川崎の地で開催されている日本学生対校選手権。大会1、2日目は5人が入賞した。そのうち3人が4位と惜しい結果が続く中、1万メートル競歩の溝口友己歩(スポ3=長野東)が3位に。また、七種競技の南野智美(スポ4=山口・西京)が大逆転で2位に輝き最上級生として結果を残した。3日目以降、男子400メートル、男子800メートルや女子400メートル障害、さらには男女4×400メートルリレーと早大得意種目の決勝が行われる。早大勢がどこまで表彰台に登れるか、目が離せない。
(記事 平松史帆)
★飯島、表彰台には一歩及ばず4位(男子1500メートル)
ゴール後、悔しい表情の飯島
男子1500メートルには齋藤雅英(スポ3=東京・早実)、今季自己ベストを大きく更新し好調の飯島陸斗(スポ3=茨城・緑岡)の2名が出走した。飯島はラスト100メートルから追い上げ、組1着で決勝進出。一方、齋藤はスタートから位置取りが悪く、最後尾につき順位を上げられない。2年前の王者がまさかの予選敗退に終わった。
飯島のみが進出した決勝。最初の400メートルは58秒とハイペースで通過する。飯島は集団の後方につけ、やや縦長となった集団だったが2周目は63秒と落ちる。同時に持ちタイムがトップの館澤享次(東海大)が先頭に立つ。ここで大きくペースが緩み、飯島は徐々に上位に順位を上げラストスパートに備えていた。残り1周の鐘が鳴ると、飯島の前にいた舘澤と才記壮人(筑波大)がスパートし、後続との差を開く。飯島はラスト200メートルから仕掛けたが、館澤らに先手を取られ追いつくことができない。ホームストレートでは後方から追い込んできた田母神一喜(中大)にも抜かされ、4位に終わった。
ゴール後は悔しそうな表情をみせ、関東学生対校選手権に続き1500メートルでまたしても苦杯をなめた。ただ優勝タイムは自己ベストよりも遅く、決して実力が劣っているわけではない。レース展開に恵まれなかったことなど運がない部分もあった。まだ頂点にたつチャンスは残されている。来年度こそは強力なライバルに打ち勝ち、歓喜する姿を期待したい。
(記事 喜柳純平 写真 斉藤俊幸)
★最後の全カレ、最低限の目標・表彰台に届かず(男子1万競歩)
最後の全カレとなった高橋和
男子1万メートル競歩には、高橋和生(社4=岩手・花巻北)と高橋雄太(スポ4=千葉・佐原)の2名が出場した。関東学生対校選手権で3位、学生個人選手権で優勝という結果を残した中で挑んだ今回の日本学生対校選手権は、高橋和生(社4=岩手・花巻北)にとって惜しくも満足のいくレースとはならなかった。1500メートルを過ぎたあたりから強力なライバルと高橋和自身も意識していた東洋大の2選手を中心としたペースアップに食らいついて歩くことができず、その後のレースは、終始前を追いかけるという我慢のレース展開となる。3位となった明治大学の選手も東洋大の2選手の走りに必死に食らいついたため、高橋和は4位までしか順位を上げることができずにレースを終えた。対して、高橋雄太(スポ4=千葉・佐原)は1500メートルを終えたあたりから、大集団から遅れ始める。その後もズルズルと順位が下がっていき、ゴールまで少しとなった最終周で無念のレース棄権となった。高橋和は中国での大会、高橋雄は1カ月後に引退レースが控えており、次の試合に向けて両者共に切り替えてほしいところだ。
(記事 大島悠希 写真 宅森咲子)
★溝口、ケガから復帰し表彰台へ(女子1万競歩)
表彰台に登った溝口
