大学駅伝シーズン開幕! 早稲田らしい走りで『3位以内』へ/出雲駅伝展望

駅伝

 大学駅伝シーズンがいよいよ幕を開ける。その初戦を飾るのは、10月14日に島根県出雲市で開催される第36回出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)だ。昨年度2年ぶりに出雲路を出走した早大は、「学生駅伝3位以内」をチーム目標に掲げながらも5位。続く2つの駅伝でも目標未達に終わり、他大学との差を痛感した。そこから1年。今季の早大は、昨年度の駅伝経験者に加え、全国高等学校駅伝競走大会(都大路)で活躍した大物ルーキーのほか、大学駅伝初エントリーを果たした一般組などのメンバーが仕上がり、選手層がより厚みを増している。そんなチームが、今回の出雲で掲げる目標は、昨年と同様の「3位以内」。今大会で3位以内に入れば、過去に学生三大駅伝で3冠を達成した翌年の2011年以来、13年ぶりの表彰台入りとなる。早大は今大会で古豪復活への足掛かりを得られるか。出雲路に臨む早大の布陣を紹介する。

 出雲大社をスタートする1区では、早大のエース・山口智規(スポ3=福島・学法石川)が満を持して起用された。昨年はアイビーリーグ選抜を中心にハイペースに展開された1区だが、今年も同チームで27分台前半ランナーがエントリーしたほか、他大学でも鶴川正也(青学大)や斎藤将也(城西大)などが揃い、1区から実力伯仲の戦いが予想される。早大のエースは激戦の1区を制し、スターターとしてチームに追い風を吹かせることができるか。

昨年の出雲2区を走る山口智

 そして2区には、伊藤大志駅伝主将(スポ4=長野・佐久長聖)がエントリーされた。2区は最短区間でありながら、ペース配分が重要視される。そんな2区を走る伊藤大駅伝主将は、1年から主力として活躍してきたが、今季も5000メートルで早稲田歴代4位のタイムを叩き出すなど、力を伸ばし続けてきた。ラストの出雲路で、チームを目標達成へと導く。

日本学生対校選手権5000メートルで、準優勝を果たした伊藤大

 そして3区に起用されたのは、山口竣平(スポ1=長野・佐久長聖)。5000メートルで高校歴代5位のタイムを持ち、3年時の都大路では、チーム優勝の立役者となった大物ルーキーが遂に大学駅伝に放たれる。3区は留学生ランナーや各大学の強者がそろう主要区間。しかし今季の山口竣は、春先のパリ遠征や対校戦などに出場し、物おじしない走りを見せてきた。1年生らしからぬ堂々とした走りで、いい流れを作りたい。

関東学生対校選手権5000メートルを走る山口竣

 後半の4区には大学駅伝初エントリーとなる、藤本進次郎(教3=大阪・清風)が起用された。今まで虎視眈々(こしたんたん)と駅伝メンバー入りを狙っていた藤本。遂に努力が実を結み挑む今大会では、初エンジにしてアップダウンの激しい4区を戦うことになる。そんな藤本は、直近の『The Road of WASEDA』で学内3位に入るなど、今やチームでも存在感を増している選手だ。長身を活かした大きなストライドで、出雲路を颯爽(さっそう)と駆け抜けてほしい。

『The Road of WASEDA』を走る藤本

 5区にエントリーされたのは、長屋匡起(スポ2=長野・佐久長聖)。昨年の出雲では6区区間5位と好走を見せたものの、その後の故障で2つの駅伝に絡むことができず。春先まで苦しい期間が続いた長屋だったが、ひたむきな努力を重ね、復調を遂げた。こちらも直近の『The Road of WASEDA』で学内5位に入っている。長屋の得意とする単独走が予想される5区。アンカーに真っ先にタスキをつなげられるか。

昨年の出雲6区を走る長屋

 そして最終6区には、工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)が起用された。昨年の東京箱根間往復大学駅伝(箱根)5区では「山の名探偵」として一風を巻き起こした彼だが、今季は学生ハーフマラソンで3位に入ると、トラックでも安定した強さを放っている。6区には駒大の篠原倖太朗をはじめ、青学大の太田蒼生や国学院大の平林清澄など各大学のエース級選手が起用されているものの、今季の工藤も充分その選手らと渡り合える力を持つ。「早稲田の名探偵」には出雲路を攻略し、後続を突き放す、もしくは順位を一つでも上げる走りに期待したい。

昨年の出雲4区を走る工藤

 また、当日エントリー変更が可能な2人の補員には、間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工)と吉倉ナヤブ直希(社1=東京・早実)が登録されている。昨年5区区間4位と上々の走りを見せた間瀬田は、今季持ち味のスピードに加え、スタミナ強化も図ってきた。吉倉の方は、U20日本選手権1500メートルで3位表彰台を飾るなど、とにかくスピード勝負に強い。この2人のスピードランナーがどのように区間変更に絡んでくるのか。当日朝の区間変更にも注目が集まる。

 三大駅伝の中では最も距離が短く、スピードとスタミナの塩梅が重要視される出雲駅伝。そんな出雲で『3位以内』を目標に掲げた早大は、優勝候補に挙がる青学大や駒大、国学院大などの強豪にも劣らない走りが求められる。しかしながら多くの選手が「今季の早稲田は強い」と自負するように、例年にも増してチーム力が上向いているのは確かだ。あとは大学駅伝初戦となる出雲駅伝でエンジの強さを証明するのみ。出雲の神々を味方につけ、早大は駅伝シーズン初戦の舞台に挑む。

(記事 草間日陽里)

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