ある者にとっては、初のインカレ。ある者にとっては、最後のインカレであり、最後のレース。目標としていた国際大会や、目の前の試合が突然に中止されるなど、幾度も翻弄(ほんろう)されてきたこの世代。限られた学生生活の中で、2021年日本学生対校選手権(全カレ)に挑み、エンジの代表として戦い終えた選手たちのコメントをお伝えする。
「チームでする陸上はやっぱり面白い」小竹理恩(スポ4=栃木・佐野)
マイルリレーを終えアンカーの山内大夢(スポ4=福島・会津、右)を労うメンバー(中央が小竹)
――大会前の調子はいかがでしたか
正直なところ、ずっと腰を痛めてしまっていて、7月8月はほぼ走れず9月から走り始めました。どうかなというところはありましたが、必ず得点を持って帰らなければいけないと決めていました。その使命感というか、体の調子どうこうではなく、できることをやるしかないと考えて、調整をしてきました。コンディショニングは得意で、実際に大会に行くと、初日に走れる感じがありました。こうして走ることができて、良かったと思います。
――体の動きはどう感じていましたか
そこは全く問題なかったです。
――決勝前のコンディションはいかがでしたか
心理的な面では、直前に4継が優勝してくれたのを見て、ここはちゃんと走らなきゃいけないなと、自分の大一番だなと考えていました。
――結果をどう捉えていますか
僕の順位やタイムが悔しいというよりは、早稲田に1点しか持って帰ってこれなかったのが何より悔しいです。せっかく決勝に行ったのに申し訳ないなという気持ちでした。
――4×400メートルリレー(マイルリレー)を終えて、率直な感想をお願いします
勝ちたかったという気持ちが一番あります。どうやったら東洋に勝てるのかという思いでやってきましたが、彼らの方が一枚二枚上手だったなと痛感しています。ただ、早稲田の競走部としては、4人がそれぞれ持てる力を発揮して、想定通りのレースを作ることができたと思います。その点は良かったです。
――1走として、どんな走りをしようと考えていましたか
とにかく先頭争いができる順位で持ってこなければいけないというところで、信頼していただいて1走をやりました。
――どんなレース展開を狙っていましたか
負けてしまってはいますが、プラン上は完璧にできたと思います。僕が先頭集団で確実につないで、西(裕大、教2=埼玉・栄東)がスピードをもって1位でバックストレートを抜けてくる。澤(大地、スポ3=滋賀・草津東)も同じように走って、山内が得意の後半で勝ち切る、というプランです。藤好(駿太、スポ2=福岡・修猷館)や新上(健太、人2=東京・早実)が不安がある中でインカレに臨まなければならない状況で、西の関東新人からの好調も加味してこのようなメンバーになりました。
本当に誰が走るか分からない状態でしたが、ショートスプリントにいてもマイルを走るという覚悟で出てくれた2人には感謝しています。インカレが危うい時期に「誰が出るのか」とミーティングをしまして、その時に澤の名前が挙がりました。澤と話したら、「小竹さんが出ないんやったら(インカレに)出たくない。小竹さんが一緒なら走りたい」と言ってくれて、僕の中でインカレへの強い思いが生まれました。多分、何気なく言った一言だと思いますが、4年生としてしっかり走らなければいけないという覚悟を改めて持ちましたね。
――ご自身の走りを振り返っていかがですか
1番手で渡さなければいけないなと感じていましたが、柴崎悠斗(東洋大)に勝って1位でつなぎたかったという思いはあります。彼とは高校時代からライバルとしてずっと競っていて、大学でも紆余(うよ)曲折ありましたが最後に一緒に走ることになりました。僕が1位だったら、西にも澤にも楽をさせてあげられたと思いますし、山内にももう少し貯金があったのかなと思うと、申し訳なさがあります。
――最後の全カレを終えて、今のお気持ちは
インカレという舞台を目指して早稲田大学競走部に入って、1年生から3年生まで個人でもほぼ出られずという感じでした。自分の出場種目だけがどうこうではなく、4継が連覇してくれたり、400メートル障害で6人全員が決勝に残ってくれたり、三浦(励央奈、スポ3=神奈川・法政二)が(100メートルで)会心のスタートで3番になってくれたりと、チームでする陸上はやっぱり面白いなと思いました。チームじゃないと、陸上をできていなかったなとも思います。インカレという試合は良いものだなと感じました。
