三浦と島田が自己ベスト更新! 池田もセカンドベストをマークしA決勝に進出!/布勢スプリント

陸上競技

 2日間にわたって開催された布勢スプリント。早大からは4人の選手が出場し、三浦励央奈主将(スポ4=神奈川・法政二)が200メートルで、島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東)が100メートルでそれぞれ自己ベストを更新。池田海(スポ2=愛媛・松山北)もセカンドベストをマークするなど、調子の良さをアピールした。

 初日に行われたのはグランプリ男子200メートル。先日開催された日本選手権でも自己ベストを更新した三浦は、「自分の動きにフォーカスすることができた」と20秒63の自己記録をさらに上回る20秒57をマークし、2着でフィニッシュした。世界陸上オレゴン大会出場の可能性がわずかに残っていたため、タイムについては「もう少し欲しかった」と言うが、「連戦の中で自己ベストを出せたのは評価できる」と納得の表情で語った。

日本選手権男子200メートル予選を走る三浦。このレースで出した20秒63の自己記録を上回る20秒57を今大会マークした

 2日目はグランプリ男子100メートル、同110メートル障害、グランプリ女子100メートルが行われた。最初に登場したのは男子110メートル障害の池田。日本選手権でも自己ベストを更新した池田は、「記録を一発出したかった」と予選から自己記録に迫る13秒74をマークし、見事A決勝進出を決めた。午後に行われた決勝では、「腰が抜けるような踏み切りになってしまい、着地にうまくつながらなかった」と予選からはわずかにタイムを落としたものの、13秒76のサードベストで7着でフィニッシュした。 予選、決勝と13秒7台を2本そろえた池田だったが、レース後は「かなり悔しい」と、日本学生対校選手権(全カレ)に向けてさらなる成長を誓った。

 続く男子100メートルには島田が出場。予選では、スタートから勢いよく飛び出すと最後までスピードを落とすことなく組1着でフィニッシュ。タイムも、先月の関東学生対校選手権で出した自己記録をさらに0・1秒更新する10秒35をマーク。C決勝進出を決めた。C決勝でも、「予選と同様に後半の伸びの部分がすごく良かった」と言い、組1着でゴール。セカンドベストの10秒41をマークした。今シーズンは、「1本目が良くても2本目でうまくいかないことが多かった」ため、「2本とも良いタイムを出せたのは収穫」と大きな手応えをつかんだようだ。

関東学生対校選手権で男子100メートル予選を走る島田。このレースで出した自己記録を今大会で0・1秒更新した

 また、女子100メートルに出場した鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東)は、風が吹き荒れる中行われた予選で11秒77をマークしてB決勝に進出。B決勝では横一線でスタートしたものの、「普段の強みである後半の伸びを生かせなかった」と、12秒00の6着でフィニッシュした。

 今大会では出場した選手の多くが自己ベストやセカンドベストをマークし、チーム全体として調子の良さをうかがわせた。短距離も今シーズンの大きな試合は、残すところ9月に行われる全カレのみ。チームで立てた「全カレ総合優勝」という目標に向けて、夏合宿で鍛錬を重ね、さらに進化した選手たちの姿が見られることを期待したい。

(記事 加藤志保、写真 及川知世、湯口賢人)

結果

▽男子100メートル

予選

(3組2着+2+8+8)

島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東) 10秒35(+1・1)(WR2組1着)自己新、C決勝進出


C決勝

島田  10秒41(ー0・3)(1着)


▽男子200メートル

決勝

(+1・2)

三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二)  20秒57


▽男子110メートル障害

予選

(3組2着+2+8+8)

池田海(スポ2=愛媛・松山北)   13秒74(5組3着)(+1・6)A決勝進出



A決勝

(ー0・5)

池田  13秒76(7着)


▽女子100メートル

予選

(3組2着+2+8+8)

鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東)  11秒77(6組7着)(+3・1)B決勝進出



B決勝

鷺  12秒00(6着)(ー0・5)

コメント

▽男子100メートル

島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東)

――今大会の目標を教えてください

布勢スプリントは好条件で走れるので、自己ベストを更新して全日本インカレのA標準を突破することが目標でした。

――調子はいかがでしたか

疲労がうまく抜けてきていたので、ちゃんと走れたら自己ベストが出るだろうなという感じではありました。

――日本選手権も今大会も最初はウェイティングだったと思うのですが、調整はどのようにしましたか

日本選手権はウェイティングでほぼ出られないだろうなという感じだったので、関東インカレ(関東学生対校選手権)から布勢スプリントまで約1カ月間あったのですが、その期間でかなり練習をしっかり積むことができて、それが上手く行ったかたちなのかなと思っています。

――暑かったと思うのですが、影響はありましたか

かなり気温も上がっていて湿度も高かったのですが、競技としてはパフォーマンスが上がりやすいような天候だったのかなとは思います。風も含めてコンディションが良かったのかなと思います。

