多くの選手がシーズンイン! 冬季練習を経た自分の現在地を確認

陸上競技

関東学連春季オープン競技会 3月17~19日 埼玉・上尾運動公園陸上競技場

 埼玉・上尾運動公園陸上競技場にて、今年も関東学連春季オープン競技会(春季オープン)が開催された。早大からは総勢21名の選手が出場。冬季練習を経た自分の現在地を確認できたシーズン幕開けとなった。

★強風の中でのシーズン初戦 「試合感を取り戻す」レースに(男子200メートル)

 男子200メートルには、寺澤大地(スポ3=京都・洛南)が出場。強い向かい風のなか、記録は伸びなかったが、次戦に向けて修正点を確認できた記録会となった。

 スタート直後は「自分の強みである前半部分もスピードが上がり切らなかった」と振り返る走りとなったが、コーナー付近から一気にスピードアップ。直線に入ると、隣のレーンの選手、中から飛び出してきた選手とラスト勝負を繰り広げ、組3着となる22秒25でフィニッシュした。

 「後半でしっかりスピードを上げ切る」ことを重視して冬季練習に取り組んできたという寺澤。得意の前半もスピードを上げ切ることができず、満足のいく結果とはならなかったが、対校戦に向けて課題を確認することができた。本競技会を通過点として、寺澤はこれからまだまだ加速していく。

★渕上・盛岡ともに記録は伸びずも、次につなげる記録会に(男子400メートル障害)

 男子400メートル障害には、1組に渕上翔太(スポ1=東福岡)と盛岡優喜(スポ3=千葉・八千代松陰)の二人が出場した。練習の一環でも高みを目指して臨んだが、思うような結果には至らなかった。

 他大の選手と3名での出走となった1組は、渕上が序盤から先行し、そのまま組1着でフィニッシュ。盛岡も最終盤で渕上に並ぶも、0.01秒差でのゴールに。ワンツーフィニッシュとなったが、ともに記録は伸びず。渕上は「全く良くないレースをした」が、「自分で真摯に受け止めて、次以降のレースにしっかりつなぐ」とレースを振り返り語った。

 今年は学生個人選手権(学生個人)や日本学生対校選手権(日本インカレ)など、諸大会が例年よりも前倒しで行われるため、冬季練習から「しっかりシーズンを意識」して取り組んでいたという渕上。本記録会では両者ともに不完全燃焼に終わったが、来たる対校戦では冬季練習の成果を存分に発揮する姿を見せてほしい。

★大川・千葉がともに組1着でゴール(女子300メートル)

 女子300メートルに出場したのは、大川寿美香(スポ3=東京・三田国際学園)と、千葉史織(スポ1=宮城・仙台一)。ともに組1着でフィニッシュし、現状の力を確認した。

 1組に出場した大川は序盤から力強い走りを見せ、41秒36でゴール。2組の千葉は「前半もう少しいければ」と振り返る走りになったが、後半も体はしっかり動き、全体1位となる40秒68でフィニッシュした。

 冬季練習では「自分の感覚と周りから見た客観的な視点をすり合わせ」ることを意識していたという千葉。今季はワールドユニバーシティゲームズ出場に向けて、まずは「学生個人(学生個人選手権)で優勝」したいと意気込む。1年目から結果を出してきた千葉と、ラストイヤーとなる女子主将・大川。それぞれの今シーズンの活躍に期待がふくらむ。

★水嶋が自己記録を更新!冬季練習の成果を見せる(男女800メートル)

 男子800メートルには水嶋優斗(スポ2=東京・高輪)と地案尚宏(スポ1=愛知・旭野)、女子800メートルには鈴木翼沙(スポ2=東京・日大櫻丘)が出場した。水嶋はシーズン初戦にして自己記録をマークし、冬季練習の手ごたえを感じたレースとなった。

 男子1組での出場となった水嶋は、2番手につけて最初の400メートルを通過すると、さらにスピードを上げ、500メートル付近で先頭へ。そのままトップを死守し、1分50秒07でフィニッシュ。シーズン初戦ながらも、自己記録をマークした。5組に出場した地案も、300メートル付近から先頭を突っ走り、1着でゴール。ともに幸先の良いスタートを切った。

 4名でのスタートとなった女子1組。鈴木は4番手で1周目を通過すると、前を行く3人との差は徐々に広がり、後半は苦しい走りに。苦いシーズン初戦となった。

 全国大学対校男女混合駅伝に出場したこともあり、冬季練習は距離を踏んできた中距離ブロック。水嶋は課題であった中間走がうまくいき、「ロング練習をした成果が目に見えて出てきた」と、冬季練習の手ごたえを口にした。対校戦でも、例年とは異なる練習を経て成長した、中距離ブロックの躍動に注目したい。