「最後の全カレで、短距離ブロック長という立場からも4継の連覇はすごく意識していたし、絶対に達成したいなと。(補欠だったが)心も体も常に準備はしていた」佐野陽(スポ4=埼玉・立教新座)
「みんなの顔とかを思い浮かべたらすごく込み上がってくるものがあって」と4継優勝後に涙を見せる佐野(右) 隣は3走の澤
――体のコンディションはいかがでしたか
練習に向かう中で、短距離を含めて全体的に、関東新人(関東学生新人選手権)を含めて周りでいい記録が出ていて、そういった選手たちと切磋琢磨(せっさたくま)して日々お互いを高め合ってできていたので、スピードや動きは洗練されていたのかなと思います。
――まず個人の100メートルに関しては3年ぶりの出場になりましたが、どんな意気込みで臨みましたか
1年生の時は高校の時に切った標準記録で出たので、大学に入って自分の力で切って出る全カレは初めてで。去年はリレーで出たりもしたのですが、個人種目でチームに貢献できるチャンスは初めてだったので、それ自体はうれしく思っていました。自分の調子も上がっていて、上を目指せるかなと高いモチベーションで挑めました。ですが結果は予選で終わってしまったので、自分の走りというよりかは周りとのレベルの差を痛感しました。まだまだ甘かったなと思いました。
――レースはほぼ横並びのままゴールしました。振り返っていかがでしたか
自分の走りをできた選手が勝てるとは分かっていたので、周りを気にしないで走りました。ゴールの所で並んでるのは何となく分かったので、少しでも上の順位を取れるように頑張っていました。
――続いて4×100メートルリレーについて伺います。まず連覇が決まった時の率直な気持ちは
去年勝ってから、4継メンバー全員で連覇するということを1年間の一番の目標として置いていたので、その目標を達成できたのはうれしく思いました。
――リレーは決勝で2走を走りましたが、いつ決まったのですか
100メートルの準決勝が終わった後に、「行くぞ」と言われて。「はい分かりました」となりました。
――2走での準備をされていたのでしょうか
元々僕はリレーでは補欠というか、チームに何かがあった時に走るというピンチランナーの役割でした。心も体も常に準備はしていて、いつ言われても大丈夫な状況でした。
――バトン練習はしていましたか
全く練習していなくて。当日にどこと言われても大丈夫なように心も体もつくっていました。去年走っているメンバーでもあるので、ある程度気持ちの部分でコミュニケーションも日々取れて、信頼関係もできていました。あとは前の走者を信じて、後ろにも走力が高い走者がいたので、仲間を信じて思い切って走りました。
――それでもバトンパスも走りも素晴らしいように見えましたがいかがでしたか
100メートルで三浦がすごく走れていたので、出の部分では思い切って出ても絶対渡してくれるというのは走りを見ていて分かっていました。加速の部分で何の迷いもなく思い切って出られたのは、彼の走りが大きかったと思います。後ろの走者も強くて、自分の仕事というか自分の走りをすればあとは後ろが決めてくれるという安心感もあったので、仲間に助けられたレースだったと思います。その安心感があったからこそあのパフォーマンスが引き出されたという感じです。
――昨年の優勝も影響していましたか
そうですね。去年1回やっていて成功しているという成功体験は一つ自信としてありました。連覇が掲げられて、周りからも期待されて、もちろんプレッシャーがなかったわけではないですが、それよりも自信があったというか。去年1回勝ってるから自信持っていこうというところもあったので、心の面も大きかったと思います。
――最後、涙をこらえているような表情に見えましたが、どのような感情だったのですか
本当にうれしかったので。僕が最後の全カレで、短距離ブロック長という立場からも4継の連覇はすごく意識していたし、絶対に達成したいなという部分があって。自分が走っても走らなくても絶対に達成したいなという思いがあったので、それが達成できたうれしさがあります。また去年勝っていることもあって、4継は欠畑コーチ(欠畑岳短距離コーチ、平27スポ卒=岩手・盛岡一)と礒監督(礒繁雄監督、昭58教卒=栃木・大田原)をはじめとしてコーチングスタッフの方に手厚く指導していただいていたので、それを思い出したり。あとは周りの声援もすごくあったので、みんなの顔とかを思い浮かべたらすごく込み上がってくるものがあって。涙もろいので、こらえきれずに泣いてしまいました。
