昨年6区区間3位の快走で東京箱根間往復大学駅伝(箱根)を湧かせた北村光(スポ3=群馬・樹徳)。今シーズン前半はケガに苦しみ1試合のみの出場となったが、現在は上り調子。1年時からエントリーメンバー入りをしてきた箱根もいよいよラストラン。学生最後の駅伝となる箱根への思いを伺った。
※この取材は12月14日にオンラインで行われたものです。
「ついていけねえ」と感じた夏
日本学生対校選手権(全カレ)3000メートル障害のレース後、モニターを見つめる北村
――改めて前回の箱根を振り返っていかがでしたか
昨年11月、12月で足に少し痛みがあり不安があった中で、区間(6区)3番でいい走りができたので、結構自信にはなりました。
――1月末に群馬県駅伝大会に出場されていましたが、いかがでしたか
高校のOBと現役高校生と一緒に走ったんですが、箱根終わりということもあって群馬なので応援が結構多かったなという印象です。
――新シーズンに入るにあたりどのような目標を立てられましたか
4年生で最後のシーズンだったので、関カレ(関東学生対校選手権)で表彰台に立ちたかったですし、1年生から3年生まで出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)と全日本(全日本大学駅伝対校選手権)で出場できなかったので、今年は出場したいと思っていた矢先にケガをしてしまって、非常に残念でした。
――トラックシーズンを通じて、どのような収穫がありましたか
トラックシーズンははケガでずっと痛くて、本当にモチベーションががなかったですが、得られたものは筋トレくらいです。
――夏合宿ではどのような目標を立てられていましたか
走り始めたのが7月頭くらいで、夏合宿まで1カ月ちょっとくらいしかありませんでした。3、4カ月くらいブランクがあったので上(のチーム)でこなすのは結構厳しいなと思い、まずは最低限の練習をこなすことを目標にしていました。
――実際に夏合宿の出来や満足度はいかがでしたか
1次合宿で尾瀬と菅平に行ったのですが、本当に走れなくて、もう自分の身体じゃないくらい走れませんでした。そこから1度帰省を挟んで、妙高合宿に行ってそこからは結構いい練習ができました。
――合宿中のチームの雰囲気はどのような感じでしたか
みんな僕より速かったので、ただただすごいなと思っていました。「ついていけねえ」と思ってました。
――夏合宿ではどのような成果がありましたか
夏合宿を通してあまりいい練習できなかったので、秋以降の溜め作りというか、夏でしっかり走りこんで秋以降に走れたらいいなという感じでした。
――日本学生対校選手権(全カレ)では3000メートル障害(サンショー)に出場されましたが、大会前の調子はいかがでしたか
直前はまあまあ戦えるかなという感じはありましたが、合宿明けというのもあって疲れがありました。サンショー自体、関カレでも出場していなかったのでほぼ1年半ぶりで、障害を跳ぶのも下手になっていて、8位でも自分的には納得できませんでした。
――出場されることはいつ頃決められたのですか
全カレの1カ月前くらいです。それまで1試合も出場していなかったので、全カレに出場してみるかということを花田さん(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)と相談し決定しました。
――諸冨(湧、文3=京都・洛南)さんと出走されましたが、レース前に何か話されましたか
「最低限入賞しようね」とかこんなに「暑いのになんで熊谷でやるんだろう」みたいなことを話していました。めっちゃ暑かったです(笑)。
「区間賞をしっかりとって笑顔で終われたら」
第99回箱根駅伝6区を走る北村
――駅近シーズンに入る際、4年生ということで気持ちの変化はありましたか
1つひとつの駅伝がこれが最後というのは分かっていたんですが、出雲、全日本の前は自分自身あまり調子が良くなくて残念な気持ちはありました。(今は)箱根に向けて頑張っていこうという気持ちです。
――どのような目標を立てられていましたか
9月、10月くらいはあまりいい練習ができていなかったので、最低限箱根にはしっかり合わせようという思いでした。徐々に調子を上げていこうという感じでした。
