スーパールーキー中谷が今季日本人学生第7位の好記録をマーク!

陸上競技

 全日本大学駅伝対校選手権(全日本)の好走から1週間。再びトラックレースに戻ってきた中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)は主要大会の標準タイムを狙い5000メートル最終組に出走。目標としていたタイムには及ばなかったものの、今季日本人学生第7位となる13分45秒49のタイムでゴールした。また、今冬のスタミナ強化を図る予定の中距離陣も練習の一環として出場した。800メートル、1500メートルを主戦場にする飯島陸斗(スポ3=茨城・緑岡)が大学1年時に記録した自己記録を約20秒も上回る14分33秒98、さらに齋藤雅英(スポ3=東京・早実)も14分40秒58とそれぞれ好記録をマークした。来季のトラックシーズンでの活躍に期待がかかる記録会となった。

普段より長い5000メートルでも自己記録を更新した飯島

 風もなく、日も完全に落ちた絶好のコンディションの中スタートした最終組。中谷は序盤から強力なタイムを持つ実業団所属の外国人選手たちにつく積極的なレースを展開。初めの1000メートルは2分41秒前後で通過した。さらに前を伺っていたが外国人選手たちの形成するハイペースな先頭集団と、中谷の走る第二集団、という形で徐々に差が開いてしまう。それでも中谷は時に集団の前で自らペースを作るなどして必死に前を追っていった。

自己記録更新も日本選手権の標準記録には届かなかった中谷

 ややペースも落ち、4000メートルを11分06秒で通過。目標記録の達成は厳しいかと思われたがここからが中谷の真骨頂だった。再びペースを切り替え、前を走る選手たちを猛追。ラスト1周は約60秒で走り切った。普段の練習後に自主的に行っているという60秒を切るペースでの400メートル走の効果があらわれたようだ。結果的に、ラスト1000メートルを2分40秒前後でカバーする驚異の粘り。目標としていたユニバーシアード、日本選手権の標準記録13分43秒にはあとわずかに届かなかったものの、自己記録を約2秒更新する好記録をマークした。

 本人も「嬉しさ半分、悔しさ半分」と話すように、ゴール後には悔しそうな表情の中にも充実の表情も見せた。全日本3区11.9キロで区間2位と力走し、そのわずか1週間後に記録を狙ったレース。疲労を考えると今記録会への出場は異例ともいえるが、『トラックで世界と勝負』を目標として掲げる中谷ならではの覚悟を持った選択でもあっただろう。今季前半戦、思うように力を発揮しきれなかったスーパールーキーが秋になり、いよいよ本来の力を見せつけ始めている。

(記事 斉藤俊幸 写真 岡部稜、岡田静穂)

結果

▽男子5000メートル

島村英治(スポ1=宮城・仙台育英)15分48秒29(15組33着)

久保広季(人1=早稲田佐賀)   15分36秒05(17組9着)

河合陽平(スポ1=愛知・時習館) 15分05秒90(25組24着)

茂原將悟(法1=群馬・高崎)   15分10秒91(25組27着)

黒田賢(スポ2=東京・早実)   15分05秒65(27組22着)

飯島陸斗(スポ3=茨城・緑岡)  14分33秒98(28組2着)自己新記録

齋藤雅英(スポ3=東京・早実)  14分40秒58(31組10着)

中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)13分45秒49(38組9着)自己新記録

コメント

飯島陸斗(スポ3=茨城・緑岡)

――今大会の位置付けは

冬季練習に入る前に長いトレーニングの一環として出場しました。

――レースプランはありましたか

自分がどれだけ走れるか分からない部分があったので、できるだけ余裕を持っていって最後余裕があれば出て、自己ベストが出れば良いなと考えて走りました。

――レースを振り返って

少しスローになってしまったのですが、自分の描いていたレースプランに近いような走りができたかなと思います。

――タイムも自己ベストを更新しました

少し準備期間が短いなかでこのタイムが出せたので、自分としては満足しています。12月3日にも5000メートルに出るので、そこに向けて良い結果になったと思います。

――今シーズンを振り返って

大きく振り返ってみると800も1500も5000も全て自己ベストを更新することができたので、すごく充実したシーズンでした。

――これから冬季練習もありますが、何か強化していきたい点はありますか

今年は長い距離からアプローチしていきたいなと思っていて、その一環で今日もでました。しっかり5000メートルで14分10秒台で走れるような走力をつけて、1500メートルに生きてくるような力をつけていきたいです。

――来シーズンの目標を聞かせてください

来季は1500メートルを中心にタイムでは3分40秒切りと主要大会でも上位に入っていけるように頑張っていきたいと思います。

齋藤雅英(スポ3=東京・早実)

