【連載】関カレ特別企画 新体制対談『一新』 第6回 田中天智龍×新上健太×藤好駿太

陸上競技

 昨年、日本学生対校選手権(全カレ)で優勝を果たした 田中天智龍主将(スポ4=鹿児島南)。また、全カレ、日本選手権リレーで輝かしい成績を残したマイルリレーのメンバーである短距離ブロック長の新上健太(人4=東京・早実)と寮長を務める藤好駿太(スポ4=福岡・修猷館)。今シーズン競走部の幹部に就任し、チームを引っ張る役割を担う3人に、部に対する思いや、大学ラストイヤーの意気込みを伺った。

※この取材は4月29日に行われたものです。

「ずっと一緒にいる」(田中)

質問に答える田中

――右隣の人の紹介をお願いします

新上 藤好か。

田中 新上は、僕にとってはなくてはならない存在。

新上 おー、これ太字で(笑)。

田中 僕にできないことを新上が補って、新上にできないことはあんまりないんですけど、新上にできないことを僕が補うようにして、チームビルディングしてきたつもりです。僕は結構、感情的になりやすいところがあって。でも新上は1歩引いて客観視して物を見ることができるので、僕が主将としていい意味で突っ走っても新上がサポートしてくれるので、安心して主将としてやることができています。

新上 ありがとうございます。

藤好 いいこと言わなくていいですよね?

田中 え、宣告?

新上 強気、強気(笑)。

藤好 (田中とは)普段から一緒にいることが多くて、相談相手になってくれるんですけど、結構僕が天智龍のお母さんみたいなポジションだと思っていて。

新上 見た目もね。

藤好 見た目は違うんだけど(笑)。思わない?

田中 思う(笑)。

新上 ママ。

田中 ママ。

藤好 説明書僕に渡してきて、要約して伝えてって。

新上 あれ本当におもしろい。

藤好 字を読むのが苦手らしくて、そういうことを頼んできて、そんな感じです。まあなんと言うか…いいやつ。

新上 いい息子。

田中 良かった、いい息子で(笑)。

新上 藤好は多分1番負けず嫌いな気がしてて、競走部は負けず嫌いさを結構表に出す人多いですけど、内に秘めてる1番負けず嫌いのやつっていう印象で、たまにそれが表に出ると僕はうれしいなって思います。わかるでしょ。

田中 うれしい。

新上 ママですかね。

藤好 それ思ってるの?

新上 ご近所のお母さん。

田中 そのままやん。

新上 という感じです。

――お互いの好きなところや尊敬しているところはどんなところですか

藤好 新上は陸上に関して他の人じゃ考えないような視点から考えて、めっちゃ突き詰めてやっているところがすごいなと思います。陸上以外にもいろいろあるのでそこがすごいなと思います。

新上 めっちゃ褒めてくれるじゃん。

田中 新上はメリハリがしっかりしてます。競走部はそういう人が多いですが、ちゃんとやるときはちゃんとやる。メリハリはしっかりしているということと、僕の同期は結構お子ちゃまが多い。(新上が)1番大人です。

田中 藤好は、笑顔がかわいい。

新上 かわいいわ。

田中 息子だけど、守りたくなる笑顔。

新上 めっちゃいい関係じゃん。

田中 (藤好は)ポテンシャルがものすごく高いですね。動きとか何も考えてないかもしれないし、考えてるかもしれないけど、すごいなっていうような動きをします。多分、あんまり練習好きじゃないと思いますが、でも自分の中でポイントがあってそのポイントをつかむことができれば、全国のトップにいける、そういう力をもっています。

――主将の好きなところをお願いします

田中 ちょうだい、ちょうだい!

新上 めっちゃ優しいです。誰にでも優しい。そこは自分にはない魅力だなと思います。

藤好 たしかに。

田中 それで終わんないでよ。

新上 あと体力がめっちゃあります。ずっと寮にいないので、元気だなと思います。

藤好 アクティブ。

田中 元気です。

新上 僕はできないんですよ。

藤好 でも新上が言ってた、優しいは結構いいと思います。

田中 ありがとう。

藤好 普通聞いてくれなさそうな頼みとかもたまに聞いてくれます。

新上 例えば?

藤好 風呂行こうぜとか。

田中 浅。

新上 普通聞いてくれないの?

