富士北麓ワールドトライアル2019が山梨県の富士北麓公園陸上競技場を会場にして開催された。10月に行われる世界選手権の標準記録突破など好記録を狙い、国内のトップアスリートが集った今大会。早大からは2種目に3人の3年生スプリンターが出場し、男子100メートルでは南山義輝(スポ=福岡・小倉東)が10秒33の好記録をマークした。また男子400メートルに出場した小久保友裕(スポ=愛知・桜丘)は46秒58、伊東利来也(スポ=千葉・成田)は46秒71だった。
★南山、「50点」でもセカンドベスト 全カレに弾みをつける(男子100メートル)
追い風0.9メートルの条件下で10秒33のセカンドベストを記録した南山
男子100メートルには今季自己記録を連発し、10秒29のタイムを持つ南山義輝(スポ3=福岡・小倉東)が出場。直前まで行っていた合宿では調子が落ち込み気味だったそうだが、「全カレ(日本学生対校選手権)につながるようなレースがしたい」と意気込んで臨んだ。横一線となった展開が最後まで続き、混戦のまま2着でゴール。セカンドベストとなる10秒33(+0.9)をマークしたが、フィニッシュ後は首を傾げた。「50点くらいですね。タイムは良くても主観的な内容があんまり良くなかったので」と、好記録にも自身の走りには厳しい評価を付けた。
学生も多数出場したレースで、関東学生対校選手権(関カレ)2位のデーデー・ブルーノ(東海大)や同大会4位の松尾隆雅(東洋大)に競り勝ち自信を深めた様子の南山。全カレでは、「表彰台は確実に乗りたいと思います」。その狙いは確固たるものとなった。
★自己記録に挑むも満足な結果を残せず(男子400メートル)
ゴールに飛び込む小久保(左写真)と伊東。自己ベスト更新はならなかった
男子400メートルに出場した小久保友裕(スポ3=愛知・桜丘)と伊東利来也(スポ3=千葉・成田)。組こそ違えど、ともにゴール後には納得いかない表情を浮かべた。1組目に登場した小久保は45秒台の大台を視野に入れてスタート。前半から実業団の選手に引けを取らない速さで突っ込んだが、自身の感覚と実際の走りに誤差があり、スピードを緩めてしまったという。持ち味の後半でさらに追い上げを見せ、自己記録まで100分の4秒に迫る46秒58で組2着に食い込んだが、「無難にレースを終えたという感じ」(小久保)と今ひとつの一戦となってしまったようだ。
2組目の伊東も45秒79を更新する自己ベストという高いレベルの記録を狙って挑んだが、46秒71にとどまり、「すごい不甲斐ない」と悔しさをあらわにした。前半でスピードに乗り切れず、200メートルからのコーナーの走りではうまくリズムに乗れなかったことを敗因に挙げた。6月末の日本選手権以来の試合となった伊東。今大会までの約2カ月のトレーニング期間を経て、「スピードが出せるような感覚があった」と手応えもあった。しかし、今回はそれを十分に発揮することができなかった。
二人の次戦は2週間後に迫る日本学生対校選手権(全カレ)だ。伊東は個人での優勝を狙う。そして4×400メートルリレー(マイル)も悲願の頂点を貪欲につかんでいくつもりだ。
(記事、写真 岡部稜)
結果
▽男子100メートル
ウォームアップレース
南山義輝 10秒44(-0.6)(2組3着)
決勝(2組タイムレース)
南山 10秒33(+0.9)(1組2着)
▽男子400メートル
決勝(2組タイムレース)
小久保友裕 46秒58(1組2着、総合7位)
伊東利来也 46秒71(2組6着、総合8位)
コメント
伊東利来也(スポ3=千葉・成田)
――レースを終えた今の気持ちは
今回は自己ベストを狙っていたので、今回の記録はすごい不甲斐ないというか、悔しい気持ちです。
――このレースに向けて、調子はいかがでしたか
日本選手権を終えてからは、菅平での合宿など、トレーニングを積んだ2カ月でした。感覚としては、前半シーズンに比べてスピードを出せるような感覚があった中で臨んだ試合でした。
――レース展開を振り返ると
走ってみて思ったのは、スピードが獲得できた感覚に比べて、今回のレースでは(スピードに)うまく乗り切れなかった感覚が前半にありました。(スピードに)乗り切れなかったことが原因かわかりませんが、ずっと言っているコーナーの走りがうまくリズムに乗れなかったという感覚でした。
――日本選手権からきょうまでどこを強化してきましたか
強化してきた中で大きかったのは菅平での坂のトレーニングです。走りの中で筋力強化やフォームの改善など、基礎をつくってきたのが大きかったです。
――これから日本学生対校選手権(全カレ)が控えていますが、目標をお願いします
今シーズンは個人では良い結果を出せておらず、マイルでも優勝を狙う中でできていないので、全カレでは個人とマイルの両方ともに優勝を狙っていこうと思います。
小久保友裕(スポ3=愛知・桜丘)
――レースを終えて
無難にレースを終えたという感じですね。
――きょうの目標やタイムはありましたか
45秒台を狙っていたんですけど、でもアップであまり調子が良くなくて、ビリにならなければ…くらいに考えていました。
――調子は
合宿の前半は良かったんですけど、後半で動きが崩れてそれを修正しようときょうは考えていました。
――ご自身でレースをまとめるとどうでしょうか
前半が思った以上に出て、感覚との誤差があってスピードを緩めてしまった点で、スムーズにレース展開を運べなかったのが、(記録が出なかった)要因かなと思います。
南山義輝(スポ3=福岡・小倉東)
――レースを終えて
走りとしてはあまり良くなかったですね。でも合宿をしてきて力は付いてきたかな。合宿中は少し調子が悪くて、「これはやばい」と思っていたんですけど、試合になればいい感じに良いところが出たので、良かったかなと思います。
――走りとしては良くなかったということですが、どのあたりがでしょうか
少し「set」と言われるまでが長くて、そこからスタート出て1、2歩は乗れたんですけど、上体が早めに起きちゃって、ちょっと後半苦しいかたちになってしまいました。そこをうまくすればきょうのコンディションなら(10秒)25くらいは出てたかなと思うんですけど、そこは修正しつつ、という感じですね。
――きょうはどんな目標であったりモチベーションで臨みましたか
環境としてはすごくいいところなので、全カレ(日本学生対校選手権)につながるようなレースがしたいと思っていました。だいたい10秒3中盤からもう少し行けたらと思っていたので、タイム的には納得いくかたちで終われました。これに主観の内容がマッチしてくればもっと良いタイムが出ると思います。
――合宿ではどの部分を強化してきましたか
8月には合宿に3回行って、長野県の菅平と、国体合宿で北海道、次に鹿児島県の大隅合宿で、30日に帰ってきました。菅平ではかなり練習を積むかたちでやって、北海道はリフレッシュしつつ練習もしながらという感じでした。そして鹿児島では、すごく良い環境で自分の不得意なところと得意なところをやりつつ、という感じで練習しました。
――以前はレースでのトップスピードの維持に課題があると話していましたが今回は
走りは後半良くなかったんですけど、スピードに乗ることはできました。でも50点くらいですね。タイムは良くても主観的な内容があんまり良くなかったので。
――きょうのレースを受けて、全カレではどんな走りがしたいですか
きょうは学生の中でも順位が良かったので、このまま修正しつつ、表彰台は確実に乗りたいと思います。