――自己ベストを更新された予選のレースを振り返るといかがですか

関東インカレから練習を積んできた期間で、狙ってトレーニングを積んでいた後半の部分がうまく行って、トレーニングの結果が顕著に出たかたちなのかなと思います。

――後半の走りで実際に意識したところを教えてください

後半の維持が(以前は)できていなかったので、後半で上げようとするよりはやっぱり体がバラバラにならないように、維持して走ることはできたなと思います。

――10秒35というタイムに対する率直な感想をお聞かせください

まず全日本インカレのA標準という、目標にしていたところを切れて、目標としていた3台の、その中でも中盤というタイムを出せたので、このタイムだったら全日本インカレでも戦えるようなタイムが出せたというところは自信にもつながりますし、とてもうれしいです。

――セカンドベストだったC決勝のレースを振り返るといかがですか

C決勝も予選と一緒で、この期間に積んできた後半の部分をうまく出せて、後半で伸びた部分があるので、その点すごく良かったと思います。

――今大会での収穫を教えてください

今シーズンは、関東インカレと学生個人もそうなのですが、1本走れて次の2本目のレースでうまくいかない、という大会が続いていたので、今回予選もC決勝も良いタイムで2本とも揃えられたというのは良い収穫で、C決勝という中でも1着を取れて勝ち切れたというところも良い収穫なのかなと思います。

――2本揃えられるようになった理由は何かあるのでしょうか

メンタル的なところが大きいと思います。集中して2本目もちゃんと走れたというのが大きかったのかなと思います。

――今後の目標をお聞かせください

今シーズンのチームとしての最大の目標である全日本インカレに総合優勝に向けて、僕自身もチームに貢献できるように、全日本インカレで決勝に残って得点を取るというところを目標にこの夏もう一度練習を積んで、また強化できるように頑張りたいと思います。

――具体的に夏に強化したいところや改善したいところはありますか

この冬ずっとやってきた遊脚の使い方であるとか、そういうところをもう一度見直して、よりストライドが伸ばせるような走りを身につけられるような練習をしていきたいです。


▽男子200メートル

三浦励央奈主将(スポ4=神奈川・法政二)

――今大会はどのような位置付けで出場しましたか

世界陸上に出場できる可能性が、わずかではあったのですが残っていたので、それをものにしようと思って参加しました。

――調子はいかがでしたか

気になるところは無かったのですが、めちゃくちゃ状態が良いなという感じでも無かったです。

――その中で記録が出たのはどういった理由からだと考えていますか

調子が良い時は、調子が良い時を頼りに走ってしまう、では無いですけど、体の状態頼りになってしまう部分があるなと思っていて、今回は自分の状態がすごく良いと言う感じでは無かったので、動画とか確認しながら動きにフォーカスすることができたのが、タイムを出すことができた要因の一つではないかなと思います。

――日本選手権後の部員日誌で、日本選手権では新しいレースプランで走った、といったことを書かれていましたが、それを今回も行ったかたちになりますか

そうですね。イメージは同じイメージで行きました。

――日本選手権から変えたところや修正したところはありますか

無いと思います。

――タイムに対しての率直な感想をお聞かせください

20秒57って出た時は、自己ベストだ、やったーうれしい、と思ったのですが、よくよく考えるとポイントの面でも、ランキング上げていくと言うところでももう少し欲しかったなというふうには感じました。ただ、連戦の中で自己ベストを出せたことについては、自分の中でもプラスになることだし、評価できる部分かなと思います。

――連戦の疲労はありましたか

あまり感じていないです。

――松本朗氏(令4スポ卒)の記録に並びましたが、それに対して思うことはありますか

20秒57って速いんだなと思いました。僕は今年20秒64と63で走っていて、自分の中では良いレースしたなって振り返って思うことはあったのですが、20秒5台にはなかなか乗らなくて。松本さんが20秒57を出した時は、そんなにタイムを求めてに行っている感じが無かったんですよ。今大会で世界陸上の代表を掴みたいという思いはあったのですが、そこまでタイムに対しての渇望を表に出さなかったので、タイムは出る時は出るのだなと。今回は僕が同様に、タイムを求めに行く感じじゃ無かったので、同じ様な感覚で出したのかなと思います。

――日本選手権から2週間で再び自己ベストを更新しましたが、好調の要因はどの様に考えていますか

絶対的に分かっている部分はあるのですが、あまり人に言いたく無いなと思うので秘密にします。

――今後への意気込みをお願いします

200メートルはもうあと全カレしか無いので、そこでまた自己ベストを出してタイトルを取りたいなと思います。あとは、布勢で島田開伸が10秒35で走って、リレーとしても非常に戦力になるものが増えたので、リレーで学生記録、全カレで優勝、3連覇というところを目指していきたいなと思います。

