関東学連春季オープン競技会が、17日より開幕。短距離シーズンが本格的に始まった。初日のこの日は、男女200メートル、男女400メートル障害、男子やり投、そして女子4×100メートルリレーが行われ、各々が現状を確認。やり投では、鶴澤元基(スポ1=東京・富士森)が従来の自己記録を大きく更新する61メートル92をマーク。冬季練習が明け、上々の仕上がりをみせた。
自己記録を大きく更新した鶴澤
(記事、写真 戸祭華子)
★稲毛が自己記録にせまる快走!女子では鷺が早大勢トップ(男女200メートル)
タイムは想定通りも、「もう少しいけたかな」と悔しさをのぞかせた稲毛
男子200メートルには、稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟)、池淵秀(法3=京都・洛南)、千田杜真寿(スポ2=茨城キリスト教学園)、秀島来(スポ3=千葉・東海大浦安)の4選手、女子200メートルには鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東)、山越理子(人1=東京・富士)、中村真由(政経2=東京・早実)の3選手が出場した。
男子1組では、昨年は100メートルを主戦場にしていた稲毛が出走。スタート直後から先頭争いを繰り広げる。「カーブを抜ける時に足をつってしまった」と振り返ったが、終わってみれば組1着となる21秒35を記録。シーズン本番に向けて順調な仕上がりを見せた。2組には池淵と千田が出場し、池淵は組6着、千田は組7着でそれぞれゴール。5組に出場した秀島は組5着でゴールした。
女子200メートル1組に登場した鷺は序盤から勢いよく飛び出すと、終盤で抜かれたものの、2着でゴール。自己ベストまであと0.02秒に迫る24秒47を記録しシーズン初戦で幸先のよい立ち上がりとなった。同組に出場した山越は4着だった。3組に出場した中村は、「コーナー抜けから崩れてしまった」との言葉通り、後半に伸びを欠き3着でフィニッシュした。
(記事 飯田諒、廣野一眞、写真 戸祭華子)
★男女全カレ王者がシーズンイン!(男女400メートル障害)
昨年の全カレ覇者、田中主将。この日も貫禄のレースをみせた
早大のお家芸、400メートル障害(ヨンパ―)の今季初レースが行われた。新井公貴(スポ3=神奈川・逗子開成)、田中天智龍主将(スポ3=鹿児島南)、金本昌樹(スポ2=東京・日大桜丘)の男子3名と、女子主将の川村優佳(スポ3=東京・日大桜丘)や、復帰戦となった清水羽菜(スポ3=東京・白梅学園)をはじめとする女子4名が出場。主将の田中が50秒17のタイムで男子全体1位となり、短距離シーズン開幕にあたり早大に勢いをつける結果を残した。
まずタイムレース決勝1組目に、田中が登場。昨シーズンは日本学生対校選手権(全カレ)で優勝を飾るなど自己ベスト更新が著しい早大期待のエースである。「チームを良い流れに持っていきたかった」と主将として初めて迎えるレースにプレッシャーを感じていたという田中。不安が後半の走りにあらわれ、少しリズムが崩れたが、それでも最後は走力でカバー。50秒17のタイムでフィニッシュした。続いて2組には金本が登場。前半は自分のリズムで落ち着きのある走りを見せ、第3コーナーからギアをあげるとその勢いのままトップに出る。「想定よりもいいタイム」と、次回レースへの期待も膨らむ51秒36の記録で組1着でゴールした。続いて3組に登場した新井は、前半勢いのあるスタートを切り、後半まで粘りの走りを見せたものの、ラストスパートで前に追いつけず組3位でゴール。他選手の失格によって2位に繰り上がったが、ゴール直後、52秒68というタイムに悔しさをのぞかせた。 女子は1組目に4人がそろって登場。最初に集団から抜け出したのは川村だ。「スピードを出しながらリラックスして走れた」と前半に良い流れを作ると、第3コーナーに差しかかるあたりでトップに立つ。後ろとの差を広げ、そのまま1着でゴールかと思われたが、10台目で歩数のずれから転倒してしまい、7着に終わった。アクシデントはあったものの「結構体が動いていたこともあり、最後にスピードを上げたいと思っていた」と今季初レースで良い感覚も得たようだ。代わって早大トップには、大川寿美香(スポ1=東京・三田国際学園)が61秒69の記録で4着ゴール。続く5着、6着に清水羽が62秒21、津川瑠衣(スポ3=東京・八王子)が61秒29でフィニッシュした。
チームの男女各主将が率いるヨンパー勢。今シーズンの意気込みついて、川村は「女子全体の自己ベスト更新でチームにも男子にも刺激を与えたい」と女子選手へ期待をあらわに。また、田中は「みんなに支えられてやってきた分を結果で恩返ししたい」と仲間への想いを述べた。さらに田中は『早稲田から世界へ』を体現すべく今年、48秒5のタイムを目指し、ブダペスト世界陸上への参加を目標にしているという。田中、川村を中心に士気の高まる早大ヨンパー勢、今年もチームを盛り上げていくのは間違いないだろう。