「このメンバー、この環境、このコーチングスタッフの方々に教われるという状況にあるのは全世界を見ても僕だけなので、振り返ってみて、すごく自分は恵まれているなと感じました」佐野
――全カレ全体を振り返っていかがでしたか
4継は連覇できたのですが、うまくいく選手もいれば、うまくいかない選手もいて。僕自身も100メートルに相当自信があったのに予選で終わったり、インカレならではの難しさは感じました。その中でも4継は、走る前に400メートル障害で6人決勝に残ってくれたり流れがあったので、その流れに乗れました。
予選は6番通過でそこからの優勝は結構難しいのですが、達成できたのは、インカレならではのチームの雰囲気や流れがあったからだと思います。このチームのチーム力というか組織力は感じました。ただ、目標としていたトラック優勝には及ばなかったので、達成できそうな流れはあったのですがそれでも到達できなかったので、やっぱりそこでの難しさというか壁は感じました。
――これまでの大学4年間を振り返っていかがでしたか
本当にこのメンバー、この環境、このコーチングスタッフの方々に教われるという状況にあるのは全世界を見ても僕だけなので、振り返ってみて、すごく自分は恵まれているなと感じました。それは個人で陸上をやっていたら味わえない感動や、もちろん挫折とかもあったからですが、いろいろな経験ができました。4年間を振り返って一言で言えば、早稲田大学の競走部で陸上ができてよかったなと思います。すごく充実した4年間でした。これは何年経っても、誰にでも誇れることだと考えています。
「(4継は)本当にチームで勝てた、仲間で勝てた、という勝利だった」松本朗(スポ4=福岡・戸畑)
1位でゴールに飛び込み、笑みがこぼれるアンカー松本
――4継は2連覇がかかっていましたが、どのような思いで臨みましたか
絶対に連覇するという思いで去年から1年間ずっと練習を積んできたので、今回も絶対優勝するという思いで臨みました。
――予選は着順ではなくタイムを出さないと突破できないかたちでしたが、チームとしてどんなプランで臨みましたか
安全バトンでいっても勝てるかなとは思っていたのですが、タイムを狙えたらいいかなみたいな、気負わずに予選はいけました。
――予選から決勝にかけてチームとして修正した部分はありますか
攻めのバトンをしないと優勝できないなと思っていたので、DQ(失格)になってもいいくらい攻めようという話をしました。
――決勝は1走からの展開をアンカーの地点からどう見ていましたか
1走の三浦がリードして、佐野もそのままキープしていたので、あと澤と僕は、自分で言うのも何なのですが安定感があったので「これ優勝できるな」と思って待っていました。2走の時点で勝てるな、と思っていました。
――アンカーは混戦だったと思うのですが、それでも抜ける自信があったという感じですか
そうですね。3人とも良い走りをしてきてくれたので、そのまま自分の走りをすれば絶対に大丈夫だと思って、自信を持って走りました。
――ゴールに飛び込んだときの気持ちを教えてください
なんかほんとに「仲間のみんなにマジで感謝」って感じで、おめでとうございます! ってゴールしました(笑)。その思いから三浦を抱きしめに行ってしまいました(笑)。あれは本当にチームで勝てた、仲間で勝てた、という勝利だったので。僕が活躍したから、とかそういうのはなかったですね。みんなのおかげです。
――結果について一言でお願いします
これで引退するのですが、もう悔いはないです。
――200メートルでの目標は何でしたか
1位になりたいなと思っていたのですが、疲労や痛みで脚の状態があまり良くなかったので、3位以内に入れればいいなと思っていました。そこはかなわなかったのですが、レースの内容的にはすごく良かったと思ったので、順位に関しては仕方ないなと思います。
――最後のインカレを終えた感想はいかがですか
早稲田大学で良かったなと思います。