台風も過ぎ去り、程よく風の吹く夕方、日本学生対校選手権の1万メートル競歩に溝口友己歩(スポ3=長野東)が出場した。スタートの合図と同時に5人が速いペースで抜けだし、集団を作る形になった。溝口はその後ろ集団を引っ張る6位の位置から先頭を追いかける展開となる。序盤、先頭集団は1周を1分40秒台後半で歩くのに対し、溝口はあえてその集団に付かず。1人で自分のペースを保ち、孤独な旅が始まった。5周目の途中で5位、6周目で4位と順調に順位を上げた溝口だったが、先頭集団との差はなかなか縮まらない。2キロを過ぎたあたりから「自分が思っていた以上に疲れてしまった」と溝口のラップタイムは落ち始め、トップとの差が徐々に開き始めた。終盤、後続に差を縮められるもしっかりと自分のペースで歩きなんとか振り切る。最後はスパートをかけるも、先頭には追いつかず4位でゴール。1位だった国士舘大の熊谷菜美が失格となり、最終順位は3位という結果になった。この結果について「全然満足のいく結果ではないが、徐々に調子があがってきている」と振り返った。10月には国民体育大会も控えており、そこでのさらなる活躍を期待したい。
(記事 関谷瑠聖 写真 佐藤詩織)
★漁野が4位に。内之倉はベスト8に残ることができず(女子走幅跳)
試技中の漁野。今季急成長した選手の一人だ
2日目の午後から女子走幅跳の決勝が行われ、早大からは内之倉由美(スポ4=鹿児島・甲南)と漁野理子(政経2=和歌山・新宮)が出場した。内之倉は今年限りで競技からの引退を表明しており、これが最後の大舞台となる。これまで思うような結果を残せなかっただけに強い思いで臨んだ日本学生対校選手権(全カレ)だったが、2回の試技を終えた時点で5メートル73と上位8人に届かない。3回目の試技の結果も5メートル63と記録を伸ばすことができず、15位で敗退。有終の美を飾ることはできなかった。一方の漁野は1回目の試技で5メートル92という記録を出し、3回目の試技を終えた時点で4位とベスト8に駒を進めた。続く4回目の試技で5メートル99を出し2位に躍り出る。しかし5回目の試技で6メートル超えの記録を出す選手が現れ、力みからかファールに。6回目の試技でも記録を更新できず、4位という結果になった。惜しくも表彰台には届かなかったが、今季は全カレ4位に加えて関東学生対校選手権でも3位と表彰台に上り、対校戦で結果を残すことができた。来季は上級生としてさらなる活躍を期待したい。
(記事 佐藤詩織 写真 藤岡小雪)
★南野、大逆転で2位入賞を果たす!(女子七種競技)
やり投後に槍の行方を見つめる南野
「燃えろ、燃えろ燃えろ、南野!」――。南野智美(スポ4=山口・西京)はチームの声援を背に走り、跳び、投げた。4年間の集大成となる日本学生対校選手権(全カレ)で2位入賞を果たした。
最初の種目の100メートル障害は向かい風の中で14秒26をマークし、4位とまずまずのスタートを切った南野。しかし、以降の種目ではキレが見られない。走高跳では1メートル55に終わり、悔しそうに頭を抱え込んだ。続く砲丸投、200メートルも自己ベストには遠く及ばず、1日目を2903点の8位で折り返す。この時点で南野は表彰台に183点差と厳しい状況にいた。
しかし2日目の南野は昨日と全く違った。まず五種目めの走幅跳で5メートル59を記録し5位に浮上する。反撃ののろしを上げた南野がさらに見せたのがやり投だ。45メートル10の記録を持つ南野だが、2投目までは36メートル台にとどまる。迎えた3投目、南野の後ろではチームメイトが声援を送る。「えいっ!」。勢いよく投げたやりは大きな放物線を描き、40メートルラインを大きく越えた。その瞬間、南野はガッツポーズ。表示板に「47メートル45」が出ると南野は飛び跳ねて喜びをあらわにした。自己新記録となるこの好投により、走幅跳終了時点で3位と133点あった差を一気に逆転し、2位の酒見美咲(九州共立大)に6点まで迫る3位に躍り出た。最終種目・800メートルでは、酒見に約0.5秒先着すれば南野が酒見を逆転する展開だった。号砲と共に積極的な走りを見せた南野は600メートル付近から鮮やかなスパートを披露し、1着でフィニッシュ。酒見に3秒55先着し、南野が総合2位をつかみ取った。
