本当に感覚の問題ですね。

高田 いや、違うねー(笑)。

一同 (笑)。

――新入生も夏合宿を初めて経験しましたが、新入生の印象はいかがでしたか

高田 文句なしで付いてくるのですごい刺激になりましたし、こっちからしたらくそ、この野郎みたいな(笑)。たしかにみんなで強くなりたいという思いはあるんですけど、一人一人が負けたくないっていう強い気持ちを持ってやっています。下級生が強い時の方がチームは強くなると思うので、そういう傾向を考えたらことしは1年生がみんな元気あって、それで上も動いて、いい感じに切磋琢磨(せっさたくま)できたんじゃないかと思います。

――1年生だけではなく、同級生へのライバル意識もありますか

 目標は高田に勝つことなんですけど、やっぱり練習だと高田が先頭で全体を引っ張っていくことが結構あるので、そういうのに自分も加われたらというか、自分も全体を引っ張っていけるように高田みたいな力があればなあと思います。だから高田は意識していますね(笑)。

――三浦選手はいかがですか

三浦 誰という目標は特に考えていないです。自分の力を出し切ることに意識を置いてやっています。

――練習中は高田選手が前を引っ張っていくというお話がありましたが、それはどういう意識でやっているのですか

高田 ことしになってからは練習で出し切らないようにというのを意識してやっています。たしかに絶対一番になりたいという気持ちは強いんですけど、練習ではもっと行きたいところもあるけど押さえながら、誰も引っ張る人がいなかったら行くみたいな感じで練習では腹八分、七分ぐらいでやれるようにはしています。

――練習で力を出し切らないという意図はどのようなところにありますか

高田 やっぱり練習で満足する自分が1年の頃とか上半期はあったので。例えば大迫さん(傑、スポ4=長野・佐久長聖)は大きな大会の時は練習とかでちょっとだけ確かめて、それで試合で爆発するというような感じでやっています。僕も自分の練習メニューの中でどれだけイメージをしながら余裕を持って、いざ試合になった時にどうできるかというのを意識しながらやっていました。

――すでに駅伝シーズンは始まっていますが、トラックシーズンでやり残したことはありましたか

高田 満足はいかない結果ですけどそれで見つかったものはあるので、いまはなるようになっているという感じです。別に後悔しても変わるわけじゃないのですべてプラスに捉えてやっています。

出雲、全日本の借りは箱根で返す

2つの前哨戦での失敗を乗り越え、いまはなんとか前を向いている柳

――それでは駅伝についての話題に移らせていただきます。柳選手、高田選手は出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)、全日本(全日本大学駅伝対校選手権)に出場してどのような感想を持たれましたか

 最初に話しちゃおう、その方が楽だ(笑)。ご存じの通り出雲、全日本と1区を走らせていただいて、ほんとにチームに迷惑をかけたというか、出だしがうまくつなげなくてけっこうな力を後半の人たちに使わせてしまっていて申し訳ないと思いました。でもそこは申し訳ないで終わらせずに次につなげなければいけません。次につなげられなかった方がそれこそ何も返せるものがないので。やっぱりこの二回連続で失敗するというのは特別なものだと思うので、その経験をさせてもらったことを生かして次は満足できるような結果を残せるようにしなければいけないと思います。レースが終わった後のみんなからの支えというか、声を掛けられたりとか、まあ一番声を掛けてくれたのは高田なんですけど、そういう人たちの気持ちとか支えてくれた恩というのを感じながら、今年はあと箱根しかないですけど、そこでいいかたちで恩を返せたらなあと思っています。失敗から学ぶことは多いと思うので、次の成功のためにもがんばっていきたいですね。

高田 純粋にやっぱり駒澤が出雲、全日本を見て完勝というか、僕らが上手くいったとしてもどうなのかなっていうぐらいかなり圧倒的に強かったですね。ただ他の大学もどこだってミスをしていて、どこの大学でも成功すれば勝てるチャンスはあると思います。そう考えた時に柳が失敗した出雲だったら、僕が2区だったんですけど、2区でできることっていったら流れをもう一度戻すことでした。1区と2区はセットというふうに考えることが多いと思うんですけど、そこで流れを変えられなかったというのは自分としても悔しいです。それでチームとしてもそれなりの結果になってしまうので。全日本でもまた柳が失敗して、後半区間で頑張ってたしかに4番まではいけたんですけど、上とは差がありました。柳がちゃんと来ていたとしても、主要区間での差がまだ大きいのかなあと。柳にしかないプレッシャーももちろんありますし、いろいろ抱えるているものもあるので、柳だけじゃなくて1年生だったり、僕らからしたらそこをどうカバーできるかが課題でした。そこで4位まで上がってこれたのはたしかにいいことなんですけど、まだ優勝を目指すチームにはなれていないのかなと思います。ただ個人の走りを振り返るとまだ練習の力が発揮できていません。渡辺さん(渡辺監督)だったり、竹澤さん(健介、平21スポ卒=現住友電工)、大迫さんというのはスターでもあってどんなときでも流れを変えられる選手なので自分もそういう選手になりたいし、みんながそういう選手を目指す意識でやればもっといいんじゃないかなあというのがこの二つの駅伝を通して見えた課題です。