「400メートル障害をこの1年率いてきて、日本インカレという大きな舞台でかたちにできたことと、後輩たちが頑張って決勝にいってくれたことがうれしかった」山内大夢(スポ4=福島・会津)
3人そろっての決勝進出が決まり、喜びを分かち合う男子400メートル障害の選手。左から山内、後藤颯汰(スポ3=長崎・五島)、田中天智龍(スポ2=鹿児島南)
――400メートル障害で優勝した率直な感想を教えてください
全カレの優勝を目指してやってきたので、しっかり最後に黒川(和樹、法大)を差し切って優勝できたのはうれしく思います。
――黒川選手には僅差で敗れることも多かったですが、ついに直接対決を制しました
今シーズンずっとわずかな差で負けてきたので、最後の10台目で競るだろうなと予測はできていて、気持ちの勝負だと思っていました。10台目を越えてからは自分が黒川より少しでも先にゴールすることだけ考えて走りました。
――最後は気持ちということでしょうか
あらかじめ監督からレース展開の予想を聞いていて、自分の中でもある程度展開を予想しながら落ち着いてレースを進められたので、10台目を越えてから慌てずに最後(黒川を)差し切ることだけを意識して走れたと思います。
――どんな目標を立てていましたか
最後のインカレなので、4年生として勝って終わりたい気持ちがありました。チームでもトラック優勝やマイルリレーを優勝して終わりたい気持ちがあったので、4年生として結果を残したかったです。
――予選と準決勝の走りを振り返っていかがですか
その前にマイルリレーの予選があり、そこで刺激を入れて400メートル障害にうまくつなげられればと思っていました。ただマイルリレーがタイムレースであまり力が抜けなかったので、思った以上に疲労がありました。予選も体がちょっと重く、準決勝はレース前からいっぱいいっぱいの状態でした。準決勝からいきなり黒川と直接対決になったのですが、レース前に監督からゲキを入れていただいてしっかり走れたことが決勝につながったんじゃないかなと思います。
――準決勝、決勝とこれまで勝てていなかった黒川選手に先着しました
オリンピックが終わってから調子を崩す選手がいるというのは、そういう経験をしている選手を見てきて、分かっていました。自分もそんなに調子が良かったわけではないのですが黒川もきっと一緒だろうなと分かっていたので、その中でどういうレースをするかを考えていました。黒川のレースを準決勝で見て、5台目の時に追える位置にいれば後半で差せるなといういい感覚をつかめたのが良かったと思います。
――決勝の走りを振り返っていかがですか
前半をかなりスムーズに走ることができて、5台目の時にいつもより黒川が近くにいて、「これ後半差せるな」という感覚で6台目7台目に向かっていきました。8台目から10台目で最後に黒川を差せる位置に持って行って、10台目を越えてから差し切れたのは良かったと思います。
――ゴール後はガッツポーズが飛び出して感情が爆発していたように見えましたが、山内選手にとって珍しいことですか
いや、けっこう感情は表に出すタイプなので、ゴール後はああいう感じです(笑)。最後は優勝したいという気持ちと、女子も川村(優佳、スポ2=東京・日大桜丘)が優勝して、前日に4継も優勝していて流れも良かったので、チームのためにも自分も勝ちたいという思いもあって。優勝できて本当に良かったという気持ちでガッツポーズしました。
――タイムについてはどう捉えていますか
自分の中ではコンディションは良くなかったのですが、しっかり勝って49秒28というサードベストのタイムで走れたので、状態が悪くてもここまでタイムが出せるんだという手応えをつかめました。このタイムについては、今自分が出せる力をまあまあ出し切れたという感じです。
――400メートル障害では男女6人が決勝に進出して男女アベック優勝しました。山内選手は障害ブロックを率いる立場として、この結果をどう捉えていますか
正直、女子3人は残ると思っていましたが、後輩2人についてはどうなるかわからなくて、僕は残るとしてあと一人残ってくれればいいなと思っていました。でも準決勝では2人とも気を吐いてくれて、6人とも決勝に残れました。400メートル障害をこの1年率いてきて、日本インカレという大きな舞台でかたちにできたことと、後輩たちが頑張って決勝に行ってくれたことがうれしかったです。準決勝が終わった後、みんなで「やったぞ」という感じで喜びあいました。
