花形種目である100メートルが行われた日本学生対校選手権3日目。早大は男子400メートルに出場した伊東利来也(スポ2=千葉・成田)が東洋大のウォルシュ・ジュリアジャミイに0.04秒差まで詰め寄り2位に入る。また、ルーキーの二人で戦った男子5000メートルでは千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)が6位入賞と大健闘。男子走幅跳の中村健士(スポ3=東京・調布北)も5位入賞し、3人が入賞という結果となった。また、予選を勝ち抜き最終日の決勝にコマを進めたのは全部で7名。男女4×400メートルリレーも組1着で決勝を決めており、女子走高跳の仲野春花(スポ4=福岡・中村学園女)も含めて、明日の決勝に期待がかかる。
(記事 平松史帆)
★目標のメダルに届かず悔しい5位(男子走幅跳)
試技中の中村健。目標の表彰台には届かなかった
男子走幅跳には中村健士(スポ3=東京・調布北)が出場。強い風が吹き荒れる中、競技が開始された。風が安定しなかった影響から、1本目はファールとなってしまう。「リラックスしすぎて間延びしてしまった」と話すように、2本目も7メートル33と好記録とはならず、決勝進出ラインの8位に食い込むことができない。後がなくなった3本目、焦りもあったが、思い切って跳躍に挑む。踏切板に乗らないほど手前からの踏切となったものの、無事に7メートル55に記録を伸ばす。この記録が全体で7位となり、決勝進出を決めた。助走を改善した決勝の4本目はさらに記録も伸び、7メートル75をマーク。この結果、3位に浮上する。しかし、その後はそれ以上更新することができず、最終的には5位で競技終了を迎えた。メダル獲得が目標であっただけに悔しさの残る結果であるが、「5位までいけたのは安心も大きい」と話す。記録にも納得はいっていないようだが、不安定な風でファールを続出する選手もいた中で、中村健は最初の1本以外の全ての跳躍で7メートル台を記録し、風への対応力の高さを示した。次は再来週の早慶戦に出場予定だ。目標である優勝と、今回は成し得なかった自己ベスト更新に期待がかかる。
(記事 加藤千咲 写真 藤岡小雪)
★絶対王者ウォルシュまであと0秒04!伊東が会心の走りで2位に輝く(男子400メートル)
ウォルシュと競り合う伊東。今季チームで一番の成長を見せた
幾度にもわたる自己記録の更新、日本選手権での銅メダル獲得など、今季好調が続く伊東利来也(スポ2=千葉・成田)。その勢いは今大会においてもとどまらず、初出場の全カレで見事2位入賞を果たした。
初日から伊東は絶好調だった。ウォルシュ・ジュリアンジャミイ(東洋大)と同組になった予選では、ラストを流したウォルシュをかわし、45秒86でフィニッシュ。自身初となる45秒台を予選からたたき出した。続く準決勝も余裕を持って1着でゴールし、迎えた決勝。伊東は徐々にギアを上げ加速していき、スタートからとばしていたウォルシュとの距離を縮めていく。そしてホームストレートに入り、競り合いを続けたままゴール。惜しくもウォルシュには0秒04かなわなかったが、45秒79という好記録を残し、2日前に出した自己ベストの更新に成功した。
今回の記録更新により、早大記録まであと0秒08というところにまで迫った伊東。早大の歴史に、その名を刻むことができるか。今後の伊東の活躍から目が離せない。
(記事 藤岡小雪、写真 岡部稜)
★耐えるレースで千明が6位入賞(男子5000メートル)
入賞した千明。駅伝シーズンに向けて存在感を示した
男子5000メートルには千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)、中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖)と二人のルーキーが出走した。序盤はひとかたまりの大きな集団でレースが進み、千明、中谷ともに中盤につける。3000メートル付近で集団は縦に伸び、千明は第2集団、中谷は第3集団へ。一時は12位あたりまで順位を落とした千明だったが、「抜かれた選手に今回は食らいつくことができた」と一度離されてしまった集団や選手を追っていく姿勢を見せ、徐々に前の選手を拾っていく。最後の1周、関学大の石井優樹のスパートは追い切れなかったものの、ルーキーながら6位入賞を果たした。一方、中谷は途中単独走に苦しむ場面もあり、入賞を狙ったが14位という結果に終わった。
