全日本駅伝展望

駅伝

 ことしで49回目を数える全日本大学駅伝対校選手権(全日本)。ことしは区間エントリーにおいて、一部ルールが改定された。レース2日前の11月3日、監督会議で区間エントリーが発表。ここから補員との変更が3人まで可能なのは例年通りだが、最終的な確定は5日のレース当日朝、午前7時頃に行われる。なお、エントリー済みの選手の区間を変更することはできない。

 出雲全日本大学選抜駅伝では調整不足がたたり、重要区間での失速が響き9位に沈んだ早大。しかし、このまま負けたままではいられない。「個人としてもしっかり1カ月準備して立て直したい」(永山博基、スポ3=鹿児島実)。早大は出雲の雪辱を果たすべく、全日本に焦点を置き練習を積んできた。11月3日時点での区間エントリーをもとに、伊勢路での戦況を見通していく。

 1区を任されたのは出雲に引き続き太田智樹(スポ2=静岡・浜松日体)だ。出雲は直前に韓国・仁川のハーフマラソンに出走した疲労の影響もあってか、区間7位の凡走。しかし太田は1万メートルで関東学生対校選手権9位、日本学生対校選手権(全カレ)7位と、トラックシーズンを通して安定した成績を残している。他大学も東海大の鬼塚翔太、山梨学院大の上田健太と1区に実力者を配置しており、ライバルに後れを取ることなくレースの流れをつくりたい。続く2区には河合祐哉(スポ4=愛知・時習館)がエントリー。トラックシーズンでは対校戦の出走こそなかったものの、記録会では終盤まで粘る印象が強い選手。Bチームで実力を磨いた成果を、ついに駅伝で発揮するときがきた。3区には谷口耕一郎(スポ4=福岡大付大濠)が抜擢。河合と同じく最上級生としてBチームを引っ張ってきたひとりだ。スピード系の選手である谷口が、最短区間の9.5キロを上手くつなぐことができるか。4区にエントリーの藤原滋記(スポ4=兵庫・西脇工)は、昨年の全日本では6区に出走。いわゆる『つなぎ区間』の出番が多かった藤原だが、今回は4年生として、準エース区間の4区に抜擢された。また補員には安井雄一駅伝主将(スポ4=千葉・市船橋)、光延誠(スポ4=佐賀・鳥栖工)が控えている。どちらも経験豊富な4年生なだけあって、重要区間で力を発揮してほしいところだ。

安定感が売りの太田。ことしも1区で好位置につけたいところだ

 5区に名乗りを上げたのは宍倉健浩(スポ1=東京・早実)。故障で出雲出走のチャンスは逃したものの、全日本にはしっかり調子を合わせてきた。全カレ5000メートルのような積極的な走りに期待したい。昨年の全日本で4区区間賞を獲得し、2位の青学大との差を広げた永山は、春先からケガに悩まされたが、全日本は6区にエントリー。1万メートルチームトップのタイムを持つ永山の完全復帰は、今後の駅伝を戦ううえでカギとなるだろう。7区にはルーキー吉田匠(スポ1=京都・洛南)が入った。全カレ3000メートル障害では、相楽豊駅伝監督(平15スポ卒=福島・安積)に『合格点』をもらうレース展開で6位入賞。Aチームで継続して練習を積み、満を持して大学駅伝デビューを迎える。最終区間にして最長19.7キロに挑むのは、石田康幸(商4=静岡・浜松日体)。出雲はエントリーから外れるものの、同日開催の出雲市記録会では5000メートルで自己ベスト更新。「全日本は自分の主戦場だと思っている」(石田康)と語るように、ハーフマラソンでの実績を鑑みても、距離への適性は十分といっていい。橋詰大慧(青学大)、鈴木健吾(神奈川大)といった強敵に臆せず渡り合い、勝機を見出したい。

 「全日本は僕個人としても、チームとしても前回ああいったかたちで負けてしまって悔しい思いをしているので、もちろん目標は優勝です」(安井)。前回大会は3区で青学大を突き放し先頭でレースをするも、最終8区で一色恭志(青学大)に逆転を許した。昨年のアンカー安井はもちろん、チームとして伊勢路でリベンジを果たすときがきた。全日本で飛躍し、1月の東京箱根間往復大学駅伝につなげることができるか。ここが早大の分水嶺といっていいだろう。

(記事 鎌田理沙、写真 平松史帆)

第49回全日本大学駅伝対校選手権
区間 距離 名前 学部・学年 出身校
1区 14.6キロ 太田智樹 スポ2 浜松日体
2区 13.2キロ 河合祐哉 スポ4 時習館
3区 9.5キロ 谷口耕一郎 スポ4 福岡大付大濠
4区 14.0キロ 藤原滋記 スポ4 西脇工
5区 11.6キロ 宍倉健浩 スポ1 早実
6区 12.3キロ 永山博基 スポ3 鹿児島実
7区 11.9キロ 吉田匠 スポ1 洛南
8区 19.7キロ 石田康幸 商4 浜松日体
補欠    安井雄一 スポ4 市船橋
      光延誠 スポ4 鳥栖工
      清水歓太 スポ3 中央中教校
   西田稜 政経3 早大学院
      新迫志希 スポ2 世羅

