雨の影響での一時中断もあり、安定しない天候の中、男子第99回・女子第2回早慶対抗競技会(早慶戦)が慶大日吉陸上競技場で開催された。男子は32―25で昨年敗れた雪辱を果たし、慶大に勝利。女子も25ー14と昨年に引き続き2年連続で対抗戦を制し、早慶戦を優勝。これにより、通算成績を76勝20敗2ノーゲームとした。
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仲間に応援を送る部員たち
早大は序盤から順調に得点を重ねていく。最初のトラック対抗種目である男子400メートルでは新上健太(人4=東京・早実)、眞々田洸大(スポ3=千葉・成田)、竹内彰基(スポ4=愛知・瑞陵)がワン・ツー・スリーフィニッシュ。早大に流れを引き寄せる走りを見せた。男子1500メートルでも1、2、3位を独占。1300メートル付近から先頭争いが行われたが、関東学生対校選手権 (関カレ)800メートル覇者の坂本達哉(教4=東京・淑徳巣鴨)が日野斗馬(商3=愛媛・松山東)との一騎打ちを制し、見事優勝を収めた。女子200メートルや女子100メートルハードルでも1、2位を占める活躍。慶大を圧倒した。
400のレースを走る新上
フィールド種目でも健闘。女子走幅跳では内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田)、中尾心春(スポ1=兵庫・長田)がルーキーながらワン・ツーを取り得点を重ねる。男子円盤投や女子走高跳でも優勝を収め、男女アベック優勝に貢献する活躍を見せた。 試合の間にはユニバに出場した選手たちのセレモニーが行われた。早大からは井上直紀(スポ2=群馬・高崎)、稲毛碧(スポ4=新潟・東京学館新潟)、西裕大(教4=埼玉・栄東)、菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)が参加。世界の舞台で勝負した経験を語るとともに、今後の陸上競技への意気込みや決意を語った。
セレモニーでのユニバ出場メンバー(左から井上、稲毛、右から菖蒲、西裕)
やはり今大会の注目競技は最終種目の4×200メートルリレー(8継)。「昨年より強いメンバーがそろえられたと思っているので、日本記録、アジア記録は狙っていた」(西裕)と早大が昨年に叩き出した日本記録の1分21秒44と昨年を超える走りを目指した。1走から、世界ユニバーシティー大会(ユニバ)銀メダリストの西裕、ユニバ出場の稲毛、関カレのファイナリスト・島田、昨年に日本記録を出した8継のアンカー・千田と錚々(そうそう)たる布陣で挑んだ。2走目までは慶大と競る形に。3走の島田で前に立つと、4走の千田で慶大を大きく離すレース展開となった。しかし、2年連続の日本記録更新とは惜しくもならず。1分21秒82でのフィニッシュとなった。
レースを走る1走の西(写真奥)と稲毛
今大会は、男子は昨年逃した王座を奪還。女子も第1回大会に引き続き、対抗戦の勝利を収め早慶戦を制した。(早慶戦は)「慶應にとっても早稲田にとっても全カレ(日本学生対校選手権)につながる、すごくいい大会だった」と西裕が語るよう全カレへの弾みになったのは間違いない。短距離として目標にしてきた全カレ総合優勝へ。この1年間の思いをぶつける舞台はもうそこまで来ている。
(記事 近藤翔太、写真 加藤志保、飯田諒、戸祭華子、堀内まさみ)
コメント
田中天智龍主将(スポ4=鹿児島南)
――今年は男女ともに勝利しましたが、主将としてチームの結果についてはどのように考えていますか
今回は1カ月後に日本インカレ(日本学生対校選手権)があるということで、時期的には例年とは違いますが、絶対に勝って全カレと次の駅伝シーズンにつなげたいと思っていたので、男女で優勝できたのはすごく大きな勢いになったと思います。
――主将として一番印象に残っているレースは何ですか