――最近、後藤選手と田中選手以外にも好タイムを出している選手もいましたが、後輩たちの成長というのは目に見えて感じるものですか
そうですね。全日本インカレの前の週の関東新人選手権で新井(公貴、スポ2=神奈川・逗子開成)が自己ベストで優勝して、一つ流れを作ってくれました。その流れに田中や後藤も感化されて頑張れたというのはあると思います。
――マイルリレーを終えて、率直な感想をお願いします
みんながほぼ予想していたレース展開で1位で持ってきてくれて、最後は逃げ切ることしか考えていませんでした。東洋のアンカーにラスト50メートルで差されてしまったのは、自分の力不足でしかありません。昨年の日本インカレもちょっとの差で負けて、今年も関カレで東洋に負けて、今大会は絶対に勝ちたいし、4継が優勝した分マイルも優勝したいと話をして臨んでいました。2位で終わってしまったのは悔しいです。
――レースプラン通り、トップで山内選手にバトンが渡りました
そうですね。1走の小竹から3走の澤までいい流れで来ているなと思いましたし、あとは僕が逃げ切るしかないと思いました。
――後ろにつくよりも、前に出る方がやりやすいのでしょうか
関カレは、前半を抑え過ぎて後半の勝負で負けてしまったという失敗がありました。なので、今回は前半からしっかり入って、最後勝ち切るということを意識して走りました。100パーセント出し切れたと思いますが、レース展開や走力の差で負けたなという感じです。
「(50秒50で決勝進出の)目標を達成できて、楽しむこともできて、1点でも多く取るという目標も達成できて、一つ上のステージに上がれたいい大会だった」田中天智龍(スポ2=鹿児島南)
準決勝を走る田中
――今大会の目標は何でしたか
初めてのインカレだったので、まずは楽しむことを一番に考えて挑みました。目標は50秒50で決勝進出でした。
――体の調子はいかがでしたか
調子は良かったです。ベストは出るなと思っていて、50秒5がないと戦えないなと思っていたので、そこを目標にしていました。
――予選から決勝までどんなレースプランを考えていましたか
前半リラックスして入って、6、7、8台目でしっかりリズムをつかんで、後半100メートルで勝負するというレース展開をイメージして臨みました。
――実際その通りに走れたという感覚はありましたか
予選と準決勝は10台目降りてから、もがけなかったというか、もっと動かせたなと思ったのですが、決勝はしっかり自分の力が出せたかなと思います。
――では決勝が一番いいレースができたという感覚なのでしょうか
そうですね、やっぱり決勝は雰囲気も良かったですし、周りの速い選手に引っ張ってもらって速いタイムが出たなと思います。
――50秒50と決勝進出という目標をどちらも達成されました。結果についてはどう捉えていますか
今大会は目標を達成できて、楽しむこともできて、1点でも多く取るという目標も達成できて、一つ上のステージに上がれたいい大会だったなと思います。
――自分の出来に点数をつけるとしたら何点ですか
90点です。目標を達成できたというのがやっぱり一番大きくて、自分の出せる力は全部出せたので。あと10点は、自分にこれで満足するなという意味を込めて(笑)。
――予選、決勝と自己ベストを更新されましたが、その要因は
やっぱり決勝ならではの雰囲気はもちろんあると思います。決勝までのアップの動きが良くなくて、でもここまで来たらやるしかないという、捨て身ではないですが、もう行こうという気持ちで走れたのが良かったかなと思います。
――決勝の雰囲気はやはり違いましたか
全く違いましたね。やっぱり山内さんや黒川(和樹、法大)をはじめとして、トップレベルの選手しかいない状況で、こんな機会はなかなかないと思うので、自分の中でも燃えるものもありましたし、予選、準決とは違う緊張感がありました。
――山内選手や同じく決勝に進んだ後藤選手はどんな存在ですか
山内さんも後藤さんも、いつも練習から下の学年の僕とか、関東新人で優勝した新井を引っ張っていってくださって、そういう先輩がいたからこそ僕も新井も今シーズン自己ベストを更新し続けられているのかなと思います。
――やはり先輩の姿は刺激になりますか