1区 14.6キロ:太田智樹(スポ2=静岡・浜松日体)

1997(平9)10月17日。175センチ、60キロ。

5000メートル 14分05秒92

1万メートル 29分09秒06

ハーフマラソン 1時間2分48秒

出雲に引き続き1区へエントリー。ことしも全日本で『鬼門』の1区を攻略し、後続に流れを引き寄せることができるか。

2区 13.2キロ:河合祐哉(スポ4=愛知・時習館)

1995年(平7)9月21日生まれ。168センチ、56キロ

5000メートル 14分21秒54

1万メートル 29分56秒19

ハーフマラソン 1時間4分53秒

4年目にして初の大学三大駅伝エントリーを果たす。優しい性格ながらことしは勝負に対して貪欲な姿勢を見せ始めたBチームの柱。チームを鼓舞する走りに期待。

3区 9.5キロ:谷口耕一郎(スポ4=福岡大付大濠)

1995年(平7)9月29日生まれ。172センチ、52キロ。

5000メートル 14分14秒75

1万メートル 30分25秒20

ハーフマラソン 1時間5分01秒

河合と同じく、学生三大駅伝初エントリー。最短区間に起用されたスピードランナーが4年生としての意地を見せたいところだ。

4区 14.0キロ:藤原滋記(スポ4=兵庫・西脇工)

1995(平7)10月16日。176センチ、57キロ。

5000メートル 14分08秒36

1万メートル 29分03秒96

ハーフマラソン 1時間3分23秒

昨年は同大会の6区で区間2位。出雲では5区区間5位でまとめ、ことしの全日本は満を持して4区にエントリー。チームの核として見せる力走に注目だ。

5区 11.6キロ:宍倉健浩(スポ1=東京・早実)

1998年(平10)6月19日生まれ。170センチ、52キロ。

5000メートル 14分04秒71

1万メートル ――

ハーフマラソン ――

出雲はケガで出走を見送ったが、全日本でついに大学駅伝デビュー。初めての舞台でも臆さず、ルーキーらしい攻めの走りでチームを活気づかせたい。

6区 12.3キロ:永山博基(スポ3=鹿児島実)

1996(平8)7月20日。168センチ、51キロ。

5000メートル 13分58秒81

1万メートル 28分25秒85

ハーフマラソン 1時間2分55秒

去年4区区間賞でチームに流れを呼び込んだ、早大のエース。春から続いたケガの影響が不安視されるが、ここで建て直すことができるか。

7区 11.9キロ:吉田匠(スポ1=京都・洛南)

1999(平11)3月25日。172センチ、57キロ。

5000メートル 14分17秒53

1万メートル 30分00秒68

3000メートル障害 8分51秒66

ハーフマラソン ――

主戦場は3000メートル障害だが、高校時代は都道府県駅伝などロードでも活躍を見せた吉田。宍倉と同じく初の大学駅伝で、堅実にタスキをつなぐ。

8区 19.7キロ:石田康幸(商4=静岡・浜松日体)

1995年(平7)12月21日生まれ。175センチ、56キロ。

5000メートル 14分10秒30

1万メートル 29分29秒16

ハーフマラソン 1時間4分13秒

出雲ではエントリーから漏れ、悔しさをあらわにした石田であったが、全日本は最長区間の8区に抜擢。距離の適性もさることながら、最上級生として意欲的に取り組んだ練習の成果をここで発揮したい。

補欠:安井雄一駅伝主将(スポ4=千葉・市船橋)

1995年(平7)5月19日生まれ。170センチ、56キロ。

5000メートル 14分09秒39

1万メートル 29分07秒01

ハーフマラソン 1時間2分55秒

補欠:光延誠(スポ4=佐賀・鳥栖工)

1995年(平7)7月18日生まれ。167センチ、49キロ。

5000メートル 13分53秒08

1万メートル 29分03秒47

ハーフマラソン 1時間3分44秒

補欠:清水歓太(スポ3=群馬・中央中教校)

1996年(平8)5月3日生まれ。168センチ、52キロ。

5000メートル 14分08秒96

1万メートル 29分24秒33

ハーフマラソン 1時間3分08秒

補欠:西田稜(政経3=東京・早大学院)

1997年(平9)2月15日生まれ。167センチ、53キロ。

5000メートル 14分26秒42

1万メートル 30分02秒56

ハーフマラソン 1時間8分57秒

補欠:新迫志希(スポ2=広島・世羅)

1997年(平9)4月28日生まれ。163センチ、49キロ。

5000メートル 13分47秒97

1万メートル 29分07秒06

ハーフマラソン ――