【競走】14年ぶり出雲表彰台へ視界良好! 2度目のロード記録会は充実の結果に

陸上競技

第5回早大競技会 The Road of WASEDA 9月28日 埼玉・織田幹雄記念陸上競技場・700メートルロード

 9月28日早朝、早稲田大学所沢キャンパス内の周回ロードコースで、昨年に引き続き2回目の開催となる「The Road of WASEDA」が行われた。種目は、1周700メートルのコースを7周と100メートルを走る5キロ。駅伝シーズン開幕が迫っている中開かれた本記録会には、早大からは17人が出場した。早大トップは、13分44秒で1組3着となった工藤慎作(スポ3=千葉・八千代松陰)。他の選手も13分台から14分前半の好タイムを多数記録し、11人の選手が自己ベストを更新した。

※本記事における、周回の距離は以下の通りである

1周目(0・8キロ)

2周目(1・5キロ)

3周目(2・2キロ)

4周目(2・9キロ)

5周目(3・6キロ)

6周目(4・3キロ)

ゴール(5・0キロ)

 1組には2週間後に迫る出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)にもエントリーされている工藤、吉倉ナヤブ直希(社2=東京・早実)、堀野正太(スポ1=兵庫・須磨学園)の3選手が出場した。岡田開成や本間颯、溜池一太ら、中大の主力が顔をそろえたこの組。序盤から中大勢が果敢に先頭を引っ張る展開に、早大の3人は冷静に対応。「中大が引っ張ることは分かっていたので、後ろにつくことを意識して走った」という工藤は終始リズムを崩さず、2番手でラスト1周を通過。最後はペースを上げ、岡田、本間に次ぐ、3着でゴール。13分44秒をマークし、「思っていたより走れていた」と振り返った。最後の1周に入る時点では、8番手であった吉倉も怒涛のラストスパートで追い込み、工藤と同タイムながら着差ありの組4着。5000メートルの自己記録は14分08秒70である堀野も、夏の成果とロードの強さが見える走りで、13分49秒でフィニッシュ。3人そろって自己新記録の好記録を残した。

 2組には伊藤幸太郎(スポ4=埼玉・春日部)、宮岡凜太(商4=神奈川・鎌倉学園)、瀬間元輔(スポ2=群馬・東農大二)の3選手が出場。うち、宮岡と瀬間は出雲のチームエントリーメンバーとして選出されており、惜しくも漏れてしまった伊藤幸は「同じ組で走っていた2人の出雲メンバーを意識して走った」と、静かに闘志を燃やしていた。好走を見せたのはその伊藤幸と、宮岡だ。2選手は序盤、集団の中央に位置取りレースを進めたが、中盤に入るにつれて、ポジションを前へと上げていった。ゴール直前では3着を2人で争い、ともに13分57秒でフィニッシュ。着差で伊藤幸が組3着、宮岡は組4着となった。13分台を出すことを目標としてきた伊藤幸は、高校生時代の自分と今の自分を比較し、「(当時から)大幅にタイムを更新することができた」と、自身の成長を実感し、喜びを噛みしめた。瀬間は、序盤好位置でレースに入ったものの、終盤でペースを維持できず、11着となった。

 3組に出場したのは宮本優希(人3=智辯学園和歌山 )と多田真(人1=京都・洛北)。スタート直後、積極的に前へ飛び出したのは多田。宮本は後方で構え、落ち着いた入りから徐々に順位を上げる。5周目に入る時点では8番手まで浮上し、、後半も粘りを見せ、14分20秒の自己記録で10着でゴールした。多田は3周目以降、少しずつポジションを落とす苦しい展開になったが、最後まで粘り、組12着でフィニッシュした。

 4組は間瀬田純平(スポ4=佐賀・鳥栖工)、小平敦之(政経3=東京・早実)、大和田春(スポ2=高知追手前)の3選手が出場。この組では、帝京大の選手たちが先頭集団を形成。出雲のエントリーメンバーである間瀬田は、果敢にこの流れに乗り、序盤は前方でレースを展開した。間瀬田は3周目に入ると、順位を下げ、中盤からは中位でペースを刻んでいた小平と並んで走るかたちに。小平は最後の1周でラストスパートを炸裂させ、13分58秒を記録し組10着、間瀬田が14分03秒で組13着となった。序盤から最後方で自分のリズムで進めていた大和田は、1つ順位を上げたものの、中盤からペースが乱れ、組18着となった。

 最後の組となる5組には出雲から駅伝への出走が期待されている鈴木琉胤(スポ1=千葉・八千代松陰)や、今夏進化を遂げてきた冨田拓臣(スポ1=茨城・水城)など、計6選手が出場。留学生や実業団選手にも物怖じしない、積極的なレースが印象強い鈴木琉だが、1周目通過時点では10番手、2・3周目通過時点では7番手と、調整の一環ということもあり、序盤は落ち着いたレースを展開した。鈴木琉は4周目で先頭に立つと、1周2分前後で走っていたのに対し、1周1分55秒ペースへと一気にスピードを上げていく。ラスト1周は1分51秒で走り、2位に10秒以上の差をつけ、13秒58の記録で圧巻の1着フィニッシュを飾った。中位を走っていた冨田は3周目以降、少しずつ順位を上げ、18人中9着でフィニッシュ。同じく真ん中あたりでリズムを刻んだ山﨑一吹(スポ3=福島・学法石川)はラストスパートでギアを入れ替え、11着でゴールした。