――夏に強化したい部分はありますか

夏合宿は選抜メンバーで行って、その中には普段寝食をともにしない者も一緒に合宿を行うことになるので、その中で全日本インカレで戦う、総合優勝を獲るんだ、という士気を高める方に振りたいかなと思います。合宿は練習を高い質でやるので、嫌でも強くなるので、あと意識的にやらなきゃいけない部分となると、チームビルディングであったり、方向性を揃えるというところになるかなと思うので、そっちの方に少し注力したいかなと思っています。


▽男子110メートル障害

池田海(スポ2=愛媛・松山北)

――今大会はどういったことを目標に出場しましたか

まずは、記録を狙いやすい大会というのはわかっていたので、日本選手権からちゃんと走れている中で、一発ちゃんと記録を出したいというところで挑みました。

――日本選手権からの調子はいかがでしたか

2週間空いたということもあり、疲労はちゃんと抜いて挑むことができたかなと思います。

――その間で修正したところはありますか

インターバルをちゃんと走れないというところがまだ自分の中で大きな課題としてあるので、何か大きく変えたというのは無いのですが、そこをもう一回ちゃんと確認しました。

――予選と決勝のレースをそれぞれ振り返っていかがですか

予選からタイムは狙いたかったのですが、まだ追い風に対応できるほどの技量が無くて、そこが僕の課題なのですが、着地のところでうまく抑えられていけてないというので刻めなくて、スピードに乗れてくる中盤から本当はもっと上げていきたかったのですが、そこで詰まって、こけないのを防ぐ、という走りになってしまい、記録につながらなかった、というのがあります。
決勝は、端っこだったので周りを気にせず、もう一回ちゃんと自分の動きをやろうと思っていたのですが、ちょっと腰が抜けるような、強張った踏み切りになってしまい、やはりそれがうまく着地につながらなかったことによって、最後競り負けてしまったかなというのが初感です。

――予選と決勝で風も違ったと思うのですが、それぞれ対応の仕方は変えましたか

決勝も強い追い風が吹くと思っていたのですが、直前の他のレースを見ていてそれが無いというのがわかったので、ちゃんと刻んでいくというところは変わらず意識はしたのですが、その中でも抜けないように、という感じでした。大きく変えたものは無かったです。

――今回は2本とも13秒7台でした。タイムとしてはどう捉えていますか

正直言うとかなり悔しくて、もっと出したかったです。まだまだ遅いので、かなり悔しいタイムだなというのが一番にあるのですが、うまくいかなかった中で、どんな条件でもセカンドベストあたりのタイムを2回出せたというのは、まだ良いのかなとは考えられます。

――もっと出そうという感じだったのでしょうか

そうですね。日本選手権より感覚が良くて、練習での感覚も良かったので、もっと狙いたかったのですが、うまくいかなかったという感じです。

――今大会での収穫や見つかった課題を教えてください

これまでの大会と同じように、一貫して走りという部分で全然良い動きができていないので、そこをちゃんと作っていって、ベースの走りを上げることによって次の段階が見えてくるのかなと思うので、これから次の大会まで期間は空くので、そこでちゃんと作っていけるようにしていきたいです。

――夏に強化したいところや、夏以降への意気込みをお聞かせください

やはり先ほども述べたように走りの部分をしっかり強化して、それをハードルにつなげていく、というのを目標として、しっかり走りのメニューで作っていくというのをやって、インカレでは表彰台に乗れるように、練習していきます。


▽女子100メートル

鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東)

――今大会はどういったことを目標に出場しましたか

グランプリシリーズなので高いレベルの試合ですが気負わずに走りたいと思っていました。

――日本選手権の時は調子が悪かったということでしたが、そこからの二週間の間で調子はどのように変化しましたか、練習等で意識したことはありますか

コーチと相談しながらやるべきことを絞って取り組み、マーク走を中心にイメージした動きを感覚では再現できるように意識していました。

――予選とB決勝それぞれのレースを振り返っていかがですか

予選はスタート3歩目くらいで浮いて焦ってしまったところをB決勝では少しの意識で修正して低く飛び出せました。ですが最大スピードが上がらない部分を日本選手権から修正しきれず、2本とも普段の強みである後半の伸びを生かせない走りでした。

――今大会での収穫や見つかった課題を教えてください

自分の感覚と、客観的な意見との擦り合わせで様々な課題が見つかりました。見直すことはかなり沢山あって正直夏の鍛錬期だけでは全て改善することは難しそうですが、バランスを取って考えながら焦らずにやっていこうと思います。

――夏に強化したいところや夏以降への目標を教えてください

冬季に積み上げてきた貯金、久保田さん(久保田裕是短距離コーチ、平24スポ卒=千葉・東海大浦安)のお言葉をお借りすると貯筋が底を尽きてきたので、一旦心も身体も休め、夏の合宿から状態を上げてしっかり取り組みたいです。秋はまず全カレでしっかりと決勝に残って戦うことを目標にしています。