夏合宿の成果を感じられる『耐える』レースを見せた千明だが、今回の結果をまずまずと振り返り、満足はしていない。今後、ルーキーたちの勢いで駅伝シーズンを盛り上げてほしい。
(記事 齋藤夏生 写真 加藤千咲)
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男子結果
3日目
▽男子110メートル障害予選
金井直(スポ3=神奈川・市橘) 14秒56(+0.1)(1組7着)
森戸信陽(スポ1=千葉・市船橋)14秒55(-2.8)(3組4着)
古谷拓夢主将(スポ4=神奈川・相洋) DNS
▽男子4×400メートルリレー予選
早大(小久保-松本-村木-伊東) 3分09秒44(1組1着)Q
▽男子800メートル予選
西久保達也(スポ3=埼玉・聖望学園) 1分52秒13(3組1着)Q
飯島陸斗(スポ3=茨城・緑岡) 1分54秒17(4組2着)Q
徳永翼(人3=岡山操山) 1分52秒08(6組3着)Q
▽男子400メートル決勝
伊東利来也(スポ2=千葉・成田) 45秒79(2位)自己新記録
▽男子3000メートル障害予選
岡田望(商4=東京・国学院久我山)9分03秒42(1組8着)q
吉田匠(スポ2=京都・洛南) 8分58秒27(2組2着)Q
▽男子800メートル準決勝
徳永 DQ(1組)
西久保 1分51秒35(2組2着)Q
飯島 1分55秒15(3組3着)
▽男子5000メートル決勝
千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二) 14分20秒78(6位)
中谷雄飛(スポ1=長野・佐久長聖) 14分39秒15(13位)
▽男子200メートル予選
髙内真壮(スポ3=栃木・作新学院) 22秒37(-0.3)(3組8着)
▽男子走幅跳決勝
中村健士(スポ3=東京・調布北) 7メートル75(+4.9)(5位)
▽男子総合得点(8日終了時点)
1位 日大 80.5点
2位 東海大 40点
3位 東洋大 28点
5位 早大 24点
▽男子トラック競技得点(8日終了時点)
1位 東洋大 28点
2位 日大 22点
3位 東海大 20点
4位 早大 20点
女子結果
3日目
▽女子100メートル障害予選
関本萌香(スポ1=秋田・大館鳳鳴) DNS(5組)
南野智美(スポ4=山口・西京) 14秒97(6組7着)
▽女子4×400メートルリレー予選
早大(村上-兒玉-関本-小山) 3分45秒60(5組1着)Q
▽女子800メートル予選
竹内まり(教3=愛媛・松山西中等) 2分10秒84(1組2着)Q
藤崎紗羅(社1=東京・早実) 2分15秒08(3組6着)
▽女子3000メートル障害予選
北本可奈子(早大院2=愛知・千種) 10分48秒39(1組5着)Q
▽女子400メートル障害準決勝
小山佳奈(スポ2=神奈川・橘) 59秒06(1組1着)Q
村上夏美(スポ1=千葉・成田) 59秒44(2組4着)q
関本 59秒81(2組6着)
▽女子800メートル予選
竹内 2分9秒52(1組3着)Q自己新記録
▽女子総合得点(8日終了時点)
1位 筑波大 72点
2位 日体大 44点
3位 福岡大 33点
9位 早大 18点
コメント
内之倉由美(スポ4=鹿児島・甲南)
――日本選手権での悔しさを日本学生対校選手権(全カレ)で晴らしたいと言っていましたが、今の気持ちは
