4月8日、熊本・えがお健康スタジアムで第31回金栗記念選抜陸上中長距離大会が行われた。早大からは、男子1500メートルに菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)、男子5000メートルには伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖)と山口智規(スポ2=福島・学法石川)が出場。実業団などの有力選手がそろうなか、山口が自己新記録をマークするなど、実りの多い大会となった。
レースを走る菖蒲
男子1500メートルタイムレース4組には、菖蒲が出場。レース序盤、菖蒲は集団の中盤に位置し、冷静に展開をうかがう。天候の悪さもあり、序盤は全体的にペースが上がらない。その後ペースが上がると、1000メートルは2分37秒で通過。選手が多く集団が密集するも、冷静に回避した菖蒲は、ラスト1周でスパートをかける得意の展開に持ち込む。その後、伊藤(アスリートエージェント)と先頭を争うも、ラスト100メートルでさらに加速し、後ろを引き離しトップでゴールした。
レースを走る山口
続いて行われた男子5000メートルタイムレース5組。実業団選手や吉居大和(中大)など、多くの有力選手のなか、早大からは伊藤大志(と山口が出場した。レースは序盤から、実業団の外国人選手が作るペースにそって進んだ。二人とも集団後方で息をひそめ、冷静に戦況をうかがう。その後、1周65秒前後のペースでレースは進む。3000メートルすぎに集団が2つに分かれると、伊藤大志は前の集団へ、山口は後ろの集団に。その後、伊藤大志は集団前方へ移動しようとするも、他の選手にコースを被せられてしまい、ポジションを上げきれず。それでも、余裕度を保ちながら粘りを見せていた伊藤大志。最後は自己ベストに迫る13分36秒11でのフィニッシュとなった。一方で、終盤まで後方の集団で力を溜めていた山口。残りの周回を刻むごとに着実にポジションを上げるクレバーな走りを見せた。最終コーナーでは前を行っていた伊藤大志もかわしフィニッシュ。13秒34秒95の自己ベストをマークし、早大歴代7位、現役選手ではトップの好タイムをマークした。
レースを走る伊藤大志
状態の上がらない中でもレースに勝ち切った菖蒲と、先月行われた香港での海外レースの経験を今回にも生かし好タイムをマークした伊藤大志と山口。着実に自分の強さを感じながら、「展開や余裕度が良かっただけにもったいないレースをしてしまった」(伊藤大志)と課題も得ることができた今大会。来る2週間後の学生個人(日本学生個人選手権)でのユニバ(ワールドユニバシティゲームズ)代表決定へ。期待がふくらむ。
(記事 戸祭華子、写真 湯口賢人)
結果
▽男子1500メートルタイムレース4組
菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京) 3分49秒52(1着・総合14位)
▽男子5000メートルタイムレース5組
山口智規(スポ2=福島・学法石川) 13分34秒95(10着・総合23位)自己新
伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖) 13分36秒11(12着・総合25位)
コメント
菖蒲敦司駅伝主将(スポ4=山口・西京)
――今日の調子はいかがでしたか
六大(東京六大学対校)が終わってから疲労があまり抜けずいい状態ではなかったです。
――レースプランはどのように考えていましたか
とりあえずラスト1周までついて、ラスト動かせればと思って走りました。
――配信の中で、風が強くて気温が低いと言っていました。天候は気になりましたか
招集からスタートまでの時間が長く、体が冷えそうでした。風に関しては、走っている途中はあまり感じませんでした。
――レース全体の展開の振り返りをお願いします
状態があまり良くない中ではまとめれたかなと思います。勝ちきれたのはとても自信になりました。
――ご自身の走りを振り返っていかがですか
この大会に向けてやってきたことはしっかりと出せました。2週間後の学生個人(日本学生個人選手権)に向けて順調に来ていると思うので、そこに向けてさらに仕上げていこうと思います。
伊藤大志(スポ3=長野・佐久長聖)
――コンディションはいかがでしたか
連戦の影響で疲労の抜けない日が続いていましたが、今大会に向けて調子は上がってきていました。仕上がりは8〜9割くらいでした。
――トラックゲームズの疲労はありましたか
トラックゲームズは不完全燃焼に終わったので疲労はあまりなかったのですが、連戦での疲労は抜けにくかったです。
――レースプランはどのように考えていましたか
前半は後ろで様子を見ながら少しずつ前を狙っていくプランでした。
――最初は集団後方でレースを進め、終盤に上がってきました。ご自身の走りをどう振り返りますか
レースの流れや余裕度は昨年よりも確実に成長していますが、もう少し前でレースを展開するべきだったと思います。3000メートル過ぎから前の集団に進もうとしても他の選手に被せられてしまい走りにくさを感じました。また、ラストスパートで後続の選手に前を許してしまいました。学生個人や日本選手権など順位を狙う試合ではやはり勝ち切らなくては意味が無いと思うので、勝ち切ることにこだわりたいです。
――先月の香港遠征の経験が今回のレースで生きたことは何かありますか
香港の5000メートルでは気温の高いコンディションの中、自分でレースを作ることができ、その感覚から今大会の余裕度も含めて、昨年よりも確実に強くなっていると実感できました。
――タイムについてはいかがですか
シーズン初戦のタイムとしては合格点だと思いますが、出し切れずに終わってしまい、展開や余裕度が良かっただけにもったいないレースをしてしまったと思います。
――今後の目標をお願いします
2週間後の学生個人ではユニバの出場権を勝ち取るために、今回以上に勝ちにフォーカスしていきます。
山口智規(スポ2=福島・学法石川)
――コンディションはいかがでしたか
調子は良くなかったです。
――トラックゲームズの疲労はありましたか
3月からのトラックレースは全て調整せずに臨んでいるので、蓄積された疲労がありました。
――レースプランはどのように考えていましたか
とにかく順位にこだわろうとしていました。
――最初は集団後方でレースを進め、終盤に上がってきました。ご自身の走りをどう振り返りますか
本来は前で留学生と積極的に走りたかったところがあります。
――タイムについてはいかがですか
自己ベストは楽に出ると思っていました。なので、タイム的には満足のいくものじゃなかったです。
――レース全体の展開はどのように振り返りますか
慎重になりすぎて出しきれなかったレースだったので、(レース後)色々なレース展開を経験しよう、と花田さん(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)とお話ししました。
――先月の香港遠征の経験が今回のレースで生きたことは何かありますか
香港から常に良いイメージで走ることができています。どんな環境においても自分の走りができるようにいつも通りを心がけるようになりました。
――今後の目標をお願いします
日本選手権入賞やユニバ出場の個人目標はもちろん、関カレ(関東学生対校選手権)や駅伝でチームに貢献できるようにまだまだ頑張りたいです。