――三浦選手は全日本ではエントリーメンバーに入っていましたが、出走はなりませんでした。その頃の調子はいかがでしたか

三浦 そのころは走りが安定していなくて、駅伝でもし走れなかったらっていう監督からの不信感というかそういうのが強かったですね。それは自分でも感じていたので走らないということはわかっていたんですけど、(柳選手、高田選手の)二人も1年の時から走ってるし、高校時代の後輩も区間賞を取ったり同年代の他大の選手も走っているのを見て悔しい気持ちもありました。でも、僕自身としてはそれよりも焦らずじっくり練習してやっていこうと思っていました。

――三浦選手から見て、今季のチームの結果について思うことはありますか

三浦 高田が言った通り、ほんとに駒澤大学は全員が力を出し切って、ワセダが全員力を出し切ってもどうなのかというのは考えたりもしたんですけど、4位という結果はチームにとってはいい影響をもたらしたのではないかと思っています。

――箱根に関して、三浦選手はいろいろなところから山下りへの名前が挙がっていますが準備などはしているのですか

三浦 一応候補かもしれないですけど実際これから何があるかわからないので走っても走らなくてもそういう時に備えて準備はしていきたいと思っています。

――ご自身としては平地より下るほうが得意ですか

三浦 そうですね。傾斜があるので跳ねても前に進むので(笑)。止まらずに進んじゃうんで。

一同 (笑)

高田 重力感じてるもんな(笑)。

三浦 だから下りっていうのは走りやすいと思いますね。

――高田選手と柳選手は上りや下りはいかがですか

高田 アップダウンは嫌じゃないんですけどガッツリ上ったりガッツリ下るっていうのはやっぱり抵抗あります(笑)。やったことがないっていうのもあるんですけど、ちょっとイメージできないです。

 僕はよくわからないです(笑)。

一同 (笑)。

 全日本の1区も結構アップダウンがあるんですけどそこで結果を出せていないということは、自分の中にそんなに適性があるわけではないんだろうなあというのは感じます。ただまだトラックシーズンでいう爆発力はロードでは発揮できてないのでまだ未知数ですね。

――柳選手は4回走った駅伝のうち3回が1区でしたが、それに関して何か思うことはありますか

 やっぱり僕を1区に置くってことはそれくらい監督、コーチからも信頼されていたということですし、他の人からもそこに置いても十分やっていけるだろうという選手に見られていたと思います。でも、3回も1区を走らせてもらったことにはすごく感謝しているんですけど、それをしっかりと結果で返すことができなくて少し残念なところはあります。

――全日本での走りはいま振り返っていかがですか

 出雲からの期間も短くて、出雲の終わった週末に記録会(所沢市選手権)があったんですけどそこではペースメーカーとして5000メートルまで引っ張るかたちになりました。落ち着いて自分の体調を把握して、回復していくことがじっくりできなかったっていうのもありました。出雲の1区でしっかり走れなかった分、全日本のメンバーが決まるまで自分は1区じゃないだろうなと考えていた部分もあるので、いざ1区に決まった時はほんとに驚いたというのが正直な気持ちです。走っている時もきょねんの全日本がフラッシュバックして嫌なイメージを持ったまま走って、しかも体調も良くないまま走っていたのでそれが重なって、今回のような結果になってしまったと思います。一度どん底まで落ちたのでここから後は這い上がるしかないです。

――他大に気になる選手や意識している選手はいますか

高田 服部(勇馬、東洋大)とか久保田(和真、青学大)、横手(健、明大)とかは元々戦って勝っていた経験もあるので、そういう相手が活躍していたらすごい悔しいです。置いていかれてるんですけど、自分の中では戦えるという自信はあります。そういう意味でもこの間の上尾で高校の先輩である市田(孝、大東文化大)さんや西池(和人、法大)さんと戦えたのでそれはすごく自信になりました。ただ、部内には大迫さんもいますし、大迫さんとかを見てやっているともっと上を目指さなければと思います。この間みたいに競り合えたとしても結局負けてしまっていますし、競るだけで終わらせたくないので戦ったらみんなに負けたくないです。

三浦 僕は勝亦(祐太、日体大)とかが、高校から一緒だったので意識はしています。あとは中谷(圭佑、駒大)とか。高校の時からの付き合いなので…。ちょっと走れているのをみるとこいつには負けたくないなというのは思います。

