日本学生個人選手権最終日は、男女200メートルと男子3000メートル障害に早大選手が合わせて5人出場。男子200メートルで主将の三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二)が2着で選手権1位、男子3000メートル障害で菖蒲敦司(スポ3=山口・西京)が大会記録を更新して優勝。ワールドユニバーシティゲームズ(ユニバ)への派遣が有力となった。また、男子200メートルに出場した西裕大(教3=埼玉・栄東)も選手権3位表彰台、女子200メートルの鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東)も準決勝で自己記録を更新し、決勝に進出するなど、複数の選手が好結果を残した。
表彰式で笑顔を見せる三浦(左)と西
(記事、写真 及川知世)
★200メートルで三浦が優勝! 西も3位に入りダブル表彰台!(男子200メートル)
最終日に行われた男子200メートルには三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二)、西裕大(教3=埼玉・栄東)、島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東)の3名が出場。三浦と西が決勝に進み、三浦が2着、西が5着でゴールした。
午前に行われた予選は、「走って自分の状態を確認しようと思っていた」(三浦)と、3人とも着順で危なげなく突破。続いて行われた準決勝で最初に登場したのは西。スタートから飛び出すと最後までスピードを落とすことなくフィニッシュ。タイムは予選から落としたものの、着順で決勝進出を決めた。2組には島田、三浦の2人が登場。三浦は予選からタイムを上げ、組2着でゴールし決勝進出を決めた。一方の島田はスタートから遅れをとり、7着でゴール。決勝進出とはならなかった。
今大会の最終種目として行われた決勝。「ユニバシアードのタイムは切っているので何が何でも2番に入る」ことを目標に掲げた三浦は序盤からスピードに乗る。最後の直線で隣を走る実業団選手にかわされはしたものの2着でフィニッシュ。一方の西は、「1日に3本のレースが体的にキツくて前半から足が回らなかった」と、予選からタイムを伸ばすことができず、5着でゴール。上位の選手が表彰台対象外であったため、三浦は「人生で初のタイトル」をつかみ、西も表彰台に上った。三浦は「狙い通りのレースができ、目標としていた順位も取ることができた」と達成感を口にしたが、西は「上位2番に入ってユニバに出場する」ことが目標であったため、「素直にすごく悔しい」と振り返った。しかしそれと同時に、「全国の舞台で、個人で決勝のレースを走ったのは今回が初めてだったので純粋に楽しかった」と充実感も漂わせた。
今後の目標については「次こそは三浦さんに勝ちたい」(西)、「日本インカレ(日本学生対校選手権)総合優勝と4継3連覇を達成する」(三浦) 。この思いを達成するべく、つかんだ手応えと得られた課題を次につなげていくことができるか。今後の走りに注目だ。
決勝でゴールする三浦
(記事 加藤志保、写真 湯口賢人)
★大会記録で優勝!夢の世界舞台へ前進!(男子3000メートル障害)
男子3000メートル障害には、菖蒲敦司(スポ3=山口・西京)が出場。先週の東京六大学対校1500メートルに引き続き、大会記録更新での優勝を果たした。今季初の3000メートル障害レースに不安があったという菖蒲だが、レースではそんな様子を感じさせない落ち着いた走りで栄冠をつかんだ。
序盤は独走する服部壮馬(順大)を第二集団が追いかけるというレース展開に。第二集団に位置取っていた菖蒲は、2000メートルを過ぎたあたりからスピードを上げ、一気に先頭との間にあった大きな差をつめた。最後は残していた余力でラストスパートをかけ見事1位でゴール。今回の大会における早大初の優勝者となった。
「世界で戦いたい」。その思いで陸上を続けてきた菖蒲は今回のレースでまた夢に一歩前進。世界の舞台で戦う菖蒲を見られる日がくるのはすぐそこだろう。
ゴールする菖蒲
(記事 川上璃々、写真 湯口賢人)
★鷺が2種目に出場、200メートルで7位入賞を果たす!(女子100、200メートル)
鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東)は女子100メートル、200メートルの2種目に出場。100メートルでは惜しくも準決勝敗退となったが、200メートル準決勝で自己ベストを更新し、決勝に駒を進め7位入賞を果たした。
個人選手権2日目の第一種目となった女子100メートル予選。スタート直後はほぼ一直線の状態であったが、中盤から前に出るレースを展開。集団から抜け出し、組2着の12秒09でゴールした。予選から約4時間後に行われた準決勝では、スタートで出遅れるが、中盤から前を行く選手に食らいつく。予選からタイムを上げるが、組5着の11秒94でゴール。B決勝の出場にも一歩及ばず準決勝敗退となった。
個人選手権3日目、女子200メートル予選は、雨上がりのスタート。序盤から積極的な走りで組2着の24秒88でゴールした。
準決勝でも鷺は攻めの姿勢を見せる。速いスタートで飛び出し、後半からさらに加速。24秒52をマークし自己ベストを更新。組3着ながらタイムで拾われ見事決勝進出を決めた。
200メートル決勝は今大会の女子最終種目。日本のトップ選手が揃う中、2日間で5本目のレースながら力強い走りで前を追い、24秒66をマーク。見事7位入賞を果たした。
200メートル決勝を走る鷺
(記事 堀内まさみ、写真 及川知世)
結果
3日目
▽男子
▽200メートル
予選
(5組2着+6)
島田開伸(スポ2=静岡・浜松湖東) 21秒38(2組2着)準決勝進出
三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二) 21秒17 (3組1着)準決勝進出
西裕大(教3=埼玉・栄東) 21秒11(5組2着)準決勝進出
澤大地(スポ4=滋賀・草津東) 棄権
稲毛碧(スポ3=新潟・東京学館新潟) 棄権
準決勝
(2組3着+2)
西 21秒22(1組2着)決勝進出
三浦 21秒07 (2組2着)決勝進出
島田 21秒88(2組7着)
決勝
三浦 20秒85 (2着)
西 21秒11(5着)
▽5000メートル
決勝
山口智規(スポ1=福島・学法石川) 棄権
▽3000メートル障害
決勝
菖蒲敦司(スポ3=山口・西京) 8分40秒57(1着)
大会新
諸冨湧(文3=京都・洛南) 棄権
▽女子
▽200メートル
予選
(8組2着+8)
鷺麻耶子(スポ2=東京・八王子東) 24秒88(6組2着)準決勝進出
準決勝
(3組2着+2)
鷺 24秒52(1組3着)自己新 決勝進出
決勝
鷺 24秒66(7着)
コメント
三浦励央奈(スポ4=神奈川・法政二)
――今日のコンディションはいかがでしたか
自分自身の状態は良かったので、持っている力を出すことができればいい結果につながるのではないかなと思っていました。
――予選の走りは振り返っていかがですか
予選は、予選を走って自分の状態を確認しようと考えていたので、試運転という感じで走っていました。いくつか課題があり次のラウンドに向けて上げていける部分が出てきたので、準決勝までのつなぎでそこを上げていっていました。
――準決勝の走りはいかがでしたか
準決勝に対してそこまでモチベーションを上げきることができなかったので、トップスピードも多分そこまで高くなく、コーナーを抜けてからも、ギアを変えることなく、ぬるぬるダラダラ走ってしまったと思います。どちらかと言うと失敗したレースに近いかなと思います。
――決勝での目標はどのように考えていましたか
タイムは切っているので、ユニバーシアードの、何が何でも2着に入るというところを本当に強く思っていました。
――決勝の走りで意識したことはありますか
予選、準決勝ともに最初の100メートルでトップスピードに対して集中し切ることができなかったので、本当にそこの一点、トップスピードを出すところに重きを置いて行きました。
――決勝のレースを振り返って
狙い通りのレースができて、前半相当速いペースで入って、後半はひたすら耐えるということができたので、評価としては良かったかなと思います。ただタイムが、悪いタイムではないのですが、もう少し出てもいいかなと思うので、次に向けて上げていきたいと思います。
――タイムは出せそうという感覚があったのですか
