上級生中心に不安要素残る

駅伝

 昨日、早大・所沢キャンパスにて、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)前の公開取材が行われた。前日である21日に集中練習を終えたというエントリーメンバーたち。大迫傑(スポ4=長野・佐久長聖)も帰国し、箱根に向けてチーム一丸となって調整していく。しかし昨日の取材では、チームの不安材料も何点かうかがえた。

 まず、3年連続の5区出走が期待された山本修平(スポ3=愛知・時習館)のケガが判明した。取材は欠席だったため本人から話を伺うことはできなかったものの、渡辺康幸監督(平8人卒=千葉・市船橋)は「集中練習を2/3ほど積んだところで痛みが出たので、走り込みが足りないということはない」と状況を説明。他の選手の話によると、集中練習期間中は個人で練習を行うことが多かったという。渡辺監督の口からは、「5区を任せるのであれば、できれば1時間20分ほどでいいよと言ってあげたい。状況によっては8区での起用、ないし欠場もやむを得ない。」という言葉も聞かれた。その他にも、田中鴻佑(法4=京都・洛南)、三浦雅裕(スポ2=兵庫・西脇工)がこの期間に足を痛めた。2人も走れない状況ではないが、田中は2区候補、三浦は6区候補にそれぞれ名前が挙がっていただけに状況は明るくはなさそうだ。

上級生の調子が奮わないなか、チームの主力として活躍が期待される高田

 田中のケガにより2区出走への期待が高まる高田康暉(スポ2=鹿児島実)は、「スピードが活かせる区間を走りたい。自分では2区を走れる準備をして、当日は指示された区間をきっちり走るだけ」。集中練習の期間は竹澤健介(平21スポ卒=現住友重工)とともにトラックでスピードを意識した練習を行うこともままあったようで、2区を走るのであれば、前半は突っ込んだ方が良いというアドバイスも受けたそう。しかし夏明けから好調を保ってきた高田だが、ここに来て若干の疲労を感じてもいる。練習の負荷を少し軽めにしたというが、調子を取り戻すことはできるのか。

この1カ月間でさまざまな面で大きく成長したという中村

 一方で、順調に調整を進めている選手の姿も。出雲全日本大学選抜駅伝で大学駅伝デビューを果たした中村信一郎(スポ2=香川・高松工芸)は集中練習を完璧にこなせたと胸を張る。21日に行われた集中練習最終日では、10マイル走のラストを引っ張った。「この1ヶ月間で自信がついたし、練習でも前に出てチームを引っ張ることができるようになるなど成長できた」。走るなら復路だろうと控えめなものの、出走に関しては自信を見せた。また、地道に力をつけてきた高橋広夢(スポ3=東大付)も着実に練習を積んできている。10マイル走ではフリーとなったラスト5キロまで先頭集団として完走、首脳陣に好調をアピールした。

 この集中練習最終日には、高橋、中村のほか、高田、三浦、そして平和真(スポ1=愛知・豊川工)、武田凜太郎(スポ1=東京・早実)、井戸浩貴(商1=兵庫・龍野)らルーキートリオの計7人が先頭でゴール。その後先頭から3秒後に相原将仁(教4=東京・早実)、1秒後に柳利幸(スポ2=埼玉・早大本庄)、10秒後に田口大貴(スポ3=秋田)が続いたという。平が「ことしは4区を走りたい」、武田が「1区を走る自信はある」とそれぞれ述べるなど下級生の勢いは衰えていない。あとは箱根の経験のある上級生が、残りわずかな期間で底力を見せたいところだ。万事順調とは言えない状況だが、あと10日でどこまで仕上げられるのか。エース大迫を擁して望む最後の箱根。粘り強い走りを期待したい。

(記事 深谷汐里、写真 手塚悠、菅真衣子)