7月の中旬ぐらいに腰を痛めてしまって、そこから跳躍練習が思うようにできていなかったので、跳躍練習をしない中で自分のできることを毎日やり続けていました。4年生なので絶対に結果を出して終わりたいという気持ちが強かったんですけど、ああいうかたちになって、悔しいというよりはとても情けなさを感じました。
――具体的な目標は今回定めていましたか
自己ベストを更新できるほどの自信が正直持てていなかったので、表彰台を目標にしていました。
――調子は故障してからどのくらいまで戻りましたか
菅平合宿が終わってからは、走りでは痛くなくなっていました。
――最後の全カレが終わりましたが、思うところはありますか
結果でチームに貢献したり、今までお世話になった人に恩返ししたりしたいという思いがあって。自分は何かチームに貢献できたかな…ということを考えました。
――大学4年間の陸上生活を振り返って、今どんな思いがありますか
高校では全国でも上の方で戦うことができたんですけど、大学に入ってからは全然競技面で思うようにいかなくて。苦しいことばっかりだったんですけど、早稲田大学競走部というところに入っていろんな人と出会って、人間としてかなり大きく成長できたと自分では思っています。この大学に入って陸上ができて、すごく幸せだったなと思っています。
――今までお世話になった方々に一言お願いします
結果というかたちで恩返しできなかったのは、すごく申し訳なさを感じているんですけど、大学生活で学んだことを社会で生かして頑張っていきたいと思います。今後もよろしくお願いします。
飯島陸斗(スポ3=茨城・緑岡)
――今大会の目標はありましたか
優勝を目指していました。
――調子はいかがでしたか
2ヶ月ほど前に肉離れをしてしまって、少し万全ではない部分もありました。ただ最低限練習はつめて、勝負をできる準備をしてきたのですが、少し悔しい結果となってしまいました。
――1500メートルのレースを振り返っていかがですか
表彰台を目指してやっていて、最後仕掛けるタイミングが遅くなってしまって、そのせいで最後固まってしまった部分もありました。ハイペースのときに先頭についていけるほどの万全な状態で臨むことが出来なかったのかなと思います。
――4位という結果になりました
最後あそこで意地でも3着を取るようなレースをしなければならなかったと思うのですが、最後競り負けてしまって、そこが自分の弱さかなと思います。
――800メートルの予選を振り返ってはいかがですか
予選は無駄な力を使わずにレースを進めることができたかなと思います。
――準決勝はいかがでしたか
ほかの選手たちを見てもスローになるかなと予想はしていました。その予想が当たった中で、自分のやりたいレースプランをしたつもりでしたが、それで最後さされてしまったのは完全に力不足です。もう一度しっかり練習を積み直して、来年に向けて準備をしていきたいと感じます。
――800、1500と田母神一喜(中大)にさされました
そうですね。特別何かあるわけではないですが、ずっと勝負をしてきてる選手です。全日本インカレ(日本学生対校選手権)では2敗してしまったので、次は勝てるように準備をしていきたいと思います。
――これで今大会の種目は全て終えました。振り返っていかがですか
全然納得のいく結果は残せませんでしたが、これが今の現状としっかり受け止めてこれからも練習していきたいなと思います。
――今シーズンを振り返ってはいかがですか
前半シーズンはかなり自己ベストもだすことができて、順調でしたが1年を通してケガなくシーズンを終えることができなかったのでそこが自分の課題かなと思っています。
中村健士(スポ3=東京・調布北)
――今大会の目標は
今回は日本選手権の反省もあったので、1本目から記録を残して最終的には必ずメダルを取るということと、自己ベストを超える跳躍をできれば4本から5本は出したかったんですけど、そううまくはいかなかったです。
――1本目はファールとなってしまいましたが、追い風の影響を受けましたか
1本目2本目あたりは助走の中で風が追い風になったり向かい風になったりとよくわからなくて、あとは助走もリラックスしすぎて間延びしてしまってファールとか記録が悪かったりしました。
