日本最高峰の戦い この経験を今後の糧に/日本選手権

陸上競技

 大阪・ヤンマースタジアム長居で開催された、第107回日本陸上選手権。2種目で日本記録が誕生するなど、今年もハイレベルな戦いを見せた日本最高峰の舞台に、早稲田からは現役選手13人がエントリーした。出場の叶わなかった選手が発生するなど、台風にも翻弄(ほんろう)された今大会。その中でも、菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)が3位表彰台、西裕大(教4=埼玉・栄東)は6位入賞など、ユニバーシティゲームズ(ユニバ)代表勢が力を見せた。

(記事 戸祭華子)

U20日本選手権、選手コメント集は別記事でお届けします。

★シニアの壁は高く… 島田、稲毛ともに準決勝敗退(男子100メートル)

レースを走る島田

 男子100メートルには関カレ(関東学生対校選手権)で3枚残しを達成した稲毛碧(スポ4=東京学館新潟)、島田開伸(スポ3=静岡・浜松湖東)、井上直紀(スポ2=群馬・高崎)がエントリー。井上は棄権したものの、稲毛、島田が揃って出場した。しかし、シニアの壁は高かった。思い通りの走りを見せることができずに、両者ともに準決勝で姿を消した。

 予選2組の出場となった島田は「バラついた走りになった」ものの着順で通過。稲毛も予選3組を危なげなく突破した。迎えた、翌日の準決勝2組に稲毛は2レーン、島田は9レーンでの登場となった。この組には、自己ベストで9秒台を持つ、サニブラウンアブデルハキーム(東レ)、小池祐貫(住友電工)が同居。着順では上位2人までしか突破できないことも相まって苦戦が予想された。弱めの向かい風の中で行われたこのレースは、島田が「日本選手権という大舞台の雰囲気に飲まれてしまった」と語るように、本来のレース運びができず。距離を追うごとに実業団の選手にぐんぐん離され、島田は6着、稲毛は7着となり準決勝敗退が決定。日本トップレベルとの差を痛感する試合となった。

  長い間夢見てきた日本選手権は、「世界と戦うために必ず通らなければならない関門」(島田)へと変わった。観客席からではわからない、走る立場になってこそ学ぶことがある。この日得た学びを胸に彼らは己の走りをさらに磨き上げるだろう。その成果をまずは、3カ月後の全カレ(日本学生対校選手権)で披露する。

(記事 飯田諒、写真 戸祭華子)

★西裕が6位入賞! 島田はPB更新もレベルの高さを実感する結果に(男子200メートル)

レースを走る西裕

 男子200メートルに出場したのは、西裕大(教4=埼玉・栄東)と島田開伸(スポ3=静岡・浜松湖東)。西裕が見事6位に入賞した。

  優勝した関カレ(関東学生対校選手権)からは今大会に向けては、調子を落としてしまっていたという西裕。調整の段階では、「これで(日本選手権)走れるのかと思っていました(西裕)」。レース前のウォーミングアップの際、体が明らかに動かなかったと振り返る木曜の予選では、「力が逃げていたような走りになってしまった」が、4着でフィニッシュ。タイムで拾われ決勝へ駒を進めた。一方の島田は、予備予選からの登場。懸命な走りを見せ20秒84の自己新記録をマーク。予選に駒を進めた。夕方に行われた予選では、タイムを伸ばすことはならず、6着でゴール。ここで敗退となり、シニアのレベルの高さを実感する結果となった。

 2日目向かえた決勝では、西裕は苦手としているインレーンでのスタート。降りしきる大雨は「集中していたので気にならなかった(西裕)」。前半で出遅れてしまい、「レースに参加できなかった」と振り返る予選の反省を生かし、前半から積極的に行くことを意識し、レースに臨んだ。実際に、カーブ抜けの時点ではライバルよりも前に出ていたが、それは「周りに走らされた(西裕)」から。そこで力を使ってしまい、後半はもたなかったというものの、粘りの走りを見せ6位に入賞した。

 次に見据えるのはユニバでの表彰台。調子が悪いながらも日本選手権決勝に進出した収穫と、学生に負けたことと表彰台にあがることができなかった悔しさを糧に、世界へ羽ばたく。

(記事 戸祭華子、写真 加藤志保)

★日本トップレベルの壁に阻まれる(男子400メートル)

レースを走る新上

 男子400メートルには新上健太(人4=東京・早実)、竹内彰基(スポ4=愛知・瑞陵)、藤好駿太(スポ4=福岡・修猷館)が出場した。予備予選、予選が行われたが3人とも決勝に進むことはできず、大会3日目で姿を消した。

 大会2日目、不安定な天候の中400メートル予備予選が行われた。1組の新上は序盤から飛ばし1着でゴール。余裕のある走りを見せ総合4位で翌日の予選進出を決めた。2組に登場した藤好は、4月の川口市春季記録会で200メートルに出場して以来の今シーズン2戦目。力強い走りをするも47秒69を記録。組4着となり予選進出には惜しくも届かなかった。竹内は3組に登場。序盤は落ち着いた走りを見せる。ホームストレートに入り、ギアを上げ組3着でゴール。総合6位に食い込み予選進出を決めた。