(記事 川上璃々、写真 飯田諒)
★安定した実力光る(女子4×100メートルリレー)
バトンパスをする3走山越(写真右)と4走清水奈
女子4×100メートルリレー(4継)は、1走から中村真由(政経2=東京・早実)、鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東)、山越理子(人1=東京・富士)、清水奈々子(文構1=北海道・札幌南)というオーダーで国立競技場に姿を見せた。4人が各々の実力を発揮し、危なげない走りで1着でゴールした。
気温が下がり、空気が冷え切る中でレースは行われた。1走は、「動きを崩さないように走る」ことを意識して臨んだ中村。勢い良く走り出し、そして滑らかな動きで2走の鷺へとバトンをつないだ。中村からのバトンを受けた鷺は一気に加速、前を走る他大の選手たちを追い抜き早大の順位を押し上げる。3走の山越も流れを止めずに走り抜け、4走の清水奈へとトップでバトンを渡した。バトンを受けた清水奈はダイナミックな走りで後続との差を大きくし1位でゴール、46秒75を記録した。
今季初戦で、安定した実力を見せた女子4×100メートルリレー。本格的なシーズンが始まりを告げ、女子4継はまだまだ進化を遂げる。新しい代となり、選手たちそれぞれの役割も変わるシーズン序盤。ここから更に練習を重ね、すばらしい走りを見せてくれることだろう。
(記事 堀内まさみ、写真 川上璃々)
結果
▽男子
▽200メートル
稲毛碧(スポ3=東京学館新潟) 21秒35(1組1着)
池淵秀(法3=京都・洛南) 22秒19(2組6着)
千田杜真寿(スポ2=茨城キリスト教学園) 22秒28(2組7着)
秀島来(スポ3=千葉・東海大浦安) 22秒20(5組4着)
藤好駿太(スポ3=福岡・修猷館) 棄権
寺澤大地(スポ1=京都・洛南) 棄権
井上直紀(スポ1=群馬・高崎) 棄権
▽400メートル障害
田中天智龍(スポ3=鹿児島南) 50秒17(1組1着)
金本昌樹(スポ2=東京・日大桜丘) 51秒36(2組1着)
新井公貴(スポ3=神奈川・逗子開成) 52秒68(3組3着)
盛岡優喜(スポ1=千葉・八千代松陰) 棄権
▽やり投
鶴澤元基(スポ1=東京・富士森) 61メートル92(8等)
自己新
梅澤祥吾(スポ1=神奈川・金沢) 59メートル69(12等)
▽女子
▽200メートル
鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東) 24秒47(1組2着)
山越理子(人1=東京・富士) 24秒91(1組4着)
中村真由(政経2=東京・早実) 26秒31(3組3着)
▽400メートル障害
大川寿美香(スポ1=東京・三田国際学園) 61秒69(1組4着)
清水羽菜(スポ3=東京・白梅学園) 62秒21(1組5着)
津川瑠衣(スポ3=東京・八王子) 61秒29(1組6着)
川村優佳(スポ3=東京・日大桜丘) 62秒91(1組7着)
▽4×100メートルリレー
早大(中村ー鷺ー山越ー清水奈) 46秒75(1組1着)
コメント
稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟)
――今日のレースはどういった位置付けで走られましたか
あくまで今の専門種目は100(メートル)になっているので、1年ぶりくらいに久々に200を走って100とはまた違った刺激を入れて、屋外のシーズンインをしたいと思って、そういった位置付けで走りました。
――200メートルへの出場は自分の意思ですか
そうですね、自分で決めました。もともと200メートルの選手だったので。今、ある程度100のスピードが上がった状態で、調整せずに自力がどれだけなのかなという確認も含めて自分で200に出ようかなと思いました。
――ご自身の調子はいかがでしたか
室内練習で自分の思ってた以上に走れて、そのままの状態で2、3月も練習ができてました。ただ六大学(東京六大学対校)とか学生個人(日本学生個人選手権)にピークをもっていきたくて、まだガンガンにスピードを上げる練習をしてない中での出走だったので、タイムとかもこんなものかなと。カーブを抜ける時に足をつってしまったので、もう少しいけたかなとは思っています。
――21秒35というタイムでしたが
自分でもそれぐらいかなと思ってました。
――新シーズンの意気込みをお願いします