南野が獲得した総合得点は5240点と、自己ベスト(5364点)には及ばなかった。しかし、「ワセダのみんなに結果で貢献したい」。関東学生対校選手権(関カレ)でこう語った南野が見事に体現してみせた。4年生として最後に懸ける思いはどの選手よりも強かったに違いない。
(記事 岡部稜 写真 村田華乃)
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男子結果
1日目
▽男子4×100メートルリレー予選
早大(山下-佐野-小竹-下平) 40秒59(2組8着)
▽男子1500メートル予選
飯島陸斗(スポ3=茨城・緑岡) 3分51秒55(1組1着)Q
齋藤雅英(スポ3=東京・早実) 3分53秒62(2組9着)
▽男子400メートル予選
村木渉真(スポ2=愛知・千種) 47秒68(3組5着)
伊東利来也(スポ2=千葉・成田)45秒86(4組1着)Q
▽男子1万メートル決勝
太田智樹(スポ3=静岡・浜松日体) DNS
2日目
▽男子100メートル予選
佐野陽(スポ1=埼玉・立教新座) 10秒79(-2.4)(1組5着)
▽男子400メートル準決勝
伊東 47秒10(2組1着)Q自己新記録
▽男子1500メートル決勝
飯島 3分48秒30(4位)
▽男子1万メートル競歩決勝
高橋和生(社4=岩手・花巻北) 41分31秒67(4位)
高橋雄太(スポ4=千葉・佐原) DQ
▽男子総合得点(7日終了時点)
1位 日大 52.5点
2位 中京大 23点
3位 四国大 21点
6位 早大 10点
▽男子トラック競技得点(7日終了時点)
1位 東洋大 15点
2位 中大 14点
3位 日大 10点
5位 早大 10点
女子結果
2日目
▽女子400メートル障害予選
関本萌香(スポ1=秋田・大館鳳鳴) 60秒17(2組3着)q
小山佳奈(スポ2=神奈川・橘) 59秒08(4組1着)Q
村上夏美(スポ1=千葉・成田) 61秒03(5組2着)Q
▽女子1万メートル競歩決勝
溝口友己歩(スポ3=長野東) 48分27秒11(3位)
▽女子走幅跳決勝
漁野理子(政経2=和歌山・新宮) 5メートル99(+0.7)(4位)
内之倉由美(スポ4=鹿児島・甲南) 5メートル73(-0.6)(15位)
▽女子七種競技
南野
100メートル障害 14秒26(-0.8)(1組4着) 942点
走高跳 1メートル55 (1組6位) 678点
砲丸投 9メートル89 (14位) 522点
200メートル 26秒42(-0.3)(2組6着) 761点
走幅跳 5メートル59(+3.1)(1組4位)726点
やり投 47メートル45 (1位) 811点自己新記録
800メートル 2分21秒75 (3組1着) 800点
総合 5240点(2位)
▽女子総合得点(7日終了時点)
1位 筑波大 37点
2位 九州共立大25点
3位 福岡大 25点
7位 早大 18点
コメント
高橋和生(社4=岩手・花巻北)
――レース前は、どのようなレース展開を想定して、レースに臨まれましたか
当初は東洋の2人の選手が最初に出て、自分は1キロ4分5秒ペースでずっと歩いていき、少しずつ前で拾おうと思っていたのですが、予想よりもスローペースでレースが進んで、いずれは東洋の2人が先頭に出るとは予想して準備していたのですが、予想よりも早い段階で先頭に2人が出たところを、後ろに付いて歩くことができなかったです。
――4位という順位について、どのように捉えていますか
