【競走】大和田をはじめ3人が自己記録を更新! 門馬と須山は4年間の思いを胸にラストレースを飾る

陸上競技

第7回早大競技会 12月27日 埼玉・織田幹雄記念陸上競技場

 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)が間近となったこの日、年内最後の早大競技会が開催された。5000メートルと1万メートルのレースが行われ、大和田を含め3人が自己記録を更新するなど、エントリー外の選手たちがチームに勢いをもたらす走りを見せた。また、本競技会はエントリーから外れた4年生にとっての引退レースとなった。今年は門馬海成(政経4=福島・会津)と須山向陽(スポ4=鹿児島城西)の2人の4年生が出場し、現役最後のレースを締めくくった。

 1万メートル1組には大和田春(スポ2=高知追手前)、安江悠登(法3=埼玉・西武学園文理)、冨田拓臣(スポ1=茨城・水城)が出場した。レースはスタート直後から中大の大石港与プレイングコーチがレースを引っ張った。序盤は安江が先頭にぴったりと位置取り、大和田と富田は集団後方でリズムを刻んだ。1キロ3分を切る安定したペースでレースが進む中、3000メートル過ぎに安江が集団から後退する。一方、大和田は2000メートル過ぎから徐々にペースを上げ、4000メートル手前で先頭集団へ。大和田は6000メートルまで集団に食らいつき、単独走となった後も粘りの走りを見せた。大和田は従来の自己記録を40秒以上更新する30分31秒72を記録。また、今季力をつけてきた1年生の冨田も自己記録を更新し、今シーズンのレースを終えた。

 5000メートル1組には門馬、須山、鈴木翔瑛(人2=群馬・富岡)、桑原マテウス大地(スポ1=東京・国学院久我山)、辻陽介(スポ2=愛知・岡崎)、神先強志(スポ1=東京・駒澤大学)、安食光翔(スポ1=山形南)、斉藤天紀(スポ1=埼玉・川越東)の8人が出場。スタートから集団で進んでいたレースが動いたのは1000メートル。鈴木翔が集団から飛び出すと、後続もこれに反応し、ほどなく吸収される。集団は縦長になりながら、4000メートル手前まで一定のペースを維持。ラスト1000メートルの地点では、中大の選手が飛び出し、一気にペースが上がると、鈴木翔もこれに追随。14分50秒10で早大トップとなった。桑原も続いて14分51秒96でゴールした。また、今季は長期離脱を強いられていた辻が14分53秒04を記録し、自己記録を約5秒更新。復活を印象づける走りを見せた。

 そして4年生の門馬、須山にとって、このレースは現役最後の舞台となった。早大でともに練習を重ねてきた仲間に「少しでも勇気を与えられる走りをしたかった」と語った門馬。当日は家族も応援に駆けつけ、最後のレースにふさわしい晴天のもと、14分56秒25でフィニッシュ。自身のコンディションを踏まえて設定した目標である「15分切り」を達成する、執念の走りを披露した。レース後には競技人生で「一番楽しいレースだった」と振り返り、「もう一度人生をやり直すとしても、もう一度早大競走部に入りたい」と語るなど、4年間の充実ぶりをうかがわせた。門馬の走りは、箱根エントリーメンバーにも確かな勇気を与えたことだろう。

 また、須山は1年時に箱根のメンバー入りを果たした実績を持つ一方で、2年目以降は「左足の力が抜ける感覚」に悩まされ続けてきた。それでも歩みを止めることなく、フォームを見直しながら練習を積み重ねてきた。自己記録14分15秒33を持つ須山にとって、ラストレースとなった15分01秒97は満足のいく数字ではなかったかもしれない。しかし、陸上競技に真摯に向き合い、苦難を乗り越えてきた日々の先で見せたその姿は、タイム以上の価値を持ち、見る者の記憶に深く刻まれるレースとなった。

 5000メートル2組に出場したのは、佐藤広人(創理2=埼玉・早大本庄)。第2集団でレースを進めた佐藤は、淡々とペースを刻み、14分38秒68でフィニッシュ。そして、5000メートル3組に出場した立迫大徳(スポ2=鹿児島城西)は、残り1周で切り替え、自慢のラストスパートを発揮。14分19秒56の組3着でゴールし、大学ベストを記録した。