昨年はユニバ(FISUワールドユニバーシティゲームズ)代表に選ばれはしましたが、何度もケガをしてしまって全然うまくいかなかったシーズンでもありました。なので今年は入念にケガに気をつけつつ、昨年出来なかった関カレ(関東学生対校選手権)、全カレ(日本学生対校選手権)で決勝に残って勝負するということと、日本選手権で決勝に残ってシニアの日本代表になることが当面の目標です。タイムでは100メートルを10秒1台で走りたいとは思っています。
田中天智龍(スポ3=鹿児島南)
――冬季練習は順調に進んでいましたか
そうですね。ケガなくできたのが大きかったです。継続して取り組めたことがこの冬季1番評価しているところです。
―― 今日の調子はいかがでしたか
あんまり自分の中で調子が上がってきてないなという感覚がありました。去年と比べたらシーズンインも寒い時期ですし、キレ的な部分が上がってきてないと思っていたのですが、その中で50秒1出せたのは良かったと思います。
――今日のレースの位置付けは
49秒前半を狙ってレースに挑みましたが、後半ちょっともたついてしまって不安様子がレースに出てしまったと思います。後半大丈夫かなと思いながらスタートしてしまったので、それが顕著に出てしまいました。課題が見つかってプラスになるレースにはなったと思います。
――具体的にどのような不安要素があったのでしょうか
前半はいつも通りゆったりと入れて、後半絶対追いつけるはずなのですが、追いつけないんじゃないかなという不安がありました。その不安から焦りで少しもたついて、エネルギーを使ってしまって後半9台目10台目でいつも通りの走りができなかったという感じです。
――1台目のスタートはいかがでしたか
ここ最近の課題が1台目でした。頑張りすぎないようにいつも1台目は入っているのですが、若干力んで入ってしまったのでもっと頑張らずに入れたかなと思います。
――久しぶりのレースでしたが、心境はいかがですか
主将として初めてのレースだったので、少しプレッシャーを感じていました。僕が初戦をしっかり走ることで今年1年チームをいい流れで持っていきたいというのを考えていたので、初戦で調子が悪いなりにうまくまとめて、自分がポイントに置いていた全体1位の結果を達成できたので良かったです。
――新チームの雰囲気はいかがですか
個々が強くなろうとみんな練習に取り組んでいるので、その部分ではこの冬いい雰囲気でできたなと思います。特にこの冬は稲毛(碧、スポ3=新潟・東京学館新潟)がチームをかなり盛り上げてくれて、主将として本当にこの冬は部員に支えられながらやってこれたなと思います。今日は稲毛が109代目短距離1発目の200メートルで、それなりの記録を出してくれたので僕もそこで気持ちがのれた部分がありました。本当にみんなに支えられているなという感じです。
――次のシーズンに向けてどのように準備していきたいですか
次は来週の早大で行われる記録会で400メートルを予定しているのですが、マイルメンを脅かすような存在になれるように(笑)、1発ポーンとタイムを出せたらいいなと思います。
――マイルメンバーに入ることが目標でもあるのですか
そこも僕の中で走力アップというところで、冬季一つ目標にしていた部分でした。新上(健太、人3=東京・早実)、竹内(彰基、スポ3=愛知・瑞陵)、藤好(駿太、スポ3=福岡・修猷館)、眞々田(洸大、スポ2=千葉・成田)には安心して出られる環境じゃないよというのをタイムで、結果で示せたらチーム内の争いも激化して全体的にベースが上がると思います。僕がその火つけ役になれればと思います。
――改めて今シーズン主将としての意気込みをおねがいします
主将としてみんなに支えられながらいい雰囲気でやってこれているので、あとはみんなに支えられてやってきた分を結果で恩返しできるようにというのはチーム全体にも言っているので、目に見える形で結果で返していけたらいいなと思います。
――具体的な個人目標は
今年は48秒5というタイムを目指しています。『早稲田から世界へ』ということを今チームの位置付けとしているのでブダペスト世界陸上も視野に入れています。僕が世界に出て活躍することでチーム全体も盛り上がると思います。早稲田大学も競走部も共に盛り上げて結果で示していくような1年にしたいです。
金本昌樹(スポ2=東京・日大桜丘)
――冬季は順調に練習を積めましたか
はい、一度も長期離脱することなく、継続して練習ができました。
――冬季練習ではどのようなことに重点を置いて取り組みましたか
走りの技術はもちろん、走りのベースの走力を上げようと思い、そこを重点的にやりました。
――今日のレースはどのような位置付けでしたか
現状の把握と、練習で取り組んできたことを発揮するという感じです。
――調子はいかがでしたか
寒かったのもあって、あまり動きは良くなかったのですが、その割にはタイムは出ていたので、これからタイムが出せそうという感じです。
――力感なく走れているように見えましたが、シーズンインの今試合を振り返っていかがでしたか
