今年も好記録連発!関カレに向け大きな弾みに

陸上競技

 例年、好記録が続出する静岡国際。今年は、男子200メートルに出場した西裕大(教4=埼玉・栄東)と女子400メートル障害の川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘)が自己新記録。同種目の大川寿美香(スポ2=東京・三田国際学園)が日本選手権の標準記録を突破するなど、来る関東インカレ(関東学生対校選手権)に向け、大きな弾みがついた大会となった。

B決勝のレースを走る西裕

 200メートルには、山越理子(人2=東京・富士)、ワールドユニバーシティゲームズ(ユニバ)代表の西裕が出場。それぞれB決勝に進出した。

 男子予選1組に登場した西裕。今シーズン、特に意識しているというレース前半から飛ばしていく。カーブを抜ける際に、内側のレーンを走るライバルの鵜澤飛羽(筑波大)、上山絋輝(住友電工)に気を取られ「動きが固くなってしまった」ものの、良風もあり、20秒58のタイムは自己新記録。B決勝に進出した。続くB決勝では前半に足が攣(つ)るアクシデントに見舞われる。その中でもレースにはしっかり勝ちきり、その表情からは充実感が伺(うかが)えた。

 自己新記録をマークした予選の走りについて、「走りのクオリティとしては学生個人(日本学生個人選手権)の方が上」と貪欲に反省を見せた西。その中でも、得意のレース後半を活かすべく大前祐介監督(平17人卒=東京・本郷)とともに取り組んできたという「前半から積極的に行く(西)」レースプランがシニア選手に通用することを実感したという。目標である日本選手権決勝やユニバで輝くべく、まずは関カレ(関東学生対校選手権)での載冠に期待が膨らむ。

 女子は山越が出場。予選、B決勝ともに安定した走りを見せた。関東インカレでは4種目にエントリーしている山越。マルチスプリンターの活躍から目が離せない。

レースを走る大川

  男女の400メートル障害には、5人が出場。まず行われた女子Bレースには大川が出場した。「トータルでまとめること」を意識して挑んだ大川。前半は「楽に速く走る」ことができ、後半でも力強い走りを見せる。「9台目以降は後続に差を詰められてしまった」が、先頭は譲らず、組トップでゴール。タイムも58秒96と、自己ベストに迫る記録をマークした。続いて行われたAタイムレース決勝2組目には、川村、津川瑠衣(スポ4=東京・八王子)、内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田)の3人が出場。川村は前半から果敢に攻めると、強みである後半でトップに出る。10台目を越えた後も、そのまま逃げ切り、58秒12の好タイムをマーク。2週間前の日本学生個人選手権で出した58秒18の自己ベストをさらに更新し、全体でもトップのタイムで優勝を飾った。内藤は60秒81で組4着、津川は61秒38の組5着でのフィニッシュとなった。

  一方、男子タイムレースA決勝3組には、田中天智龍主将(スポ4=鹿児島南)が登場。タイムはシーズンベストとなる50秒13をマークしたが、全体9位に終わった。

 女子は川村が自己ベストで優勝、大川もセカンドベストをマークするなど、好調さをアピール。来週に迫った関東学生対校選手権に向けて、ここからさらに調子を上げていきたい。

レース後の筒井。その表情から悔しさがうかがえた

 上記の種目以外にも、男子400メートルには新上健太(人4=東京・早実)と竹内彰基(スポ4=愛知・瑞陵)が出場。学生個人では46秒60の自己新記録をマークした新上。この日はコンディション不良に苦しみながらも46秒79のタイムでフィニッシュ。男子800メートルAタイムレース1組目には、筒井航佑(スポ3=愛知・時習館)が出場した。1周目から積極的に集団の前方にポジションを取りレースをすすめた筒井。最後まで先頭争いに絡み、1分49秒61のセカンドベストで組2着に入った。

 見据えるは来週に迫る関東インカレ。今年度初の対抗戦でそれぞれの強みを発揮し躍動すべく、これまでに出た課題をブラッシュアップし挑めるか。

(記事 戸祭華子、加藤志保 写真 戸祭華子、加藤志保)

結果

▽男子

▽200メートル

A予選(3組2着+2)

西裕大(教4=埼玉・栄東)  20秒58(+1・1)(1組4着)

B決勝進出

B決勝

西  20秒79(+0・8)(1着)

▽400メートル

タイムレース決勝

新上健太(人4=東京・早実)  46秒79(1組3着)

竹内彰基(スポ4=愛知・瑞陵)  47秒69(2組7着)

▽800メートル

タイムレース決勝

筒井航佑(スポ3=愛知・時習館)  1分49秒61(1組2着)

▽400メートル障害

Aタイムレース決勝

田中天智龍主将(スポ4=鹿児島南)  50秒13(3組5着)

▽女子

▽200メートル

A予選(3組2着+2)

山越理子(人2=東京・富士)  24秒20(+2・6)(2組4着)

B決勝進出

B決勝

山越  24秒62(+0・7)(6着)

▽400メートル障害

B決勝

大川寿美香(スポ2=東京・三田国際学園)  58秒96(1着)

Aタイムレース決勝

川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘)  58秒12(2組1着)

内藤香乃(スポ1=兵庫・北摂三田)  60秒81(2組4着)

津川瑠衣(スポ4=東京・八王子)  61秒38(2組6着)