★清水奈が全体トップでフィニッシュ(男女400メートル)

 400メートルには男女合わせて6名の選手が出場した。女子では、1組の清水奈々子(文構3=北海道・札幌南)が勢いよくスタートを切ると、後半もスピードに乗ったまま、1着でフィニッシュ。全体トップの56秒00でレースを終えた。2組の正木紗(スポ1=岡山朝日)も、序盤からパワフルな走りで先頭を走り続け、組1着に入った。

 一方、男子では2組の石原慎也(法3=京都・洛南)が49秒16で組7着、3組の清水友彬(スポ3=三重・伊勢)が早大勢トップとなる49秒13で組3着に。8組での出場となった鹿毛丈(スポ1=高知追手前)と竹一虎(スポ3=滋賀・草津東)はそれぞれ組1着、2着でゴールした。

 それぞれの選手が収穫と課題を得たシーズンの幕開け。今シーズンは400メートル、そしてマイルリレーでどのような進化を見せてくれるのだろうか。己の走りにさらなる磨きをかけ、対校戦へと向かっていく。

 

(記事、写真 佐藤結)

男子結果

▽200メートル

寺澤大地(スポ3=京都・洛南)  22秒25(1組3着)(-2・8)

鶴巻陽太(スポ1=新潟・三条)  DNS

▽400メートル障害

渕上翔太(スポ1=東福岡)  53秒54(1組1着) 

盛岡優喜(スポ3=千葉・八千代松陰)  53秒55(1組2着)

▽110メートル障害

瀬能斗亜(スポ1=千葉・春日部共栄)  14秒95(2組3着)(-1・3)

池田海(スポ4=愛媛・松山北)  DNS

▽棒高跳

佐々木秀晟(スポ1=香川・高松一)  NM

▽走幅跳

佐々木悠人(人2=岩手・一関一)  7メートル10(-0・6)(3等)

片山大地(スポ2=東京・八王子)  6メートル35(-0・7)(27等)

▽800メートル

水嶋優斗(スポ2=東京・高輪)  1分50秒07(1組1着) 

地案尚宏(スポ1=愛知・旭野)  1分53秒53(5組1着) 

▽400メートル

石原慎也(法3=京都・洛南)  49秒16(2組7着) 

清水友彬(スポ3=三重・伊勢)  49秒13(3組3着)

鹿毛丈(スポ1=高知追手前)  50秒29(8組1着)

竹一虎(スポ3=滋賀・草津東)  51秒17(8組2着) 

権田浬(スポ1=千葉・佐倉)  DNS

女子結果

▽三段跳

伊藤凜(スポ3=福岡・明善) DNS

▽棒高跳

宮﨑瑛子(商3=静岡・浜松市立)  3メートル00(15等)

▽100メートル障害

野村美月(スポ1=栃木・石橋)  15秒36(1組5着)(-2・3)

林美希(スポ1=愛知・中京大中京)  DNS

イベル聖羅(商1=京都橘)  15秒13(1組2着)(-2・3)

▽300メートル

大川寿美香(スポ3=東京・三田国際学園)  41秒36(1組1着)

千葉史織(スポ1=宮城・仙台一)  40秒68(2組1着)

▽800メートル

武田亜子(スポ1=静岡・日大三島)   DNS

新田望(スポ3=神奈川・法政二)   DNS

鈴木翼沙(スポ2=東京・日大櫻丘)  2分21秒14(1組4着) 

▽400メートル

清水奈々子(文構3=北海道・札幌南)  56秒00(1組1着) 

正木紗(スポ1=岡山朝日) 58秒35 (2組1着)

上島周子(スポ2=東京・富士 )   DNS

 

コメント

寺澤大地(スポ3=京都・洛南)

--冬季練習はどのようなことを意識しましたか

 自分は200メートルをやっていて後半があまり得意ではなかったので、その後半の部分でしっかりスピードを上げ切るというところを一番重視して取り組んできました。

--本日のコンディションはいかがでしたか

 身体自体のコンディションはそこまで悪くなかったです。物理的に風が強いという中ではありましたが、全体通してもそこまでコンディションとしては悪くなかったと思います。

--本記録会はどのような目標で臨みましたか

 初戦ということもあって、試合感を取り戻すというところを第一に考えていました。あまり今大会に合わせるということはなく、六大学の200メートルを1つのターゲットとしているので、練習の一環として取り組むようなイメージで臨みました。

--実際のご自身の走りを全体的に振り返っていかがですか

 やはり試合感が全くないという中で、自分の強みである前半部分もスピードが上がり切らず、400メートルの最初の入りの200メートルのようなテンポ感とスピード感というふうな走りになってしまいました。多く課題は残っていますが、走りのかたち自体はそこまで崩れてはいなかったので、しっかり修正していければ六大学あたりでしっかりピークを合わせられるのではないかなと思いました。