想定していたタイムが51秒中盤から52秒台だったので、想定よりもいいタイムで入れました。まだ取り組むべきことも残っている段階なので、これから課題を潰していき、まずは六大学(東京六大学対校)でしっかり結果を残して、競走部に貢献するというのをやっていきたいです。
――後半もまだ余力はありましたか
そうですね。ですが、後半余力が残ったままゴールまで行ってしまったので、前半もう少し速く行くべきだったのかなと思います。
――今シーズンの目標、意気込みをお願いします
今シーズン最大の目標は、全日本インカレ(日本学生対校選手権)で決勝に残って入賞することです。天智龍さん(田中天智龍、スポ3=鹿児島南)が昨年の全カレで早稲田6枚残しというのをおっしゃっていて、天智龍さんにはすごくお世話になってきたので、6枚残しに僕も加わって、恩を返したいです。
川村優佳(スポ3=東京・日大桜丘)
――冬期練習の満足度はいかがですか
自分の満足度は、かなり充実した冬期練習が積めたかなと思います。けがなく継続して練習に取り組めたので、そういったところはすごく良かったと思います。
――今シーズン初戦のレースでしたが、どのような目標で挑まれましたか
今まで冬期練習でやってきたことを、この場で現状確認、しっかり試合で実現することを目標としていました。例えば最初の5台目までしっかりスピードにのり、6から8台目でキャッチアップして作っていくというレース展開をしたいと思い、臨みました。
――今日は気温が低いですが、天候はいかがでしたか
室内走路もあったので、調節しやすかったです。室内走路から出てきた時は寒かったですが、昨年の関カレ(関東学生対校選手権)で寒いのはなんとなく分かっていたので、準備もしてきました。
――ご自身のコンディションはいかがでしたか
コンディションはすごく動いていて、アップの時から体が動いていい感覚だったので自信をもって臨むことができました。
――走りの感覚はいかがでしたか
走りの感覚もすごく良くて、走りの流れでハードルを跳んでいく感覚がありました。そのあたりもすごく良かったです。
――どのあたりからキツさを感じましたか
今日はあまりキツさを感じなくて、ただ8台目過ぎたあたりからここから踏ん張りどころだと感じて走っていました。
――10台目で転倒がありましたが、どのようなアクシデントでしたか
結構体が動いていたこともあり、最後の8から9台目でスピードを上げたいと思い、少しピッチを上げました。その時にピッチを自分が思った以上に上げてしまい、いつも18歩のところを、18歩だと少し遠くて19歩だと近いという感じで合わなくなってしまい、転んでしまいました。
――今回のレースでの収穫や課題はありますか
最初にスピードをを出しながらリラックス感をもつというところはすごくできたと思っています。タッチダウンタイムも自分が目指していたものに近かったので、そのあたりは良かったと思います。ただ、レースをまとめきれないというのが課題だと思ったので、ここから来週はトラとこ(トラックゲームズ in TOKOROZAWA)、その次は六大学(東京六大学対校)がある中でしっかりこういうところを調節して、やっていかなければいけないと感じました。
――今シーズンの意気込みをお願いします
今シーズンは女子主将としてチームを引っ張っていきたいと思っています。日本選手権と全日本インカレ(日本学生対校選手権)、関カレもしっかり優勝して、チームを引っ張っていきたいです。また女子全体で、全員自己ベストを更新してチームにも男子にも刺激を与えたいと思っているので、それを引っ張っていけるように頑張りたいと思います。
中村真由(政経2=東京・早実)
――冬季練習の完成度はいかがでしたか
昨シーズンはケガであまり試合に出ることができませんでした。冬季練習もケガと付き合いながら、自分のできる範囲で練習メニューを調整したのもあって全体としては満足しています。ですが、今日走ってみて(冬季に)質の高い練習が足りなかったのかなと思います。
――200メートルのレースプランはどのように考えていましたか
最大速度を練習であまり出せていなかったので、不安でした。その中で、前半楽に走って後半まで持つ走りをしようと思っていました。実際のレースは、コーナー抜けから崩れてしまって思うような走りができませんでした。
―4継のレースプランはどのように考えていましたか
バトンを渡す前に動きバタバタ崩れてしまうのが課題でした。ですので、とにかく動きを崩さないように走るようにしました。
――今日の調子やコンディションはいかがでしたか
まだまだスピードが上がり切っていないという印象です。
――次のレースの意気込みをお願いします
今日シーズンインして課題がかなりあるという印象だったので、一回課題を整理して必要な練習をしたうえで、来週のトラックゲームズ in TOKOROZAWAに臨みたいです。