そうですね、状態はいつベストが出てもおかしくない感じだったので、あとは噛み合うかだと思います。
――順位についてはどのように感じていますか
目標としていた順位をとることができたので良かったと思います。上山さん(上山紘輝、住友電工)に負けてしまってはいるのですが、実質学生の中ではトップということで、人生で個人初タイトルなので評価できると思います。
――最後に今後の目標をお願いします
今年入る前に、日本インカレ総合優勝と400メートルリレー3連覇とユニバーシアード日本代表の目標を掲げていて、そのうちの一つを達成することがおそらくできそうなので、残りの2つ、日本インカレ総合優勝と4継での3連覇を、達成したいと思います。
菖蒲敦司(スポ3=山口・西京)
――2週間連続のレースでしたが、疲労はありましたか
先週の六大学は1500メートル1本だったので、そんなに疲労を溜めずに今回のレースに臨めました。
――体のコンディションはどうでしたか
かなり仕上がっていました。この試合にかなりかけていたので、その思いがそのまま体に現れたのかなと思います。
――今日のレースはどのような目標を立てて臨みましたか
タイムは切っていたので優勝だけを狙って臨みました。
――今季初の3000メートル障害でしたが、レース感覚はいかがでしたか
練習を何度かしたのですが、障害をうまく飛べなくて不安でした。でも、レース感というのが走るたびに戻ってきて最後あたりも上手くハードルをこなせていたのでよかったです。
――2000メートルを過ぎたあたりから一気に第2集団を抜けてスピードを上げていましたが、かなり余力があったのでしょうか
そうですね。2000までキロ3くらいで進んでくれていたので自分にとってはすごく走りやすいペースで、ラストにためることができました。
――優勝できた気分はいかがですか
入学してから世界で戦いたいという思いでずっとやってきて、ユニバ確定かはまだわからないのですが、世界がかかった試合で結果を出せて本当に良かったです。最高です。
――ユニバに出場できた場合の意気込みをお願いします
世界で戦いたいっていう思いで入学してきて、それがほんとに叶いそうなところまできました。初の世界大会になるかもしれないのですが、そこは挑戦者として積極的に走っていきたいと思います。
西裕大(教3=埼玉・栄東)
――今日の調子はいかがでしたか
調子自体は良かったです。体も動いていましたし、疲れも取れていたので、個人的には上位に行ける感覚がありました。
――予選の走りを振り返っていかがですか
(同じ組の人の持ちタイムが)速めだったということもあって、2位でもいいからとりあえず着順で準決勝に上がるというのを考えて走っていました。後半流してある程度タイムを出して上に行けたという感じです。
――予選、準決勝の反省から決勝の走りで生かしたことはありましたか
岳さん(欠畑岳短距離コーチ、平27スポ卒=岩手・盛岡第一)や大前さん(大前祐介監督、平17人卒=東京・本郷)とも「スタートのところで置いていかれすぎていて、体が早く浮き上がってしまうことによって後半キツくなっているという部分がある」という話をしました。そこから、決勝はしっかり前傾を保ったまま、三浦さんや上山さんについて行って、最後の勝負でどうにか勝ちたいという感じでした。
――決勝のレースを振り返ってみていかがですか
1日3本というのがやはり体的にキツかったです。前半ついて行くつもりが足が思ったよりも回ってくれなくて、上山さん三浦さんの上位2人に離されてしまって、もうコーナーを抜けたところでは勝負は決まっているという感覚でした。
――結果をどう受け止めていますか
目標としていたのがやはり上位2番に入ってのユニバ出場だったので、素直に今すごく悔しいです。でも、個人で全国の決勝というのが高校から合わせてもこれが初めてだったので、純粋に楽しかったというのはあります。ですが、やはり悔しい気持ちが大きいです。
――次の大会での目標を教えてください
まず東京選手権で400メートルに出場して、400メートルの日本選手権標準切りというところを目指しています。そしてすぐその後に静岡国際200メートルがあります。三浦さん上山さんが出場されるので、今度こそ2人にリベンジしたいなというと思っています。