やっぱり山内さんのオリンピックの姿には感動しましたし、刺激ももらって、もっと頑張らないとなと感じて練習に取り組めています。
――最後に、次の試合とその目標をお願いします
田島記念のグランプリ(田島直人記念)ですね。まずは50秒5をもう一度切って、グランプリでもベスト8に入れるような走りをしたいと思います。
「今後の駅伝でも競る展開はあると思うので、(ラスト1周の展開が)反省点」諸冨湧(文2=京都・洛南)
障害手前で踏みきる諸冨
――今大会の目標はどのようなものでしたか
昨年度も表彰台に入ったので、今年も表彰台を狙うところを意識してレースに臨みました。
――今日のレース全体を振り返っていかがでしたか
余裕はあったのですが、最後にちょっと早まったというか、ラスト1周で力んでしまいました。そこまでは余裕を持って走っていたのですが、そこで力んで硬くなって最後競り負けてしまいました。今後の駅伝でも競る展開はあると思うので、反省点というか、そこが一番大きいと思います。
――レースプランはどのようなものでしたか
三浦(龍司、順大)が出るということで、たぶん三浦が同じ順大の服部(壮馬、1年)のペースメーカーみたいな感じで行くのかなと思っていました。ただそんな感じでも(三浦が)一人だけ速かったので、周りの様子を見ながら行こうかなと思っていました。終盤まではどちらかというとレースプラン通りにいけたのですが、後半下がってしまったところが一番だめなところなのかなと思います。
――最後の1周を振り返っていただけますか
ラスト1周になって一回ギアを変えたのですが、硬くなりすぎてしまって、そこでもっと行くなら行く、行かないなら行かないというふうにもう少しはっきりつけた方がよかったのかなと思っています。中途半端な出来になってしまったので、結局後ろも離れなかったですし、自分も勝てなくなって自滅したみたいな感じだったので、そこはもっとどうにかできたのではないかなと思います。3000メートル障害のレースもこれまで何回もやってきているので、初歩的なミスで自滅してしまったという感じがあります。
――タイムに関してはどのように捉えていますか
全然話にならないレベルの記録だと思います。これから合宿シーズンが終わって秋の出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)などが始まってくるので、そこに向けてもう少し体のキレや、ラスト競り負けるというのは駅伝でもチームの勝利に関わってくることなので、もっと反省すべきなのかなと思います。
――駅伝シーズンに向けてどのように調整していきますか
走り込みは大きな故障なくできましたが、距離は十分に踏めてないというのはあるので、普段のジョグなどベースを上げながら、うまく距離を伸ばしていって駅伝に対応できたらと思います。
「(400メートル障害で男女6人とも決勝に残り)「みんないる」という安心感と楽しさがあって、すごくいいインカレだったなと思っています」関本萌香(スポ4=秋田・大館鳳鳴)
決勝を終えた女子400メートル障害の3人。左から村上夏美(スポ4=千葉・成田)、川村優佳(スポ2=東京・日大桜丘)、関本
――関東インカレから早大競技会まで、長らく試合から遠ざかっていました。全カレにはどんな状態で挑みましたか
関東インカレで肉離れしてしまって、そこから試合に出られなかったのですが、全カレ前の1カ月でようやくしっかり練習できるようになって、追い上げてだんだん調子も上げてきていました。今回は1種目に集中できるということで、記録にもこだわって試合に臨みました。
――最後の全カレでしたが、どのような思いで臨みましたか
400メートル障害に出る全員が決勝に残って、後のマイルに流れを作れたらいいなとみんなで話していたのですが、そこが達成できてすごく良かったなと思っています。個人としては2年生の時に1回優勝しているので、2年ぶりの優勝というのを目標にしていました。それにプラスして自己ベストも絶対出したいなと思っていたので、どちらかというと順位よりも記録にこだわって臨みました。
――予選と準決勝のレースを振り返っていかがでしたか
久々の公式戦だったので、レース勘をしっかり確かめながら走りました。ちゃんと自分のリズムは崩さず、決勝につなげたいと思っていました。タイムはもうちょっと出したかったのですが、順調に通過できたので良かったと思いました。
