【連載】箱根事前特集『燃』 第4回 山﨑一吹

陸上競技

 ルーキーながら東京箱根間往復駅伝(箱根)のエントリーメンバー入りを果たした山﨑一吹(スポ1=福島・学法石川)。不調に苦しんだ時期もあったが、上尾シティハーフマラソン(上尾ハーフ)後、着々と調子を上げてきた。夢の大舞台で、大学駅伝デビューを果たせるか。今波に乗っている山﨑に、箱根に向けての思いを伺った。

※この取材は12月12日に行われたものです。

「楽しく陸上ができている」

関東学生対校選手権(関カレ)のレースを走る山﨑

――大学に入学してから約8カ月経ちましたが、この1年を振り返っていかがですか

 トラックでは満足のいく結果が出せましたが、きつい練習はやっていなくて。走ったら走っただけベストが出る状態で、なぜかわからないですが調子が良かったです。とにかく調子が良くて、その時は陸上が楽しかったのですが、夏に入ってから体調不良が続いて、そこから調子が上がらなくて僕にとってはきつい期間でした。そこから1年生の2人が三大駅伝の中の2つを走って、僕は補欠という形でまったく活躍できなかったので、走れもしないし悔しい期間でした。でも今は、とにかく調子は上がってきていて、楽しく陸上ができています。

――高校時代と比べて、大学陸上を経験した感想を聞かせてください

 皆自主性があるところです。たとえば大会の集合では、高校の時は全員で集合して全員で応援して全員で帰るというのが当たり前だったのですが、大学に入ってからは各自でスタート前の挨拶の時間に来ればいいという感じで、自分で全部決めるということが衝撃的でした。

――それでは、トラックシーズンについて伺います。4月には5000メートルで自己新を連発されましたが、振り返っていかがですか

 練習も進んでいない状況の中で出場したらタイムが出て。練習したらもっと伸びると思っていたので、希望を持って大学のスタートラインに立てたという状態でした。

――関東学生対校選手権(関カレ)では初エンジとなりました。初めてエンジのユニホームを着た時の思いを聞かせてください

 僕の中でエンジを着ることはとても名誉で大変なことだと思っていたので、そういうものを身に着けて僕が選手として出られるというのは幸せだと感じました。

――U20日本選手権では5000メートルで6位入賞を果たしました。率直な感想を教えてください

 正直優勝を狙っていたので、僕としては不本意でした。疲労が残っている中で出た大会なので仕方ない部分もあると思うのですが、やはり優勝したかったです。

――トラックシーズン全体を振り返って、点数をつけるとしたら何点ですか

 85点くらいです。

――山﨑選手にとって、その点数は高いですか

 高い方です。あまり自分に高い評価をするということがないので。六大学(東京六大学対校)などで自己ベストを出した時には先輩や監督に認めてもらえたと僕的には思っているので、そこは良かったのですが、U20日本選手権や関カレでは思った結果を出すことができなかったので、そこが15点分(のマイナス)だと思います。

――夏は思うように走れなかったとお聞きしましたが、具体的にお伺いしてもよろしいですか

 10日くらい微熱が続いたときがあって、それで周りとの差が開いてしまって。練習でもついていけなかったし、精神的にもだいぶ辛い時が多かったです。合宿では練習に参加した高校生よりも走ることができませんでした。

――走れるようになったのはいつ頃からですか

 11月の上尾ハーフ(上尾シティハーフマラソン)で、すごい不安はあったのですが走ることができて、回復の兆しが見えました。そこで走れたから自信になったと思います。そこからは練習もしっかり積めるようになって今は良い感じです。

――上尾ハーフで初めてのハーフマラソンでしたね

 花田さん(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)からは「65分前半でいい」と言われていました。最初は設定したペースを走っていましたが、結構余裕をもっていけたので、自分でここからは上げていこうと思ってペースを上げました。それでも楽だったので、余裕をもって走ることができました。

――先輩にアドバイスなどは聞きましたか

 色々な先輩に聞きました。前半余裕をもっていくことが大事だと言われて。僕は前半からとばしていくタイプなので、そこは抑えるようにという意識で走っていました。

――どの先輩に聞かれたのですか

 伊福(陽太、政経3=京都・洛南)さんや宮岡(凜太、商2=神奈川・鎌倉学園)さん、菅野(雄太、教3=埼玉・西武学園文理)さんなどハーフが得意な選手たちに聞きました。

――春の対談では、「長い距離に苦手意識がある」とおっしゃっていました。実際にハーフを走ってみた印象はいかがですか

 ハーフマラソン走る前は練習できていなかったのもあって恐怖心が強かったのですが、いざハーフ出てみたら余裕をもって走れたのでそこまで今は苦手意識はないです。

「走って活躍したい」

ガッツポーズをする山﨑

――次に、駅伝シーズンの話に移ります。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)と全日本大学駅伝対校選手権(全日本)では出走はありませんでした。先輩や同期の走りを見ていかがでしたか

 1番はやっぱり悔しかったです。トラックでは工藤(慎作、スポ1=千葉・八千代松陰)、長屋(匡起、スポ1=長野・佐久長聖)と同じかそれ以上の結果を残していたので、悔しかったですし、僕も走って活躍したいという気持ちが強くなりました。

――チームとしてはシード権を落とす結果に終わりましたが、どのように捉えましたか

 僕も見ていて悔しかったです。僕が頑張って届かなかった選手でもかなわなかったということは全体として練習の強度をあげたりなど、もっと厳しい練習をしないといけないと思いました。

――次に、箱根のエントリーメンバーに選ばれた率直な感想を聞かせてください

 本当に嬉しいです。上尾走るまでは調子も落ちていたし入るか分からなかったので。ハーフマラソンをしっかり走れて安心しました。

――現在の調子はいかがですか

 結構良いです。練習も積めているし、モチベーションも高く持てているので良いと思います。

――箱根に向けた練習で特に意識している部分はありますか

 長い距離を走る練習をしていて、僕は前半調子良く走ることができるのですが、後半は足のバネがなくなったりベタベタした走りになってしまうので、そういったことがないように前半から体力を温存できるよう意識しています。

――走りたい区間はありますか

 1年生が多く集まる7区を走りたいです。

――箱根特有のアップダウンや、気温の変化や風についての感触はいかがですか

 元々そんなに不得意なわけではないので、走れば対応できると思います。(気温の変化や風についても)そんなに不安はないです。

――箱根での個人目標を教えてください

 出るとしたら区間賞を取りたいです。

――ご自身の走りで、注目してほしいポイントはありますか

 バネがあって上下動少なく前に行くような走りが長所だと思います。

――箱根への特別な思いがありましたら聞かせてください

 三大駅伝と言われてますが、他の2つとは注目度も全く違うものだと思うし、親に感謝の気持ちをみせるためという思いももっているので、活躍したいと思います。

――最後に、意気込みをお願いします

 区間賞を目指して頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 佐藤結)

◆山﨑 一吹(やまざき・いぶき)

2004(平16)年7月14日生まれ。171センチ。福島・学法石川高出身。スポーツ科学部1年。ハーゲンダッツがあると元気になれるという山﨑選手。抹茶味が好きだとかわいらしい一面を見せてくれました。走ると一変する表情にも注目です!