【連載】箱根事前特集『燃』 第5回 間瀬田純平

陸上競技

  春のトラックシーズンでは満足のいく結果が残せなかったものの、駅伝シーズンに入って調子を上げている間瀬田純平(スポ2=佐賀・鳥栖工)。国際大会を経験して感じたことや、目前に迫る箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)への意気込みを伺った。

※この取材は12月13日に行われたものです。

「悔しい結果が続いた」トラックシーズン

関東学生対校選手権(関カレ)1500メートル予選のレース後、悔しそうな表情を見せる間瀬田

――まず、今季のトラックシーズン全体を振り返っていかがですか

 今季のトラックシーズンはちょっと物足りないまま終わってしまったかなと思います。トラックシーズン最初の東京六大学(東京六大学対校)で良いパフォーマンスができたので、今シーズンは関東インカレや日本選手権でも上位を狙える自信を持って関東インカレに臨みましたが、思い通りにいきませんでした。日本選手権に今年は出ずにU20アジア選手権の方に出走させていただいたのですが、そこでは優勝することができて、夏合宿に向けて一つ自信を持つことができました。これは評価できる部分ではあると思いますが、1500メートルを中心的にやってきた中で自己ベストも更新することはできず、一応、5000メートルは自己ベスト更新をしたのですが、大幅ベストとはならなかったので悔しい結果が続いたかなと感じています。

――関東インカレの1500メートルで予選落ちとなりましたが、その後のU20アジア選手権の方にどのように切り替えていったのですか

 関東インカレ後に肉離れを起こしてしまって、出場するかどうか結構悩んだのですが、何とか間に合いそうだったので、ギリギリで調整して出させていただきました。走れない期間が2週間ほど続き、試合に向けての練習がほとんど積めていない状況だったのですが、とにかく自分がやれることを精一杯やろうと思って切り替えていました。U20アジア選手権は、せっかく選出していただきましたし、棄権する訳にはいかないので、とにかく走れるように努力していました。

――U20アジア選手権では1500メートルで見事優勝されました。レースを改めて振り返っていかがですか

 自分がトップタイムを持っていて、最低でも優勝しなければいけないと思っていたので優勝できてほっとしています。また、大学に入ってから優勝する経験がほとんど無かったので、少し自信になったかなと思っています。

――U20アジア選手権は韓国で行われた国際大会でした。どのような点に気を配って準備されていましたか

 去年もU20世界選手権を経験させていただいて、環境の違いや食事の違いなどで相当苦労して、結果も出せませんでした。今回は去年の経験を生かして、食事を自分で持参するなど適応に努力しました。今回は日本と近い韓国だったので大きく環境が変わることは無かったのですが、言語が通じないなど苦労することはありました。その中で、試合に向けて自分がしっかりと調整できるように、去年の経験を生かしつつ計画を立てて準備していました。

――国際大会を経験して見えた、新たな目標や課題はありますか

 今回、U20アジア選手権では優勝できたのですが、世界を目指していく上で、アジアで満足しているようでは世界で通用しないと思っています。去年もU20世界選手権を経験して、海外の選手は、陸上に対する意識の高さや、そもそもの能力が全く日本人と違うと感じました。その中で今回優勝できたことは一つの良いきっかけになったかなと思います。アジアでの優勝に満足せずに世界と戦っていける選手を目指しているので、世界で戦っていくために世界を見据えたトレーニングや、普段の練習も高い意識を持ってやることを大切にしていかなければならないと思いました。

――次に、夏合宿について伺います。夏合宿の練習の中で、特に意識していたことはありますか

 トラックシーズンは1500メートルを中心にやってきたので、夏合宿では距離を踏むことを意識して練習しました。 駅伝シーズンになると、箱根駅伝では20キロメートル走りますし、全日本(全日本大学駅伝対校選手権大会)、出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)でも10キロメートル程度走ることになるので距離を踏む必要がある状況でした。1500メートルから長い距離に移行するという意味でも、長い距離をしっかりと走るようにはしていました。

――夏合宿での練習の消化具合はどれぐらいでしたか

 第1次の妙高合宿は距離の適応に苦労して、内臓の調子が良くなかったこともあり、練習自体は出来ていたのですが消化具合は60パーセントから70パーセントぐらいでした。第2次の紋別合宿ではほとんど消化することができました。最初の方は調子を気にしながらやっていく感じだったのですが、後半はほぼ消化できました。昨年、全くと言っていいほど夏合宿を消化できなかったのですが、今年は消化できる具合も上がったのでその点は良かったと思います。

得られた収穫と課題

全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の1区を走る間瀬田

――次に、ここまでの駅伝シーズンについて伺います。出雲駅伝は5区区間5位という結果になりましたが、改めてご自身の走りを振り返っていかがですか

 後ろとは大きな差があり、前とも15秒近く離れた展開でタスキを受けました。自分で前を追っていかないといけない展開の中で、最初の方は良いペース、良いリズム走っていくことができたのですが、 中盤以降に夏合宿中から気にしていた胃の痛みが出てしまって、あまりペースが上がりませんでした。最低限の区間5位ですが、本来ならば区間3位以内で走らないとチーム目標である3位以内には届かなかったと思いますし、本当に悔しい結果に終わってしまいました。