 箱根駅伝出場校が参加した今年最後の早大競技会。各大学のエントリー外の選手たちが力走し、チームメートへエールを送った。早大は4年生の意地の走りや、複数選手の自己ベスト更新など、箱根に向けてますます勢いづいたに違いない。来年の箱根駅伝では、目標である「総合優勝」をチーム一丸となって成し遂げる。

(記事 石本遥希、写真 會川実佑、川田真央、佐藤結、森若葉)

結果

▽男子1万メートル

大和田春(スポ2=高知追手前)  30分31秒72 (1組8着)自己新

冨田拓臣(スポ1=茨城・水城)  30分34秒62 (1組10着)自己新

安江悠登(法3=埼玉・西武学園文理)  30分54秒34 (1組17着)

▽男子5000メートル

鈴木翔瑛(人2=群馬・富岡)  14分50秒10 (1組4着)

桑原マテウス大地(スポ1=東京・国学院久我山)  14分51秒96 (1組6着)

辻陽介(スポ2=愛知・岡崎)  14分53秒04 (1組7着)自己新

門馬海成(政経4=福島・会津)  14分56秒25 (1組9着)

神先強志(スポ1=東京・駒澤大学)  14分57秒19 (1組10着)

安食光翔(スポ1=山形南)  14分57秒45 (1組11着)

須山向陽(スポ4=鹿児島城西)  15分01秒97 (1組14着)

斉藤天紀(スポ1=埼玉・川越東)  15分17秒33 (1組21着)

佐藤広人(創理2=埼玉・早大本庄)  14分38秒68 (2組10着)

立迫大徳(スポ2=鹿児島城西)  14分19秒56 (3組3着)

 

コメント

ーーコンディションはいかがでしたか

 練習はできていましたが、調子があまり上がっていませんでした。今年最後のレースはしっかり走ろうと思い、準備をしてきました。少し寒いと思っていましたが、走ってみたら大丈夫でした。

ーーレースにはどのような気持ちで臨みましたか

 今年最後のレースであり、箱根駅伝前最後の記録会でもあったので、チームが勢いに乗れるように頑張って走ろうと思っていました。

ーー目標タイムはどれくらいでしたか

 練習は積めていたので、29分台を目標にしていましたが、今日は(目標タイムには)届かなかったので、次のレースでまた頑張りたいです。

ーーレースプランはどのように考えていましたか

 先頭が良いペースで引っ張ってくれると聞いていたので、(1000メートル)3分を切るペースで、先頭についていこうと考えていました。

ーー5000メートルまで集団についていきましたが、どのようなことを考えて走っていましたか

 序盤は余裕をもって走ることができていましたが、集団がバラけたときに走りが崩れてしまったので、改善していきたいです。

ーーレース全体を振り返っていかがですか

 29分台を目標としていて、そこに届かなかったので、悔しいです。

ーーエントリーメンバーにエールをお願いします

 強い選手ばかりであり、練習も積めているので、往路優勝そして総合優勝を成し遂げられるようにサポートしていきたいです。

 

ーーコンディションはいかがでしたか

 寒い中ではありましたが、晴れていて、最後のレースにふさわしい、良いコンディションであったと思います。

ーーレースにはどのような気持ちで臨みましたか

 僕は箱根駅伝を走れないので、箱根駅伝を走る今まで一緒に練習をしてきた仲間に少しでも勇気を与えられるように、精いっぱい頑張ろうという気持ちでした。

ーー目標タイムはどれくらいでしたか

 自己ベストを目指して14分30秒を狙いたかったのですが、今までの練習の状況を踏まえ、15分を切ることを目指して走りました。

ーーレース全体を振り返っていかがですか

 タイムとしては、そこまで良くはありませんでしたが、今まで走ってきた中で一番楽しいレースでした。仲間や家族の応援が力になりました。

ーー早大競走部での4年間はどのような4年間でしたか

 もっと頑張って箱根駅伝を走りたかったという気持ちはあります。オーバートレーニング症候群のような症状が出てしまい、うまくいかない4年間でしたが、もう一回人生をやり直すとしても、もう一度早大競走部に入りたいと思えるくらい、充実した4年間であったと思います。

ーーエントリーメンバーにエールをお願いします

 強いメンバーなので、自信をもって最高のレースにしてほしいと思います。