――チームメートの川村選手、村上選手も通過して3人で決勝に進むことができましたが、その点についてはいかがでしたか
3人とも決勝に残って、早稲田で染められたと思ってうれしかったです。男子も3人残ったので、気持ち的に「みんないる」という安心感と楽しさがあって、すごくいいインカレだったなと思っています。
――決勝ではどんなレースプランを思い描いていたのでしょうか
自己ベストは絶対出したいと思っていました。天気が良かったのもあって、アップ時の状態もすごく良かったので、前半から攻めることにしました。8台目ではストライドを大きめに行った方が歩数が合ったのですが、ピッチが上がって足が合わなくなってしまいました。体がよく動いたせいで早い動きになったのが原因だと思います。足が合わなくなってからは崩れてしまいました。攻めた結果だとは思っていますが、そこをまとめて、最低限優勝したかったです。
――調子がいいが故にハードルとの距離感がずれてしまったのですね
予選準決勝とは全く違ったので。 天候も違いましたし、自分の調子も上がっていて「行くぞ」と意気込んでいました。決勝に懸けていましたね。
――結果については、やはり悔いが残るのでしょうか
そうですね。 だいぶ悔いは残ってます(笑)。本当なら絶対自己ベストを出して優勝したかったので。しかも調子が良かったので、もっと行けたなという思いもあります。 ただ(男女)6人で決勝に残って、後輩の川村もすごく成長した姿を見せてくれたので、安心してバトンタッチできるなと。それはすごくうれしかったです。
――川村選手には負けてしまいましたが、後輩としては頼もしいということですね
まさにそうです。もちろん悔しいですが負けた相手が川村で、彼女が力をつけて行って3ラウンドしっかりこなせたのは頼もしいなと思います。これから伸びる選手だと思うので、すごく楽しみです。
――同期の村上選手とも一緒に決勝に進めましたね
4年間ずっと一緒に練習してきて、いろいろな大会に一緒に出てきたので、いるのが当たり前、2人セットで出場という感じでした(笑)。もう本当に最高のパートナーですね。村上がいなかったら4年間やってこれなかったと思っています。小山さん(佳奈氏、令3スポ卒)の影響も大きかったですが、やはり村上がいたからここまで成長できたなと実感してます。
――今大会を振り返っていかがでしたか
マイルリレーではメンバーのケガがあって人数がそろわなかったので棄権になってしまいました。それでも個人種目でちゃんと自分の力を出し切れたので、すごくいいインカレになったなと思います。男子も4継を勝って流れを作ってくれたので、早稲田全体が盛り上がってすごく楽しい雰囲気でできました。
――次戦の意気込みをお願いします
来月の田島記念に出るつもりです。今回記録を出せなかったので、ここで狙いに行こうと思います。
「仲間の活躍がとても自分の励みにもなりましたし、あと残り1カ月の陸上人生をうまくまとめたいなと強く思いました」村上夏美(スポ4=千葉・成田)
決勝でハードルを越える村上
――試合に臨む前の体の調子はいかがでしたか
昨日(予選、準決勝)も、試合が始まってアップの時から調子が上がっていたので、自分としてはコンディションが良くて、いけるなという自信はありました。
――予選、準決勝のレースを振り返っていかがですか
コンディションが良かった割には思ったより結果がついてこなくて、そこには少し後悔が残っています。
――決勝でのレースプランは
決勝では前半をリラックスしながら走って、3台目で逆足に切り替えるんですがそこでもテンポを崩さないよう意識しながら、200メートルを過ぎたコーナーのあたりでもテンポを崩さず、ピッチでうまくつなげていきたいと思っていました。
――実際にレースを走ってみていかがでしたか
昨日の疲労があって、ハムストリングスに少し違和感というか、動きづらいなというのがありました。そこを踏まえながらのレースで、思ったようなレース展開ができなくて、後悔が残っています。
――レースプランの部分もうまくいかなかったのでしょうか
そうですね。最初の切り替えの部分と最後の200のコーナーのあたりでも内側からライバルの人たちが結構見え始めていたので、少し焦りもありながら、焦らずにいこうと思っていたんですが、後半で思った以上に足が動きませんでした。そこは改善していきたいなという部分ではあります。