藤好 たまに1回入ったのに。

田中 2回行くこともあります。

藤好 それだけじゃないと思いますが、そういうのとかっていうことです。

田中 新上は人間に対して洞察力があります。誰にも話してないけど僕が落ち込んでる時期があって、その時元気じゃなくない?と言ってきて、何だこいつ、そう思った時があって、すごいそれは長所ですよね。

――4年生になって感じたお互いの意外な一面はありますか

藤好 意外でいうと天智龍は正直ただのアホとしか思ってなかった。そこが4年生になって、主将になってチームのことを考えてやっていて、そういう真面目な一面もあったんだなと思いました。意外と言うとそこかもしれない。

田中 意外か。ずっと一緒にいるからね。

新上 ないです。

田中 (藤好は)メンタルが強いです。新上はちゃんと言ってくれます。幹部になってなおさら感じました。元々は思ってはいました。本人にとって、伝える相手にとって嫌なこと、マイナスになることは言いたくないですが、そういうことをチームのために本人のためにちゃんと言ってくれます。

――新体制になって変化したことはありますか

新上 たくさんあります。学年が1番上になって思ったのは、細かいことも気になるようになりました。下級生の時もあったんだろうなということも、4年生になって改めて見ると、無視できないことって意外とたくさんあるなと感じます。

田中  藤好にも言われたけれど、僕自身変わったと思います。もともとチームに対しての思いはありましたが、なおさら強くなりました。全員で勝ちたいなというのが、すごい自分の中で強くなったのはあります。

――今の役職はどのような経緯で決まったのか教えてください

田中 主将はもともと競技面で決まる部分があって、インカレ(日本学生対校選手権)優勝した時に、自分の中で主将になるという覚悟が芽生えて、みんなで1回話をしました。

新上 こういう役職を作るように大前(祐介、平17人卒=東京・本郷)さんから言われて、その役職を誰がやるかみたいのは大体主将の天智龍が決めた部分もあるし、それを確認するくらいの感じでした。主将の取り合いがあったとかそういう感じではなかったです。

田中 俺は決まっていて、確かに俺が結構決めた。

新上 (大前さんに)そういう風に言われた。

田中 自分のやりたいように。

――それぞれなぜ今の役職に指名されましたか

田中 寮長はずっと寮にいる。外出経験があまりない。

藤好 そんな理由で?

田中 藤好を寮長にしたの僕なんだ。それは新上がやりたがっていたの知ってて、新上に絶対俺はしてほしくなかった。

新上 寮長絶対おもしろい。

田中 新上は絶対短距離ブロック長か主になるところに置きたかったということもありますし、藤好が結構やるかやらないか迷ってた感じだったので僕が背中を押しました。短距離ブロック長は新上が稲毛(碧、スポ4=新潟・東京学館新潟)と僕の中であって、大前監督との話で新上は主務説がありました。僕の学年で1番信頼を置いていたのが新上だったので、新上は絶対一緒にチームビルディングしやすい役職についてほしいなと思っていました。それが主務か短距離ブロック長で、主務は女性で久しぶりの和美(星合、商4=静岡・沼津東)が声を上げてくれたので、和美に任せて、新上は短距離ブロック長として一緒にチームビルディングやっていこうという中でお願いしました。もちろん稲毛も信頼していますし、稲毛は短短として短短ブロック100メートル、200メートルを盛り上げてくれているし、間違いなく強いしとても助かっています。

――主将としてどんなチームにしていきたいか、そのうえでとくに意識していることはありますか

田中 僕がみんなに伝えているのは、僕自身が昨年タイムが伸びたのは陸上競技に対して、心から楽しんで、陸上に対してのめり込んでほしいということです。あの瞬間が僕は1番伸びたし、他の人も絶対伸びると思うので、まず結果を出すというのは大前提で、エンジの108年の歴史を背負っているそして早稲田大学競走部を継承していかないといけない身なので、結果を出すというのが大前提でその結果を出すためのアプローチとして、陸上競技を楽しみそして陸上以外考えられないようなぐらいのめり込もう、楽しんでやろうというのは伝えてきていました。でもすごく難しくてそれが緩さに走った時期があり、楽しいとゆるいって紙一重の部分があるとずっと思っていましたが、ゆるいが勝ってきて陸上競技以外の面でボロが出てきたこともありました。例えば当たり前の挨拶ができないとか、報告連絡相談ができないとか。もちろん楽しいというのも大切だけど結果を出すためのアプローチとして厳しさももちろん必要だなと一時期口うるさく言った時期もありました。でも陸上競技を楽しむというのはぶらしたくないので、陸上を楽しむ姿勢を大切にする早稲田大学競走部にしていきたいなと今もずっと思ってます。冬、言い続けてたのが、勝ちにこだわってやろうっていうところをずっと言い続けてやってきました。学生個人が終わった時に大前さんから、お前が言い続けてきたからこそ学生個人で井上と西が勝てたと俺は思うと言っていただきました。昨年全カレ(全日本学生対校選手権)で優勝して、その前の優勝するまでの過程で絶対に勝とうという気持ちで練習を積んできていたので、それをみんなにもやってほしいなと思っています。結果がまだ大学で出せていない人たちはマイナス思考になりがちですが、そうじゃなくて自分でもできるんだというのを思ってほしかったので言い続けてきました。楽しむ部分と勝ちにこだわるというこの2つを大切にするチームにしていきたいなと思っています。その結果が出始めているかなと、もちろん最終的には秋、全カレ総合優勝が目標になりますけど、そこは言い続けていきたいなと思います。

