東京箱根間往復大学駅伝(箱根)まで残り2日となった大みそか。埼玉・早稲田大学織田幹雄記念陸上競技場にて恒例の『漢祭り』が開催された。 箱根のエントリーメンバーから外れた選手が5000メートル、1万メートルに出走。1万メートル最終組では、和田悠都(先理3=東京・早実)が29分52秒08の早大トップでゴールし、2023年の『漢』の称号を手にした。
レースを走る安江
5000メートルには早大から7人が出場。スタートから先頭集団でレースを展開したのは、安江悠登(法1=埼玉・西部文理)と増子陽季(人1=栃木・大田原)。他大の選手に必死に食らいつくも、2000メートル過ぎに集団からこぼれ、第2集団でレースを進めるかたちに。4000メートルを過ぎると、藤本進次郎(教2=大阪・清風)が徐々にスピードをあげ、先頭集団を猛追。早大勢トップとなる5位でフィニッシュした。中盤から苦しい表情をみせた安江も自己記録を更新する走りで今年のレースを締めくくった。
充実の表情でスパートをかける濱本
1万メートル1組には早大から5人が出場。序盤から武田知典(法1=東京・早実)と濱本寛人(スポ4=熊本・宇土)が前方で積極的な走りを見せ、レースをつくる。しかし、5000メートルを過ぎると城西大の選手が飛び出し、先頭から大きく引き離される。終盤にかけて苦しい走りとなったが、濱本が力強いラストスパートを決め、自己記録に迫るタイムでフィニッシュした。また、箱根にエントリーされなかった濱本にとって、今回の『漢祭り』が最後のレースとなった。「人生においてかけがえのない時間だった」と陸上人生を振り返る。濱本の走りが必ずやエントリーメンバーを勇気づけたことだろう。
レースを走る和田
最終3組には和田と伊藤幸太郎(スポ2=埼玉・春日部)の2人が出場。序盤、集団が大きく二つに分かれる中、後方の集団で着々とペースを刻み、『漢』争いを繰り広げる。第2集団を引っ張っていた伊藤だったが、4600メートルからペースを落として集団から大きく離れてしまい、『漢』の座を逃した。和田も後半は失速があったものの、自己記録を17秒以上更新し、見事に2023年の『漢』に輝いた。実力不足を痛感し悔しさを滲ませたが、「(漢を)しっかりとれてよかった」とレースを振り返った。
笑顔で声援を送る間瀬田(写真中央)らエントリーメンバーの選手と藤田真美加(スポ2=千葉・成田、写真左)
『箱根0区』とも謳われる『漢祭り』。箱根のエントリーメンバー入りを果たすことができなかった選手たちが、それぞれの思いを胸に駆け抜けた。彼らの思いが、箱根を控える選手にもきっと伝わったはずだ。『箱根0区』から1区へ、タスキはつながった。エンジ戦士たちの戦いはもう始まっている。
(記事 佐藤結、写真 加藤志保、戸祭華子、川上璃々、髙田凜太郎)
結果
▽男子
▽5000メートル
藤本進次郎(教2=大阪・清風) 14分30秒17(5着)
増子陽季(人1=栃木・大田原) 14分46秒75(11着)
安江悠登(法1=埼玉・西武学園文理) 14分51秒01(13着)
門馬海成(政経2=福島・会津) 14分52秒92(14着)
髙尾啓太朗(商1=千葉・佐倉) 14分55秒02(15着)
伊藤大河(教2=福島・会津) 15分30秒13(21着)
増永峰土(商2=神奈川・逗子開成) 15分36秒77(22着)
川端春叶(スポ1=北海道・北見北斗) 棄権
栗原周平(創理1=栃木・真岡) 棄権
▽1万メートル
和田悠都(先理3=東京・早実) 29分52秒08(3組14着)
濱本寛人(スポ4=熊本・宇土) 30分17秒88(1組2着)
武田知典(法1=東京・早実) 30分22秒97(1組4着)
小平敦之(政経1=東京・早実) 30分24秒42(1組5着)
宮本優希(人1=智弁和歌山) 30分28秒75(1組7着)
伊藤幸太郎(スポ2=埼玉・春日部) 30分57秒16(3組22着)
日野斗馬(商3=愛媛・松山東) 31分41秒05(1組16着)
草野洸正(商3=埼玉・浦和) 棄権
コメント
濱本寛人(スポ4=熊本・宇土)
――今日のレースの目標を教えてください
組トップを獲ることと、引退レースだったのでいい顔をして終われるようにしようと思っていました。最後に29分台が付いてきたらラッキーだと思っていました。
――今日のコンディションはいかがでしたか
自分自身の調子は良かったのですが、小雨が降っていたのと気温が低かったのでいつも以上に準備をしました。
――どのようにレースを進めようとしていましたか
最後まで溜めてラストスパートを決めようと思っていました。いい顔をして終わってエントリーメンバーの4年生を送り出したいと思っていました。
――レースの前半を振り返っていかがですか
かなりスローなペースで、5000メートルが15分25秒くらいだったので29分台は諦めて、ラスト勝負で勝ち切ることを考えていました。ペースが遅かった分余裕をもって気持ちよく走ることができました。
――レースの後半を振り返っていかがですか
ビルドアップしていく中で、キツさをじわじわ感じました。ただ、人生でスパイクを履いて全力で走ることはこれが最後になるんだと自分に言いきかせて先頭に食らいつこうと思いました。城西大の選手には引き離されましたが、自分の残りの力を考えて、いい位置でスパートを決められたと思います。
――ご自身の結果についてはどのように思いますか
自己ベストまであと0.1秒足りなかったり、組2着だったりとあと一歩足りないところが自分らしい終わり方だと思いました。最後までみんなからすごく応援されて、スパートも決められていい顔で終わることができたので今日の結果に全く後悔はありません。
――4年生ラストレースとなりましたがご自身の陸上生活を振り返っていかがですか
すごくたくさんの人に応援されて幸せな4年間でした。もう一度やれと言われたら絶対にできませんが、自分の人生においてかけがえのない時間だったと思います。
――明後日からは箱根駅伝が始まります。出走するメンバーに対してメッセージをお願いします
僕以外の4年生は全員エントリーされていて、学生最後の駅伝なので、どんな形であれ燃え尽きてくれ!と思います。
和田悠都(先理3=東京・早実)
――まず、『漢』になった率直な感想を聞かせてください
『漢』は取らないといけないと思っていました。しっかり取れてよかったです。
――今日の調子はどうでしたか
悪くはなかったです。練習もしっかり積めていました。自信を持ってレースに臨めました。
――最終組は伊藤幸太郎選手と2人での出走となりました。レース前にお話はされましたか
特に話してはないです。
――目標タイムやレースプランはありましたか
29分20秒を目標にしていました。直前にペースメーカーがいると聞いたのでついていこうと思いました。
――前半の走りは振り返っていかがですか
余裕を持って入れたと思います。
――後半は失速してしまいましたが、いかがですか
後半は動きが固くなってしまいました。いっぱいいっぱいになってしまったのはまだまだ実力不足だったと思います。
――ラストスパートはどのような気持ちで走っていましたか
1秒でも早くゴールしようという気持ちとみんなの応援がラストスパートの背中を押してくれました。
――箱根エントリー組の応援もありましたがいかがでしたか
大きな力になりました。
――最後に、来年へ向けて意気込みをお願いします
目標としていた箱根駅伝エントリー、そして出走には今年は届きませんでした。来年はラストチャンスになります。最後悔いなく終われるよう、人一倍練習していきます。