 ライバル視という意味では実力的に劣るので違うと思うんですけど、同じ埼玉県出身の設楽(啓太、悠太、東洋大)さんと服部翔大(日体大)さんていうのは常に自分の頭の中にありますし、大学で陸上をやろうというきっかけをつくってくれたのもあの人たちなので目標にしています。負けたくないなあと思うのは同世代の高校時代から有名だった選手たちです。誰っていうのではないですけど、同じ世代で走っている選手には一人でも負けたくないです。まあ、具体的に挙げるとしたら誰っていうのは、いまの練習や個人的なレースに関してはやっぱり高田ですね(笑)。

――箱根はどんなランナーにとっても特別な場所だと思います。三人にとって箱根駅伝とはどのようなものですか

高田 言っちゃって(笑)。

三浦 そうですね。高校のときにワセダの三冠を見て、そこからワセダに行きたいと思いだしたので、なんていうんですかね。やっぱり箱根駅伝は僕が走るきっかけ・・・。

高田 きたー(笑)。

三浦 だったのかなと思います(笑)。

――やはり三冠というのは大きかったですか

三浦 はい。こういうチームに入って仲間と一緒に三冠取って、みんなでワイワイしたいなということを思ってやっているので、いずれは三冠を取りたいです。

 高田は(まとめ役だから)最後でしょ。

三浦 そうやな。それがいいと思う(笑)。

 僕は三浦とは違って三冠のときはまだ陸上をやっていませんでした。ワセダが三冠したっていうのもテレビとかでニュースで見て知っているというぐらいだったんですけど、大学で陸上をやり始めてみるとどこの大学も箱根に合わせてきていますし、過去に三冠したっていう名門の大学に入って箱根を走るということはすごく名誉なことだと思います。でも、ただ走ったというだけではだめですし、そこでしっかり結果を残してこそ名誉なことであると考えています。箱根で良い結果が残せたら次のステップにいけると思いますし、箱根は最終的な目標ではなく、個人としてもっと上のレベルを目指していけるいいきっかけになるんじゃないかなと思います。

――では、最後に高田選手お願いします

高田 僕は中学校の3年か2年かぐらいの時に竹澤さんがすごい快走をしていて、その時に世陸(第11回世界選手権)やオリンピック(北京五輪)も出ていたんですけど、そのときにワセダとかじゃなくて竹澤さんにすごく憧れました。それでその後の冬の駅伝にワセダで出ていて、竹澤さんへの憧れプラスワセダへの憧れになって、箱根駅伝というより竹澤さんにあこがれてその舞台を目指したいと思いました。もちろん世界を目指す選手も多いですけど、やっぱり箱根っていうのはみんなが通る道で、誰もが走りたい舞台だと思うので、一つの憧れです。

――2年生には主力としての活躍が求められると思います。今回の箱根での目標を教えてください

三浦 チームとしては優勝することで、個人としては区間賞争い…。

高田 争い(笑)?

三浦 区間賞狙います!

 僕はとりあえず大前提としてしっかり走ること。それが最低条件で、欲を言えば区間賞争い…。

高田、三浦 争い(笑)?

 区間賞取ります!

高田、三浦 いえーい(笑)。

 もっと欲を言えば、やはり陸上歴が浅い中で区間賞を取るっていうのもすごいインパクトのあることだと思うので、そこで区間記録を塗り替えられたら…。

高田 いいねー(笑)。

 っていうのが最終的な、最高の目標ですね。でもまずは最初にしっかり走ることを大前提に頑張ります!

高田 僕は気負うタイプなので区間賞とかじゃなくて任された立場で頑張りたいです。

三浦 謙虚か、お前(笑)。

 謙虚だなー(笑)。

高田 素だよ(笑)。出雲、全日本で流れを変えられなかったので、流れを変えられるような選手としてチームの力になりたいと思います!

――ありがとうございました!

(取材・編集 西脇敦史、中澤佑輔)

箱根への意気込みを書いていただきました

◆高田康暉(たかだ・こうき)(※写真左)

1993年(平5)6月13日生まれのAB型。171センチ、54キロ。鹿児島実高出身。スポーツ科学部2年。三浦選手曰く、普段はふざけているとのことでしたが、競技の話題になるとその口調から真剣さが非常に伝わってきました。2年生長距離ブロックの中心的存在なだけあります!

◆三浦雅裕(みうら・まさひろ)(※写真中央)

1993年(平5)8月23日生まれ。166センチ、50キロ。兵庫・西脇工高出身。スポーツ科学部2年。三人で一文字ずつ色紙に書いた『一体感』という言葉は三浦選手が提案したもの。箱根では息の合った2年生トリオの活躍に注目です。

◆柳利幸(やなぎ・としゆき)(※写真右)

1993年(平5)4月23日生まれのO型。172センチ、57キロ。埼玉・早大本庄高出身。教育学部教育学科2年。出雲、全日本の後はかなり落ち込んだそうですが、チームメイトに支えられ、いまでは笑って振り返ることができるまでに復活。この借りは箱根で倍返しだ!