例年好記録が誕生する富士北麓ワールドトライアル。今年は、時折小雨が降る場面も見られたが、川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘)と西徹朗(スポ2=愛知・名古屋)がそれぞれ優勝したほか、山越理子(人2=東京・富士)も200メートルで自己記録を更新。出場した多くの選手が日本学生対校選手権(全カレ)へとつながる結果を残した。
女子200メートルに出場した山越は、午前に行われた予選で向かい風が吹く中でも24秒08の自己新記録をマーク。3着となったがタイムで拾われ、決勝進出を決めた。午後の決勝でもスタートから力強い走りを見せた山越。タイムは予選から落としたものの、24秒16のセカンドベストで5位入賞を果たした。また、男子110メートル障害には西徹が出場。雨が降るなか行われた予選は、13秒92のタイムで組2着となり、決勝へと駒を進めた。決勝では、序盤から拮抗(きっこう)した展開に。最終10台目を越えてからも熾烈(しれつ)なスパート争いとなったが、西徹は2位の選手に100分の3秒差で競り勝ち、グランプリ初優勝を飾った。
レース後、表彰をうける西徹(写真右)
女子400メートル障害には川村、津川瑠衣(スポ4=東京・八王子)、大川寿美香(スポ2=東京・三田国際学園)の3人が出場した。「自己記録の更新を目指していた」という川村は、4台目でトップに立つと、後半も他の選手の追い上げを許さずトップを独走。セカンドベストタイとなる58秒18をマークし、5月の静岡国際に続いてグランプリ2勝目を飾った。踏み切りや終盤のタッチダウンでの課題は残ったが、それ以上に「優勝」という経験は、全カレに向けても大きな一歩になっただろう。また、59秒24のタイムをマークした大川が2位、津川も4位に入った。続いて行われた男子400メートル障害では、2組目に登場した金本昌樹(スポ3=東京・日大桜丘)が、後半に追い上げを見せて50秒16のセカンドベスト、1組目の田中天智龍主将(スポ4=鹿児島南)も50秒29でまとめた。
レースを走る川村
そのほか、男子100メートルチャレンジレースには関口裕太(スポ1=東京学館新潟)と由井響(スポ1=山梨・都留)、男子400メートルに新上健太(人4=東京・早実)と竹内彰基(スポ4=愛知・瑞陵)、女子400メートルには、新田望(スポ2=神奈川・法政二)、山本真菜(スポ1=三重・伊勢)が出場。それぞれ現状の力は発揮したが、上位の選手には及ばず。今後に向けた課題も明確になった。
109代目の集大成である全カレまでは残り約1カ月となった。「有終の美で終えられるように全力を尽くす」と語った女子主将の川村をはじめ、目標を達成するべく、チーム一丸となって日々の練習に励む。
(記事 加藤志保、写真 加藤志保、戸祭華子)
結果
▽男子
▽100メートル
チャレンジレース予選(3組)
関口裕太(スポ1=東京学館新潟) 10秒53(ー0・4)(1組4着)
由井響(スポ1=山梨・都留) 10秒60(ー0・4)(1組7着)
チャレンジレース
関口 10秒54(ー0・5)(2組4着)
由井 10秒65(+0・2)(3組3着)
▽400メートル
タイムレース決勝
新上健太(人4=東京・早実) 47秒30(2組3着)
竹内彰基(スポ4=愛知・瑞陵) 47秒04(3組3着)
▽110メートル障害
予選(3ー2+2)
西徹朗(スポ2=愛知・名古屋) 13秒92(+1・0)(3組2着) 決勝進出
決勝
西 13秒82(+0・7)(1着)
▽400メートル障害
タイムレース決勝
田中天智龍主将(スポ4=鹿児島南) 50秒29(1組4着)
金本昌樹(スポ3=東京・日大桜丘) 50秒16(2組2着)
▽女子
▽200メートル
予選(3ー2+2)
山越理子(人2=東京・富士) 24秒08(ー2・1)(3組3着) 決勝進出
鷺麻耶子(スポ3=東京・八王子東) 棄権
決勝
山越 24秒16(+0・4)(5着)
▽400メートル
タイムレース決勝
新田望(スポ2=神奈川・法政二) 57秒43(2組3着)
山本真菜(スポ1=三重・伊勢) 58秒20(2組6着)
▽400メートル障害
タイムレース決勝
川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘) 58秒18(1着)
大川寿美香(スポ2=東京・三田国際学園) 59秒24(2着)
津川瑠衣(スポ4=東京・八王子) 60秒85(4着)
コメント
川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘)
――調子はいかがでしたか
合宿の疲労が完璧に抜けきっているわけではありませんでしたが、合宿でしっかりと練習を積むことができたことに加えて、前日刺激の時点で良いイメージで動けていたので調子は良かったです。
――どのような目標を立てて臨みましたか
タイムは出そうだという自信はあったので、自己記録更新(58秒12以内)を目指していました。
――先日の菅平合宿ではどのようなことを意識して取り組みましたか
競った時でも常に自分のしたい走りをすることを意識しました。中でも、私は平地では脚がながれてしまうことが多いので、坂での練習ではシザースを強く意識して平地につなげられるようにしました。
――レースプランはどのように考えていましたか
前半からスピードに乗って流れを作り、200メートル〜300メートルで間伸びしないように後半につなげるという意識をしました。また、今までは全体的に踏み切りが近く、特に逆足の踏み切りはかなり近かったので、踏み切りの位置も意識しました。
――その中で、実際にレースを振り返っていかがですか
今までのレースの中では、1番流れが良くしっくりときたレースでした。狙ったレースプラン通りに行けたことが、セカンドベストが出た要因だと思います。また、合宿の走りの意識も良い影響を与えてるように感じました。ですが、9〜10台目で間延びしてしまったり、所々踏み切りが近くなってしまったところもあったので、修正していきたいです。
――優勝という結果については
優勝できたことは素直にうれしいです。全日本インカレ(日本学生対校選手権)など対校戦はタイムよりも順位が求められるので、こうした一つ一つの試合や、普段の練習から勝ち癖をつけられるよう取り組んでいきたいと思います。
――今回のレースで見えた課題は
まだ踏み切りが近いところがあったり、後半の3台は0・2秒ずつタッチダウンが落ちてしまうなど課題は多いので、自分のレース展開の精度を上げていきたいと思います。また、今回良いイメージを作ることができたので、これを今後の試合でも再現できるよう再現性を大切に取り組んでいきたいです。
――最後に全カレに向けての意気込みをお願いします
北麓は全カレに向けてかなりポイントにしていた試合だったので、今回セカンドベストでまとめることができて良かったです。ここからベースアップをして、全日本インカレは有終の美で終えることができるよう全力を尽くします。