「 勝ちたい(気持ちが強い)メンバーが多い」(新上)

質問に答える新上

――今のチームの雰囲気はいかがですか

田中 今徐々に上がりつつあります。楽しいなと思う瞬間と自分に鞭を打つ苦しい練習を乗り越えてやろうという瞬間のメリハリがうまくできていていい雰囲気だなと思います。

新上 雰囲気はそうですが、最近思うのは、対校戦に出るようなメンバーとそうじゃないメンバーの力の差が大きく開いているように感じます。100だと学生個人で決勝進出したメンバーとそうじゃないメンバー、400だとマイルを走るメンバーとそうじゃないメンバー、の差が結構大きく開いています。実際に出場するメンバーが点を取って対校戦で勝つという部分においては問題はないと思いますが、対校戦に出るメンバーと出ないメンバーは試合の流れなども違って、自分たちで練習をしないといけない場面になった時に、引っ張ることができる人がいるのといないのとでは結構大きく違います。そこをどう解決していくかというのが今のチームの壁なのかなという気がしています。今日も新入生の森田(陽樹、創理1=埼玉・早大本庄)がベストを出したり、400の石原(慎也、法2=京都・洛南)が47秒で走ったり、そういった風に1つ壁を超えるようなことをしてくる人がたくさん出てきてそこの溝が埋まれば、もっと雰囲気も走力も面白くなるのかなという気はしています。

藤好  400でも今あったみたいな感じで結構いい記録が出て、それが選手間でバッチバチになって対抗心を燃やしてやっていくみたいな感じの雰囲気が400や100でも感じられたりすることがあるので、そこはいいなって思います。

――今年のチームの特徴や強みはどんなところだと思います

新上 難しい。

田中 元気じゃない?各ブロックで盛り上がっている感じはあります。だから静かな日は静かだなってすごい思います。

新上  勝ちたい(気持ちが強い)メンバーが多いと思います。実際に井上と西、短距離は2人勝ちましたけど、そこのメンバーだけじゃなくて稲毛と開伸(島田、スポ3=静岡・浜松湖東)も記録的に満足しがちな結果だと思いますが、全然そんなことなく、僕も天智龍も準決勝で落ちましたけど、絶対に勝ちたいと思って出ていました。昨年は口では勝ちたいと言っても、本当に勝てるかという部分は疑心暗鬼というか、そこに対して絶対的な自信がない人が多分多かったと思いますが、 実際に一緒に練習してる人が勝ったり、勝った人を見たりする中で明らかに昨年よりは全員が勝ちたいという風には向かっていってるのかなという気はします。

――4年生の雰囲気はどんな感じですか

田中 1つになり始めたような…。

新上 覚悟決まった感じはあるよね。4年生になってもうラストシーズンで陸上競技も引退すると決めている人もたくさんいるので、もう後がない感じは自分も感じていますし、感じている人は多分多いと思います。

――1年生の印象はいかがですか

藤好 最初から結構しゃべってくれる人は何人かいたんですけど、しゃべらない人なのかなって思ってたら最近になって入寮してから1カ月ぐらい経つので、やっと心を開いてくれたというか、1年生から話に入ってくれる人もいて、すごくいいなって思います。

新上 けっこういい雰囲気じゃない?3月に合宿をして、その合宿がチームビルディングというか、部の課題が出た合宿でした。推薦組は参加していて、そういうチームができあがる過程を見て、六大(東京六大学対校)も国立(競技場)という雰囲気のある場所で、応援ありでできたというのも良かったのかなと思っています。自分たちが1年生の時より遥かに意識が高いというか試合に出ている人もいます。そういった意識は高いのかなという気はします。

田中 分かる分かる。1年生で残って練習していますし、今は受験明けで明らかに僕たちと差がありますが、その差を必死で埋めようとしている強い気持ちがあります。

――新入生で期待している選手はいますか

藤好  高須(楓翔、スポ1=千葉・成田)は速いなと思います。

一同笑い。

新上  いっぱいあげたい。

田中 めっちゃ好感度上げようとしてない?