――チームは6位となりましたが、チームの結果を振り返っていかがですか

 今年はどの駅伝戦えるという雰囲気がありましたし、チーム全体としても行けるぞという感じの雰囲気で出雲に臨みました。しかし、結果6位ということで駅伝はやはり一筋縄ではいかないなと感じ全日本に向けて切り替えてやっていこうと思いました。

――全日本では1区で最後まで先頭争いする展開になりました。改めてご自身の走りを振り返っていかがですか

 直前でもかなり調子が良かったので、最低でも区間3番以内はいけるなと思って臨みました。ラストで逃げ切れる自信はあったのですが、逃げ切ると思ったところで抜かれました。詰めの甘さが出てしまったというか、やはり最後までわからないという気持ちでやらないと今回のように差されてしまうなと思いました。1秒差で区間賞を逃したこともあり悔しい気持ちが大きかったのですが、去年も駅伝シーズンではあまり良い走りができていなかったので、箱根駅伝に向けて良いイメージで走れたというのはかなり大きな自信になったと思っています。

――チームはシード落ちという結果になってしまいましたが、チームの結果は振り返っていかがですか

 直前でもチームの状態はあまり良くありませんでした。調子が上がらなかったり、走れない主力選手が数名いたりして、少し弱さが出てしまいました。10位でシード権を落としましたが、そういった部分がこの結果につながったと思いますし、駅伝に臨むにあたって少しも油断は許されないということを改めて感じました。ただ箱根に向けて、ここで1つ危機感を持てたことは大きいと思います。全日本でギリギリシードを取れていたら、箱根でもシードは取れるかなという緩んだ気持ちで臨んでしまって、緊張感を保てずに箱根で失敗してしまうことにもつながると思います。全日本で悔しい結果に終わったことで、チーム全体が危機感を持って練習に取り組むことにつながったと思うので、箱根に向けて言えば、大事な部分だったのではないかと思います。

――全日本を終えて、チームで共有されている課題はありますか

 全日本も出雲も、主力選手が数名欠けた状態になってしまっていたのは課題だと思います。やはり箱根駅伝は10名を絶対に揃(そろ)えないといけないですし、主力が1人でも欠けてしまうと、大幅に順位が下がってしまい、目標達成にも遠ざかってしまうと思います。なので、全員が万全な状態で箱根に臨むことが非常に重要だと思います。今はほとんどの選手が本当に良い状態で練習に臨めていると思うので、箱根では全員が良い状態で臨むようにしたいです。

2度目の大舞台へ

写真撮影に応じる間瀬田

――続いて、箱根駅伝に向けて伺います。まず、現在のコンディションはいかがでしょうか

 現在のコンディションはかなり良い感じです。

――最近の練習で特に意識していることはありますか

 1区を希望しているので、1区に向けた練習に取り組んでいます。ハイペース、スローペース、どちらでも対応できるように練習でイメージしながらやっています。ただ、どの区間でも出走できるように準備していますし、練習もかなりいい感じで積めているので、どの区間でも勝負できる自信はあります。

――1区を希望しているというお話がありました。昨年も走った1区のコースにはどのような印象をもっていますか

 ほとんど平坦なのですが、後半の六郷橋からが勝負のポイントだと思っています。去年も六郷橋の下りで仕掛けられて、そこで離されてしまうというレース展開だったので、今年は逆に六郷橋で仕掛けるぐらいの気持ちでやっていかないとダメだなと思っています。もし他の選手に仕掛けられたとしても余裕を持ってついていける自信はあるので、常にコースをイメージして練習しています。

――チームの中でのご自身の役割はどのようなものだと思っていますか

 スタートで自分が流れを作ることは自分の役割かなと思っています。今年、3本柱で大志さん(伊藤大志、スポ3=長野・佐久長聖)、石塚さん(石塚陽士、教3=東京・早実)、山口(山口智規、スポ2=福島・学法石川)という強い選手を擁している中で、自分が1区で流れを作って、その3人が上位争いをするのが早稲田大学のプランだと思うので、自分がしっかりと流れを作ることが、自分の役割かなと思っています。

――箱根駅伝での個人としての目標をお願いします

 1区を走りたいと思っているので、1区で区間賞を狙っていきたいです。

――最後に箱根駅伝への意気込みをお願いします

 自分が流れを作って、目標達成できるように頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 植村皓大)

◆間瀬田純平(ませだ・じゅんぺい)

2004(平16)年2月17日生まれ。172センチ、59キロ。佐賀・鳥栖工高出身。スポーツ科学部2年。自分以外で注目して欲しい選手として北村選手(北村光、スポ4=群馬・樹徳)を挙げた間瀬田選手。「山下りの神になって欲しいです!」と意気揚々と語ってくれました。箱根駅伝での2人の走りに注目です!