――今回のレースの目的はどういったものでしたか

冬季練習の一環でした。これまでの取り組みを確認したかったので、ある程度タイムは狙ってました。

――具体的なタイムの目標はありましたか

14分30秒くらいです。

――レースを振り返っていかがですか

消極的なレースをしてしまって。不完全燃焼で終わったんですが、課題は見つかったので良かったです。

――今シーズンを振り返っていかがでしたか

悔しいシーズンになってしまったんですが、その課題として持久力の低下があったので、克服をしたいと思います。

――来季の目標はありますか

関カレ(関東学生対校選手権)や全カレ(全日本学生対校選手権)で得点を取って、チームに貢献できるように頑張ります。

中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)

――全日本(全日本大学駅伝対校選手権)から1週間できょうのレースを迎えましたが全日本のダメージはいかがですか

(練習量を)落としながら、どちらかというとジョグでも量よりも質ということを意識しながら、やはり全日本前と変わらずクロカンなどを使いながら走っていて体にダメージを残さずに心肺を鍛えることはできていました。疲労を残さずにやることはやってきたという1週間でした。

――では先週の疲労は感じませんでしたか

そうですね、きょうも朝練と午前練をやらずにこのレースに一発集中で、ということでやってきたので疲労のない良い状態でここまでこれたと思います。

――レース続きのタイトな日程となりましたがこの記録会でタイムを狙ったのはなぜでしょうか

もともと僕がこの記録会に出ようと予定していた訳ではなくて相楽さん(豊駅伝監督、平9人卒=福島・安積)から出場提案していただいて出場を決めました。この時期は実業団の選手も駅伝の大会も多く、そこまでずば抜けている選手ではなく二番手や三番手の選手が出場するのではないかという予測が相楽さんの中であって例年トップが13分40秒を切るあたりということでその中で走れば来年のユニバーシアードや日本選手権の標準タイムを出せるのではないかと仰っていただいていました。自分自身も(9月の)世田谷(競技会)で13分台を出していたのですが少し悔いが残る部分もあって今年中に日本選手権とユニバーシアードの標準を突破しておきたいという思いもあったのでこの記録会で狙っていこうと思っていました。

――レースプランは何か思い描いていましたか

もちろんタイムも大事ではあったんですけど相楽さんにも「内容の良い走りをしていればしっかり結果もついてくる」という風に言われていたので内容の方も重視していました。タイムを狙おうと思ってここまでやってきましたがレース中はそこまで気負わずにタイムをそこまで意識することなく、しっかりと先頭というか前の方で勝負しようと思ってただひたすら前を追っていってレースを進めていきました。

――あまり通過のタイムも意識しませんでしたか

そうですね、入りが良いリズムで入れたので全日本の時のようにどれだけこのタイムを落とさずに押していけるかだけだと思って走っていました。

――残り1000メートル、残り1周のスパートが光りました

特にラスト400メートルはいつもの普段の練習の中からどんなにキツくても60秒やそれを切って上がれるような練習をしてきているのでそれを出すことができたと思います。もう少し欲を言えば、もう少しラスト上げきることができれば標準タイムにより近づくことはできたと思うのでやはり悔しさはありますが、ここまで自分がやってきたことは間違ってなかったという風に思うことができて嬉しさ半分悔しさ半分という感じです。納得いかない部分もありましたが手応えを感じることができました。この悔しさを持って今後、来シーズンのトラックレースにつなげていければと思います。

――内容重視という中で内容の方はご自身でどのように評価していますか

集団が外国人選手の集団と日本人選手の集団で切れ目ができていたので、そこの部分でどれだけ離れないかということをレース中はすごく意識していました。最初の1000はついて行ってやや早く入ってそれから離れてしまったので、後は周りをうまく使いながらその中でも周りに合わせるのではなく全日本のように自分でも押していくということを考えて走っていたので内容に関しては僕の中ではある程度評価できるというか85点くらいをつけれる内容だったと思います。

――これからの試合の出場予定は決まっていますか

まだ未定です。上尾(シティマラソン)もエントリーはしていますが出場はする予定がありません。ここから箱根に向けて集中練習という期間になるのですがその中でも箱根仕様ではなくトラックレースにつながるような練習にしたいということは伝えてあるので相楽さんと相談しながらということになります。トラックにつながる練習をしつつ箱根の練習をしていきたいと思うので僕自身も工夫しながら練習できたらと思います。

――今年中のトラックレースの出場可能性は

そうですね、まだわからないですけど5000メートルと1万メートルだと5000メートルを走りたい気持ちがあるのですがやはり1万メートルで今年納得のいくような記録が出ていないのでもしトラックレースに出場するのであれば28分台を狙っていきたいという思いもあります。