桜が散り、木々が新緑に染まる所沢のグラウンドで、第2回早大競技会が開催された。短距離、長距離のトラック種目とフィールド種目に、多数の選手が出場した。
★茂木、前回の自己ベストに続き好調をキープ(男子5000メートル)
ラスト1周でさらに後続を離し、独走する茂木
曇り空が広がるなか、今年度第2回目となる早大競技会が行われた。競技の幕開けとなった男子5000メートルには、4年生の河合陽平(スポ4=愛知・時習館)、向井悠介(スポ4=香川・小豆島中央)、茂木凜平(スポ4=東京・早実)らを含む合計7人が出場した。レース前半は横並びの状態が続いたが、中盤以降、4年生3人が入れ替わりで集団を引っ張るかたちとなった。最後は茂木が逃げ切り、14分32秒98でフィニッシュし、見事レースを制した。
1周目は向井が69秒で集団を引き、それに河合、伊福陽太(政経1=京都・洛南)が続く。2周目以降も向井が先頭に立ち続ける展開となった。2200メートル手前からは河合が先頭に立って集団を引いたが、集団のペースは大きく変わらず、3000メートルをほぼ設定通りの8分42秒で通過した。
レースはここから動き出す。3000メートル手前で茂木が先頭に立った直後、集団がばらけるかたちとなり、白井航平(文構3=愛知・豊橋東)と伊福が脱落する。そして、3800メートル付近で向井が再び前に出ると、これまで先頭集団を引っ張ってきた河合が遅れ始めた。さらに、レースは終盤、ラスト2周を迎えると、「ある程度余裕を持って」走れていたという茂木が再び先頭に立つ。そのまま逃げ切り、14分32秒98の好タイムでゴールした。続いて向井、安田博登(スポ3=千葉・市立船橋)がゴールを通過した。終盤で引き離された河合は14分48秒81とタイムを縮めることはできなかった。レース後、トップでフィニッシュした茂木は、「及第点というか、最低限はできたかなと思います」と自身を評価した。
序盤は集団がまとまるレース運びであったが、中盤以降は何度も先頭が入れ替わる白熱の展開となった。今後は札幌ハーフ、関東学生対校選手権など主要な大会が続く。まずは札幌ハーフに向け、茂木自身も「出るからには入賞を目標にしています」と意気込む。選手たちは先を見据えた調整を行っている。
(記事 堀部恭平、写真 朝岡里奈)
★菖蒲、3年ぶりの自己ベスト更新でトップでゴール(3000メートル障害)
水濠を越える菖蒲
3000メートル障害には、北村光(スポ2=群馬・樹徳)と菖蒲敦司(スポ2=山口・西京)の2名が出場。菖蒲が自己ベストを3年ぶりに更新する8分57秒81をマークし、トップでゴール。北村は9分3秒81で2着と続いた。
レースはスタート直後から北村、菖蒲が並走するかたちで先頭に立ち、両者とも1000メートルの通過が2分55秒、2000メートルの通過が5分59秒と互いに譲らないレース展開に。2200メートル付近で北村が少しペースを上げ、前に出たが、「きつさが来たが、ラストには自信があるから、落ち着いてゆっくり反応しよう」と、冷静に判断した菖蒲は、北村に離されることなく食らいつく。すると、「いける自信がある」と語った通り、ラスト1周で菖蒲が一気にペースを上げて北村を突き離し、そのままトップでゴール。ラスト1周で遅れた北村はそこから6秒遅れて、2着で続いた。
菖蒲は、4月17日に行われた早大競技会でも5000メートルの自己ベストを更新しており、調子の良さがうかがえる。一方北村は、8分49秒92の自己ベストを持ちながら、4月18日に行われた東京六大学対校大会(六大学)に続いてタイムは9分台にとどまり、なかなか波に乗り切れない。今月末には関東学生対校選手権が控えている。調子が上向きな菖蒲、そして昨年の日本学生対校選手権でこの種目2位に輝いた北村の、今後の巻き返しにも期待したい。
(記事 栗田優大、写真 高橋優輔)
★短距離、障害ブロックで好記録続出(男子400メートル、男子400メートル障害、女子400メートル障害)