――60秒60で8位という結果についてはどう感じていますか
決勝では表彰台独占をもちろん目指していたのですが、よくて3番、出せて4、5番を目指していたので、8番という順位には悔しい思いがあります。記録に関しても昨日よりもコンディション、天候なども良い中だったのですが、疲労もあって思った以上にうまく合わせられなかった部分があったので、不完全燃焼というか、もう少しできたなと感じています。
――最後のインカレを終えて、今の気持ちはいかがですか
私個人としては8位入賞で少し悔しい思いもしたのですが、決勝に早稲田が3人、男子も3人残れて、しかも早稲田が優勝を取っているので、そこはすごくうれしく思います。仲間の活躍がとても自分の励みにもなりましたし、あと残り1カ月の陸上人生をうまくまとめたいなと強く思いました。
「3年生、4年生になって迎える学生の対校戦で自分が早稲田を引っ張っていくという覚悟というか、責任を改めて感じられた」川村優佳(スポ2=東京・日大桜丘)
ゴール手前で関本を抜き、トップでゴールする川村(左)
――今大会の目標を教えていただけますか
当初は3位以内を目指して、今回のレースを走りました。
――調子はいかがでしたか
5月に行われた関カレで、軽度だったのですが4継の際に肉離れをしてしまって、その後日本選手権も振るわずにいってしまいました。夏合宿のあたりから(練習を)積み始めて、全カレの前は自分でも動きのタイミングやハードル間のタッチダウンタイムがかなり上がってきて、かなりいい手応えをつかめていました。
――予選の走りはいかがでしたか
今回のレース3本とも通して、前半の5台まで16歩で逆足を使うのですが、前半でいい流れを作って後半でしっかり上げていくというレースプランでやっていました。予選、準決勝共に逆足を使うところ、最後の7台目、8台目あたりでハードリングが崩れてしまうところがあって、そこを反省点として決勝に挑みました。
――決勝では、後半から追い上げていきましたが、レースを振り返っていかがですか
決勝は予選、準決勝での逆足やハードリングの乱れが自分でも気になっていました。前半でしっかり後半につながるようなハードリング、その間の走り、そして後半もたせるためにかなりリラックス感を持って前半は入りました。
――関本選手の位置は把握されていましたか
6台目くらいから関本さんが内側から来ているのが分かって、私は後半追い上げるタイプなので、関本さんについていこうと思っていました。後半関本さんが少し崩れたのは気になった部分もありました。しっかり冷静に自分の走りをしようという思いでラストは走って、走りながらだんだんと詰まってくるのも分かりました。冷静に自分の17歩の走りができれば、勝てるのではないかと思って走りました。
――優勝の結果はどのように捉えていますか
今回3位入賞を目指して優勝したので、あまり実感が湧かないという感じです。来年はしっかり優勝を狙うという目標を持って、優勝したいと思います。冬期や来シーズンに優勝できる実力を頑張ってつけたうえで、学生対校戦に挑みたいという気持ちになりました。全カレという大きな舞台で優勝できた経験は自分にとってすごくプラスになることですし、これから3年生、4年生になって迎える学生の対校戦で自分が早稲田を引っ張っていくという覚悟というか、責任を改めて感じられたレースだと思っています。
――4年生にとっては最後のインカレとなりました。来年以降、女子障害ブロックとしてどのように対校戦に臨みたいと考えていますか
早稲田の400メートル障害は対校戦の得点源としても、チームを成績で引っ張るという面でもチームの核となる部分だと思うので、今回出場していない清水(羽菜、スポ2=東京・白梅学園)と津川(瑠衣、スポ2=東京・八王子)ももっと一緒に私が巻き込んで3人でしっかり戦っていけたらと思います。今回初めて対校戦で400メートル障害に出場しましたが、流れがとても大切だなと今回の試合で感じました。前日の4継の優勝など、そういうことでかなり刺激を受けて頑張れた部分もあったので、女子400メートル障害、男子400メートル障害ともにそういう存在になれたらと思います。
(編集 布村果暖、写真提供 EKIDEN News )