新上 下の学年とめっちゃ話すから。誰が新入生かわからない。でも短距離は同じ付属校から来ている本庄(早大本庄)から来た森田は種目も一緒で理工学部で大変だと思いますが、一緒にがんばりたいなと思います。長距離で言うとみんな好きだと思うんだけど、工藤(慎作、スポ1=千葉・八千代松陰)です。工藤はおもしろいのでめっちゃ個人的に応援してます。1番の推しは宮本(優希、人1=智弁和歌山)です。智弁和歌山から来て、声がかっこいいから推してます。関カレ(関東学生対校選手権)で1500メートルに出るのでワクワクしてます、勝手に。

田中 僕は同郷の平田和(スポ1=鹿児島・松陽)です。僕が高校生の時に塗り替えたかった鹿児島県高校記録を1秒くらい塗り替えて入ってきて、間違いなくポテンシャルは僕よりも遥かに高いと思いますし、伸び代もまだまだあると思います。今鹿児島県記録は49秒07で、それを抜かれないようにもっともっとタイムを上げたいなと思いますし純粋というか真っ直ぐな子なので、競技面だけじゃなくて人間性として人として伸びる子なんだろうなと感じてます。あとは同じ種目なんですけど内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田)。絶対私は早稲田でやりたいんです、そういう気持ちを持って入学してきて。高校がそこまで強豪校じゃないと思うんですけど、彼女自身多分かなり負けず嫌いでうまくいかない時があればむしゃくしゃしてるような姿を見たりするんですけど、そういう負けず嫌いな気持ちが強さになっていくんだろうなと思います。その2人は同じ種目なんですけど期待してます。

藤好 「期待」が難しいので、推しで言うと最近めっちゃ喋った由井(響、スポ1=山梨・都留)。めっちゃルービックキューブできる。

田中 それ期待大だわ。

藤好 喋っててめっちゃ頭いいんだろうなというのも分かったし、そういう部分を出して新上みたいな考える陸上で伸びてくれたらいいなと思います。

新上 期待してる1年生、宮本でしょ。宮本めっちゃいいですよ。ちょっとハスキーな声、ボイスがいい。あとちょっとコミュニケーションが苦手そうな感じもいい。

取材中、笑顔を見せる藤好

――現在の調子はいかがですか

藤好 じゃあ僕から(笑)。

新上 一番話しやすそうじゃん。

藤好 今ケガで走ることができてないません、前回ケガしたのが3月の合宿の時で、それを戻して関カレ標準を200メートルで切って出たかったんですが、そこで急いでしまい別の部分をケガしてしまいました。それがないようにゆっくりめに慎重に戻して全日本インカレに標準を合わせてやっています。

新上 僕は学生個人て自己ベストで、やっとかみ合ってきたなという感じでした。決勝を走りたかったんですがもともと絶好調だから記録が出るタイプじゃないので、今やりたいことができそうな状態にはあって関東インカレが楽しみな感じです。

田中 僕はあんまり良くはない、あんまり上がってきてはないです。調子が悪いというよりは、練習は間違いなく例年以上に積めていてあとは細かい部分の擦り合わせというか、学生個人は自分やってきたことを信じきることができなかったです。調子が上がってきてないことが不安で、その結果準決勝敗退というかたちになってしまったんですけど、調子はここから上げていきます。

――シーズンインからここまでの試合を振り返ってみて手応えや今後に向けた課題はありますか

新上 僕は例年見ないくらい順調なのかなと感じています。例年も48秒6、7くらいでシーズンインして夏くらいにベストが出るかなという流れでこの3年間やってきました。今年は最終学年でどうやって早い段階、春先から記録を出せるかというところをこだわってやっていて、課題にしていた部分がうまく克服したとはまだ言えないですが、うまくつながったのかなという気はしています。

田中 昨年と同じ過ちを犯してしまっているというか、もともと春先は得意な方ではないですが、シーズンインの50秒17を自分の中で悲観しすぎてしまったなと感じます。昨年もそうだったんですが昨年は51秒3でシーズンインして、これじゃダメだと思ってしまって。そのまま自分のやってきたこと信じて淡々とやるだけだったと思います。50秒17で走って感覚的にはあまり良くなかったですが、そこまで悲観するタイムでもない。でも自分の中でこれじゃダメだと思ってしまって、冬やってきたことを信じて淡々とやるだけだったんですけど、不安なせいであれもやってこれもやってというのでちょっと悪い方向に進んでしまった感じはあります。まだ修正できる時期でもあるので、自分が冬やってきたことを見つめ直してやっていこうかなと思います。