400メートルで新上(健太、人4=東京・早実)が優勝したことです。トワイライト(トワイライト・ゲームス)、富士北麓(富士北麓ワールドトライアル)もそうですし、ここまで調子が上がらずという感じでしたが、彼の意地を見たような、そういうレースを400(メートル)で見れたので、すごくうれしかったですし、僕も頑張ろうという気持ちになりました。
――ここからの1カ月間、全カレに向けてチームとしてはどのように過ごしていきたいですか
全カレは、短距離として1年間で一番目標にしていた大会なので、本当に死に物狂いで点数を取って、日本インカレ総合優勝というところを目指していきたいです。ですが、出る人だけではなくて、出場することができなかった人がこの1カ月チームのために何ができるのかを考えて、どういうふうに行動していくのかが日本インカレの総合優勝に向けてのカギになると思います。もちろん点数を取るのは出場する選手ですが、支える人たち、出場できなかった人たちがどういうふうに行動していくのかというところを僕も見ていきたいですし、言っていきたいなと思います。
――全カレに向けて、個人としての意気込みをお願いします
個人としては、今年は本当に関カレ(関東学生対校選手権)で総合優勝を獲(と)れなかったのは、僕の責任だと思いますし、(総合1位とは)6点差だったと思うのですが、僕の6点だと思っています。最後は、背中で結果を見せられるように今頑張っているので、最後の最後まで諦めずにやりたいです。2連覇も、色々な人に「背負いすぎるな」とか「気負いすぎるな」とは言われるのですが、僕は去年優勝した時から日本インカレ2連覇はずっと目標にしていたので、そこに向けて、自分の陸上というか『田中天智龍』としてどう終われるかを意識してやっていきます。
西裕大(教4=埼玉・栄東)
――早慶戦全体を振り返っていかがかですか
普段と違う時期で、この時期にやるのが初めての試みで僕ら自身も自分たちで競技会を作る上で手探りな部分はありました。ただ、慶應にとっても早稲田にとっても全カレにつながる、すごくいい大会だったのではないかと思います。
――今年は男女ともに勝利しました。その点についていかがですか
去年僕らは負けているので。やっぱり慶應には勝ちたいですし。そういう意味で、400(メートル)でワン・ツー・スリーだったり8継で勝てたりというのはすごく良かったなと思います。一方で、100(メートル)で2位、3位をいかれてしまったのは課題が残ったなと思います。
――その中で8継を振り返っていかがですか
まず自分の走りで言うと、まだユニバから帰ってきて5日目とかでだいぶガス欠で不甲斐ない走りでした。それでもラップタイムが20秒8というタイムでまとめられたのは良かったと思います。僕と同じ稲毛(碧、スポ4=東京学館新潟)もガス欠で、4年生2人が日本記録やアジア記録を目指す上で足を引っ張ったのは情けないのですが、ぜひ後輩たちには日本記録を更新してほしいです。
――やはりレース前には日本記録は意識されていましたか
メンバーで言えば、昨年より強いメンバーがそろえられたと思っているので、日本記録、アジア記録は狙っていたのですが、そう簡単ではないですね。
――最後に、今後の意気込みをお願いします。
1か月後には日本インカレが待っています。田中天智龍を主将とした僕ら109代目早稲田大学競走部は全カレで総合優勝を取るという目標からスタートしている代なので、やはりその芯は揺らさずに。しっかり総合優勝を取りたいと思います。個人としては、やはり200で学生個人、全カレ、日本インカレと学生三冠なのでそこを目指してやっていきたいです。あとは何よりも、昨年4×100メートルリレーで全カレを戦ったのですが、自分が筑波大学を抜けずに3位に終わり、三浦励央奈さん(令5=スポ卒)と澤大地さん(令5=スポ卒)を勝たせられなかったのは僕の陸上競技において一番の挫折でもあるので、しっかりと今年は4継でも200でも勝ちたいです。