男子400メートル障害で50秒99でゴールする田中
短距離では、複数種目で好記録がマークされた。男子400メートルには6人が出場した。最後まで接戦となったが、新上健太(人2=東京・早実)がわずかに小竹理恩(スポ4=栃木・佐野)に先着し、1着でフィニッシュ。着順だけでなく、47秒62という記録も、昨年出した自己新記録を約0・1秒更新するものだった。また3着の竹内彰基(スポ2=愛知・瑞陵)も47秒94の自己新記録で走り切った。
男女400メートル障害でも自己新記録やそれに近い記録が続出した。田中天智龍(スポ2=鹿児島南)と新井公貴(スポ2=神奈川・逗子開成)は3月27日の早大競技会でも揃って自己新記録を更新していたが、今回もそれぞれがその記録を上回るタイムをたたき出した。田中は、わずか1ヶ月余りで51秒62から約0・6秒短縮し、50秒99。ぎりぎりのところで50秒台に突入した。また、前回田中に先着していた新井は、今回2着だったが、51秒55でゴールして同じく自己記録更新を果たしている。
女子400メートル障害は、村上夏美(スポ4=千葉・成田)が久々に59秒台をマークした。2019年9月を最後に、なかなか60秒を切ることができていなかったが、冬季順調に練習を積めていた成果が表れてきたのだろう。六大学で優勝した際には「大学で自己ベストを更新」「参加標準記録である58秒00を出して、日本選手権に出場したい」と、先を見据えていた。ラストイヤーで目標達成なるか。さらなる活躍に注目だ。
(記事 布村果暖、写真 栗田優大)
●男子
■100m
1組(-1.0)
3レーン 稲毛碧 10秒71(1着)
4レーン 佐野陽 10秒76(2着)
5レーン 大竹春樹(1) 10秒87(3着)
2組(-1.1)
5レーン 千田杜真寿 10秒86(1着)
4レーン 野口友希 11秒19(2着)
3レーン 秀島来 棄権
■200m
(-1.2)
5レーン 稲毛碧 21秒46(1着)
6レーン 西裕大 21秒56(2着)
4レーン 秀島来 21秒64(3着)
7レーン 小竹理恩 棄権
■400m
3レーン 新上健太 47秒62(1着)自己新記録
5レーン 小竹理恩 47秒85(2着)
7レーン 竹内彰基 47秒94(3着)自己新記録
8レーン 村木渉真 48秒06(5着)
4レーン 眞々田洸大 48秒12(6着)
6レーン 山西修矢 48秒58(7着)
■5000m
9レーン 茂木凜平 14分32秒98(1着)
7レーン 向井悠介 14分37秒80(2着)
3レーン 安田博登 14分41秒19(3着)
8レーン 和田悠都 14分48秒31(4着)
5レーン 河合陽平 14分48秒81(5着)
1レーン 白井航平 14分51秒36(6着)
6レーン 伊福陽太 15分12秒53(7着)
2レーン 山口賢助 棄権
4レーン 佐藤航希 棄権
■110mH
4レーン 池田 海 14秒25(-0.7)1着
■400mH
3レーン 田中天智龍 50秒99(1着)自己新記録
5レーン 新井公貴 51秒55(2着)自己新記録
4レーン 後藤颯汰 52秒51(3着)
6レーン 岩井郁也 54秒52(5着)
■3000mSC
3レーン 菖蒲敦司 8分57秒81(1着)自己新記録
2レーン 北村光 9分03秒81(2着)
■走高跳
八木颯太 1m90(1等)
■棒高跳
小野想太 4m70(1等)
平川巧 4m60(2等)
■走幅跳
青柳柾希 7m26(+1.7)1等
林裕之 6m33(+0.0)3等
■三段跳
坂本大晟 13m06(+0.5)3等
●女子
■100m
(-0.2)
4レーン 鷺麻耶子 12秒25(1着)
5レーン 中村真由 12秒79(2着)
■800m
1レーン 髙田真菜 2分18秒18(1着)
2レーン 藤崎紗羅 2分19秒59(2着)
■400mH
4レーン 村上夏美 59秒64(1着)