 出雲にエントリーされているメンバーもそうでないメンバーも好記録を連発し、これから始まる3大駅伝を前に、チームとして弾みをつける充実した記録会となった。近年稀にみる戦力が充実してきている早大競走部。東京箱根間往復大学駅伝(箱根)総合優勝に向け、まずは、約2週間後に控える初戦の出雲で、優勝をつかみ取れるかーー。14年ぶりの表彰台はもう目の前にある。

(記事 谷田光太郎、写真 石本遥希、植村皓大、佐藤由芽、鈴木拓紀)

結果

▽男子5キロ

工藤慎作(スポ3=千葉・八千代松陰)  13分44秒 (1組3着)自己新

吉倉ナヤブ直希(社2=東京・早実)  13分44秒 (1組4着)自己新

堀野正太(スポ1=兵庫・須磨学園)  13分49秒 (1組10着)自己新

伊藤幸太郎(スポ4=埼玉・春日部)  13分57秒 (2組3着)自己新

宮岡凜太(商4=神奈川・鎌倉学園)  13分57秒 (2組4着)自己新

瀬間元輔(スポ2=群馬・東農大二)  14分22秒 (2組11着)

宮本優希(人3=智辯学園和歌山)  14分20秒 (3組10着)自己新

多田真(人1=京都・洛北)   14分25秒(3組12着)

小平敦之(政経3=東京・早実)  13分58秒 (4組10着)自己新

間瀬田純平(スポ4=佐賀・鳥栖工)  14分03秒(4組13着)自己新

大和田春(スポ2=高知追手前)  14分36秒 (4組18着)自己新

鈴木琉胤(スポ1=千葉・八千代松陰)   13分58秒(5組1着)自己新

冨田拓臣(スポ1=茨城・水城)  14分37秒 (5組9着)自己新

山﨑一吹(スポ3=福島・学法石川)  14分38秒(5組11着)

須山向陽(スポ4=鹿児島城西)   14分45秒(5組13着)

安江悠登(法3=埼玉・西武学園文理)   14分54秒(5組14着)

高橋優喜(スポ3=静岡・浜松北)   15分07秒(5組15着)

佐藤広人(創理2=埼玉・早大本庄)  DNS

コメント

ーー夏の練習はどのような意識で取り組みましたか

 スピードとスタミナの両面を底上げしようと、取り組んでいました。

ーー今日のコンディションはいかがでしたか

 今回は調整しないで挑むレースだったので、そういった点では思っていたよりも走れていたという印象です。

ーー今日のレースの目標は何でしたか

 それこそ調整していない中でのレースでしたので、割とアバウトに、いい意味であまり考えずに挑んでいました。

ーー中大の選手が引っ張る展開になりました

 中大の選手が引っ張っていくのは事前に分かっていたことでしたので、後ろにつくことを意識して走っていました。

ーータイムへの印象はいかがですか

 思っていたより走れていたという印象なので、ここからの駅伝シーズンに向けて順調かなと思います。

ーー最後に、出雲駅伝に向けて意気込みを教えてください。

 昨年は(6区)区間2位でしたので、個人では区間賞を狙っていきたいと思っています。

 

ーー夏の練習はどのような意識で取り組みましたか

 練習は今までもすごくできていたのですが、それをなかなか本番につなげられないという弱さがありました。常に練習から本番を意識して、練習でやったことを本番でしっかりと出せるような気持ちの持ち様を意識してきました。

ーー今日のコンディションはいかがでしたか

 がっつりと調整していたわけではありませんが、7月、8月とすごく距離を踏めていました。9月から少し質を重視しようと思い、少しずつ練習量を落としてきた中で、調子が上がっている途中段階というコンディションでした。

ーー今日のレースの目標は何でしたか

 13分台を出すことと、出雲のメンバーに入れなかったので、同じ組で走っていた2人の出雲メンバーを意識して走りました。

ーーレースを全体的に振り返っていかがですか

 最初からずっと余裕があって、どこでペースを上げるかを考えて走っていました。最後の1キロが全体のラップの中で一番速かったので、そこはすごくよかったと思います。

ーー最後は宮岡選手との競り合いとなりました。ラストスパートの手応えはありましたか

 それほどスパートは強い方ではなかったのですが、個人的に宮岡は意識していました。宮岡のことを意識しすぎて、ラストスパートが本当に最後の最後だけになってしまったのですが、今日の中では最大限の走りができました。

ーータイムの印象はいかがですか

 高校の時とタイムを比べると、大幅にタイムを更新することができました。13分台を目標にはしていたのですが、いざ13分台を出して、やっと実感が湧いてきました。ここで満足してはいけないのですが、嬉しい気持ちです。

ーー今後の目標を教えてください

 最後の最後に箱根に出て、優勝して終わりたいというのが、やはり一番の目標です。ただ、全日本(全日本大学駅伝対校選手権)もありますし、絡める駅伝はすべて絡んで、チームに貢献していけるように頑張ります。