コロナ禍の影響で3年ぶりの開催となった第55回青梅マラソン。早大からは男子30キロの部に伊福陽太(政経2=京都・洛南)や石塚陽士(教2=東京・早実)をはじめ6人の選手が出場した。レースは天候が変わりやすい不安定なコンディションの中行われたが、伊福が学生トップとなる6位入賞。それ以外の選手も設定タイム通りに走り切り、実り多きレースとなった。
27キロ付近を走る伊福。最後まで力走を見せた
30キロの部は午前11時30分にスタートの号砲が鳴った。招待選手でもある伊福は、スタート直後から前に飛び出し、積極的にレースを進める。名取燎太(コニカミノルタ)や岡本直己(中国電力)ら実業団選手も多く参戦する中で、20キロまでは先頭集団に食らいつく走りを見せた。しかし、ラスト10キロは差し込みの影響もあり「守りのレースになってしまった」と6位でのフィニッシュに。初めての30キロは「率直にきつかった」が、「先頭集団でペースの上げ下げや駆け引きを経験できたのは収穫」と今後につながる結果になった。一方、その他の5選手は練習の一環としての出場。その中で、石塚は1時間40分切りという目標を掲げてスタートした。最初の上りは余裕を持って走り、「最後もしっかりビルドアップができた」と目標を上回る1時間37分47秒で走破。収穫も多くあり、「練習の意図通りに走り切れた」と次戦に向け弾みをつけた。また、伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖)と菅野雄太(教2=埼玉・西武文理)、1年生の須山向陽(スポ1=鹿児島城西)、宮岡凜太(商1=神奈川・鎌倉学園)も最後まで自分のペースを守ってゴール。「30キロという未知の距離の中で、しっかりと設定タイム以上の走りができたのでかなりいい練習になった」(伊藤)と充実感を漂わせた。
最後の直線を走る石塚
今大会では、出場した全選手が実戦での30キロは初挑戦ながらも、一定の手応えを得ることができた。3週間後の3月12日には日本学生ハーフマラソン選手権を控える早大の選手たち。そしてトラックシーズンの開幕ももう間もなくだ。掲げている目標やタイムは選手それぞれで異なるが、今回のレースを糧に、おのおのが目標達成に向かって駆け抜けたい。
(記事 加藤志保、写真 飯田諒、戸祭華子 )
結果
▽ 男子30kmの部
伊福陽太(政経2=京都・洛南) 1時間33分5秒(6位) 自己新
石塚陽士(教2=東京・早実) 1時間37分47秒(13位)自己新
菅野雄太(教2=埼玉・西武学園文理) 1時間38分4秒(14位) 自己新
伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖) 1時間39分42秒(18位) 自己新
須山向陽(スポ1=鹿児島城西) 1時間40分10秒(19位) 自己新
宮岡凜太(商1=神奈川・鎌倉学園) 1時間40分25秒(20位) 自己新
菖蒲敦司駅伝主将(スポ3=山口・西京) 棄権
辻文哉(政経3=東京・早実) 棄権
諸冨湧(文3=京都・洛南) 棄権
間瀬田純平(スポ1=佐賀・鳥栖工) 棄権
山口智規(スポ1=福島・学法石川) 棄権
コメント
石塚陽士(教2=東京・早実)
――今日のコンディションはいかがでしたか
気候に関しては、予想に反して雨が降って、寒いぐらいだったのですが、体の状態に関しては比較的良い状態で臨めたレースだったと思います。
――今日のレースはどのような位置付けでしたか
3月の学生ハーフ(日本学生ハーフマラソン選手権)に向けて、長距離的な動きのまとめという位置付けで30キロのロードを走り切るということで、青梅マラソンを使って走るというものでした。
――レースプランはどのように考えていましたか
花田さん(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)からは1時間40分切りくらいを狙って走って欲しいと言われており、平均すると1キロ3分20秒のペースになるので、それを目安に考えていました。後半は下りでスピードが出やすくなってくるので、そこはブレーキをかけずに下りの流れに乗って、少し(ペースを)上げて終わるというイメージで走っていました。
――レース中は天気が変わりやすかったですが、その辺りは走りに影響しませんでしたか
そうですね、雨が途中で降ってきたりして、寒さが出てきたので、伊福(陽太、政経2=京都・洛南)とか(記録を)しっかり狙っている人にとっては結構厳しいコンディションだったかなと思います。ですが、練習していた身としては、こういう環境でのレースは今後もあると思うので、それの練習になったという意味ではいいレースだったのかなと感じています。
――レース全体を振り返っていかがですか
設定通りというか、練習の意図通りに走り切れて、最後も足の影響があまり出ない範囲でしっかりビルドアップができたので、いいレース内容になったと思います。
――30キロをレースで走るのは初めてでしたが、距離への対応などはいかがでしたか
花田さん体制になってから、30キロのロング走などが結構増えてきたので、30キロという距離に対してはそこまで不安なくできたのですが、それを速いペースでやっていくことに関してはやったことがなかったので、今回の青梅マラソンで少し自信がついたのかなと感じています。
――タイムは設定通りということでしたが、改めて結果についてはいかがですか
1時間40分切りを目標にして、無理せずに1時間37分47秒で走れたので、そこはしっかり練習できている証拠なのかなと思っています。
――今日のレースでの収穫や課題を教えてください