――3本目を跳ぶまで決勝進出圏外でしたが、3本目はどのような気持ちで臨まれましたか
どうしようみたいな感じだったんですけど、とりあえずファールを恐れたらまずいので、頑張ろうと思って攻めていきました。
――4本目が一番良い記録となりましたが、感覚はいかがでしたか
感覚は悪くはなかったです。3本目まで踏切の位置も助走もあまり良くなかったんですけど、4本目で助走を改善できたような気がして。良かったと思います。
――5位という結果はどのように受け止めていますか
正直悔しいです。メダルは必ず取りたかったので。フィールドなので(男子部の目標であるトラック優勝には)あまり貢献できるとは言えないんですけど、それでもできるだけ得点を取ってワセダに貢献したかったので、5位という結果は自分の中では全然満足できない結果です。でも予選の感じから考えてそこまで記録を伸ばして5位までいけたのは安心も大きいです。
――次戦の早慶戦に向けて意気込みをお願いします
早慶戦も対校戦ということで、きょうも課題が残ったのでその課題を克服して、7メートル80から90をコンスタントに跳ぶことを目標にして必ず優勝してワセダに得点を入れたいと思います。
漁野理子(政経2=和歌山・新宮)
――今の率直な気持ちをお聞かせください
悔しい気持ちが大きいです。
――表彰台を狙っていたということでしょうか
入賞を目指していて、入賞できたら貢献できると思っていたんですが、きのうの試合であれば表彰台や優勝を狙えたと思うので勝ち切りたかったという思いがあります。
――風が不安定な中での試技でしたが意識したことはありますか
できるだけ追い風が吹くのを待っていました。追い風を避けたりということはしてました。
――5回目の試技の前に6メートルを飛ばれてしまいましたが、影響はありましたか
飛ばれるだろうなと感じていたので、そこまで動揺はなかったです。
――今回、6メートルとはなりませんでしたが、安定して5メートル90台を飛んでいる印象です
アベレージが高くなっていることはいいと思っているんですが、6メートルを飛べないと勝負できないので、もう少し5メートル90後半から6メートル前半で跳べるように頑張りたいです。
――今回の結果に関しては、やはり悔しい気持ちの方が大きいですか
入賞すれば、悔しい気持ちは無いかなと思ったんですが、結構悔しいです。
――今季は飛躍のシーズンとなったと思いますが、振り返っていかがですか
対校戦で点を取ることができてよかったんですが、記録としては去年の超えていないので今シーズンあと一試合頑張ります。
千明龍之佑(スポ1=群馬・東農大二)
――きょうのレースへの意気込みは
入賞というのは目標にはしてたんですけど、今日はあんまり考えずに、自分の動きを、夏合宿でどれだけ変われたかっていうのを確認するレースにするためにと思ってスタートしました。
――夏合宿では体は動くはずなのに動かなくなってしまうことを課題に挙げ、耐えるレースや練習をという話でしたが
夏合宿で耐える練習ができてきたので、今回はそれをレースで出せればいいなと思ってスタートして、3000メートルあたりできつくなっていつものように落ちていったんですけど、そこで抜かれた選手に今回は食らいつくことができたので、前回よりも余裕だったのでついてけたのもあるんですけど、そこで気持ちが強く持ててたっていうのが合宿での成果だと思います。
――ルーキーイヤーでの入賞でしたが、6位という結果どのように考えますか
順位としてはあまりよくはないんですけど1年生の悪い前半シーズンの結果としてはまずまずまとめられたのかなと思います。
――これからは駅伝シーズンになります
僕たち1年生が1番元気があるので、僕たちが走って全部の三大駅伝で結果を出すことがチームの入賞につながって行くと思います。
――同級生の存在は大きいですか
そうですね、今回Aチームに多く1年生が入っているので次の三次合宿でしっかり一緒に頑張っていければと思います。