――出雲、全日本とチームの走りをどう見られていましたか
出雲に関しては下級生が頑張ってくれて、僕たち4年生、上級生が頑張らないといけないところで下級生頼りになってしまいました。全日本はアクシデントもありシードを落としてしまったので、本当に申し訳ないなという気持ちです。
――シーズンを通してチーム内での役割として意識していたことはありますか
僕はあまり口でいうタイプじゃなくて。4年生ってあまりたくさん下級生と話しているイメージがないんですですが、僕はまんべんなくちょっかいを出しに行っちゃいます。
――とくにどなたとよく話されるのですか
最近だと間瀬田(純平、スポ2=佐賀・鳥栖工)とかにちょっかい出してます。だるい素振り見せずに付き合ってくれるのでいいですね(笑)。
――現在の調子はいかがですか
11月くらいからいい練習ができてきて、11月12月は上のチーム、間瀬田や山口(智規、スポ2=福島・学法石川)と一緒に練習できていて、4年間で1番調子いいなというのと、練習の質もかなりいい状態でできてきているので、今年は結構自信があります。
――練習の満足度的にも高いですか
そうですね、かなり高いです。
――現時点で本番に向けて課題と考えている点はありますか
6区、昨年もそうでしたが前半の5キロ上りのところは体力を使いすぎずに自分のペースでいって、得意の下りで順位を上げていく。前回は練習不足もあってラスト3キロがちょっとペースが落ちてしまいましたが、今年は早いペースでいけると思うので、昨年よりタイムも順位も上げていきたいです。
――チームの雰囲気は北村さんから見てどう感じますか
全日本のことがあって、12月に入ってからは特にみんな意識的に練習していると思います。とくに4年生は状態が上がってきているので、本番は昨年よりもみんな状態がいいんじゃないかなと思います。
――チーム内の注目選手はどなたですか
やっぱり間瀬田と山口の2年生コンビはやってくれるんじゃないかなと思います。とくに山口は他の選手とは2段階くらいレベルが違うので、チームの流れを一気に変える選手なのではと思います。
――意識している選手やライバルと考えている選手はいますか
菖蒲(敦司駅伝主将、スポ4=山口・西京)ですかね。高校時代から全国大会でずっと勝ったり負けたりしてきて、大学入ってから菖蒲に勝つ機会というのがだんだん減ってきてて力の差がすごく、今年はとくにトラックシーズン開いてしまったなという感じだったので、最後の駅伝の活躍度くらいは勝ちたいなというのはあります。また実業団に行ったら同じステージで戦いたいなと思います。
――同じ区間でライバルの選手はいらっしゃいますか
駒澤の伊藤くん(伊藤蒼唯)という昨年区間賞の子や駒澤で高校の後輩、2つ下の帰山(侑大)がくるかもしれないので、どちらにせよ後輩なので、絶対に負けたくはないです。
――希望区間と目標をお願いします
希望区間・・・。希望というか多分走るとしたら6区しかないので、しっかり走って、最低限58分30秒というのを目標にしたいと思います。
――改めてレースプランをお願いします
前半の5キロの上りまでを区間5、6番で推移させて平地に入るまでの下り区間の12キロで区間トップに上がって平地で逃げ切るというのが、今考えているプランです。
――最後に箱根への意気込みをお願いします
今年は試合自体に1試合しか出場できいなくて、前半シーズンは本当に苦しい思いというか、自信をなくしてしまうこともありました。ですが、4年生として箱根を迎えるので、学生最後の大きい駅伝で集大成として区間賞をしっかりとって笑顔で終われたらなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 堀内まさみ)
◆北村光(きたむら・ひかる)
2002(平14)年1月18日生まれ。168センチ。群馬・樹徳高出身。スポーツ科学部4年。第97回箱根6区58分55秒(区間8位)。第99回箱根6区58分58秒(区間3位)。取材日前日には和田悠都(先理3=東京・早実)選手と山口智規(スポ2=福島・学法石川)選手と一緒に流れ星を見に行ったそうです。対談中は穏やかな雰囲気の北村選手ですが、走りはキレキレです。「箱根に強い」北村選手から目が離せません!