前半、結構一気に上るコースになっていて、ペースが遅いというのもあったとは思うのですが、そこであまり上りを感じなかったので、そこは自力がついたというか、上りの耐性というのがこの1、2年間でついてきたというのがいい収穫です。改善点に関しては、今回は特に見当たらなかったので、学生ハーフで出てくるかもしれないですが、それに向けてしっかり練習を積んでいこうかなと思いました。
――来月の学生ハーフに向けて意気込みをお願いします
いろいろな強い選手が出てきますが、そこでしっかり勝ち切って、ユニバーシアードを狙って頑張っていきたいです。
伊福陽太(政経2=京都・洛南)
――今日のレースの位置づけを教えて下さい
ハーフマラソンより長い距離を走るということで、スタミナの面をしっかり鍛えようという意図がありました。また、箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝)の一番長い区間が23キロ超なので、30キロ走れればどんな区間も対応できるだろうとも思っていました。
――調子はいかがでしたか
箱根が終わってリフレッシュもできて、練習量は落ちたのですけどそこからしっかり戻せたので、状態としては良かったのかなと思います。
――レースプランを教えて下さい
(30キロが)未知な部分が大きかったので折り返しまではしっかり着いていって、20キロ過ぎたあたりで仕掛けることができればとは、監督(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)とは話していました。
――レースを振り返っていかがですか
折り返しまでは結構余裕があったのですけど、20キロ手前くらいで差し込みがきたのと、そのタイミングで集団のペースが上がりました。残り10キロ着いていって持つかなという不安が頭によぎってしまって、守りのレースに入ってしまいました。そこが一番、悔しかったです。
――30キロという距離に対してはいかがですか
航希さん(佐藤航希、スポ3=宮崎日大)はマラソンをやっていましたし、僕もいずれそれを視野に入れるのであれば通過点として捉えなくてはいけないのですが、きつかったというのが率直な気持ちです。
――今日のレースの収穫はありますか
これまでは自分のペースで淡々と刻むことを求められていた中で、なかなか先頭集団でレースを進めるという経験はありませんでした。先頭集団はペースの上げ下げもありますし、周りの選手の仕掛けに対応するか否かという駆け引きは初めてだったので、それを経験できたのは収穫かなと思います。今日の経験を生かして、また練習を積み上げていきたいです。
――序盤は先頭集団を引っ張っていましたが、何か意図はありましたか
(ペースが)遅かったのと、スタート位置が前だったので、前に出されたというのもあります。
――次のレースは何を予定されていますか
3週間後に学生ハーフを走るつもりでいますが、全力でいくかは今日の疲労を鑑みて決めようと思います。
伊藤大志(スポ2=長野・佐久長聖)
――コンディションはいかがでしたか
練習の一環としての出場という位置付けだったので、ある程度しっかりと練習を積んだり、丸亀ハーフだったり試合が連戦続きの中で出る青梅マラソンでした。その分疲労感であったり、練習からくる足の疲労もあって、コンディションはぼちぼちだったかなと思います。
――練習の一環での出場ということでしたが、具体的な目標はありましたか
練習の一環のペース走で、設定タイムを花田さん(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)から出してもらって、その中で余裕を持って30キロを走り切るというのが目標でした。
――目標タイムはどのくらいでしたか
花田さんからは1時間50分前後くらいという目標タイムを出してもらっていたので、結果として結構上振れしたかなという感じです。
――レースプランはどのように考えていましたか
スタートが一番最初のSブロックだったので、最初から設定ペース通りにゆっくり入ってしまうと、後ろに飲み込まれてしまって、走りづらくなってしまうので、前半5キロくらいまではある程度速いペースで行って、中盤少し余裕を持ってペースを落としてからラストでもう1回上げていくというイメージを持っていました。実際には、それよりも速く行けたのですが、大体のイメージとしてはそんな感じです。
――目標に対する達成度はいかがですか
結局1時間39分で、目標よりも10分くらい速いタイムだったので、そこに関しては満足というか、ある程度しっかり練習として走ることができました。また、30キロという未知の距離の中で、しっかりと設定タイム以上の走りができたので、かなりいい練習になったかなと思います。
――レースの途中で須山向陽選手(スポ1=鹿児島城西)や宮岡凜太選手(商1=神奈川・鎌倉学園)の集団からは一旦離れましたが、最後は追いついて抜かれていきました。それについてはいかがですか
須山とか宮岡とも設定タイムが被っている部分もあり、ちょっと速かったり遅かったりという部分もありました。前半は自分も余裕を持とうと思って、少し2人のペースよりも落として余裕を持ちながら走っていました。後半はしっかりと上げていくというイメージを持っていたので、15キロで折り返してから、意外と(2人が)近くに走っていたので、そこを目標にしながらグングン前を追っていったという感じです。
――目標タイムを上回ったのは須山選手や宮岡選手の影響もありますか
そうですね、やっぱり後輩や同期が頑張っていると、自分自身も「僕も頑張らないと」と前を追える原動力になったと思います。