6レーン 高屋敷実優 68秒52(6着)
■走高跳
大坂美乃 1m60(1等)
山田実来 記録なし
コメント
茂木凜平(スポ4=東京・早実)
――今日のレースプランは
今日は設定でいうと3000メートルまで8分35〜40秒くらいで行って、そこから2000メートルはフリーでした。今度のハーフに向けての刺激というか調整だったので、ある程度練習を積んでいる中でどれだけ余裕を持って走れるかということを意識して走ったのですが、3000メートルまで設定通り余裕持って走れたので、後半2000メートルもそこまで足が止まらずに走れたかなと思います。
――では今日のレースは自分の中で評価は良かったのでしょうか
そうですね。及第点というか、最低限はできたかなと思います。
――3000メートル以降集団がばらけていましたが
そうですね。後ろが結構きつそうにしていたので、全体的にフリーできつさはあったのかなと思うのですが、自分はある程度余裕を持ってできた感じです。
――前回の早大競技会でも自己ベストを更新しましたが、調子は良いのでしょうか
すごく練習が積めていて調子は上がってきていると思います。
――ハーフでの目標はありますか
まだメンバーは分からないですが、出るからには入賞というのを目標にしていて。とりあえずまずはメンバーに選ばれるのと、そこから他大と勝負できる練習を今も積めていると思っているので、結果につなげられればと思います。
――次の試合の予定は
次はまだ分かっていないですが、札幌ハーフの可能性もあります。明日(2日に)分かるのですが、出るとなったらハーフを走ります。それも関カレに向けたハーフなので、そんなにガチガチに調整するというわけではないですが。(練習が)積めても来週くらいまでなので、体がきつくても追い込むべきかなと思っています。
――ラストイヤーの目標や意気込みをお聞かせください
今年こそは箱根(東京箱根間往復大学駅伝)を走ってチームの(3大駅伝)3冠に貢献したいと思っています。
菖蒲敦司(スポ2=山口・西京)
――調子はいかがでしたか
最近うまく走れる試合が多かったので、調子自体は良かったと思います。
――先日5000メートルで自己ベストを出した時のように良かったですか
そうですね、良かったと思います
――久々の3000メートル障害となりましたが、レースプランや目標はありましたか
2年ぶりの3000メートル障害だったので、ハードリングの確認や、3000メートル障害という種目を見直すというか、再確認するレースだったのであまり設定タイムは気にせず走りました。
――序盤は北村光(スポ2=群馬・樹徳)選手と先頭を引っ張りましたが、どのようなことを考えていましたか
北村とずっと高校時代3000メートル障害で競ってきたので、思うものはありました。今回は久しぶりというのもあって、前に出てくれるって話してくれたので、使わせてもらって走りました。
――2・2キロすぎに北村選手に少し離された時はどのような心境でしたか
3000メートル障害が久しぶりだったので、きつさが来ました。ラストはいける自信があったので、前に出られても落ち着いてゆっくり反応しようという思いがありました。
――ラスト1周で前に出ましたが、どんなことを考えていましたか
特に設定タイムはなかったのですが、ラスト1周で8分台が出そうだったので、ここは少なくとも8分台出さなきゃと思って切り替えました。
――自己ベストを更新したことについてはいかがですか
自己ベストが3年前なので、更新しなければならないと思っていました。力もついてある程度余力を持った状態で更新できたので、次につながると思います。
――次の試合とその意気込みをお願いします
次のレースはビッグレースの関東インカレになると思います。3000メートル障害は出ると思うのですが、もう一種目も可能性があります。4日間戦える体力をつけて、自分の力を発揮できるようにしたいと思います。