コメント

西裕大(教4=埼玉・栄東) 男子200メートルB決勝1位

――予選のタイムが自己ベストでした。手応えはいかがでしたか

 調子は良かったのですが、若干学生個人(日本学生個人選手権)の疲れも残っていました。でもコンディション自体は良かったので、ベストは出る感覚はありました。

――予選では、前半から飛ばしてました。意識していたのですか

 今シーズンのレースのコンセプトとして、前半からしっかり行って、前半で少し負けていても後半に自信があるので、前半でしっかり勝負を決めようと意識していました。

――実際の走りを振り返って

 タイムは良かったのですが、走りのクオリティとしては、学生個人の方が上だと思っています。カーブ抜けのところで、内側にいる鵜澤(筑波大)、上山さん(住友電工)、台湾の選手が見えた時にに気を取られて動きが固くなってしまい、あまり自分の走りを意識できなかったので、正直悔いは残る走りではありました。

――次に、B決勝ではレース直後「足がつった」とおっしゃっていました

 前半でつっちゃって(笑)。それでなんとか走っているという感じではあったので、満足できる走りではないですし、走りのクオリティも全然高くはないのですが、その中で最低限B決勝で勝ち切るということはできました。去年のこの大会でもB決勝では勝ちきれなくて2位だったので、本当に最低限ではあるのですが、勝ちきれたのは良かったと思います。

――今大会の収穫を教えてください

 今シーズン、大前さん(大前祐介監督、平17人卒=東京・本郷)と一緒に取り組んできた前半から行くという点が、シニアレベルでも通用するということが分かったのが大きな収穫です。日本選手権で決勝に行くことが目標になるので、その中で、日本選手権でもこの走りをすれば良いのだという確信を得れたレースだと思っています。もちろん、改善点はあるのですがこのレースプランで行こうと思いました。

――最後に、来週に控える関東インカレへの意気込みをお願いします

 関カレで自分は200と4継(4×100メートルリレー)、もしかしたらマイル(4×400メートルリレー)に出場予定です。もちろん全部勝つことが目標です。今回の関カレの200では鵜澤がいないので、全カレ、日本選手権でしっかり挑戦できるように、その中でしっかり優勝して関カレのチャンピョンになりたいです。4継は、去年自分のミスで負けてしまったので、そのリベンジをしたいです。

川村優佳(スポ4=東京・日大桜丘)女子400メートル障害グランプリ優勝

――レースを振り返って

 レース前、前半でしっかりスピードに乗って楽に走り、後半でしっかり勝ち切るというのをイメージしていました。そのようなレースは展開できたのですが、後半浮いてしまうところが課題だと思うので、関東インカレ(関東学生対校選手権)に向けて修正していきたいです。

――その中で、自己ベストを出せた理由はどのように考えていますか

 最大速度が上がってきて、前半高いスピードで楽に走れるようになったことで、後半しっかり伸びてくるようになったことだと思います。

――自己採点するとしたらどのくらいですか

 自己採点は70点です。理由としては、57秒台を出したいという気持ちがあったため、そこはすごく悔しいのですが、関東インカレに向けて自己新で終えられたということは嬉しいので、この点数にしました。

――見えた課題があれば教えてください

 ハードル間で、もう少しハードルの着地をしっかりしたいということです。ハードルで浮いてしまったりとかうまく踏み込めなくて走りにうまく繋げられないところがあったので、そこを修正していきたいと思っています。

――スタジアムには、お客さんもたくさん入っていました

 走っていてとても楽しかったです。有観客になって、スタジアムがすごく盛り上がって高揚感があります。1年生からコロナで応援が禁止されていたので、試合ごとに楽しい気持ちでいっぱいです。

――今後の目標をお願いします

 まずは来週の関東インカレと全日本インカレ(日本学生対校選手権)でしっかり優勝したいです。その上で実業団の選手がいる日本選手権でも優勝して、ラストいい形で締めくくりたいと思っています。

大川寿美香(スポ2=東京・三田国際学園) 女子400メートル障害B決勝1位、日本選手権標準記録突破

――今日の調子はいかがでしたか

 個人選手権(日本学生個人選手権)から疲労が少し残っている中ではあったのですが、最低でも59秒00の日本選手権標準記録の突破ということだけを考えていました。ここの競技場は走りやすいので、うまく自分でハマれば、(タイムは)出るかなと思っていたので、そこでちゃんと結果を残せて良かったです。

――レースプランはどのように考えていましたか

 昔までは、結構前半に突っ込んで、後半少し落ちてしまうというレースパターンだったのですが、最近の練習では、トータルでまとめるということを視野に入れて、前半で力を使わずに楽に速く行って、第3コーナーからの切り替えで自分が前に出るという意識で走っていました。それがしっかりとできたのは良かったです。ですが、課題である9台目、10台目で少しラップタイムが落ちてしまったので、そこをうまく修正して関東インカレにつなげていきたいです。

――最近好調を維持できている要因は何かありますか

 最近は、関東インカレの校内選考で、自分の中で最低限(メンバーに)入りたいと考えていたのですが、枠に入るということを第一優先に考えるのではなくて、自分のしたいレースができれば、枠には入れるかなと思っていました。まずはトータルでまとめるということを最近は考えて練習しています。

――タイムはセカンドベストでした。それについてはいかがですか

 ベストを出したかったのですが、この春の時点で58秒に乗ったというのは結構自信になりました。関東インカレで自己ベストを出して、ここから更にタイムを上げていけたらと思っています。

――今大会で得られた収穫と課題を教えてください

 前半結構楽に入りながらも、ラップタイムもいい感じにまとめることができたので、それは良かったです。ですが、後半の9台目、10台目以降、ゴールまでで結構他の選手と差を詰められてしまったので、そこをうまく改善できれば、58秒前半は狙えるのかなと思うので、セット走などを取り入れながらやっていこうと思います。

――次戦に向けた意気込みをお願いします

 次は関東インカレになります。3位入賞を狙っているので、そこで58秒2を出して、入賞できるように頑張りたいです。