 翌日に行われた予選。前日とは打って変わって太陽が選手の走りを照らす。予選に駒を進めた新上、竹内はそれぞれ1、2組に登場。新上はいつも通りの落ち着いた表情で走る姿を見せたが、予備予選からタイムを落とし、47秒30で予選敗退となった。一方の竹内は、竹内の同組に富士通の佐藤拳太郎や法大の地主直央が並ぶ中、抜群のリアクションタイムを記録。誰よりも速くスタートを切ったが、力及ばず47秒44でレースを終えた。

 早大が誇る400メートルの3人にも日本選手権の壁は大きく立ちはだかった。ただ予選敗退のまま終わる実力ではない。ここからさらにギアを上げ、400メートルでもリレーでも驚くべき活躍を見せてくれるだろう。

(記事 堀内まさみ、写真 戸祭華子)

今季好調の菖蒲駅伝主将、3位入賞で頭角を現す(男子3000メートル障害)

レースを走る菖蒲

 大会2日目、日が沈み小雨が降る中、男子3000メートル障害決勝が行われた。早大からは関東学生対校選手権で3連覇を果たし、先日行われたセイコーゴールデングランプリで自己記録を更新するなど快進撃を見せる菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)が出場した。

日本記録保持者である順大の三浦(龍司)や青木涼真(ホンダ)など実力者が揃う中、緊迫感のあるスタートからレースが始まった。集団は三浦を筆頭にレースを展開していき、菖蒲は6番目の位置で堅実な走りを見せる。しかし、1000メートル通過後、三浦が徐々にペースを上げ後続との差を広げると、先頭から離され第二集団に。「三浦と青木さん以外のトップを狙って走っていました」と話す菖蒲は、徐々にギアを上げ先頭集団との距離を縮め、2000メートル通過後、三浦と競っていた青木にアクシデントがあると、3位まで位置を上げる。そして、一時は砂田(晟也、プレス工業)との2位争いを繰り広げる場面があったものの、なかなか差は埋まらず。ラスト1周で惜しくも砂田を抜くことはできなかったが、パワフルな走りで、見事3位表彰台を果たし、セイコーゴールデングランプリに続く自己記録の更新も達成した。

 レース後、「(三浦の)背中が結構近くまで見えた」と自身の成長を噛み締めるとともに、「3番でゴールしたのは少し悔しかった」と悔しさも見せた菖蒲は、今大会でさらなる収穫と課題を得たようだ。しかし、実力者が集う中で表彰台まで上り詰め、存在感を発揮したことは彼にとって大きな自信と糧となったに違いない。世界を見据えた菖蒲の今後に期待したい。

(記事 草間日陽里、写真 戸祭華子)

結果

▽男子

▽100メートル

予選(7組3着+3)

島田開伸(スポ3=静岡・浜松湖東)  10秒43(+0・2)(2組3着)

準決勝進出

稲毛碧(スポ4=東京学館新潟)  10秒47(ー1・2)(5組2着)

準決勝進出

井上直紀(スポ2=群馬・高崎) 棄権

準決勝(3組2着+2)

島田  10秒46(ー0・6)(2組6着)

稲毛  10秒47(ー0・6)(2組7着)

▽200メートル

予備予選(3組0着+6)

島田 20秒84(+0・2)(3組2着)

予選進出

予選(3組2着+2)

西裕大(教4=埼玉・栄東) 20秒80(+0・4)(2組4着)

決勝進出

島田 21秒10(+0・4)(1組6着)

決勝

西裕 20秒92(ー0・2)(6着)

▽400メートル

予備予選(3組0着+6)

新上健太(人4=東京・早実) 47秒07(1組1着)

予選進出

竹内彰基(スポ4=愛知・瑞陵) 47秒21(3組3着)

予選進出

藤好駿太(スポ4=福岡・修猷館) 47秒69(2組4着)

予選(3組2着+2)

新上 47秒30(1組6着)

竹内 47秒44(2組8着)

▽800メートル

予選(3組2着+2)

筒井航佑(スポ3=愛知・時習館) 1分52秒61(1組5着)

▽110メートル障害

予選(3組2着+2)

池田海(スポ3=愛媛・松山北) 棄権

西徹朗(スポ2=愛知・名古屋) 棄権

▽400メートル障害

予選(3組2着+2)

田中天智龍主将(スポ4=鹿児島南) 50秒59(3組5着)

▽3000メートル障害

決勝

菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京) 8分28秒16(3着)

自己新、早稲田新 

▽女子

▽100メートル

予選(4組3着+4)

鷺麻耶子(スポ3=東京・八王子東) 11秒92(+0・2)(1組4着)

準決勝進出

準決勝(2組3着+2)

鷺 11秒93(ー0・3)(2組6着)

▽400メートル

予選(3組2着+2)

山越理子(人2=東京・富士) 55秒77(3組6着)

▽400メートル障害

予選(2組3着+2)

内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田) 62秒01(1組8着)

川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘) 棄権

津川瑠衣(スポ4=東京・八王子) 棄権

大川寿美香(スポ2=東京・三田国際学園) 棄権