関東インカレで3位、学生個人で優勝して、最低限表彰台にのるというところを目標にしていたのですが結果4位ということで、今回のインカレ(日本学生対校選手権)では4年生が出る人数が少なくて、得点を稼がないといけないという責任を感じていたのですが、それを達成できなくてチームに対して申し訳ないと感じてます。
――残り17周のタイミングで東洋大の選手が前に出てレースを引っ張り始めた時に、どのようなレースをしていこうと考えていましたか
急にペースが上がったので、自分のペースで歩いていけば、徐々に選手を拾っていけると考えていたので、焦りは大きくなかったですが、3位の明治の選手が予想よりも速くて追いつくことができなかったです。そこで後ろに付いていけなかったところが、まだまだ自分の弱いところだと思いました。
――残り10周のところで明治の選手を抜かして5位に上がった時は、3位の選手を抜くことが出来そうとかは思いましたか
選手と100メートルほどの差があったので、追いつけるかもという気持ちが半分、追いつけないかもという気持ちが半分で、あとは警告があるかもしれないということで、順位を維持することを意識しました。
――残り8周で山梨学院大が失格と分かった時にどのような心境でしたか
後ろを見た時点で、明治の選手を目標にして抜くということだけを考えていました。
――高橋雄太選手(スポ4=千葉・佐原)がゴール直前にレースから離脱しましたが、ゴール直後にどのような話を2人でしましたか
4年間一緒の仲間として頑張ってきた仲間であり、彼も一般入試を経て頑張ってきたので、最後は2人で一緒に結果を残してゴールしたかったです。彼は練習を追い込んできたことで足を痛めていたので、彼は自分以上にゴールする事ができない悔しさがあったと思ったので、深い話はしないで、一ヶ月後にレースがあるので、そのレースが彼の引退レースになると思うので、そこに向かってまた頑張っていこうと話しました。
――次のレースへの意気込みを教えてください
卒業後も競技を続ける予定で、大学引退レースも大分先ですが、中国の方で10キロから20キロのレースに出させてもらえるので、そのレースに向けて切り替えてやっていく予定です。
溝口友己歩(スポ3=長野東)
――レース前はどのようなレース展開を想定して準備をしましたか
今回はそこまで質の高いスピード練習を積んでこれたわけではなかったので、入りは速くなりすぎないように自分のペースで入って、後半しっかり上げたり、粘れるレース展開をイメージしていました。
――序盤から5人が先頭集団を作る展開になりましたが、それにどのように対応しようと考えましたか
入りは先頭が速かったので、そこはついていかず正解だったと思うんですが、中盤から後半にかけて自分が思ったより疲れてしまって、納得がいきませんでした。
――1人で歩く場面が多く、ペースメーカーがいないという中で自分のペースを維持する難しさはありましたか
そうですね。ずっと1人のような形になってしまったので、そこは苦しいところがありました。
――最終的に3位という結果になりましたが、その結果についてどのように捉えていますか
やっぱり全然満足行く結果ではないんですが、昨年の冬ぐらいからずっと調子が悪く、故障とかもしてきた中だったので少しずつ良い方向には進んでいると思います。こっからさらに良い練習を積んで上のレベルに行けるように頑張りたいです。
――春に疲労骨折をしたとお伺いしたのですが、その怪我の状態はいかがですか
怪我は1カ月くらいで治って、6月の頭くらいからはしっかり練習することができたので、そこは大丈夫です。
――次の大会の予定は決まっていますか
10月に国体(国民体育大会)と山形で高畠の全日本競歩(全日本競歩能美)の20キロに出場します。
――その大会の意気込みをお願いします
国体と全日本競歩まではそこまで時間がないので、上がってきた調子をしっかり維持して、少しでもいい状態に持っていけるようにしたいと思います。