藤好 僕は1試合しか出ていなくてその試合でケガしちゃったので、そういうことが今後ないようにしていきたいなと思いました。

新上 慎重に行きたいよね、本当に。だって次やったらもう引退。

――最後に大学ラストイヤーの目標をお願いします

藤好 今シーズンから200メートルを始めて200メートルで日本インカレで活躍する、部に貢献するというのが目標です。そういう練習をしていく中でも、マイルに出て勝ちたいと思っています。

新上 僕はその過程でどこでどんだけ勝っていようが、全カレだけは絶対勝ちたいという思いがあります。この競走部でやってる以上はこだわらないといけない試合だと思いますし、個人でタイトルを取ったことないので、そこはもうこだわっていきたいなと思います。ただ学生個人の結果を踏まえて、思ったよりも代表という世界が手の届かないところじゃないんだなと感じた部分がありました。西と準決勝が終わった後に話したんですけど、次は勝つ、次は勝つと言っていたら次が無くなっちゃうということは言われて。だからこそ今年初めて日本選手権出場できますが、そういったシニアの舞台だろうが関係なく行けるところまでは行きたいというのもあるので、どこまで戦えるかはちょっと分かんないですけどそういった意味で常に攻めの姿勢で行ければいいのかなと思います。で、マイルは絶対勝ちます。

田中 まず4年間チンピラだった僕をここまで成長させてくれた早稲田大学競走部にラストシーズン、結果という形で恩返ししたいなしたいなと思います。僕は結構主将としてあまり喋るのが得意ではないので結果で引っ張りたいという気持ちがかなり自分の中で強いです。まずは日本選手権でブダペスト世界選手権の出場権獲得が自分自身のためでもそうですし、応援してくれてる人たちや一緒にやっている早稲田大学競走部のみんなにとっても盛り上がるというか、プラスになることだと僕は思ってやり続けてきました。そこで1つ勝つことと、全カレで勝ったときのスタンドのエンジを着た人たちが手を挙げてガッツポーズしている姿が忘れられないので、もう一回あの景色を見ることができる、今年最後の全カレでもう1回勝ってあの景色を見たいと思っています。チームとしては全カレ総合優勝という目標を掲げていて、正直簡単ではないです。僕たちは人数も他大に比べたら少ないし、出場できる種目数もそこまで多くないと思いますが出場する1人ひとりが取りこぼしがなければ上位入賞、優勝にこだわってやっています。人数が少なくても総合優勝できると思っているので、総合優勝に向けて出る出ないはありますが、そこは関係なく全員でやっていこうという話もみんなにしています。全カレ総合優勝に向けて本気でやったその過程がすごく大切だと思うので、全員で本気で9月まで走り切ろうと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 戸祭華子、加藤志保、堀内まさみ)

◆田中天智龍(たなか・てんじろう)(※写真中央)

2001(平13)年7月17日生まれ。178センチ。鹿児島南出身。スポーツ科学部4年。2023年度主将。自己記録:400メートル障害49秒07。科目登録、健康診断の説明書をいつも藤好選手に要約して説明してもらっているそうです。そんな田中選手ですが、今回の対談では色紙を2枚書いていただきました。陸上競技を、そしてエンジを愛する田中選手のラストイヤーから目が離せません!

◆新上健太(しんじょう・けんた)(※写真左)

2001(平13)年8月20日生まれ。179センチ。東京・早実出身。人間科学部4年。2023年度短距離ブロック長。自己記録:400メートル46秒60。ワンピースの好きなキャラクターはDr.ヒルルク。冬は田中選手、藤好選手と3人でゲームをしていたそうです。試合前には必ず床屋に行くという新上選手。大会では新上選手の爽やかなヘアスタイルとキレキレの走りに注目です!

◆藤好駿太(ふじよし・しゅんた)

2001(平13)年11月1日生まれ。。176センチ。福岡・修猷館出身。スポーツ科学部4年。2023年度寮長。自己記録:200メートル21秒09、400メートル46秒50。ワンピースの好きなキャラクターはボン・クレー(新上選手証言)。名探偵コナンの好きなキャラクターは工藤新一(本人より)。田中選手、新上選手によると「笑顔がかわいい」藤好選手ですが、試合では打って変わってかっこいい走りを見せてくれます。今季も藤好選手の走りに期待です!