--今シーズンの目標や意気込みをお願いします

 ラストのシーズンということもあるので、一番は全日本インカレでしっかり表彰台に上って早稲田に点数を持ってくるというところが一番大きな目標です。個人としてもユニバーシアード(ワールドユニバーシティゲームズ)というところを一つ大きな目標にしているので、4月末の学生個人選手権でまずは自己ベストを更新して、代表に選ばれるぐらいのポテンシャルと言いますか、スピードを上げていければなと思います。

 

渕上翔太(スポ1=東福岡)

--冬季練習で意識していたことを教えてください

 走りをメインとして走力アップというところをやってきました。(諸大会が)今年は早いというところで、その部分をシーズンでしっかり出せるように、しっかりシーズンを意識した冬季練習というところで意識して取り組みました。

--本日のコンディションはいかがでしたか

 コンディションとしてはかなりいい状況でした。沖縄で合宿を積めていたこともあったので、自分としてはかなり動ける状況で臨みました。

--本日の目標は何でしたか

 3月中にもう1個記録会があるのですが、そこまでしっかり49秒台というところを練習の一環として出る中で出しに行くという、意味合いでした。記録会だからと言ってタイムを落としすぎない、だいぶ高みというところを出していくつもりで臨みました。

--ご自身の走りを振り返っていかがですか

 一言で言うと抽象的ですが全く良くないレースをしたなというのが結構あります。競技のコンディション以前にそこに自分が対応できなかったというところがまだまだというか、そこに対応しなければいけなかったレースだなというふうに思います。

--今シーズンの目標や意気込みをお願いします

 やはり世界陸上の出場は今季の一番の目標としてあります。それに向けてというところで、今日のレースはもうタイムも含めてかなり良くなかったので、そこをしっかり自分で真摯に受け止めて、次以降のレースにしっかりつなぐというところで、1本1本を大切にしていきたいなと思います。

 

千葉史織(スポ1=宮城・仙台一)

--冬季練習はどのようなことを意識しましたか

 先輩たちにいろいろ聞きながら自分で走りをつくっていきました。間を持つというのをテーマに持ってやっていました。やはりロング種目なので、足を回せばいいというものではなくて、自分の中にゆとりを持ちながら体を前に進めていくというところで、自分の感覚と周りから見た客観的な視点をすり合わせてというのを意識してやってきました。

--本日のコンディションはいかがでしたか

 体のコンディションは先週まで練習を結構積んできていて、今週末に所沢でトラックゲームズ in TOKOROZAWAがあるので、それに合わせての刺激というかたちでそれなりに体は動いてきたと思います。

--本記録会はどのような目標で臨みましたか

 39秒が出ればいいかなというふうに思っていたのですが、40秒68でそこには届きませんでした。やはり体自体は動いてたので、前半もう少しいければというところはあります。

--今シーズンの目標や意気込みをお願いします

 ワールドユニバーシティゲームズに出場したいので、それに向けて学生個人で優勝するというのを一個大きい目標において、タイムで言えば56秒台を出したいです。

 

水嶋優斗(スポ2=東京・高輪)

--冬季練習はどのようなことを意識しましたか

 例年はスピード練習を多く積んでいたのですが、今年は男女混合駅伝(全国大学対校男女混合駅伝)に出るという一つの目標もありつつ、中距離ブロック全体で距離を踏んで、割と長距離の方のメニューをブロック全体で注力していった感じです。

--本日のコンディションはいかがでしたか

 僕自身のコンディションはあまり良くないですが、結構晴れてて、僕が走る時は気温も割と上がってきていたので、(気候)コンディション的には良かったと思います。

--本記録会はどのような目標で臨みましたか

 シーズン初戦で、良くも悪くも今シーズンの方向性が決まってしまうというところで少し気負ったところもありましたが、僕と1個下の後輩の地案がシーズン初戦でうまくスタートを切れたのではないかなと思っています。

--ご自身の走りを振り返っていかがですか

 僕は課題として中間走がすごく弱かったので、今日の走りを全体で振り返った時に、悪いところが全部なくなったわけではないですが、冬季練習で距離を踏んだロング練習をした成果が目に見えて出てきたのではないかなというふうに思いました。

--自己新記録をマークしました。タイムについてはいかがですか

 シーズン初戦というのもあって、まだまだレースが終わった後も余裕が残っていたので、日本選手権の標準記録まではポンポンと出していきたいと考えています。その中で、六大学や関カレの対校戦をしっかり勝ち抜けて、早稲田に点を取ってくるというところで、もう少し気を引き締めて練習したいと思います。